淫蕩な昼
~アネ・オトウト~


by 大崎瑞香





 うだるような暑さに、志貴は思わず息を吐いた。

 まるで世界がゆだっているかのようだった。仮借ない陽光が全身を容赦なく焼き尽くそうとしている。
 目の前に広がる蒼天。そして紺碧の海に白い砂浜。体をそっとくすぐる潮風が一服の清涼剤だ。
 こんな美しい光景が目の前に広がっているのに、とあるものから志貴は目を反らすことができなかった。
 健康的に焼けた肌を晒して、志貴の横でうつぶせに寝ている一子の肢体に、目が奪われていた。

 なじめるようでなじめなかった有間家の雰囲気から逃れるために有彦のところへ泊まり込む必要なんて、もう必要ない。遠野家での騒がしい日々は、あらためて家族というものを教えてくれたのだと、志貴はしみじみ思った。
 しかし有彦と一子は、別の意味でたしかに“家族”だった。

 有間家と、遠野家と、そして乾家。もしかしたら俺は幸せ者なのかも知れない、とも思った。家族を、温かい家庭が欲しくて泣いている人もいるというのに、自分には3つも家族があるのだから。

「――――ん?」

 赤毛のお姉さんはこちらを怪訝そうに見つめた。

「どうした、有間?」
「いえ、なんでもありません」

 まさか家族について考えていたなんて、志貴は言えなかった。よくよく考えてみれば乾家には両親がいなくて、姉弟だけで暮らしている。そこにはみ出し者の志貴が加わって三人だけ。子供だけの聖域。大人にもなりきれず、かといって子供に戻ることが出来ない三人だけの楽園だった。

 そういうこともあって、志貴は乾家のヴァカンスに一緒にきていた。というより、一子の、こないか? の一言にはせ参じてしまったのは条件反射というべきなのだろうか?

 志貴からすれば、遠野家が実家で、有間家が仮初めの家ならば、乾家は田舎だった。なんの意味もなくふらりと立ち寄って、懐かしい顔ぶれととりとめもなく最近の出来事を語り合い、笑い合う場所であって、ただそこに行くだけで他には何にもないのに、なぜかワクワクしてしまう。そんな心の拠り所といえた。

 海か山で少し揉めたけど、一子の『夏はやっぱり海だろ』の一言で決まった。そうして一子さんの乱暴に運転する車に乗ってここまでやってきた。そして甲羅干しをしている。ちなみに有彦は、『さらば友よ。男、有彦は色恋に生きるのだ』、といってすぐに消えてしまった。いつものことなので、志貴も一子も気にも留めていない。有彦は旅が好きだから、置いて帰っても戻ってこれるから、イザとなれば見捨てて帰るつもりだった。ちなみにそちらの方が有彦としてもいい場合が時たまある。

 有彦の場合はそういう関係として――――イチゴさんとはどうなんだろう?

 ふと志貴は疑問に思った。有彦の場合は悪縁のバカ友達。親友という言葉はつかいたくないが、イザというときは互いのために力を貸し合う、そんな関係。まぁ兄弟みたいものであった。それに対してイチゴさんは――。
 ぐうたらで。
 怠け者で。
 多少、気まぐれで。
 気分屋で。
 でも気軽で、身軽で。
 本気で怒り、本気で笑ってくれる。
 志貴のことを有間と呼ぶ。
 姉?
 それとも――。

 そう思いながら志貴が横を見ると、そこで背中を焼いている一子のしなやかな肢体から目を離せなくなってしまったのだ。

 しなやかな肉体がレジャーシートの上に伸びきっている。背中の肩胛骨のくぼみがなんだかエロティックだった。海で泳ぐのは邪魔だとトレードマークであるポニーテールをほどくと、いつもとは違う綺麗な女性の貌をまざまざとみせつけられた思いだった。
 髪は肩胛骨あたりまで伸びている。その朱い髪はずっとゴムで縛られていたため、カールがかかっているかのよう。それに湿り気を帯びた潮風に濡れてしっとりとしていて、艶めかしかった。
 着ている水着はホルダーネックのワンピース型で、背中は大胆なまでにあいている。オレンジ地にホワイトのアクセントが眩しい。
 でも表情はいつもの一子だった。口にはトレードマークのタバコ。気持ちよさそうに目を閉じてうっとりしている。

 そんな一子は見つめていた。はりがありそうな乳房がレジャーシートの下でつぶされている。そのたわみ具合が青少年の青臭い劣情をかきたてる。そしてぷりっとしたお尻の丸みから脚への美線がたまらない。

 芋洗いの状況なのだが、志貴にはまるで一子さんと自分しかいないように思えてしまう。

「――有間」
「なんです?」

 突然の呼びかけに志貴は慌てながらも応える。でもしっかりと視線はそのまぁるいお尻にへばりついたまま。

「これを塗ってくれ」

とビールの横にあった瓶を手渡される。サンオイルだった。

「ムラができたらヤだから、な」

 その瓶をとると、ふと悪戯を思いつく。我ながら、ヤバいかな、と思うけど、一子さんならきっと許してくれると、半ば甘い期待をもった。

 まず肢体の上にまたがる。なにも気づいていない一子の背中の上で、ビンを傾ける。つっーとオイルが零れて、したたり落ちていく。

 オイルが触れた途端、一子はびくんと体を震わせた。

「……有間?」
「塗りムラができないように、まずはたっぷりと」

 怪訝そうな彼女に対して志貴はしれっと答えた。
 そして次に別の所にも垂らす。ちょっとずつ、とろりとしたオイルをこぼしていく。火照った躰に冷たいオイルがかかるたびに、一子の体が動く。
 志貴は笑いを堪えながら、両手でしなやかな曲線でできたその背中にふれた。

 ふれた途端、一子は深く溜め息をついた。ぬるりとした冷たいオイルと火照ったすべすべな肌が心地よい。それを塗り込んでいく。

「……有間……」

 咎めるような、でもいつもとは違う声。

「――ちゃんと塗っていますよ」

 言い訳めいた言葉を口にしながら、志貴は手を動かす。それは塗り込むというより、その美肌を揉むように、愛撫するように、優しく、やらしく動かしていた。やわやわと動かすたびに、一子は溜め息を吐く。その小さな声はどこか切なそうで、途切れ途切れだった。

 心地よいと志貴は思った。こんなにも柔らかいんだとも思った。背筋を背骨にそっとつつつと撫でる。一子の肢体がくすぐったいのかくねる。そこを指先だけできゅきゅと塗り込む。油膜で直接ふれられるわけではない。なのに、体の熱が伝わってくるようだった。
 そしてぐいぐいと揉む。すでに塗り込むではなく、愛撫。背筋をそっとなで、指先で擽る。そのたびに一子は甘くわななく。

 オイルのぬらぬらした感触がやらしかった。蕩けるような肌がぬもりをもっていた。しかもオイルでてらてらと光っている。いやらしく男をさそう女の媚肉のように、誘惑していた。

 首筋もたっぷりと塗り込む。首筋をそろりそろりと撫でると彼女はいやいやする。しかしその薄紅色の唇からもれるのは悩ましい吐息で、それはけっして拒否の仕草ではなく。
 その艶めかしい女の吐息が志貴の頭に響く。甘い吐息が志貴の胸をこんなにもざわめかせる。ただ、その胸のざわめきに従って、塗り込む。
 手にたっぷりとオイルをとって、塗り込む。ただの悪戯だったはずのに、なのに志貴の手は止められない。
 目の前で躰を委ねる女のとろけるほど柔らかい肢体が、志貴の頭を胡乱にさせ、思考を奪い、指使いをゆっくとしたものにさせていく。
 首を撫で、日にやけない影の部分にも塗り込む。指先でなで上げ愛撫する。

  どこまでやっていいのだろうか?

 志貴はそんなバカなことを考える。こんな人がいる砂浜でのちょっとした大人の女性への軽いイタズラ。
 ――のはずだった。はず、なのに。

 思考は逡巡する。しかしその指先と手のひらはオイルを塗り込む。この瑞々しい肢体をやらしく、愛撫する。

 どうして一子さんはやめさせないんだろう?
 どうしてこのままさせておくのだろう?
 わからない。

 ただ吸い付く肌が、このしなやかな曲線美が、震える吐息が、甘い蜜の匂いが、とろけるほど芳醇な肢体が、惑わせる。
 溺れるように、ズフズブと引きずり込まれるように、呑み込まれてしまう。
 志貴は躰の奥から熱い息を吐いて、この獣欲を少しでも軽くしようとする。しかしそれさえもままならない。吐くよりも、動くよりも、早く、強く、されらが躰に満ちようとしていく。

 止めない。
 やめない。
 ただ一子は――――黙しているだけ。
 そのに肉付きのよいやらしい躰をさらけ出しているだけ。

 こんなに空は晴れて、こんなにも気持ちいい風が吹いているというのに。
 ここだけは、まったく別の空間だった。
 やらしい肉欲に満ちた、淫靡な空間だった。

「――ムラはイヤなんですよね」

 自分でもうわずった声だと思った。喉がいやに乾いていた。なのに指先は正確に動く。水着のホルダーネックに手をかけると、素早く外した。そしてその下に隠れていた肌にもしっかりと塗り込んでいく。

「……ああ、ムラはイヤだから、きちんと、な……」

 鼻にかかった甘い声。
 一子の許可が下りた。許可が下りてしまったという冷たい恐怖感が、なぜか志貴の心を捕らえる。どこまていっていいのかわからない不安感とこれからの期待感がないまぜになって、志貴の心をどんどん胡乱させていく。

 まるで甘い蜜に使っているかのようだった。熱く粘ついたそれに頭の先までつかっていく、身をよじるような強い衝動がいくども背筋を駆け上っていく。

 恐る恐る一子の顔を覗き込むと、その貌は惚けていた。目はうっすらとあけ、うっすらと微笑んでいる。怒ってはいなかった。そのことにほっとした途端、突然、全身を身震いさせるほどの淫らな情欲が駆け抜けた。

 その一子の貌はオンナそのものだった。頬はかすかに赤くそまり、目は潤み、喘ぐ一歩手前の掠れた声で、体をゆすり、志貴を牡として誘っていた。
 舌がちろりと貌をみせて、そのルージュが塗られた唇を舐め上げる。蠱惑的に、誘惑的に、期待感をもって――。

 心が縛り付けられる。
 なのに、志貴の手は勝手に動きだしていた。オイルで濡れた手で、その柔肉を揉み始めた。
 ゆっくりと伸ばし、塗りそこねがないように丹念に、丹念に塗る。耳をなで、うなじをくすぐり、顎のラインをそっと撫でる。
 なのに、文句はない。ただ一子は黙ってるだけ。
 そろりと腕が動く。ホルダーネックが外れたから、当然水着ははだけていた。そこへ志貴は指先を滑り込ませせた。

 その柔らかさに驚いてしまった。それほど柔らかい乳房だった。
 張りと弾力だけでできているかのよう。その量感はたまらないほど。水着の間に指を強引に入れていく。
 そして塗り込む。ヌルヌルとしたオイルをその柔肌に塗り込んでいく。
 組み敷かれた肢体を艶めかしくくねらせ、甘くねっとりした時を吐く。

