2018年01月13日 21:00 - 23:10

土曜プレミアム・映画「テルマエ・ロマエ」【阿部寛・日本アカデミー賞受賞作】

古代ローマ人が現代の日本の銭湯にタイムスリップするという奇想天外なストーリーで、興行収入59.8億円の大ヒットを記録した話題“沸騰"作が新春に登場! ★フジテレビムービー公式Twitterアカウント(@fujitv_movie)では、随時、番組をより楽しめる情報を配信中!2018/1/1~13にAmazonギフト券が当たるお年玉プレゼント企画も実施!詳しくは〈フジテレビムービー〉で検索♪ 古代ローマ帝国の浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、職を失ってしまう。落ち込む彼は友人に誘われて訪れた公衆浴場で、突然現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは、漫画家志望の真実(上戸彩)ら、「平たい顔族(=日本人)」。日本の風呂文化に衝撃を受けたルシウスは、古代ローマにもどって、そのアイデアを使い大きな話題を呼ぶ。 タイムスリップを繰り返すルシウスは、浴場技師としての名声をローマで得ていく。その評判を聞きつけた時の皇帝ハドリアヌス(市村正親)は、自分の後継者にと考えているケイオニウス(北村一輝)のためにルシウスに大浴場を作るよう命じる。次第にルシウス、そして真実までもがローマ帝国の運命に深く関わっていくことに…。 阿部寛   上戸彩   北村一輝   竹内力   宍戸開   笹野高史   市村正親     ほか 【原作】  ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」(エンターブレイン刊)     【脚本】  武藤将吾     【監督】  武内英樹 阿部寛 / 上戸彩 / 北村一輝 / 竹内力 / 宍戸開 / 笹野高史 / 市村正親 / ヤマザキマリ / 武藤将吾 / 武内英樹

今夜の映画は…
ナレーションローマ帝国の始まりは
紀元前753年にまでさかのぼる
幾たびもの戦争や謀略を繰り返しながら
他民族を制圧し属州とすることで
ローマは世界最大の帝国として
繁栄を極めていった
帝国の繁栄に貢献した歴代の皇帝たちは
神格化されることで神として崇められ
後世にその名を残した
紀元128年
時の皇帝ハドリアヌスは
反対勢力を粛清するなど
暴君として恐れられていた
そうしたローマにあっても
民衆はテルマエと呼ばれる浴場を愛し
皇帝は巨大なテルマエを建設することで
民衆の支持を集めていった
♪~
♪~
ルシウスこの設計のどこが悪いんだ!
雇い主まだ分からんのかルシウス最近は斬新な建物が増えた
それが何だというんですか!
雇い主君の考えたテルマエの設計は古いのだよ
古い?
私は現代のローマが忘れかけている
古き良き時代を再現しようとあえて…
ヴィルトゥスこちらでしたか!
頼まれていた設計図です
最近雇ったテルマエ技師だ
ヴィルトゥスだよろしく
私は用済みというわけか
すまんな君にもっと斬新な発想があるというなら別だがね
雇い主さあヴィルトゥス説明を聞こう
中央に巨大な石像周りに噴水をあしらっています
愚か者め!
マルクスはっははは…
このご時世に失業かよ!
私はアテネにまで赴き
最高の建築技術を身につけてきたんだぞ
それをあいつら…
マルクスそんな辛気くせえツラしてっから
ツキが逃げてくんだよほらもっと笑えよ
娼婦私と遊んでいかない?
マルクスお~イーッヒッヒ…
もういいよだったらよ
カミさんと一発やってスカッとしろよええ?
カミさんだって子供欲しがってたじゃねえかよなっ
悪かったよ
だったらよ風呂入ってすっきりしようぜ
やっぱりよローマに風呂は欠かせねえよな
おーい大盛況じゃねぇか!
やっほーい!
当たり前だ
ローマは世界一風呂を愛している国なんだからな
ローマ人あーさっぱりした
マルクスあのハドリアヌス帝も風呂好きだって話だぞ
元老院殺しの暴君も人の子ってことだな
暴君?
奴隷チップ
マルクス何だお前知らねえのか
巷の噂じゃハドリアヌスが皇帝に就いた時
反対してた4人の元老院を問答無用に殺したって話だ
それだけじゃねえぜ
せっかく勝ち取った領土を放棄するわ
ローマを留守にして旅ばかりして遊び呆けるわと
とんでもない皇帝らしい
おっ!あっはっは
おおーやれやれ!
うほーっほほ…
相変わらずここは騒がしいな
本来風呂は体の疲れを取るための場所だ
格闘技や水泳をやったり
売り子菓子はいかがですか
売り子が幅を利かせてるなんて本質を見失ってる!
くつろげる空間でこそ…
ああ俺脱毛やりまーす!
売り子菓子はいかがですか~
そんな堅物だからクビになんだよ
売り子脱毛はこちらに
マルクスほーいははは…
どいつもこいつも…
まったくこの者たちは
世界の頂点に立つローマ人としての自覚はないのか
このままでは我がローマ帝国が
凋落する日も近いかもしれない
湯の中に入るしか静けさを感じることができないなんて…
派手なテルマエがもてはやされるこの現状を
打破できるような斬新な発想さえ思いつけば!
斬新な発想…
斬新な発想…
斬新な発想…
水流の音
んんっ?
♪~
♪~
うわっ!
イテー!くぅー!
♪~
オペラ歌手の歌声
ああー!
♪~
♪~
なっ…何なんだここは!
こっこれは!ポンペイのヴェスビオス火山ではないか!
老人1おみゃーさんよ
あんた湯船の底に
ずいぶん長く沈んどんやねぇ
ローマ人じゃない…
中年男言葉…分かんねぇのかなあ
老人2連れはいねぇんかなおい
顔が…平たい
そうかここは奴隷用の公衆浴場か
さっきの場所と隣接していて
うっかり入り込んでしまったんだな
老人1外人さん湯あたりするといけないから
表に出たらどうじゃ?
