「うぐいすと鷹」
うぐいすが高い木にとまって、いつものように鳴いていました。
それを見つけたタカはまいおりてきて、うぐいすを捕まえてしまいました。
死が迫った、うぐいすはタカにこのようにたのみました。
「私は小さな鳥です。それにおいしくもなんともありません。もっと大きな、おいしい鳥を見つけてさしあげますから、どうか、私を見逃してください」。
しかし、タカはうぐいすを放しませんでした。
「今、手にしているえものを放して、すがたもかたちも見えないものを追うとしたら、自分は愚か者になる。」

大きな望みを抱いて、手にしているものを失う愚か者・・のお話です。
うぐいすとタカは、紀元前7百年ころに書かれた詩の中に出てくるお話です。
タカは神ゼウスの聖なる鳥で、とても賢い者の象徴とされています。
タカは、そうなのですが、人間はどうなのか、(きっと、人間ならば、もって大きな欲のために、手にしている大切なものまで放してしまうだろうよ)という逆説が込められています。