 志貴はゾクゾクした。今こんな芋洗いの状態なのに、誰か見られるかも知れないとう状況だというのに、一子の瑞々しい肢体は雄を求めてさらにやらしくよじらせていた。

 もうこれ以上は、やってはいけないという不安感と恐怖心。それらがわき上がってきて、心を黒く冷たく塗りつぶしていく。緊張のあまりか指先が冷たく、感覚がない。――――なのに止まらない。この肢体を、このオンナを、この誘う牝を弄るのをやめられない。やめようもない。この黒く冷たいものよりも、熱くて堪らないケダモノじみた昂ぶりが志貴を支配していた。

 一子さんなのに、という思いが志貴の頭の中でぐるぐるまわる。なのに、その悩ましげな肢体が、柔らかい乳房が、はりのある肌が、ぬめるオイルが、胡乱にさせていく。させていってしまう。
 心を鷲掴みにする恐怖心と不安感と――――欲情しきったやらしい劣情。
 息をするのさえ辛いほど、こらえきれない衝動。

 すでにオイルを塗るという行為ではなく、乳房を揉むというやらしい性的愛撫。気づかれないように、そっとそっと揉む。激しくない。逆にいえばいつもより優しく気づかれないようにそっと。なのに、こんなにもやらしい。
 一子の貌を盗み見ると、とろけていた。快楽を堪え、顔を苦悶と快楽で歪めながら、唇を震わせていた。声を抑えていたか、漏れる吐息は悩ましく、粘ついていて、志貴に絡みついてくるかのよう。

 より大胆に、より淫らに指先を動かす。そのまま胸の先のふくらみを摘んだ。潰されていてもなお弾力のある柔肉の中にあっても埋没することなく、それはしっかりと尖っていた。

 感じているんだ、とわかると、さらに大胆になっていく。
 それをつまみ、ちょっとひっぱる。そしてくすぐり、柔肉を乱暴に鷲掴みにする。そのたびに一子はぐもった牝獣のやらしいうなり声をあげた。
 堪えているけど、もれる牝の喘ぎに、志貴はゾクゾクした。
 快楽を耐えようと顔を歪め必死に堪えている一子の姿は色っぽく、扇情的すぎた。いつまわりに気づかれるかという不安とそれ以上にドキドキさせる興奮。
 肌は熱くとろけているかのようで、一子の躰はぐにゃぐにゃだった。

 志貴は自分のいきりたつものを人目から隠すように、そして一子には教えるように、その躰に押しつける。まるで男の劣情が熱すぎるといわんばかりに、彼女は躰を震わせた。
 それを少しこすりつける。じんわりとした感覚。海パンごしなのに、気持ちいい。その焼けた肌にしごかれているかのよう。

(こんなことをしていいのか?)

 理性が囁く。でもその声はあまりにも小さく、志貴の頭に響かない。ただこの青臭いほど強烈な飢えが、躰を、心を蝕む。この柔らかでしなやかに牝肉を貪りたいと、牡が叫び、喚いていた。

(姉なのに?)

 指先ひとつでわななき、震える甘えた声を漏らす女が目の前にいた。
 オイルで濡れ、吸いつくようなしっとりとした肌が心地よく、志貴を蝕む。
 甘い癖に爛れたような、心ざわめかせる牝の臭いが鼻につく。

(一子さんは俺のことを、どう思っているんだ?)

 気になる。彼女にとって俺はただの弟なのか。それとも異性なのか。きちんと男として見てもらえているのか。こんな性的な悪戯であったとしても、弟のバカバカしいコミュニケーションととられているのだろうか?
 わからない。
 ワカらない。
 ワカラナイ。

 このやらしい悪戯にも文句はいわない。いやすでに悪戯というレベルを超えている。愛撫だった。なのに何も言わず、目元に朱を散らせながら、志貴のなすがまま。

 志貴にとって一子は一番身近で、もっとも遠い異性だった。あまりにも近くで気づくことができず、あんまりにも遠くて感じることさえできない――――そんな女性。

 一子が怒らない。ヤメさせない。
 ただそのことが志貴に止めるタイミングを完全に失わせた。
 軽い気持ちで始めたのに、もう引き返せない。

 ただこの甘い果実のような肉を堪能したかった。ただ志貴は、一子の乱れた肢体を見続けた。

 一子は押しつけられると、あまりの熱さに躰が震えてしまった。
 強く固く、そして熱い男のものが背中にあたっている。それを味わうようにつよくこすりつけられている。もう入れられてしまったかのよう。脊髄を直に嬲られる感覚に、一子は眩暈さえ覚えた。
 それに志貴の指先が、一子を苛む。すでに尖り興奮しきった乳首をいたぶるのだ。

 男の指だった。
 知らないうちにいつの間にか男の指になっていた。
 あんなに小さかったのに、あんなに可愛かったのに。
 いつの間にか、男に、牡になっていた。

 そう考えるだけで、一子の頭が痺れてしまう。

 弟のように扱ってきた男に、こうして躰を弄られるという愉悦。
 弟だからと思えば思うほど、痺れていく。力が抜けてしまう。あのぼんやりしているくせに気が利いて、でもちっとも人の気持ちが分からなくて、でもイザという時だけ、そのときだけ鋭い――――弟。

 オイルをかけてきたときは、ただの悪戯だったはず。
 どこから狂ってしまったのだろうか?
 どこから――――?

 一子にはわからない。
 最初から狂ってしまったのかも知れない。
 オイルを塗ることを頼んだ時点から、そう期待してなかったのか? と思う。

 自分から誘ったのだろうか?
 やらしくねだってしまったのだろうか?

 弟と思っている、この男を。
 いつの間にか大きくなってしまった男を。
 あんな熱い目で見る異性を。

 そう考えれば考えるほど、どんどん熱いものがこみ上げてくる。
 押しつけられた逸物の熱が素肌越しに乗り移ったかのよう。熱くてたまらなくて、頭を真っ白にさせてしまうやらしいものがこみ上げてくる。

 こんなにも逞しいのだとそれが叫んでいる。
 もう男なのだと、もう牝を喰らうことができるのだと、犯すことができるのだと、荒々しく告げていた。

 それを感じるたびに腰奥から、押しつけられた背中から、熱いものがわき上がってきて、一子の理性を蕩けさせてしまう。
 志貴の匂いが、味が鼻の奥で感じられる。ねっとりとした志貴の味が感じられて、乱れてしまう。
 まだ入れられてもいないのに、それよりもまだいじられてもいないのに、こんなにもはしたなく、こんなにもやらしく感じてしまう。
 もし挿入されたら、どんなことになるのかと思うと、弟と思っている男に犯されるという背徳的な愉悦に一子は、ああ、とうめき声をあげた。

 ただサンオイルで揉まれているだけなのに、牝が疼いて仕方がない。火照った躰の疼きが牡を求めて暴れていた。弟と思っているはずの男に、この乾ききった牝を、熱い牡でみっちりと埋めて欲しかった。牡の熱い汁でいっぱいにして欲しかった。欲しくて――――たまらない。

「……有間」

 一子はとろんと淫悦に惚けた顔を向けると、志貴の手をとった。そしてそれをそっとおしりにあてる。志貴の手を水着の隙間に押し込むかのようにくにくにと動かした。

 一瞬、なんて恥ずかしいことを、と思うが、次の刹那には、それは淫欲の波間に消え去り――――牡を求めてやまない牝の喘ぎだけが口から漏れていた。

「――こちらも……ムラがないように……」

 誘うように、淫らに、だたやらしく――――。

 その熱い吐息に志貴は犯されていく。志貴の指が一子のおしりにはりついた。
 ぞくりとする快楽が一子の牝を疼かせる。寒気にも似たそれは、躰をこんなにも熱くさせていく。

 志貴は躊躇した。
 姉のはずの、一子に、これ以上やってはいけない。たとえこんな瞳で見られても、甘く囁かれても、やってはいけない。
 いけない――はずなのに。

 惨いほど狂おしい感情が胸の奥で荒れ狂い、心が蝕まれていく。
 一子という姉。
 姉であるはずの女性を、啼かせている。
 男として、牡として、目の前の女を、牝を。
 そう思うと性欲に心が鷲掴みにされる。
 躰が幾度も、この背徳な悦びに震えてしまう。
 ぶっきらぼうで、口がわるくて、ぞんざいな一子から見たこともないオンナの貌を引き出しているという、深く昏く、男としてたまらない愉悦。

 ――堪えきれなかった。

 志貴は生唾を呑み込みながら、そろりそろりと水着の中に手を入れていく。むっちりとしたおしりの肉をかきわけていく。
 そのたびに鼻にぬけたようなやらしい牝の声があがる。
 むあっとしたオンナの匂いがした。爛熟しきったやらしい匂い。
 まずそっと肛門をくすぐる。少しぷっくらとした肛門をかるくこすって、会陰へとすべらせ、一瞬だけ逡巡したあと、そして淫らに咲きほこる淫花へと指を潜らせた。

 そこは熱かった。蜜がしとどに溢れ、ぐちゃぐちゃだった。熟れて爛れきる寸前の果実。やわらかい媚肉が淫蜜にぬれたまま、指先に吸い付いてくる。

「……すごい……イチゴさん……」

 そんなことを言うなといわんばかりにいやいやと首をふる。そんな頼りない姿をみて、志貴はさらに玩ぶ。
 肉襞をかきわけ、蜜壺をかき乱す。ぐちゅぐちゅとやらしい水音が聞こえるぐらい、激しく動かした。

「……ほら……こんなに……」

 一子の顔は恍惚に惚けていて、なんともいえないオンナの貌だった。顔は赤らめ、色で緩み濡れきった瞳で志貴を切なそうに見つめる。

 照りつけるきつい日差しよりも、熱い肢体が手のひらの中にあった。熱く火照りきった肢体は、志貴の手が動くたびに悶える。
 指が淫芯をくすぐるたびに、菊座を嬲るたびに、陰唇を撫でるたびに、やらしい粘膜の音と淫らな水音と喘ぎがうまれた。

 志貴の理性もこの熱にとろけていた。この熱くしなやかな肢体がとろかしていくのだ。張りがあるくせに柔らかい媚肉は、志貴の心を掴んで離さない。  志貴が揉み、いじり、なぶっているというのに、志貴の心がその柔らかさに、その熱さに、その滑らかさに、嬲られてしまう。

 苦しいほどの熱が腰奥からわき上がってきて、志貴の肉茎をどんどん強張らせていく。いつもよりも大きくなっていくようさえ感じられる。
 それをこすりつける。この熱さかの逃れるように、そのオイルで濡れて艶めかしく火照った牝躰にこすりつけるだけで、ズキンとした快楽が走り抜ける。
 だからもっとこの肉欲を貪りたくて、腰をこすりつけ、指先でいじりまわす。
 熱い粘膜が絡みつき、指さえ呑み込もうかと吸い付いてくる。そのあまりにも淫らな感覚に肌の下がざわついてしまう。