“ここはローマ人の入る浴場ではないから”
“出ていってください”そう言ってるのか
まあその言い分ももっともだろう
ここは奴隷が一番くつろげる場所なんだからな
ん?それにしてもずいぶんと
文明の発達した様子の物があるではないか
なっ…!
はっ…
むっ…
はあぁ…
巨大な一枚板の鏡!
催し物の絵の完璧さ!
こんな技を持った職人がいるなんて
驚くべき奴隷たちだ
この中に衣服を入れるのか
これなら我々でも真似できそうだ
外人さんよオメェ服ないのか?
もしかして盗まれたか
この奴隷風呂使えるぞ!
豪華さが重視される浴場よりよりシンプルで機能的に!
斬新さを求めている今のローマにはぴったりではないか!
ラテン語
お俺は盗んでねえよ!
なぜこんなにうろたえているんだ
浴場のスタイルを真似されたら困ると慌ててるのか?
この平たい顔族が
風呂文化を大切にしている気持ちはよく分かる
しかしローマの属州となったからには
我々ローマ人がその文化を吸収する権利がある!
中年男おーい!
そんな格好でどこへ行くんだい
何とでもわめくがいい奴隷たちよ
入り口の日よけ布かこのアイデアも頂いたぞ
中年男おいどこ行くんだい
まだ何か隠してるんだな
女性たちの悲鳴
山越真実ケンシロウ…?
むう~
引き戸の開く音
老人2すみませんははは…
中年男おい行くぞ行くぞ
老人2すいませんね本当に
一体ここはどこなんだ
これでも飲んで元気出しな
か~うめぇ~
兄ちゃんの栓も開けてやるよ
♪~
うまい!
しかも冷たくて甘いな
牛の乳なのになぜ果実の味が?
一体どうしたらこんな物が作れるんだ
この属州は完全にローマの文明を凌駕している
くっそ…
泣くな敗北を悟られるわけには…
ぐうっ…
マルクスルシウ~ス!
ルシウ~ス!
ルシウ…
おおおーっ気がついたぞ!
ここは?
風呂で溺れてのぼせ上がっちまったもんだから
みんなで運んだんだ
平たい顔族は?
マルクス平たい顔?
何言ってんだよよかったよかった
夢か…
ハッ!
ここか新しいテルマエは
何でもこれまでにない風呂らしいぞ
このカゴいいねえすばらしい思いつきだ
この催し物の告知いいねえ(客)これこの前観た喜劇だ
果汁入り牛の乳いかがですか?
面白いビンだなぁ
今週の見世物が分かるなんて便利だなあ
それ1本くれ
何もかもが驚きだあっちも見てみろ
ヴェスビオス火山にナポリ湾
いい眺めだのう風流じゃ
ナポリ湾にはやっぱりローマ松じゃ
この手桶いいねえ癒やされるなあ
マルクス牛の乳をビンに詰めて地下で冷やすとはなあ
あれはもっと甘くて冷たかった
ビンだってフタだって決して精巧とは言えない
お前の向上心には感心するよ
もう1本もらうよ
私ではない
飽くなき探究心を持っているのは
あの奴隷たちだ
恐るべし平たい顔族
マルクスああ師匠脱ぎ終わりましたか?
老師ふぁあああ…
湯に漬かるのは至上の喜びじゃわい
家に風呂があったらいいのう
ぜいたく言わないでくださいよ家に風呂なんて
金持ちか貴族しか持ってないんですからね
夢を言ったまでじゃ…
あれ?師匠のストリジルは?
あれじゃないですか
そうじゃあんなとこに…
取ってきましょう
確かに年老いた身で大浴場まで足を運ぶのは大変だ
入浴を諦めてる老人も少なくはないだろう
それはテルマエを愛するローマ人にとって
生きがいを奪われるようなもの
何とかしてやれないものか…
家に風呂…
家に風呂…
家に風呂…
歌声
うおあああ…
うわあー…
何だここは?
何やら狭くなってきた気が…
しかもどんどん熱くなってきた!
くっ苦しい!
うあっ!あぁ…
何だ?まさか…
またあの世界に?
ハァッ…湯の入った棺?
いや入浴用の浴槽ということも考えられる
もしこれが浴槽ならばものすごい執念を感じるな
こんな狭い空間の中で
どうやって火を焚いているのだ
奴隷も大変だな
動物の腸のような物の先端に付いているこれは何だ
浴槽の表面を覆っていたこれにしても
湯の熱を外へ逃がさないための用途をなしているのではないか
一見バカげた形状をしていても
どこかにとんでもない要素を備えてるに違いない
文明大国であるはずのローマでは
誰も考えついたことのない方法…
平井道子寝る間も惜しんで描いたのがこれ?
全然ダメ
ストーリーも古いしキャラも普通
インパクトのある主人公も描けない
絵だけうまくても漫画家にはなれないのよ
田舎帰って親孝行でもしたら?
才能ないんだし!
戸の開く音
平井卓三お風呂は沸いたかのう
お義父さんお風呂は向こうよ
もうすぐヘルパーさんが来るから待ってて!
卓三分かりましたよ米子さん
道子です!
戸の開く音
卓三おっ?
今日は外人のヘルパーさんか
じゃ背中からお願いします
じゃんじゃん出る!
卓三んん~いでででいでで!
うう…若い皮までむけちゃうよ~
一体この布は何で出来ているんだ
次は頭かのう
冠?この老人は
平たい顔族の族長か!
うわーっはっはっはは
うわーっはっはっは
こうやって…洗って…
流す
顔濡れとらんじゃろ?