 一子の躰はもう匂うような朱色に染まっており、それが汗とオイルにまみれてヌラヌラと光っていた。

 手を抜き、オイルをおしりにかける。水着の上からかけて、べとべとにする。肌にぴったりと貼りつき、その水蜜桃の形を顕わにする。
 あえて今度はその上からゆっくりと手のひら全体をつかって揉む。
 どこまでも柔らかい感触に、そのくせ吸い付く肌触りに、そしてぬめるオイルの感覚に、手が熔けていきそう。
 おしり全体がまるで真っ赤に充血した媚肉になったよう。おしりを媚びるようにくねらせながら、一子はただ、有間ぁと息も絶え絶えにつぶやくだけ。  そして太股をなで上げ、そのむっちりとした肉付きを堪能する。

 一子はたまらなかった。
 今まで淫芯が弄られ甘い快楽がかけぬけていたのに、志貴はやめてしまった。
 嬲るかのようにおしりを撫で回す。しかし感じ始めた一子はそれだけでも堪えきれない甘い疼きとなって脳髄を痺れさせる。
 ぬるぬるとしたオイルとともに熱い指先でゆっくりと弄られているのだ。そのぬめりと固い指先が心地よい。

 しかしいったん火がついた躰はそんなものでは埋められない。一度いじられたのに、そこが放っていられると、それだけで気が狂いそうになる。官能の針が脳に突き刺さるような感覚。脳髄がザラついたものでなであげられ気持ちいいくせにモノ足りず、疼いてしまう。喘いでしまう。

 躰が飢え始めた。牝が貪欲に刺激を、牡を求めてわななき始める。  媚肉が疼いて仕方がない。自分でも菊座と肉襞がひくついているのがわかるぐらい、疼いていた。
 濡れているのがわかる。愛液がどんどん溢れてくる。やらしい汁が志貴を誘うように、零れしたたり落ちるのだ。そこを思う存分かき乱して欲しかった。挿入されて、乱暴なまでぐちゃぐちゃにしてほしかった。何も考えられなくなるぐらい、貫いて欲しかった。もうすでに膨らんでいるだろう陰核を弄って欲しかった。

 少しでも快楽を求めて内股を擦り合わせてしまう。それがさらに志貴を狂わせるような痴態であるとわかっていても、淫欲の疼きに一子は耐えきれなかった。

 志貴に見せつけるかのように大きく腰を揺する。はしたなく男を求めるかのように、おしりをくねらせる。
 まわりの目なんてどうでもよかった。そのこすりつけられている、脈打つ熱いもので貫いて欲しかった。空っぽで飢えているオンナをみっちりといっぱいに埋め込んで欲しかった。やらしくて、ひくついて、しゃくりあげる熱いものでいっぱいにして欲しかった。

「……有間ぁ」

 そう甘く誘っても、志貴は薄く嗤うだけ。いたぶる牡の貌で、牝を嬲るのをやめない。砂浜で、人目のあるところでやらしくおしりをゆすってねだっても、志貴はただおしりをこね回し、いじってはくれない。
 姉は弟に哀願した。

「……弄って……」

 やらしいとろけた声に志貴の股間はズキンと反応する。姉だと感じていた一子による嘆願。その顔はすでに快楽に歪み、淫楽に飢えていた。

 うるんだ涙目で、切なそうに、唇をひくつかせながら、姉が哀願しているのだ。志貴の背筋をゾクゾクするものが幾度も駆け抜ける。

 でも志貴はやめない。さらに虐める。

「……どうして欲しい?」

 耳元で囁く。ついでに耳たぶを少し噛んだ。っあ、と呻きながら、掠れた声で一子は、牝の声を出した。

「わたしのあそこを……有間ぁ…………頼むぅ……」

 志貴ににこりと微笑むと、手にオイルをたっぷりとつけた。そして水着の隙間に手をいれる。
 躰全体で一子を隠すように、志貴は覆い被さってくる。それだけで一子の躰は震えてしまう。やらしいオンナの匂いが志貴の鼻についた。爛れきった淫らな花弁が放つ、牝の臭い。
 その肩胛骨に口づけし、うなじをペロリと舐めあげた。一子は、こみあげてくるやらしく濡れた情を必死に堪え、貌を歪め、ただ疼きとともに躰を震わせた。

ろりそろりと指がおしりを這ってくる感触に、一子はただ打ち震えた。きたる快楽を思い浮かべて、躰がよじれてしまう。
 しかし志貴の指はじわりじわりとすすむだけで、一向に進まない。おしりの柔肉を楽しむように丹念に這いまわる。そのもっちりとしたおしりを丹念に味わう。
 じりじりと焦げ付くような痛みにも似た焦燥感が一子の躰を駆け抜ける。
 そうしてようやく陰肛に辿り着くと、擽った。

「……有間ぁ……」

 切なすぎて、哀願する。しかし志貴は覆い被さったまま、耳元で低く囁く。低い声が子宮を疼かせた。

「……ちゃんと……いじっているよ……」

 つんとおしりの穴をつついた。

「……ち……違う……そこじゃなっ……つっ!」

 最後まで姉に言わせない。弟の指は丹念に菊座を嬲った。指の腹でこすりつけ、その固く閉じた括約筋を柔らかくほぐしはじめる。

「……ちゃんと……弄っているから……さ……」

 志貴は耳元で囁きながら、その指の動きをやめない。その汚い穴を丹念にいじりまわす。そのたびになんともいえないムズ痒いような疼きが発生する。それが尾てい骨から駆け抜けて、一子の躰を火照らせていく。

「………っ……くはぁっ!」

 そして片方の手がゆっくりと下におりて、媚肉に触れた。
 甘美な電流に一子は呻いてしまう。
 お尻の穴をいじられて、媚肉を弄られて、どうしても声が抑えられない。

「……喘ぎ声が漏れているけど……いいの?」

 志貴のからかうような声。とたん、指がはげしく動きだす。
 おしりの穴がほじられていった。固く閉ざされているはずのそこを男のごつごつした指が入り込んでくる。
 陰唇をかきわけて、指が潜り込んでくる。ざらついているところを擦り、肉襦袢の所をなで上げる。
 それだけで、一子の躰はよじれてしまう。のけ反ってしまうほどの熱い波が幾度も押し寄せてくる。熱い愛液が志貴の指が出入りするたびにやらしい水音をたててこぼれおち、内股を濡らしていく。

 指が激しく出入りする。乱暴に、強くかき乱される。胎内がぐちゃぐちゃにされるという愉悦に、一子はただ啼くしかなかった。
 乱暴に扱われているというのに、おしりの穴なんていう汚いところを弄られているというのに、躰の中がどんどんとろけていってしまう。

 力が入らない。なのにあそこがきゅっと締めようとしていくのがわかる。入っている男の指を離さないように勝手に締め上げてしまう。そんな器官でないはずの肛門でさえ、指に噛みついていた。吸い付き、もっととねだるかのように、ねぶるかのように、指にまとわりついていた。
 それがたまらなく気持ちいい。躰がどんどんとろけていってしまっているのに、そこから熱い波がおしよせてきて、躰を震わせていく。

 まるで躰の中がすべて淫水になってしまったかのよう。ややらしい牝の水となってしまって、ただ快楽しか感じられなくなっていく。
 なのに陰肛と淫裂の熱い感覚だけがいやにはっきりと感じられる。まるで腰から下がそれだけになってしまったかのよう。
 どろどろに熔けた熱い塊が押し寄せてくる。なのにそこだけがきゅっと締まっていく。

 指が入り込む。肉を掻き分けて入り込んでいる。そして疼く牝肉をえぐったかと思うと一気に引き抜かれる。まるでそのまま内蔵まで抜かれていくような解放感。頭の芯まで痺れてしまう。

 赤い髪を振り乱しながら、一子はこみ上げてくる肉の悦びから逃れようとする。なのにそれは逃がしてくれない。志貴の指が的確に一子の官能をかきたてていく。

 熱い、どこまでも熱いものが一子を痛めつける。なぶっていく。やらしい牝だけにしてしまう。
 ここが砂浜で、人目があることさえ関係ない。もし見られているのならばと思うとゾクゾクした。
 こんなにやらしい貌をしているのを、淫らに喘いでいるのを見られると思うだけで、堪えきれない。

「……すごくやらしい貌をしてるよ……一子さん」
「……あ…………有間ぁ……」

 志貴の指はとまらない。さらにその媚肉を、一子の痴態を貪るかのようにやらしく動く。中でぐるりとまわり、突っ込み、こすり、弄られるだけで、勝手に反応してしまう。
 堪えきれない甘美な陶酔感が、一子の頭を真っ白にしていく。

 ぐちゅぐちゅと愛液と腸液の音。
 快楽にむせび、わななく肢体。
 甘く惚けたオンナの貌。
 吸い付く柔肉。
 爛れた牝の臭い。
 掠れた喘ぎ。

 ねじれていく。
 ねじれていってしまう。
 どろどろになったものが溢れてきてしまう。
 やらしいものでいっぱいになっていく。
 熱く、強くそれがこみあげてくる。

 頭が白く弾ける。
 熱く、白く弾けて、意識が一瞬途切れる。
 弟のような志貴にこの躰を玩ばれているという愉悦。
 たまらない。
 そう思えば思うほど、またくる。
 熱い波が。

 押し寄せて、すりつぶされていってしまう。
 犯されてしまう。
 背中におしつけられた熱い男の劣情が。
 淫穴をうごめく指が。
 まとわりつくぬるりとしたオイルが。
 熱い疼きを伴ってくる。

 たまらない悦楽とともに、駆け上ってきて。
 脳髄をかき乱す。
 まるで脳までもが粘膜になったかのよう。
 爛れたかのように熱く充血しきった媚肉をぐちょぐちょにされる感覚。

 すごい。
 またくる。
 また――――。

 一子は最後の理性をふりしぼって、近くにあるタオルに噛みついた。

 そして志貴は両手の指を擦り合わせる。粘膜ごしに自分の指の感触を楽しむかのように、一子を手荒に扱った。陰肛も陰唇も、指をくわえ込んで離さなかった。いやらしく吸い付き、ねだるように絡みつく感覚に、志貴は呻くが、それでも指をひたすら動かし、粘膜を擦り続けた。

 薄い粘膜を隔てて動く指が淫らに媚肉と直腸でうごめく。その妖しい感覚に内蔵がこねくり回されているかのよう。あまりにも強い官能の波に、躰がガクガクと揺れてしまう。

 一子の躰がガクガク震える。
 あまりにもすごくて。
 あまりにも気持ちよくて。
 痺れる。
 痺れてしまう。
 こんなにも、痺れてしまう。

 弟に弄られるというこのやらしい背徳感。
 乱暴に扱われるという被虐感
 それが、こんなにも。
 甘く疼かせ、真っ白になるまで痺れさせてくれる。
 ああ。
 乱暴にこねくりまわされ、前も後ろも乱暴にいじられる、この感覚。
 弟に嬲られて、こんなにもやらしいオンナの貌を、淫らな牝の痴態を晒すという、背筋を幾度も駆け上る背徳感。
 背徳の淫悦が、軋ませるほど心を苛む。
 それさえも気持ちいい。
 頭の芯まで痺れるほど気持ちいい。
 たまらないほど、堪えきれないほど。
 突き上げてくる衝動と志貴の指が連動して、一子を持ち上げていく。
 真っ白なとこにまで。
 また――。

 途切れる意識。
 いっぱいになれる。
 ほらこんなにも。
 白い電流がはじける。
 甘く爛れた肉体が、痙攣する。
 軽く気をやる。
 たまらない。

 指が前も後ろも。やらしい穴を広げ、乱暴に弄くり回す。
 そうすればするほど、躰に電気が走り、神経は爛れていき、オンナに溺れていく。
 肉欲に深く囚われていく。
 深く、深く、さらに深く―――――。

 一子の躰がのけ反る。脚の指まで引きつり、躰がぶるぶると震える。志貴の指はそれでも一子の肉壁越しに擦り合わせ、虐め続ける。
 明らかに一子が達しているのがわかっても、なお、ふたつの穴を弄り、広げ、かき乱し続ける。
 どうにかなってしまうほど、一子は躰をよじらせ、びくんと痙攣させる。さらに跳ね、引きつらせた。
 タオルを噛みしめた顔が、悦楽によって歪み、瞼がひきつっていた。銜えたタオルがなければ、みだれきった牝のよがり声をあげていたであろう、陶酔しきった恍惚。
 あまりにも強い刺激だったのか、幸せそうに蕩けた瞳から涙がこぼれ落ちる。
 恍惚に酔いしれ、乱れきった爛れたオンナの貌に、志貴は震えるほどの肉欲を覚えた。








 ふらふらと恍惚に惚けた顔のまま、一子は起きあがる。ホルダーネックを止めながら、志貴を見つめた。目の焦点はあってなく、酩酊しているかのようだった。匂い立つほどの色を身にまといながら、婉然と微笑む。
 その爛熟しきった微笑に、志貴の男が反応してしまう。

「今度は有間の番だ……」

 淫らなオンナの声のまま、志貴は押し倒される。
 目の前に惚けた笑みを浮かべながら、志貴の躰にまたがる。
 期待と不安に怯えた目を向けてくるとゾクゾクする。雨で濡れた子犬のような瞳。そしてそれに隠れた牡の情欲の輝き。それが入り交じった、なんともいえない、志貴だけが浮かべることが出来る、一子をこんなにも胡乱にさせる、輝き。

 自分の水着が愛液で濡れきっているのがわかった。股間のところだけ海につかったかのように濡れ、太股まで垂れている。たっぷりとオイルを塗られていなければ人目でわかるに違いない、とも思った。
 いや、この匂いで。爛れた愛液のむんとする匂いでバレてしまう。

 そう思うとゾクゾクする。歪んだ情欲に、一子は凄艶な笑みを浮かべた。
 蒼天をバックに逆光の中微笑む姿は、あまりにもあでやかで、こんなにも艶やかで、匂い立つほどのやらしい淫靡な笑み。その笑みに志貴はとらわれていく。

「……うつ伏せになれ」

 姉の命令に志貴は素早く従う。
 レジャーシートは汗と腺液で濡れていて、一子の匂いがした。その中に躰を横たえると、一子が覆い被さってきた。

 冷たいオイルのぬるりとした感触と、温かい指先の感触。それがぬるりながら、躰をこそばゆくはいずり回る。
 躰をくすぐるかように這いまわる。濡れたオイルがまとわりつきひんやりとした後を熱い指がこすっていく。それがこんなにも気持ちいい。
 柔らかいツボを押し、肌を撫で回す、マッサージにも似たオイル塗りを、志貴は堪能する。
 そして一子は淫蕩な笑みを浮かべたまま、志貴の海パンの中に手を入れてきた。

 臀部の間をそろりと指が這い下りていくゾクゾクとする感覚。
 躰に側で感じられる一子の熱い体温とざわめき。そしてこの妖しい愉悦に、思わず声をあげてしまいそうになる。
 一子の顔が志貴の耳元に近づく。そして耳にそっと息をかけて、ペロリと舐めた。

「…………っうっ」

 吐息ひとつで、志貴の肌すべてが粟立つのが、一子にわかる。快感に悶える男の肌に、一子は嗤う。
 心地よい、甘美な征服感。
 しかし一子はまだ足りなかった。
 この弟が涙をこぼしながら、哀願するところが見たかった。
 今さっきの仕返しもある。
 そろりそろりと這い下りる指が、肛門をなであげた。

「……そこは……」

 志貴は怯えた声をあげる。
   それが、堪らない。
 一子は耳もとではっきりとつぶやいた。

「……どうした……有間……」

 熱く粘ついた吐息は志貴の耳から全身を熱くとろかしていく。
 一子の指先は志貴のうしろの穴が怯えて窄まっているのさえわかる。

「……そこは……」

 指は尻の谷間を上下にゆっくりと這いまわり、くすぐっていく。
 そのたびにこの若い男の体が不安と期待でひくついた。

「……ここか……」

 菊座をなで上げ、ちょんとつつく。

「……ちがう……」

   潤んだ瞳で怯えた視線を一子に投げかけた。その瞳のせいで、背筋に歓喜が駆け抜ける。

「……有間……違わない……」

 指が、滑り込んだ。抵抗があるはずの窄まりは、あっさりと侵入を許す。

「……あぁっ!」

 志貴が甘く啼く。そんな志貴を、熱い吐息でなぶる。
 指はそのままするすると入っていく。入っていってしまう。はいるたびに志貴の躰は捩れ、蠢く。
 入り込んだ指を志貴のそこはきゅっと締め上げてきた。まるで女のそのよう。喰らいついて離さないやらしい穴だった。

 そして根本まで挿れた。温かいぬるぬるとした感触が指から伝わってくる。志貴の躰に痙攣が走るたびに、きゅっきゅっと呑み込むかのように煽動する。そのままゆっくりと動かす。志貴の恥ずかしい穴を一子は探り始めた。指先で腸壁をひっかき、くすぐり、撫でる。

 胎内をかき乱されるおぞましい感覚。なのに、伝わるのははっきりとした快感。
 涙目のまま、志貴は見上げると、凄艶な笑みがあった。その瞳に性悦に惚けた加虐の輝きがあり、志貴をいたぶる獲物のように見下ろしていた。

 指がぐるりと一周する。おしりの穴が感じられるかのように、嬲るように、ゆっくりと、はっきりと、動いた。
 その妖しい感覚に、志貴はあえぐ。喘いでしまう。

 涙し、唇を震わせている志貴の顔はとても綺麗だった。泣きながら啼く弟の姿に一子の指はさらに激しくなっていく。
 指の腹を腸壁にあてる。じんわりとした温かさが気持ちいい。そしてそのまま、ぬるぬると、いやらしい速度で抜き始めた。
 腸壁をくすぐられるのとも、乱暴に弄られるのとも違う、なんともいえない気持ちよさ。
 ゆっくりと、ゆっくりと、嬲るように、いたぶるのように、抜かれていく指の感触に、志貴は啼いた。

「……イチゴさん……ダメぇ……」

 涙目での哀願。一子の頭はそんな志貴の痴態に、沸騰していく。ぐつぐつと煮えたぎったものが頭の中を真っ白にしていく。このわななく肢体だけにしていってしまう。

「……気持ち……いいんだろ……」

 自分でもはっきりとわかる、やらしい声。それを志貴にあびせながら、また指を挿入する。そしてまたそろそろと抜き始める。

「……はぁっ……ああああ……」

 低い志貴の声。いつもは子宮を疼かせる低い声が、今は子宮を甘く擽る。なんて――いい声で啼くんだろう、と一子は思った。もっと啼かせたい。もっともっと啼かせてやりたい、と澱んだ陰鬱な愉悦がわき上がってくる。

 じりじりと焦らすように、引き抜く。そのたびに志貴の声がうわずっていく。
 しかし抜かない。
 指が爪のあたりまででると、中にまた挿れる。

 志貴はどろどろだった。焦らされて、なぶられる感覚。おしりの穴を玩ばれるという、背徳的な感覚。肌が粟立ち、気が狂いそうになるような愉悦。
 一子の指先がそのまま胎内に入り込んで、そのまま脳髄を弄っているかのよう。やらしく、淫らに、脳髄の快楽のスイッチをなで上げる感覚。焦らされながらも、嬲られながらも、はっきりとした肉の悦びに志貴は身悶えるしかなかった。

「ここは……もう……すごいな……」

 一子の空いている左手は躰で押しつぶされている熱い強張りに触れた。

 そこはとても熱く、逞しく、そして固い。まるで人間の躰ではない、なにか熱いものでてできているようだった。
 その牡の劣情を、玩ぶ。
 指で触れるたびに、撫で回すたびに、ビクンと反応するのがなんだか可愛らしかった。可愛いのに猛々しくて、すごく自己主張してやまない――――牡という器官。
 一子はすごく楽しそうな淫靡な表情を浮かべたまま、それを擦り始めた。

 その柔らかでしなやかな手が動くたびに、志貴の躰に甘美な電流が走った。
 その指が逸物をこするたびに、粘膜をくすぐることに、内壁をそろりとひっかくたびに、ゆるゆると抜かれるたびに、淫らな衝動がわき上がってきた。
 その衝動は強く、あまりにも強く、腰奥の深いところから沸騰してくるかのよう沸き立ってきた。
 あまりにもあつくグツグツと煮立っているソレは、志貴の神経をとろとろに煮詰めていく。
 まるで熱いシロップに煮詰められていくような感覚。蕩けるほど甘い蜜が志貴の理性を淫蕩に煮詰めていく。爛れていくように、とろとろになるように、こんなにも。
 指が出入りするたびに、指先がこすられるたびに。
 そろそろと腸壁をなぞられていく、この淫らな感覚に。
 オイルでぬめった手で陰茎をこすられる愉悦。志貴とすればもっと激しく強くこすりたいのに、それを止めるかのように、焦らして、焦らしきっていたぶるかのように、男を翻弄する。

 一子は覆い被さってくる。前の志貴と同じように躰をこすりつけてくる。背中に感じる熱い双房のたわみと重み。それが潰れるほど押しつけられ、背中を甘くくすぐる。

 背中の重みと柔らかさ。男根を嬲られる柔らかい手。陰茎と腸壁を玩ぶ指。
 その悦楽に、肉を焦がすような焦燥感と当時にわき起こってくるあまりにも甘美な悦楽と、そして背徳感が――一子という姉にイタズラされているという背徳感が、いじられるという被虐感が、そして甘い誘惑が――こんなにも志貴をダメにしていく。胡乱にさせていく。

 内蔵を嬲られるという掻きむしりたくなるような感覚に肌がざわめく。
 劣情をくすぐりながらけっして終わりへと導くことがない優しい触り方に、胸が苦しくなる。
 背中に押しつけられている乳房がオイルの上を嬲るかのように動き回る感覚に、身が捩れてしまう。
 志貴は喘いだ。