このとてつもない敗北感を
何と表現したらいいんだ
ハァッ…
真実インパクトのある主人公…
インパクトのある…主人公!
んん?
この筒さえも
我々の文明にはない機能を備えてるに違いない
目が…目がっ!
うう…あああああ…
真実あれ…?
真実筋肉隆々の外人は?
消えた
真実あ~
窓から逃げたか…
いや消えたんじゃすーっと
マルクス大浴場で溺れて意識を失ったかと思えば
たちまちこんな家庭用の風呂をこさえちまうんだもんな
しかも泡よけのツバに
牛の腸を使った体を流す道具まで発明するなんて
大したもんだよええ?
師匠どうですか?
老師最高じゃ~極楽じゃ~
マルクスほら見てみろよ
噂が広がって毎日見物客が絶えねえ
ますますお前の株が上がったなあっははは…
リウィア今じゃあなたはローマいちの建築家だって?
マルクスから聞いたわよフフ…
みんな勘違いしてるんだ
私は見た物を再現しただけで
私が考えたものなど1つもない
さあいいからどんどん食べて
カタツムリにヤギの睾丸
どれも精力抜群よ
これできっとあなたの才能を受け継ぐ子供が生まれる
んん…
どうしたの?
食欲がないんだよ
何そうやってまた逃げる気?
いつもそうじゃないはっ!
毎日仕事ばっかり
私の気持ちも知らないで…
こんなに子供が欲しいのに
あんたは一度だって応えてくれない
役立たず!
リウィアの泣き声
ドアをノックする音
使者夜分遅くに申し訳ない
ルシウスモデストゥスはおらぬか?
そなたにぜひ会いたいと皇帝が仰せだ
ハドリアヌス帝が私に?
ケイオニウス様!
ケイオニウスルシウス技師だな
皇帝がお待ちだ
これより先は我々も入れぬゆえ一人で行ってもらおう
皇帝は気難しい性格だ
下手な発言をすれば
首を切られてもおかしくはない
生きて帰れるといいな
♪~
♪~
ああ…
ハドリアヌスこのテルマエの設計はそなたの仕業か?
ルシウスモデストゥスでございます
ハドリアヌスヴェスビオスの壁画を
テルマエに用いるとは
バカバカしい
だが実に見事だ
テルマエとローマのあり方は似ている
広ければいいというものではない
派手であればいいというものでもない
安らげる場を与えてこそ
人々の幸福につながる
おっしゃる通りです
ふむ
私と波長が合うとは
そなたも
暴君の素質があるな
ハドリアヌス民衆が私をどのように
思っているのかぐらい察しはつく
属州を巡ってみて分かったことがある
ローマは広大だ
軍事力で抑え続けるには限界がある
本当は
文化で圧倒できれば戦などなくなるのだ
すべては
ローマの平和を維持するための視察だったんですね
心を落ち着かせ
ローマの平和を思索するには
テルマエが必要だ
そなたに見せたいものがある
そなたの設計に手を加えさせてもらった
なんという美しさ…
ハドリアヌスそなたに私の浴室を造ってもらいたい
私はこれまでにない
斬新な発想を欲している
ローマ帝国のためだと思って
そなたの力を
貸してはくれまいか
ローマ帝国のため…
分かりました
私にお任せください
アントニヌスこの別荘の設計は
すべて皇帝が行ったものだ
皇帝に個室風呂の設計を任されたそうだな
ええですがアントニヌス様
あのようなものを見せられては…
アントニヌス皇帝は優れた建築家でもあるからな
だが希代の天才ゆえ
我らの想像以上に孤独でおられる
元老院とも対立し心を開ける理解者も少ない
そなたはその数少ない一人なのであろう
立派なテルマエを造ってくれ
それが皇帝の救いになる
ここに風呂を?
ダメだ全く浮かばない
ハァ…
平たい顔族ならどう考える
そうだ!また大浴場の排水溝をたどっていけば
彼らに会えるかもしれない
いやいやいや待て待て待て
属州の文明に頼るなんてどうかしてるぞ!
だがこのまま一人で悩んで何か思いつくのか
皇帝の期待に応えられなければ私の将来はないんだぞ!
ええい!プライドなんかクソ食らえだ
恥を捨てて彼らに助けを求めよう
急げルシウスああっ!
宇治野ちょっと山越くん
真実ん…あっ…はい
“はい”じゃないよあふれるとこだったぞ
…ったくいつも眠そうに働いて
もっと真面目に仕事してくれよ
いれば給料がもらえると思ったら大間違いだよ
すいません
どうせ夜遅くまで…
真実ああ!
あ~…あ~…
はっ!ここは平たい顔族の…
うおっ!
恐ろしいほど煮えたぎってる
だが熱くないなぜだ…
宇治野知り合いか?
真実あ…裸の付き合いといいますか…
こうやって職場に男を連れ込んでたのか
いえ…
何だこの振動は!?
フルフルする!
気持ちいい…
宇治野君!さっさと出てきなさい
いててて…離せ
トーガに手をかけるとは失礼な奴隷め
真実大丈夫ですか
開き直って乳繰り合う気か
部長!
真実部長?あっいや…
ああ~!
真実もうどうなってんのよ
ラテン語
ラテン語
なるほど案内してほしければ駄賃をよこせというわけか
小ざかしい奴隷め
ん?
んん
どうも…
真実えっ?あの…あの…あの!
便器を叩く音
真実キャラ立ってるわぁ…
♪~
パピルスに書かれたこの文字…
平たい顔族の文明をひもとく
重要な書物に違いない
宇治野部長こちらです
真実うんっ…
真実部長来ちゃうって!
ちょっ…ちょっと…
何だこの空間は…
この何とも言えぬ良い香りは
このローソクが発しているというのか
ハアッ…癒やされる…
何だこれは!
壁に水槽を埋め込んでるのか!