 一子は感じきっていた。こんなに感じたのはないほど、熱く、ただ熱く、ひたすらに熱い――。
 先ほど淫裂を弄られたときよりも、菊座を玩ばれた時よりも、それよりも惨く興奮していた。
 目の前の弟をイタズラしていくという征服感と圧倒的な優越感。ハニーフェイスの若い男子が感じきってとろけてしまった表情がもっと見たくて。もっと感じたくて。だからもっと玩ぶ。
 悪いな、と思っても、男の生理として拷問のようだなと思いながらも、その熱さに。そのあえぐ姿、可愛い弟がこの指先ひとつで感じている痴態に、溺れていく感覚。

 ムズ痒くて、たまらなくて、目の前の男の背中に胸をおしつけてこすった。乳首が勃っているのがわかる。それがこすれて気持ちいい。気持ちよくて止められない。それに擦れば擦るほど感じるのか、苦しそうに悶え啼く、弟の顔がたまらない。だから、こんなにも押しつけてしまう。こんなにもこすりつけてしまう。

 やらしいと思う。なんていやらしいんだと思う。オンナの肉の悦びに、発情しきった牝の熱くてたまらない情欲に、押し流されてしまう。

 こんなやらしい顔をする有間がいけないんだぞ――。

 そんな責任をなすりつけて、志貴をもてあそび、弄り、啼かせる。

 たぶん、見られているとも思った。いや、芋洗いの海水浴場だ。見られているにきっと違いない。
 有間のこんなに可愛い顔も、こんなに気持ちよく喘いでいる姿も、そして自分の惚けたやらしい牝の貌も、なにもかもみんな見られているに決まっている。

 そう思えば思うほど、さらに熱心に、さらにやらしく、さらにいたぶってしまう。
 こんなにも、こんなにも、こんなにも――。

 指が入るという、入ってくるというじんわりとした逸楽と肉径が焦らすように弄られるたまらなさに志貴は翻弄されていく。
 姉に性的に玩ばれているという事実が、全身をいやらしく蝕んでいく。力が入らない。まるで首から下が熔けてしまったかのよう。
 どろどろな肉欲だけになっていく堕ちていく感覚。じりじりと、じりじりと灼かれていくおかしい感覚。火に舐められてフチからゆっくりと焦げ、焼けていく感覚。炙られて、焦らされていく。理性のフチが焦げ、焼け、なくなっていく感覚。肉欲に、このただ淫らな波に、たまらなくて喘いでしまう力に、ただじりじりと、ただじりじりと蝕まれていく、脊髄が歪んでいくような、気が狂いそうな、――そんな淫靡な感覚。

 とたん、一子の手が早く動き出す。
 焦らすような動きから、だた果てさせるのを目的とした力強く、しっかりとした動き。
 突然、求めていた刺激に、志貴は喘いだ。粘膜をぎゅっと握られて、腺液で濡れたところを弄られる。ぐちにちゃにちゃとさせる。ただ擦るだけではなく、先を手で掴むと切れ目を痛いぐらいこすってくる。
 求めていた刺激が与えられるという快楽。
 たまらない。
 頭が弾ける。
 じんじんといって、痺れてしまう。
 肉棒を握る手は激しく、強く、男の劣情を果てさせるように動き回っているのに、おしりの穴を犯す指は傷つけないようにとやさしく内壁の粘膜をゆっくりとゆっくりと擦りおろしていく。
 この違う痺れが、尾てい骨から一直線に脳へと駆け上がってくる。
 頭の中が白くなる感覚。腰が動いてしまう。それを一子は躰全体で押さえつけながら、激しく擦り上げる。

 粘膜に痛いほど、爪が立てられる。すぐにソコを指の腹でやさしく撫でられる。おしりの穴がきゅっと締まるのがわかる。男だというのに、一子の指をやらしく締め上げてしまう。
 全身が喘ぐ。
 そして一子の指が前立腺をぐにぐにと揉み込むと、頭が真っ白になるほどの甘美な電流が疾走した。
 志貴の手足の指がぎゅっとしまり、震える。志貴は先進を震わせながら、甘く啼く。
 たまらない痴態を眺めるかのような笑みを浮かべながら、姉は弟を犯す。おしりにさらに深く押し込んだ。肉茎をひときわ強く擦る。

「――――……っああああっ!」

 志貴が声を出さないように食いしばりながら、呻き、躰をよじった。
 とたん、弾けた。
 こすりつけていた指付きに、肉茎よりもさらに熱くねっとりとしたものがかかった。陰肛をまさぐる指が痛いぐらい締め付けられ、呑み込もうとねぶり始めた。
 そのやらしい熱さとねぶりに、一子は躰をぶるんと一度振るわせると、ただ妖艶な微笑を浮かべながら、喘ぐ弟を見下ろしていた。

 躰に幾度も痙攣がはしり、肉茎はしゃくりあげながら、牡の汁を切っ先から溢れさせていく。そのねちゃちゃとした感覚を楽しみながら、さらにしごく。一滴も残さないように、絞り出す。菊座をいじる指もそっと腸壁をくすぐってやる。
 手が動くたびに、指がこすれるたびに、粘膜をひきつらせながら、志貴は歓喜の声をあげ、涙をこぼした。








 一子はぐったりと倒れ放心している志貴に向かって、そっと囁く。

「――――まだ、だ」

 その言葉にびくんと反応し、のろのろと一子の方を見上げる志貴。
 その性悦に惚けた志貴の顔にゾクゾクとする愉悦を感じながら、囁く。そっと甘美な毒を、その血管に盛るかのように。

「――有間も、まだ、だろ?」

 確認の声。その誘うような響きに、志貴は頷いた。
 ふらふらと立ち上がり、頭の芯が性欲に軽く痺れた、夢うつつのまま、海の家へと向かう。
 たぶん、今さっきまでの痴態が見られていたに違いない。まわりからの視線が、好色そうな視線が熱く突き刺さるようだ。
 まるで全裸で歩いているようだった。陰部を腺液で濡らし、牡と牝のただれた匂いをまとわりつかせながら歩いているのだ。見られているに違いない。
 それさえも昏い愉悦に変わっていく。恥辱が秘所を嬲り、熱くさせていく。
 まとわりつく潮風さえやらしく産毛をくすぐっていく、この感覚に、ふたりとも惚けていた。







 ふたりはシャワーを借り、滑り込む。急いで扉をしめる。コイン式なので投入すればそれだけ長く井筒蹴ることが出来る。
 一子はポシェットからありったけの100円を取り出すと、ベンダーに投入した。
 いれたとたん、シャワーがふたりに降り注ぐ。弾ける水音と降り注ぐ水が世界をふたりだけにしてしまう。
 声が届かないからふたりは寄り添い合う。肌を激しく水がたたき、水飛沫がたつ。冷たい水が火照った躰に心地よかった。

「後ろを向いて」

   一子が促すと、志貴は従う。
 その筋肉のついたしなやかな男の子の躰を視姦する。広い肩、引き締まった腰、太い手と脚。志貴は少し怯えたかのように一子の方をチラリと見ている。

 「手をついて、脚を開いて」

 シャワー室の壁に手をつき、脚をおずおずと開く、その怯えた姿がたまらない。無防備な姿が、一子の加虐心をくすぐってやまない。
 一子はそっと海パンに手をかけると、降ろした。いきり立った肉棒がひっかかってなかなか降りない。
 しかし、そのおしりが顔を覗かせると、一子は淫蕩に微笑み、そのおしりにキスした。
 ちゅっと軽く、音をたてる。シャワーの音でかき消されているはずなのに、その音がイヤに生々しく志貴の耳に届いた。
 そしておしりを撫で回し、その臀部の柔らかさを味わう。女にはない、固い感触。滑らかなくせに女よりも引き締まった感触を、指先と手のひらで充分に味わう。

 また口づけする。汚いおしりなのに幾度も接吻する。時には強く吸い、鬱血のあとを残す。この体は、このおしりは自分のだといわんばかりに、一子は跡を残していく。

 そしておしりの肉をかきわける。
 にくの間に埋まった窄まりをさらけ出す。皺だらけなそこは、今さっきまでの激しい戯れで、ひくつき、ねだっているかのようにぷっくりと膨らんでいた。
 そこに、やらしい貌をしたまま埋めた。

「……恥ずかしい……よ……イチゴさん……」

 志貴の抗議に耳を貸すことなく、ちろりと舐めると、男の躰が痙攣した。
 舌でそのまわりをぺろりと舐める。えぐみがひろがるが、それが気持ちいい。志貴の味だと思うと、こらえきれないものがある。
 顔を埋めて、貪るように、そこを舌で舐め上げる。皺のひとつひとつをねぶる。口をとがらして、皺に接吻した。
 ちゅっと音をたてて口づけし、そこを舌のザラついたところで舐めてやるだけで志貴の躰は愉悦に震える。
 尻に顔をうずめながら、尾てい骨から陰嚢まで舌をるぬると這わせ、往復させていく。志貴のおしりを涎まみれにしていく。
 もっと味わいたくて、もっと貪りたくて、顔を尻に押しつける。うずめて、なめ回す。
 舌でチロチロと舐めて、ちょんとつついてやる。そして口をつけると、吸ってやる。涎ごと音をたてて啜ってやる。
 志貴の肉棒がビクンビクンと痙攣しているのが感じられるのが、たまらない。
 指で尻をひろげて、舌で男の肛門をやらしくねぶり、蕩けるまで舐め続けた。

 志貴はヒザをガクガクさせている。
 でも一子はやめない。
 指で肉をかきわけて、肛門をさらけ出させる。そしてそれをさらに広げ、括約筋でしまっている陰肛の口を開けさせた。ほんの少しだけ開いたそこを、うっとりとした顔で、ちぢゅぅっと啜る。
 一子の荒く甘い鼻息が尾てい骨にかかるたびに、内臓までも啜られる妖しい感覚に、志貴は身悶えた。堪えきれないのか首をふっている。

 そんな痴態は、ますます一子を胡乱にさせていく。やらしくさせていってしまう。
 舌で少しひらいた陰肛をつつく。そして力を込めて舌を埋める。
 ぬりゅと入っていく感覚。柔らかい陰肛が入り込んだ舌を優しくねぶり返してくる。
 ぞわぞわと肌の下がざわめく感覚に痺れながら、一子は弟の肛門をあさましく執拗にねぶり続けた。

 志貴はもう達してしまいそうだった。
 姉に嬲られるという背徳感に陰茎はいきりたち、先から腺液を漏らしている。
 一子が、赤毛の姉がやらしく舌で肛門を舐めるたびに、尾てい骨が痺れていく。腰奥にある牡をザラリと舐め上げられていく感覚。
 鼻息がかかり、後ろの穴を容赦なく貪られていく。

 こんな汚いところを姉として接してきたはず女性がなめているという事実。
 こんなにやらしく、姉が奉仕するという爛れた愉悦。
 インモラルな官能に、狂わされていく。
 堕ちていく妖しい感覚。
 一子の舌が動くたびに、快楽を紡ぎ出すたびに、なめ回されるたびに、汚いうしろの穴に接吻されるたびに、頭が白くなって、髄まで淫らに痺れてしまう。

 弟が感じていると思うだけで、虐めたくなる。
 なのに、こうして奉仕もしたくなる。
 一子の頭の中はどろどろとした淫欲でまみれていた。それしかなかった。
 蕩けるほどのやらしい感覚だけが、すべてだった。
 こうして弟の、男のけつを舐めているという被虐感に、心までふるわせてしまう。
 おしりの穴なんていう不浄でもつとも隠さなければならないところを、この口で、この舌でただ淫らに舐めてしまうという、ただやらしくねぶってしまうという事実に、牝がわなないてしまう。こんなにもわなないて仕方がない。
 やらしい躰が、こんなにも牡を求めて止まない。ただの牡じゃなく、この男。有間と呼ぶ弟みたいな存在を求めて、こんなに疼いてしまう。
 志貴がやらしく啼くたびに、感じきって震えるたびに、熱に浮かされていくような感覚に取り憑かれていく。

 志貴の啼く甘い声が。志貴の震えるしなやかな躰が。志貴の潤んだ黒い瞳が。志貴のひきつる可愛い唇が。こんなにも、一子を犯していく。ただ蝕んでいく。弟だと思えば思うほど、こんなにも蝕んで、やらしくなってしまう。

 舌をねじ込んだまま、ぐるりと回す。おしりの穴のフチをなめ回すかのように、広げるようになめ回した。おしりを好き分けている指に力が入る。そのしわくちゃな穴をもっと味わいたいと、かきわける。そこに顔をこすりつけ、つつく。ねぶるだけではなく、舌をねじ込む。自分の唾液を弟のおしりの穴に注ぎ込む。たっぷりと注ぎこんでやる。

「……っは!」

 志貴はそんなやらしい舌の動きに喘いでしまう。淫らなものに溺れていく。この降りしきるシャワーではない、熱くてたまらないものの溺れていく感覚に囚われてしまう。いきり立っている欲望が刺激を求めてビクンと跳ね上がる。あさましくそこを擦り上げたい。ただ快楽の笑みにすべてを放り投げたい。
 しかし擦らない。ただ一子の愛撫に身を任せていた。肉棒がせつなくしゃくりあげ、切っ先からとろとろと腺液をこぼし粘膜を汚す姿はまるで泣いているかのようだった。

 舌がねじ込まれる。そのまま躰の内側をなめ回されるという、言い難い愉悦。気持ち悪さはなくなり、ただくすぐったさとそれを上回る躰の芯を腐らせるような、淫らな官能。
 肌の下をそろりと官能が掻き撫でていく。そろりそろりと肌を粟立てるかのように、快楽が舐め上げていく。
 おしりの穴からじんじんとした疼きが熱となって、牡躰を灼いていく。神経ひとつひとつを燻りで灼かれていく、この感覚に耐えきれず、志貴は大声をあげてよがった。後ろの窄まりがきゅっとしまるのがわかる。一子の熱い舌を締め付けているのがわかる。それをこじ開けるかのように、舌がだた淫らに棚井を這いまわる、この妖しい感覚に、志貴はこみ上げてきて押しつぶそうとする悦楽に、悲鳴に似たカン高い啼き声をあげた。

 一子はそっと離れた。そのまま志貴は力なく崩れ落ちそうになる。
 そんなに感じきった志貴のを見て、一子は淫蕩な笑みを浮かべながら、べとべとに汚れている口もとを拭った。唾液と腸液でてらてらと濡れている口唇を赤い舌が舐める光景はなんとも猥褻だった。

「――さぁ、もういいだろ」

 一子は壁にもたれかかると、自分の首に手をかける。そしてネックホルダーを外し、水着をゆっくりと脱いでいく。細い肩、鎖骨、そして乳房。その乳房の上にある乳首は鮮血色でやらしくねだるように尖っていた。そしておなか、おへそ、そして陰毛が茂る股間。
 水着のため手入れされたそは薄く、形よく整えられていた。片脚にまるまってしわくちゃになった水着をひっかけながら、見せつけるように開いていく。
 ゆっくりとゆっくりと、媚肉がさらけ出されていく。
 茂みの中にみえる生肉の、やらしい器官。そこはシャワーの水だけではないもので湿り、濡れていた。てららてとひかって、ひくついていた。牡を誘っていた。

 志貴の視線はそこに注がれて動くことはない。その視線を感じながら一子はそろそろりと手をおろして、茂みの上をこする。ぬちゃりと音がしそうなほど。思わず志貴は生唾を飲んだ。そんな興奮し志貴を見ながら、湿った陰毛を掻き分ける。生肉の器官をなで上げ、その中を開く。開いていく。大陰唇も小陰唇もはっきりとみえるように、淫道の奥にある子宮さえも覗けるように、弟の目前でゆっくりと開いてやる。
 志貴のうっとりと陶酔した顔に、快感を覚えた。あんなにも食いつかんばかりに見られてると思うと、快感だった。

「――さぁ……有間……」

 一子の指はやらしくぬらぬらとした媚肉をひらき、擦り始める。鼻からもれる掠れた吐息に、志貴の男は反応した。
 指を入れる。そして引き抜く。とろりと湿った蜜が零れる。指でその愛液をもてあそぶ。ぬちゃぬちゃと粘ついて、糸をひく。それを見せつける。また挿れて、軽く擦る。

 堪らなかった。志貴の視線が、食い入るように見ている弟の視線が、一子を興奮させていく。欲情させていく。だから、ワザと音を立てる。粘膜を擦るだけで背筋をはしる快楽を隠しもしない。躰を朱色に染めながら、甘くわななく。震える吐息となつてその快楽が漏れていく。なのに指は止まらない。貪るかのように、やらしく動く。
 志貴がのろのろと立ち上がる。視線はそのまま、一子のオンナを見たまま。以上に興奮しているのか、志貴のそこは大きく、しゃくり上げていた。
 それを陶酔したような目で眺めながら、一子はさらに弄る。こんなにもいじってしまう。陰唇をひっかき、媚肉をさらし、淫裂から蜜を垂れ流す。
 早く欲しいと、ここに挿れて欲しいと、ただ淫らな指はうごき、やらしいオンナを見せつける。
 全身の毛穴からやらしいどろどろの汁が零れているようだった。それがむせかえるほどの牝の臭いになって充満していく。そして近寄ってくるむっとするほどの牡の匂い。牡と牝の淫獣の匂い。

 一子の視線も志貴のそれに注がれたまま。あれが入ってきたらどうなるかとゾクゾクする。こんなに興奮している。してしまう。あんなのに貫かれたのなら、どんなことになるのかとさえ思ってしまう。
 貫かれ、思いっきりケダモノのように快楽を貪る姿が脳裏に浮かぶ。ただひたすらにめくるめく官能の渦に巻き込まれ、互いの躰を貪り合う。
 そう考えれば考えるほど、指はさらに激しく動いてしまう。

「……こい……」

 その言葉に誘われるかのように、志貴はふらふらと近寄る。側にたつと見えるのは、やらしく惚けた牝の貌をさらした一子。そんな一子の痴態をいつまでも見ていたい。なのに、凝視することはできない。見ていると胸の奥がチクリと痛む。なのに熱に浮かされたかのような衝動がつきあげてきて――。
 志貴は一子の躰を掴むと後ろ向きにさせた。一子は壁に手をつき、臀部を志貴に向ける格好になる。志貴はそのまあるい水蜜桃を掴むと、のしかかった。

 一子の頭の中は弾けた。入ってくるだけで、軽い絶頂さえ覚えてしまう。熱く固い肉棒が粘膜を巻き込みながら侵入してくる、この感覚に浸ってしまう。
 弟のそれがこの牝の躰に侵入してくるという背徳感に、身も心も感じてしまう。それの侵入はまだとまらない。みちみちと肉襞を割って入ってくる。まだ入ってくる。まだまだ入ってくる。胎内の奥にまで入り込んでくる。一子の胎内をえぐりこむかのように入り込んでくる。そのまま心にまで入り込んでくる。コツンと一番奥に当たる。それなのにまだ押し込まれる。ぐいぐいと押しこまれる。奥がぐぐっと押されるたびに、その圧迫感と痺れによって喘いでしまう。口をあけて酸素を求めてパクパクさせてしまう。なのに入ってこない。冷たい空気が入り込むかわりに、なにか熱いものが満ちてくる。やらしく滾ったソレが子宮を疼かせながら、昇ってくる。

「――――――――有間ぁ……」

 消え入りそうな感じきった牝のよがり声がシャワーの音にまけないぐらい響き渡る。

 志貴は挿れた途端、果てそうになる。今さっきまで後ろの穴を散々嬲られた官能の疼きがはけ口を見つけたかのように襲いかかってくる。意識が真っ白になりそうになる。しかも先ほどは一度も陰茎に触れることはなく、この感覚に飢えていた。粘膜がくちゅりと擦れ合う悦びに、志貴は溜め息をついた。
 ぱっくりとひらいた女陰は志貴のそれを貪欲の呑み込んでいく。媚肉が絡みつき、ぬるぬるとしごきながら吸い上げていく。
 それに負けないように激しく貫く。まるいおしりをつかむと腰を大きく振る。入るたびに、出るたびに、陽根が甘い疼く。きゅっと締め上げられる感覚。ねぶられるようなしまりを、だた貪る。この女の、やらしい牝のおしりを犯していく。蹂躙していく。

 犯されていた。
 激しく、強く、だた乱暴なまでに貪られていく。蹂躙されていく。凌辱されていく。汚されていく。
 弟にこんなにもヤられている。
 そう思えば思うほど、昏い官能に浸ってしまう。
 躰に力が入らない。ただ荒々しく突き上げてくる牡に、淫らに酔いしれてしまう。この入って手で行く感覚に、擦られて、えぐられ、貫かれる感覚に、このみっちりと挿入されたいやらしい感覚に、一子はただだた随喜の涙を流し、悦んだ。
 そのままずるずると壁からずりおちると、水に濡れた床にへたりこんでしまう。それでもしりは高く掲げ、牡のなすがままにしておく。
 高くあげられたおしりを貪られていく。それがこんなに気持ちよくて、たまらなくて、さらに掲げてしまう。
 乱暴に扱われている。ただ若い牡の肉欲に蹂躙されていく快楽に頭の先まで痺れさせてしまう。
 愛液と媚肉の淫音がぬちゃぬちゃと聞こえる。あとは喘ぎ。そして欲望。
 ただ互いを貪るかのような発情しきった牡と牝のまぐわい。

 志貴はたまらなかった。
 熱い手ぬるぬるなくせに、きゅきゅと締め上げてくる蜜壺に、溺れていく。一子を、姉を、こうして背後から獣のように覆い被さって貪っている。見たこともない痴態に、一子のオンナとしての貌に、ただ溺れていく。ずぶずぶと溺れていく。
 ただ腰をふるってしまう。理性も何もなく、ただこの性悦を貪りたくて、浸りたくて、こうして犯し続けてしまう。
 そして志貴は目の前でひくつく菊座を撫でた。