どんどん癒やされる…
浴槽だけではない
空間を生かしたテルマエ造りへのこだわり…
書物やギリシャの真似事しかできない私には
到底考えつかない
やはり私ごときが皇帝の風呂など造れるわけが…
ううっ…考えたら腹が…
ラテン語
ん?
ラテン語
真実トイレ?トイレはこっちだけど
フタが…?
一見良い工夫のように思えるが
私のように急いでいる者にとっては
この一手間が…
トイレから聞こえる音楽
便を用するために一体何人の奴隷を使っているのだ
奴隷も大変だな
なるほど
用を足しながら読むものだったのか
うう…ん…
うんっ…
ん?尻拭きはどこだ?
♪~
ハッ!?今のは…
もしや尻を洗浄する機能なのか?
確かに海綿をいちいち水に浸して
尻を拭くよりは清潔だ
ハウッ!
何だこの感覚は…
ああ…
クセになりそう…
男はどこだ?
中か
真実ああっ…
宇治野部長!
部長誰もいないじゃないか
真実あっ…んんっ
宇治野見てくださいこれが証拠です
山越くん…
クビ!
お恥ずかしい限りでございます
皇帝の別荘で溺れるなんて…
ハドリアヌスもうよいではないか
そなたは助かり私はこうして
泡の風呂に漬かっている
そしてその便器
尻を洗浄するなんていう発想は
私には到底思いつかぬ
他国の文化を真似するだけでない
そなたのような国民もおるのだな
ハドリアヌスこのテルマエがあれば
明日のローマについて熟考できる
すべては
そなたのおかげだ
早速褒美を用意しよう
それで妻に何か買ってやるがよい
ありがたき幸せ
フッ…
リウィア聞いてくれ
ハドリアヌス帝…
マルクスおっ…
ルシウス!
ひでぶ…
山越由美どういう風の吹き回しだい
こっちゃがなーんべんも帰ってこ~って連絡しても
電話もかけてよごさねえで
真実べづにぃ
漫画家先生に諦めろって言われだ?
それども昼間の派遣クビさなった?
まさが…両方がよ?
まどっちゃにしてもタダ飯食わせるつもりはねぇ
あいあい…はい
よっこいしょあーよがったよがった
分がってるで
真実あーっまーた仕事サボっで
岸本いよぉー
山越修造真実!
いやいやいやー帰ってきてくっちゃのが~
真実ってかまだみんな生きでたんだ
岸本そっだら冗談やめろでえ
長老なんていづ息止まってもおがしぐねんだがら
最上長老長老!
名倉川が見えだ
館野間違いねえ
そりゃ三途の川だ
一同の笑い声
食いすぎだっつうのこのデレすけが!
真実ああ!教授
そういえば見てほしい物があんだ
これ
最上これラテン語みたいだなぃ
真実ラテン語?
それ持ってた人が着てたんだけど
こんなふうに巻いで…
最上あいや~そりゃトーガだな
古代ローマで着でだ服だあ
したらこりゃ古代ローマの銭がい?
真実古代ローマ?
“ハドリアヌス”
“ローマ帝国14代目皇帝”
“気難しい性格で知られているが”
“建築家としても才を発揮した”
“旅好きでローマ不在が多かった皇帝は”
“自分がいる場所を常に硬貨に記していた”
トリポリってことは…
真実128年
ハドリアヌスは2度目の視察巡回へと旅立った
アテネアンティオキアを経て
エジプトのアレクサンドリアへ上陸
すべては順調に思えたしかし…
ドアを叩く音
アントニヌスルシウス技師!
ドアを叩く音
アントニヌスルシウス技師はおらぬか?
アントニヌスおいしっかりしろ
アントニヌス様
ううっ…ああ…
アントニヌス一体何があったんだ
何でもありません
実はそなたに
力になってもらいたいことがあって来たんだが
アントニヌス皇帝が身も心も委ねていたアンティノーという少年を
エジプトのナイル川で亡くして
すっかり生きる気力を失ってしまったのだ
ハドリアヌスアンティノーは私の生きがいだった
今はアンティノーと過ごした
日々ばかりが
脳裏をよぎる
ナイルの豊穣な川岸に
神聖なるワニが姿を現し
形容しがたい香りと甘さを放つ果実を食す
私はアンティノーの死をきっかけに
立ち止まってしまったのだ
あっ!
ハドリアヌスそのワニはアンティノーの化身として
ナイルから連れてきたが
やはりナイルのワニは
ナイルでしか生きられぬようだ
このワニが死ぬ時が
私の最後かもしれぬ
何をおっしゃいますか私はまだまだ
ハドリアヌス帝のご活躍を願っております
一同う~んなるほどうめぇもんだ
真実できた
一同おお~なるほどなぃ
こいづが古代ローマ野郎がよ?
やっぱり真実ちゃんは絵がうめえなぃ
今度の漫画の主人公
筋肉隆々のグラディエーター
ほら古代ローマの勉強もしてんだ
最上ちっといいべが?
あのなぃこのトーガ
大学の後輩さ頼んで
放射能炭素年代測定っつう方法で調べてもらったら
現代の麻とは成分が違うんだど
岸本えぇ?どれ
もしかしたら本物がもしんねえ
修造どういうこど?
んじゃからって真実ちゃんが会ったのは
本物の古代ローマ人かもしんにっつこどなんだってば
一同まさがぁ~
こいつが古代ローマ人?
この人は突然いなくなったんだよね?
出できた時はどうだった?
えっいや…
それもいぎなりで
最初は行きつけの銭湯次が漫画家先生の仕事場
で次が私の派遣先だった展示場
ん~場所はバラバラで共通点はながったよお
あるでねぇが
最上んだ!こいづが出できたどこさにも
真実ちゃんいたんだよなぃ
そんなの…
単なる偶然だ
運命の赤い糸じゃあ!
ちっと待でて
由美バ~カなこど言ってねえで
さっさとお風呂さ入っせ!
一同はい~
真実何だい?これ
由美見合い写真だ
修造あぃや…あいやいやいやこれ…
伊丹ホテルの跡取り息子でねえが
母ちゃんまだ早いんでねえかい?
由美あんたなぃもう
この子の面倒を見られなぐなっかもしんねんだよ
どういうこと?
この旅館閉めるこどになっかもしんねんだ
岸本なじょして?
本当がぃ?
なんだいオメェも知んながったのがよ
もうずいぶんと前がら赤字が続いてんだ!
修造あいや~
道子絵だけうまくても漫画家にはなれないのよ
田舎帰って親孝行でもしたら?
分がった
いいよお見合いすっから
修造んだけんちょもオメェ漫画家の夢どうすんだ?
次の漫画だって古代ローマの勉強して…
いいのいいの
どうせ最後の悪あがきのつもりだったし
やめるいいきっかけだなし
女性やめてくださいケイオニウス様
こんな所でいけません
アントニヌスそなたを連れてきてもダメだったか
陛下ご自身が
元気になる意志を欠いているような気がします
女性ケイオニウス様どうかおやめくださいませ
女性んっん…
アントニヌスの咳払い
ケイオニウスルシウス技師か
こんな所まで赴くとは
そなたも暇を持て余してるようだな
アントニヌスケイオニウス殿の女好きにも
困ったものだ
彼は次期皇帝と言われている
あのようなお方が…
アントニヌスまだまだハドリアヌス帝には頑張ってもらわねば
ああここだ
故障しているのは
何か詰まっているようですね
ところでルシウス殿
そなたはどうしてあんなに落ち込んでいたのだ
実は少し前に
妻を失いまして
友人に寝取られたのです
情けない話です
結婚して7年
私は毎日のように妻から子供をせがまれました
それがどんどん重圧になって…
でも今はもっと構ってやればよかったと後悔して…
おっおうっ…!
ルシウス殿!
ルシウス殿!
歌声
うわあああー!
リウィアあなたのせいよ
あんなに子供が欲しいって言ったのに
リウィア!
リウィア!リウィアー!
女性たちどうか子供ができますように
金精の神様~!
やや子をー!
老婆御神体が
現れよったぁ~
男たちほいサァほいサァ!
今年こそめんこいやや子をお授けください~
おねげえします金精様!
ほいサァほいサァ!
はっ…!
金精様じゃあ~!
女性たち金精様ぁ~!
♪~
うおおお!
ああああーっ!
ハァ…ハァ…
平たい顔の子供!
イテッ…檻の中に閉じ込められてるのか!
ああっ…
伊丹あの~今日はお見合いをしてくださっち
ありがとうございました
あの…
いがったら結婚さ前提に付き合ってくんねべか
ルシウスの叫び
真実ん?
伊丹え?
真実ん?
伊丹え?
ルシウスの叫び
真実んん?なしてこんなとこまで!
伊丹ああ~
伊丹あ…鍵!
伊丹おぉおぉおぉ~ハウス!ハウス!
早く出て早く出て!ほら
あ…タオルと着替え取ってくっから
待ってっせ待ってっせ
オメェも来ぉ
これは!
そうか平たい顔族はワニの養殖も行っていたのか!
もしかするとここにナイルをひもとくヒントが…
ラテン語
相変わらず気が利かない奴隷だ
ちっと!
ちっとお…下ろして…
名倉運命の赤い糸じゃあ!
♪~
あうっ…あイッタ~
うう…
何すんの!
なるほど!
管を張り巡らせて室温を上げることで
ナイルと同じ温度を保とうとしているんだな
これなら南国と同じ植物も育てられる
真実もしかして食べたことないの?
♪~
む!これは…
なんともまろやかな口当たり
ふわふわとして全く果汁の出ないこの食感
ねえ…あなた本当に古代ローマ人?
優しい風味食べれば食べるほど
滋養が染み込んでいくようなコクのある味わい
これはもしや皇帝がナイルで召し上がったという
あの果実ではないか?
この粒で
果実がなるというのか!
これがあれば皇帝も元気を取り戻せるはず
まいっか
この格好どうにかしよう
真実あーダメ!飲むもんじゃない
真実ジャジャーンうわおいしそう!
はい
ん~ふ~
ん~ああ~もお~
はい
むんんんーっ
真実あぁ!すごい!
ねぇねぇ見て見てすごい!
んん?あっ!
ラテン語
真実ちっと待ってって
ローマ帝国の未来を紡ぐ
貴重な果実を!
キキーッ
ラテン語
どこだ?
どこに行った
んん?
これは…野外風呂ではないか
はぁ…
壁に囲まれた人工浴場では
決して味わえない開放感だ
ん?
あった!
ああっ!
♪~
あれなくしてはローマに帰れぬ
ローマ帝国の存亡が
あの果実に懸かっているのだ!
ぬおおお…
うおおーっ!
アントニヌスルシウス殿!
ハァハァ…
アントニヌス大丈夫か!
ああ…果実が!ハッ…
ハー…はっ!
ハー…あった!
ハドリアヌスナイル風テルマエとは考えたものだな
これでいつでもアンティノーを思い出せる
しかもこの設備のおかげで
ワニまで生気を取り戻した
そしてこの果実
ナイルで味わったあの味そのものだ
礼を言うぞルシウス
ありがたきお言葉
表情が冴えないな
ハドリアヌス何かあったのか
陛下には真実を打ち明けます
実はこのナイルを再現した仕組みも
そしてその果実も
本当は平たい顔をした…
兵士陛下!
北方の蛮族による反乱が
現地では抑えられないほど勢力を増している模様です
よしすぐ出かける支度をしろ
兵士はっ!