 「――――っくはっ! だ……駄目……だ……」

 一子は貌を床にこすりつけながら喘ぐ。淫裂を深く抉られながら、菊座を弄られた。
 今でさえいっぱいなところにさらに甘美な電流が流れる。
 二カ所から刺激が絡み合って、脳髄をぐすぐすにしてしまう。
 駄目だ、と一子はいうのに構わず志貴はそこを弄る。砂浜でいじられたそこを再びほじられる。
 まるで二カ所を同時に貫かれているような衝撃。どんどん愛液が溢れるのが一子にもわかった。どんどんこぼれ落ちていく。
 感じている。
 こんなにもやらしく感じているのがわかる。
 太い指が肛門を蹂躙していく。熱く固い逸物に淫裂が犯されている。
 すごい。すごい。すごい。
 そのまま指が粘膜そって撫であげる妖しい感覚。
 こつんと子宮を突き上げられる愉悦。
 粘膜越しにふたりの固いものがこすれる、この感覚。
 頭の中が弾ける。頭をふっても、躰をゆすっても、悲鳴をあげても、逃れらることができない。
 熱い淫蜜につかっていく感覚。どろどろになっていく。  こんなにも激しく、強く、だたやらしく犯されていく。
 二カ所を、弟に、貪られていく。
 こんなに感じて恥ずかしいと思うのに、次の瞬間には淫靡な快感に変わる。
 肌がざわめく。熱い高ぶりが押し寄せてくる。
 入る。出る。押し込まれる。引き抜かれる。
 躰の内側をメチャクチャにされる感覚。
 躰中が引きつる。捩れていってしまう。
 くる。また――――。

 そして志貴は空いている手で陰核を撫でる。

 ――――……っぅ。

 髪の毛の先までじんじん痺れる。躰に電流が走る。
 淫悦がそのまま電撃となって、駆けめぐり、脳髄を灼く。
 白く弾ける。
 女陰を犯され、陰核を擦られ、陰肛を弄られるのが、たまらない。こらえられない。
 躰がどんどん動いてしまう。勝手に声をあげてしまう。
 苦しいほど気持ちいい。躰の中がぐちゃぐちゃにどろどろなものになっていく。淫らで熱いものになっていく。
 なのに、弄られている三カ所だけは敏感になっていく。志貴の熱い肉棒が、固い指先が、太い指が、敏感なところを蹂躙していく。ただひたすらに犯されていく。ただ、貪られていく。
 いく。また白く。一瞬の絶頂にともなう浮遊感。
 そしてまた白く、熱く、どこまでも白くて熱い―――――。

「――――――……有間ぁっっ!」

 一子は躰をのけ反らせて、硬直させる。その口から舌を突きだすほど、乱れきっていた。
 それでも志貴は休まず、牝躰をただ貪欲に貪る。
 歓喜の悲鳴をあげ、全身をガクガクと震えはじめる。
 それに合わせて、陰肛に指を根本まで挿れる。陰核をぎゅっと抓る。
 収縮していた蜜壺がぎゅっと、食いちぎるぐらい志貴のを締め上げた。粘膜同士が音を立てて擦れ合うぐらい強く締め上げられているところを、さらに奥までつくと、放った。

 奥深くに白い精液を振りかける。躰がふるえるぐらい、媚肉の奥に吐き出した。出している最中でも、淫裂は締め上げてくる。一滴残さず吸い出すかのように、淫肉が締め上げてくる愉悦に、志貴は深く息を吐いた。
 陰嚢にある精汁をすべて吸い取られたかのような脱力感さえ覚える。
 そして志貴は感じきって惚けきった姉の上に力なく覆い被さった。








 ふたりはのろのろと起きあがる。まだシャワーが降り注いでいるから、数分だけ意識を失ったらしい。
 志貴はチラリと一子を見る。でも目をすぐにそらしてしまう。
 顔が合わせられなかった。姉だと思って、そう接していた一子に後ろめたさを覚えてしまった。一歩踏み込んでしまった、そんな気まずさ。
 一子さんにあやまらないと、と思う。据わりの悪い罪悪感があった。

「――――有間」

 一子の声にそちらの方を見る。
 そこにはいつもの一子の顔。いまさっきまで見ていたやらしい牝の貌でも、オンナの貌でもなく、いつもの一子の顔があった。
 そしてにぃっとワイルドに笑う。

「――――若い男の子っぽくガっつていて、よかったぞ」

 その言葉に志貴の頭は真っ白になる。聞こえるのはシャワーの水飛沫。見えるのはシャワーと一子のワイルドないつもの笑み。
 そして近寄ってくる。歩いてくる足に今さっきだした劣情が垂れ始める。白く汚していく。
 とまって、淫裂をそっと撫でる。指先には白濁した粘液。それをにちゃにちゃと玩び、口に含む。うっりと恍惚めいた表情を浮かべ、それをまた口に含んだ。味わうように、口の中で指をねぶる。赤い舌が白いもので穢れていく姿に、志貴の陰茎はピクリと反応した。

「……すごいよ……こんなに出して……」

 充血しきった淫裂からとろりと精汁が零れ、したたり落ちていく。

「……ぐちゃぐちゃだ……」

 そしてまた秘所をいじる。
 赤く充血しきった花びらを白くほそい指でかき乱す。あふれ出す精液と媚肉をかき混ぜるかのような痴態。媚肉に塗り込むように、こすりつけるかのように、かき混ぜる。溢れ出る白濁液が内股をしたたりおちていく淫猥な眺め。

「――まだ犯りたりないか、有間?」

 とウィンクする。
 まだまだいつでもOKだといわんばかりのその態度に、志貴はかすかに笑った。  一子は弟の股間に手を伸ばした。まだ志貴のそれはいきり立っていた。今出したばかりで愛液と精液で汚れているそれを淫らに包みこむ。

「イチゴさんが望むなら……」
「……バカ。有間が望むからだろ……」

 一子はそのまま志貴の躰に手を当てながら、しゃがみ始める。その首筋を吸い、胸板を舌が軟体生物のように這いずりまわる。ぬるぬるとした感覚に志貴は呻く。皮膚の下を直接刺激されているような、そんなやらしさが胸をいたぶった。そして乳首にすこし歯をたてて嬲り、そしてそのまま、腹筋に、脇腹に口づけの雨を降らせる。
 唇を吸い付けて、ぢじゅっと吸い、舌を押しつけて擽る。まるで赤い唇と舌が別の生物のように思えた。ただ志貴に快楽を与えようとする淫らな軟体のように、蠢き、這いずりまわる。
 一子の顔は志貴の股間の前まで下りてくる。茂みの中でいきり立ち脈動するそこを、うっとりとした顔で見つめる。鼻につく、牡の性臭。カルキ臭さの中でも鼻につ強い匂いに、一子は鼻を少しひくつかせる。

 両手で陰茎を鷲掴みにする。愛液と精液でどろどろなそれをゆっくりと擦り始める。白い粘着質なモノが綺麗な女の指を汚していく。それでも構わず、ゆっくりと大きく動かす。指全体で、手のひら全体でその形と大きさと熱さを確かめるかのように、擦り始めた。

 熱い肉だと思った。みっちりとつまった肉が興奮して脈打っている。今さっきまで入っていた肉棒だと思うと、今さっきまで自分の躰に埋没していたやらしい肉だと思うと、それだけで愛おしくなる。
 こすりつけると、残っていた精が切っ先からこぼれ落ちてくる。もったいなくて、舌を伸ばして、したたる精を舐めた。
 有間の味だと思うとクラクラする。にがしょっぱいような味なのに、口の中にいれると熱く感じられた。まるでその精が口に犯されるよう。口の中の粘膜に絡みつき、犯されている錯覚さえ覚える。
 にがしょっぱいのに、熱くなっていく。強いアルコールを口に含んだよう。かぁっと熱くなる。
 もっと欲しくて、もっと味わいたくて、こすってしまう。両手で鷲掴みにして、こすりあげてしまう。強く強く、それこそ火がでるぐらい強くこすりあげる。そして指で粘膜の先の切れ目をぐにぐにと弄る。

 強い刺激に志貴は、呻いた。
 先の粘膜をつよく嬲られる感触に腰奥が疼いてしまう。今、出したばっかりだというのに、疼いて仕方がない。
 下を伺うと一子が見上げていた。上目遣いでやらしく微笑む。目元が官能て朱色にそまり、艶めかしい。

「……どうして欲しい……」
「――――もっと、もっと強く……」

 その言葉に従うようにさらに強くいじる。茎をただ擦るだけでなく、裏スジをなで、くすぐる。指腹でぐにぐにと押しつけるように、刺激的にいじくりまわす。気持ちいいのか、肉茎が手の中で暴れる。感じてくれているのだと思うと、それを見ているだけで一子は感じてしまう。こぼれしたたりおちる白濁したものを太股に感じながら、一子は浮かされたようにしゃべり続ける。

「……これでいいか」
「……ああ……いいよ……とっても気持ちいい」

 一子は濡れた髪を掻き上げると、ぷんと性臭が鼻についた。手にまとわりつく牡の匂いに鼻の奥が灼かれる。それをもっと味わいたくて、楽しみたくて、口を開いた。

 一子はゆっくりと呑み込んでいく。温かい粘膜に呑み込まれていく快感に志貴はただ溜め息を漏らした。口の中の熱さと粘膜の絡みつきに志貴は堪えきれなかった。
志貴は濡れた赤毛に手を置くと、ゴメン、といって腰を動かした。腰を揺すってしまう。乱暴に口を犯してしまう。

 頭が揺すぶられる。口の中に文字通り突っ込まれる。喉奥まで肉棒が入り込む。志貴の大きいのが、喉を塞ぎ、口を犯していく。
 一子はできるかぎり口を大きくあけて、受け入れる。こんなにも乱暴に扱われているのに、志貴のが挿入されるたびに引き抜かれるたびに、じんじんと痺れてたまらない。なんともいえない愉悦に身も心も包まれる。

 まるで口が性器になったかのよう。苦しいのに、むすむずするほど気持ちよい。後頭部がペニスで灼かれていく感覚。そのまま貫かれていくような感覚にうっとりとしてしまう。

 志貴は悪いと思ったが、とめられなかった。頭を押さえ、口を性器のように扱ってしまう。一子の顔を無惨に犯してしまう。つっこんでしまう。揺する腰を止められない。姉が口をひらいて、弟の自分のを受け入れてくるという背徳感。こんなにも乱暴に扱っているという淫らな感覚が、背筋をなで上げる。
 その口を、その顔を、穢れた肉棒で犯していくという――こらえきれない性悦。そしてそれを恍惚とした表情で受け止めてくれる一子。その唇が、その顔が性悦に歪んでいる。それがたまらない。こうして蹂躙していく感覚に、股間がきゅっとひきしまる感覚さえ覚えた。