♪~
真実ドナウ川の刻印…ってことは…
真実ローマは長い間
ドナウ川北岸を居住地としていた蛮族に
苦戦を強いられていた
兵士たちの雄叫び
真実その戦いは3年にも及んだ
セウェルス敵は海外からも志願兵を集めているようです
それに引き換え
我が軍の疲労はピークに達しております
ここまで苦しめられるとはな…
兵士大丈夫ですか!
使者ルシウスモデストゥス!
皇帝からの書簡を預かってまいった
ハドリアヌス親愛なるルシウスよ
突然このような手紙を受け取って
戸惑っていることであろう
私も年を取った
そろそろ後継者を考えねばならない
そこで
ケイオニウスを養子に取ろうと思う
ケイオニウス様を…
ハドリアヌスケイオニウスには
最初の事業として
民衆向けの大浴場を造らせようと思っている
その建造をそなたに任せたい
過去の皇帝のものを凌駕した
すばらしいテルマエを造ってもらいたい
そうすれば
ケイオニウスに対する民衆の支持も得られる
頼んだぞ
♪~
ケイオニウスそなたはローマいち美しい女性だ
女性ケイオニウス様ったらお上手です
ケイオニウス本心から申している
遅くなりましたケイオニウス様
ご苦労だった
そのお方は?
ケイオニウスそこで知り合ったんだ
気にする必要はない
ここに私のテルマエを造るそうだな
はい
ケイオニウス皇帝も困ったものだ
たかがテルマエの建設で民衆の心を掴もうなんて
お言葉ですが
テルマエはローマ人にとって欠かせないものです
風呂なんてどれも一緒だろう
どうせなら豪華絢爛なテルマエを頼む
あの…
もし私がテルマエ造りを辞退したら…
それは皇帝の意に背くことになる
反逆行為と見なされて極刑になりうる重罪だ
♪~
♪~
あのお方のために
テルマエを…
あなたは確かテルマエ技師の…
貴様のせいで私の仕事は激減した
何の話だ?
うるさい!
んむっ!やあっ!
ヴィルトゥスううっ
腰が!
うわあああーっ!
ハッ!
修造あいや目ぇ覚めだがよ
最上いがったなぃ
ずいぶん床が暖かいな
地熱か
あれ?腰が痛くない…
ハッ…
修造大丈夫かい?
ああっ!
一同はあー…ありゃ~
館野腕やられたみでぇだなぃ
オンドルは血行促進にはいいけんちょ…
この傷だったら
隣の炭酸水素塩泉がいいがもしんねなぃ
一同んだな行くで行くで
ここは?
す…すごい傷だ!
ローマでもこれだけの傷を負って動ける兵士はおらぬ
きっと百人隊長あたりの地位に違いない
ヤーサンはトラックにはねられっち大変だったんだ
オラもほーら
大工の現場で屋根から落っごっちまって
ここは負傷兵専用のテルマエか
前に入った時にはその開放的な様式に目を奪われて
気づかなかったが
先ほどの地熱やこの鉱泉には
傷や病を治す効力があるようだ
ほらほら温泉玉子だ食べっせ
食べっせ
一同ほらほら初めてがなぃ?
うまっ!
大西いやぁいい~なぃその顔
うめえ物には国境はねぇ!
んじゃったらドブロクもいってみっか?
酒か
修造グッといけグッといけ
毒だ毒を盛られた!
館野あ…
くさっでる
さすが百人隊長!
やはりただ者ではない玉子で油断させるとは
敵ながらあっぱれ!
ラテン語
ルシウスのうめき声
ラテン語
真実どうしたの?ちと!
ラテン語
真実毒!
ぐえっ…
あぁ?
ルシウス…
いかん
さっきの酒がいまごろまわってきた…
ハァ…
あっ…ケイオニウス様
やっと気づいたか
散々な目に遭ったようだな
面目ありません
ところであの女性は何者だ
真実ん~…ん…
んっ…
ここは…?
ローマだ
真実え?
♪~
♪~
ウソでしょ…?
ローマ人ではないのかふむ…
だが美しい
喜ぶがいい私の目にかなったぞ
ケイオニウス様!
この女連れていくぞ
え?ちょっと…放してください
やめてよちょっと放してください!
アントニヌスどうされました?
アントニヌス様
アントニヌスってあのアントニヌス?
ケイオニウス殿何をなさってるんですか
真実ケイオニウスってあのケイオニウス?
あなたには関係のないことだ
放してよ!
アントニヌス嫌がってるではありませんか
ケイオニウス何をする…
離せ
このままで済むと思うな
ありがとうございました
礼には…及ばぬ
ルシウス殿
ケイオニウス殿のために
テルマエを建設するというのは本当か
その件ですが
お断りしようと思っています
そなた自分が何を申しておるのか分かっておるのか
皇帝の頼みを断れば死罪だぞ
もちろん承知しております
真実ちょっと待ってよ本気で戦地へ行くつもり?
なんで断んなきゃいけないの?
納得できない仕事なんて誰だってあるよ
それでもみんな我慢してやってるの
私の国なんかそんなことばっかりだよ
だとしたら悲しい民族だな
私はテルマエ技師の誇りを持ってる
自分の意に反してまで風呂を造ることはできない
なに意地張ってんの殺されるんだよ!
離せ
離すわけないじゃん死んだらおしまいなんだよ
もっと自分大事にしなよ
自分を大事にしてるから行くんだ
己を殺してまで生きたくはない!
ルシウス!
♪~
♪~
♪~
議員皆の者!
パンノニア属州へ新たに赴任する者を発表する
パンノニア属州の総督として
この度アントニヌス議員が任命された
えっ…!
修造どごさ行っちまったんだべな~
館野うっ!くさっでるぷぇっ!
最上あいや!
真実ちゃんの…
岸本まさか溺れて…
修造あ!
真実真実!
真実真実!
真実真実!どこだ?
うわああー!
一同あああ~!
オヤジ!大丈夫がー?
オヤジィー!
修造深ぇぞ深ぇ~
一同の悲鳴
百人隊長敵は続々と援軍を増やしているいいか
この作戦を前線で戦っている部隊に伝令するんだ
兵士皇帝陛下ルシウス技師が参りました
ハドリアヌスどうしたのじゃ
そなたには
重要な仕事を任せたはずだ
実は
そのことでお話があって参りました
私には
ケイオニウス様のためにテルマエを造ることはできません
申し訳ございません!
“ケイオニウスを”
“皇帝とは認めない”
そう申しておるのか
ご無礼は重々承知いたしております
罰を受ける覚悟はできています
分かったもうよい
そなたには
救われた恩がある
陛下…
ハドリアヌスただし
二度と私の前に現れるな!
連れていけ
兵士来い!
♪~
♪~
暖かい…
♪~
すっぱい
あの鉱泉と同じだ
百人隊長まだおったか早く立ち去れ
ここで死にたいのか
行けほら行け邪魔だ
ドアの開く音
真実よかった~生きてて
んんっ…苦しい
ご…ごめん
私の留守中に何か変わったことはなかったか
そういえばアントニヌスが
パンノニア属州に行くことになったの
しかも5年
5年は長いな
やっぱり私のせいだよね
ケイオニウス様が裏で
手を引いていることは間違いないだろう
だが身分の高い者はいずれ属州へ派遣されるものだ
気にする必要はない
ちょっと待って
ねえ今何年?
135年だが
真実ハッ…
ってことは140年まで…
どうしよう歴史が変わっちゃう!
本当だとパンノニア属州へ行くのはケイオニウスなの
そこで疫病にかかって亡くなって
代わりにアントニヌスが皇帝になるそれが史実なの
アントニヌスが?
でもこのままだと皇帝になるのはケイオニウス
何を言ってるのかさっぱり分からん
ちゃんと聞いて
アントニヌスが後継者にならなきゃ
ハドリアヌスは神格化されないんだよ
どういうことだ
ハドリアヌスは元老院に嫌われてるでしょ
だから彼の神格化を反対するの
でもアントニヌスが説得して
ハドリアヌスの神格化を認めさせたの
そんな話信じられるわけがないだろう
それでも信じてもらうしかないの
神格化されなければ皇帝の業績は一切抹消される
それだけじゃない
ハドリアヌス帝は後世まで
愚かな皇帝という烙印を押されるんだよ
ケイオニウス様!
お伺いしたいことがございます
あなたが後継者になられたら
ハドリアヌス帝を神格化していただけますか?
皇帝は元老院と対立している
神格化は難しいかもしれんな
お前は私に何を望んでいるのだ
私のテルマエを造りたくないと申したそうだな
そんな私に何を願う
愚かな男だ
一時の感情で将来を棒に振るとは
今となってはそなたに才能があったか甚だ疑問だ
どんな手を使って名声を手に入れた?
ふん
とんだ食わせ者だったというわけか
雷鳴
♪~
♪~
♪~
真実ルシウス…
大丈夫?
ローマ人あのー…ルシウス技師ですよね
こんな所でお会いできるなんて!
あなたのテルマエは最高です
ビン詰めの牛の乳なんて病みつき…
やめろ!
私は
そなたたちが思ってるような男ではない
♪~
真実ちょっと待ってよ!
ねえ!ルシウス!
私は無能だ
私が皇帝にお仕えできる立場にあったのも
そなたたちのテルマエを模倣したからにすぎない
私はただ
技術を盗んだだけの男なんだ
真実本気で言ってんの?
じゃあ聞くけど
なんで何度も溺れたりしたの?
期待に応えようって無我夢中で考えてたからじゃないの?
あなたが悩んでもがいた末に
私たちの世界を見たんなら
それはあなた自身の手で導き出した答えなんだよ
あなたは無能なんかじゃない
何も恥じることなんてない!
アントニヌス様のパンノニア行きさえ阻止できれば
すべては元通りになるんだな
きっと
♪~
ルシウス殿一体どうしたというのだ
アントニヌス様大事なお話があります
ここの山を越えて我が軍は敵の背後から…
兵士何をする止まれ!
兵士貴様!
セウェルスルシウス!貴様何しに来た
ハドリアヌスルシウス私の言葉を忘れたか
申し訳ありませんしかし今日は
アントニヌス様からの伝令をお伝えに参りました
アントニヌスの?
アントニヌス様からここにテルマエを
設置してはいかがかという提案を受けました
戦場に…?
兵士は疲労困憊しております
この地には
人間の傷を治癒する効力を含んだ
鉱泉があるのです
セウェルスバカな!
風呂にそんな効果があるわけないだろう
本当です
兵士さえ回復すれば
ローマ軍の勝利も見えてまいりましょう
分かった
アントニヌスの提案を
採用しようではないか
♪~
では
早急に取りかかります
ハドリアヌスルシウス
そなたの考えではないのか
いえ
アントニヌス様のお考えです
そうか
♪~
真実本当にここに温泉造るつもり?
ああ
この戦に貢献できればアントニヌス様は支持されて
パンノニア行きも撤回できるはずだ
兵士たちも憔悴しきってる
やるしかない
♪~
兵士たちのうめき声
兵士うっ…あううっ…
真実はぁ…
こんな状態じゃ造れないよ
うなり声
父ちゃん!
修造あいやいやいやいやいや…
真実?
真実なしてここに?
修造分がんねえよぉ
オメェ溺れで目ぇ覚めだら
もう戦場の真っただ中でオメェこの有り様だぁ
だげんちょオメェ
生ぎででいがっだなし
父ちゃ~ん!
岸本いやぁ!そうとも限んねぞ
み~んな命落どして
ここがあの世っつうこともあっぺ
ばあちゃんはどごにいるんじゃあ
ばあ~ちゃん…
長老長老!
ここはローマ
紀元135年の古代ローマ
一同まさがぁ~
真実ホントだって!
修造だけんちょオメェあれ…
な…何してんだい?
温泉造ってんの
温泉?
な…なして?
ローマの危機救うため!
一同まさがぁ~
ホントだって!
無理に決まってっぺ
こっだらどこさに温泉造るっち
何年かがっど思ってんだい
けどやんなきゃいけねんだ
ここの鉱泉生かして湯治場造んねぇと
みんなの傷が治んねんだ!
修造傷?
兵士のうめき声や咳
修造クンクン…
修造あ…!
ほっだらオメェ
オンドル小屋造ったらいいんでねぇがぃ?
真実え…?
オンドルならほらほら!
小屋おっ建ででゴザ敷いだら出来っぺ
あいや~!
その手があった!
岸本小屋造ればいいってタテに並べ…
真実そうすっと下がすごく暖かいから休めんの
傷が治んだ
修造これ湯気湯気傷治る病気治る
えいっ!
イヨッ!
一同よいしょよいしょ…
それにしても
なぜ彼らは手伝っているんだ
自分の名誉にもならないことを…
平たい顔族の考えてることは分からん
岸本せーの!
一同よーいしょ!
彼らは常に行動を共にし
個人というものを犠牲にする
彼らには自分の名誉などよりも
優先すべきことがあるというのか
真実教授
最上え?
真実どうだい?大丈夫?
最上あぁーっ!
ほらあ!温泉だよー
真実温泉が出てるってこれ!
最上やった!はははぁーっ!ほら!
岸本まずは一棟!ご苦労さん
一同の歓声
真実出来たー!
戦いの雄叫び
兵士たちのうめき声
セウェルスここにきて反乱軍が勢いを増してきました
敵に盛られた毒が抜けずに
兵士たちが力を出しきれてないのかと
修造おーうこのオンドル小屋で休め
真実みんなここオンドルにこの中に…
あとは
あの者に
託すしかないということか…
真実長老!
♪~
♪~
セウェルス陛下!兵士たちが病から回復し
続々と戦地に戻っております!
負けねえよおっさん!
真実ちゃんと前見で
大西さあ出来たかな?
さあこの鉱泉を飲むんだ
ほら飲んでみろ
うまいもんだな
真実入浴の心得を絵で説明しようと思って
実はねえ漫画…
んー絵の仕事に就きたかったの
でも全然ダメで
それで諦めてお見合いしようとしたら
そこにあなたが現れて…
私も
まだまだもがいてみるよ
ありがとう
出会えて
本当に…
…って聞いてねぇのがよ!
フーッ
あ…
うん?
♪~
♪~
兵士ローマ帝国…
全員万歳!
修造似合ってるよかったぁ
万歳!
修造温泉万歳!
兵士たちの歓声
まさか…風呂で傷が治るなんてな
ああこの玉子も絶品で
元気を取り戻したよ
一同の歓声
これでやっと
妻の待つローマに帰れる
真実あ…!
北極星…
あれは道を示す星だ
旅人が道に迷った時
あの星が道を教えてくれる
真実そっかあ…
2000年前からあるんだ
あは…そうだよね
ハドリアヌス帝の偉業も残っているのか?
もちろん
世界中が知ってるよ
そうか…
きっとあなたが造ったテルマエも残ってる
私はハドリアヌス帝の名誉が守られるだけで十分だ
修造たちうわ!いででで…
煙が染みっちゃ~涙がぁ~
そなたには感謝せねばならんな
え…?
そなたのおかげで私は自分を取り戻せた
ちょっとやめてよ
そなたの言葉を借りれば
“私もまだまだもがいてみるよ”
聞いてたんだ…
ありがとう
出会えて本当によかった
ずるいよ
こんな時に初めて笑うなんて
反則だよ
真実何これ…
そうか
そういうことか
私がそなたの国からローマに戻る時
必ず涙を流していた
はっ…
ってことは帰っちゃうってこと?
そっか…
♪~
また会えるかな
きっと会える
ローマの道は
すべてに通じているのだから
うん
♪~
♪~
♪~
修造おいここどこじゃい?
修造よかったなぃ~
岸本懐かしいなぃ
戸が開く音
由美何やってんだいそんなとこでぇ!
まぁたバカなことやってんのがよ?
ほれさっさと上がっせ!
修造たちはーい…
へっへへへへ…
ハハハハハ…
ハドリアヌス我がローマ軍は
見事に反乱を鎮圧することができた
歓声
この勝因は
皆の働きにあった!
歓声
中でも
戦場にテルマエを造った
アントニヌスを称えたい
前へ
そなたのすばらしい働きに感謝する
望み通り
パンノニア属州へは別の者に向かわせる
そなたはローマに留まるがよい
ありがたきお言葉
ハドリアヌスそしてもう一人
そのテルマエを造った人間を
皆に称えてもらいたい
ルシウス
モデストゥス!
これへ!
♪~
♪~
♪~
私が
そなたのウソを見抜けぬと思ったか
大儀であった!
私の力ではありません
♪~
皆の代わりとして
ありがたく頂戴いたします!
拍手と歓声
ルシウス!
おめでとうルシウス!
♪~
♪~
♪~
♪~
編集部女性野尻さんこんなんでどうですか?
野尻あちょっと左少し上げて
女性はい
野尻はーいいいよ
また会えるよね
水しぶきの音
男の声ハァ…ハァ…ぐっ…
ぐっ…ハァ…
あ!
ここは!
♪~
♪~

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