 舌が絡みついてくる。ただ絡みついてくるだけで、そのザラついた表面で擦られて、気持ちいい。それにペニスを擦りつけてしまう。まるで陰茎が鑢をかけられているかのよう。神経ひとつひとつがこすられている。挿れるたびに、ぬくたびに、先の粘膜が刮げ落とされていく感じ。肉と肉が擦れるやらしい感じ。

 一子が口の中にたまった涎を啜る。そうすると肉茎も吸われる形となり、肉茎はさらに暴れた。そのまま喉を唾液と腺液がまじったものが喉を滑り落ちていく。下だけでなく、上までも志貴に凌辱されていってしまう。硬く膨れた肉棒がしゃくりあげて、腺液を口の中にまき散らし、汚していく。口の中を、喉を、胃の腑までも犯されていくというオンナの被虐感にうっとりとしてしまう。

 ぐもった一子の声。それさえも熱い塊は蹂躙していく。窒息させるいきおいで一子の口唇と喉を犯し続ける。絡みつく舌が、えづく咽頭が蠕動となって、射精を導こうとする。
 ペニスの根本が熱くよじれる。滾りに滾ったものがこみ上げてくる感覚を志貴は押さえ込む。まだ出したくなかった。この一子の口を蹂躙していく愉悦をもっと堪能したかった。
 姉の口を犯しているという、この昂ぶりをもっと味わいたかった。淫裂を犯すのではなく、その綺麗な顔を、そのふっくらとした口唇を、猛々しくいきり立った生臭い肉棒で穢すという行為に浸っていたかった。

 さらに腰をふるスピードをあげる。一心不乱にその口を蹂躙する。苦しいのか嬉しいのかわからない涙を一子はこぼした。歯が当たらないように大きく口をあけて、男のものを咥えて続けている。口からぽたぽたと腺液と唾液のもじりあったものが泡立ってこぼれ落ちていく。綺麗な顎のラインを愛撫するかのように、涎がなぞって滴っていく。顔は真っ赤で、その眉をしかめて、苦しそう。しかしその瞳はただ淫蕩にとろけていた。

 カルキ臭い中、鼻につくオスとメスの性臭を胸一杯に吸い込む。吸い込むたびに滾るものを感じるる滾ったモノはどんどん強く、熱くなっていき、突き上げてくる。たまらなくて苦しくて志貴はただ一子の口を激しく犯し続ける。頭どころか躰全体をゆすらさせる。この湿った穴に突っ込む感じ。ただ発情した本能に従って、犯す昏い愉悦。

「……いいかい……」

 熱に浮かされたような声で志貴は囁く。

「……出すよ……」

 目を閉じて、ただその口の中でとかされていく肉棒と官能に集中する。一子もうっとりとした表情を浮かべて、なすがまま。それどころか精を求めるかのように、舌を絡めてくる。

「……口の中に欲しい? それともかけてほしい?」

 一子は切なそうな顔をしながら、上目遣いで弟を熱く見つめる。

「――両方かい?」

 いたぶるような志貴の言葉。荒々しい息づかいの中、一子の目は一度閉じた。その媚態にゾクゾクする。

「両方だなんて……やらしいなぁ……」

 嬲るような声に、一子は羞恥に顔を歪める。そんな顔をおさえつけて、志貴は嬲り続ける。肉欲に溺れた火照った牝躰を蹂躙していく。
 志貴の嬲りの声に一子は身悶えてしまう。そんな痴態に弾けそうになるのを押さえつけてただ貪欲に貪り続ける。躰の中で暴れる熱いものを押さえつけて、堪能する。

 喉がまるで性器のようにきゅっと淫らに締まる。口の中の唾液は淫欲にまもみれた愛液のようだった。ぐちゅぐちゅとやらしい音を立てる女の口は、まさに女陰だった。やらしくねぶる粘膜だった。

 志貴は喘ぐ。苦しい。息が出来ないぐらい苦しい。なのに犯し続ける。腰をふり続ける。躰の中で荒れ狂う情欲を押さえつけながら、姉の口に突っ込み続ける。
 苦しいのに、止められない。止めようもない。ただこの強い衝動に従って、おしりの穴がむずむずするような快楽に後押しされて、動かしてしまう。

 この淫欲で歪んだ一子の顔が自分の白濁した粘液で穢れると思うと、身震いしてしまう。胎内わ汚すだけでなく、その表面を、姉というものを犯してしまう背徳感に、身をよじらせてしまう。

「……いくよ……いくよ……イチゴさん……いくよ……」

 そういって引き抜く。涎と腺液がその口唇から飛び散る。なくなった肉棒をもとめて、舌が飛び出る。やらしくねだるかのように突き出ていた。そして切なそうな女の貌。
 尾てい骨から一気にたぎったものが駆け抜ける。
 切っ先から精が飛び散った。滾ったそれがぴゅるると音が出るぐらい吐き出された。
 それが一子の顔に飛び散る。その赤い髪を、その眉を、鼻を、まぶたを、口を、頬を、喉元を、乳房に飛び散っていく。ねっとりとした白濁液で、顔中が埋め尽くされていく。一子は恍惚の表情のまま受けとめていく。

 腰がガクガクと震えながらも、志貴はまた口にねじ込んでやる。そしてまた出てくる熱い精汁を口の中に注ぎ込んでやる。ドロドロのヤツを姉の口に、望み通りに吐き出してやる。
 粘着いた白濁にまみれながら、一子は唇をすぼめ、吐き出す精液を受けとめる。まるでおいしいものかのようにうっとりとした表情のまま、吸い付く。下を絡め、頬をすぼめ、飲みほそうと口唇でこってりとしごく。その淫蕩な眺めにいくらでも出てしまう妖しい感覚に志貴は囚われてしまう。

 ごくり、と喉が鳴った。姉が穢れた牡汁を飲みほしていると思うと、ゾクゾクした。あの粘着いた精液をおいしそうに飲んでいく。
 白い粘液で汚されたまま、一子の舌が射精したばかりで敏感なそこをちろりと舐める。そして頬がへこむぐらい啜られる。尿道にのこっていた残滓を啜り取られる愉悦に、志貴は呻いた。
 自分はまだ粘液で穢れたままなのに、舌で亀頭をなめ回し、清めてくれた。
 そして最後に、ちゅぱっと音がでるぐらい吸って、ようやく志貴のを口から離した。同時にもれる熱く粘ついた吐息。
 顔や躰に付着した白濁したものが、重力にひかれてどろりと滴っていく。それを手のひらでひろげ、肌に塗りこみながら、指についたそれを口でなめ回す。舌を見せつけるかのように這わせ嚥下していく。

「……まだ濃いんだな……有間のは……」

 極上の甘いミルクを舐めるかのようなうっとりした顔で、夢中で指をちゅぱちゅぱとなめ回す。喉がこくんと鳴るたびに、自分の出した精で姉の喉も胃も汚されていくのだと思うと、志貴はたまらないものを感じた。
 その姿に志貴はまだ熱くなるのを感じた。これで3回目だというのに、まだ足りない。まだ貪りたい。この一子を、この牝を、この姉をもっと犯したいと躰が疼いてしまう。匂い立つ牝の香りと仕草に、逸物は柔らかくなるどころかさらに硬くいきり立ってしまう。
 それを一子は見ると、期待にやらしく笑う。背筋を舐め上げるような、淫靡な笑みに、志貴はふらふらと吸い寄せられるように、近寄ってしまう。

 とたん、シャワーが止まった。今までたりを包み込んでいた激しい水音は消え、静寂が戻る。聞こえるのはふたりの荒い吐息だけ。そして漂うやらしい性臭。求め合う牡と牝の爛れた匂いだけが充満していた。
 シャワーが終わりを告げても、発情して火照った躰は止まらない。狂おしいほどの疼きがこみ上げてくる。

「――足りないんだろ、有間……」
「……もっと……もっと一子さんが欲しい……もっと貪りたい……」

 見透かしたような一子の言葉に対して、素直にいう志貴。

「――まずシャワーを浴びて、別のところで、な」

 そういってまたコインを1枚入れる。コインが落ちる音がする前にシャワーがまた吹き出して、ふたりを濡らした。
 そして互いの躰をまさぐるかのように洗い合う。
 とがった乳首をこすり、愛液でぬれた股間をなで、牡汁があふれ出る淫裂を清め、汚れた陰茎をしごき、精液がついた顔をぬぐいあう。
 その名残を惜しむかのような後戯のまさぐりあいは、シャワーが終わるまで続いた。








 ふたりはシャワーで濡れた躰のまま、車の中にいた。一子が海にくるためにレンタカーで借りてきたワンボックスタイプ。浜辺の片隅の駐車場にとめた車の狭い座席の中で、シートが汚れるのもかまわず互いの躰をまさぐりあっていた。
 スモークが貼られたウィンドウから中を見ることはできない。しかしフロントガラスからは丸見えである。それに車が揺れたら、喘ぎ声が聞こえたら、誰にでもわかってしまう。そんなことはわかりきっていたのに止められない。ただこの身を掻きむしるほど突き上げてくる狂おしい衝動に突き動かされて、互いをひたすらに貪りあってしまう。

 水着ははだけたまま、躰をさすりあう。激しい衝動に後押しされているのに、この狭い場所では自由に互いの躰をいじることができない。そのまどろっこしさが、さらに昂ぶらせる。

 クーラーはついてない。エンジンを回さないとバッテリーがあがるかも知れないからだ。窓も閉めたまま。熱い蒸した密室の中で、ふたりは汗まみれのまま互いの躰を弄り合う。

 一子はホルダーを外し、胸を晒している。鎖骨の線が色っぽく目に映り、その下にある形がよい乳房を志貴が掴み、弄っていた。
 一子は志貴のものを海パンの上からさすっている。掴んでいるといったほうが正しいのかも知れない。もどかしそうに、息を荒げながらその肉茎の形にそって擦り上げていた。非道く手荒く扱われたが、それが逆に心地よい。貪るような痴態に、いやがおうにも昂ぶっていく。

「……いいよ……一子さん……」
「……そうか……」

 さらに陰茎をこする手に力がこみ上げられる。その五本の指に掴まれているというより抱きしめられているかのよう。それぞそれの指が力づよい締めあげてくるクセに感触が違った。

 それにまけじに志貴は胸を鷲掴みにする。そのぷるんとしている脂肪の塊がぬらぬらやらしく、その弾力に息をもらしてしまう。そのままぎゅっと力強く揉む。指の間から白い柔肉がはみでるほど。指が食い込むほど柔らかいのに芯があって、そのままずっと揉み続けたい衝動に駆られた。
 暑いためか汗で湿っている。シャワーを浴びたばかりなのに、汗でまみれていく。しかしそのためか肌が吸い付くような感触で、心地よい。

「……ふふ」

 一子は淫らさを隠さずに、嬉しそうに嗤う。

「……そんなに乱暴に扱うなんて……」

 志貴は答えず、撫でるように、手のひらをこすりつける。そのきめの細かい肌触りから伝わる淫靡な熱に、浮かされてしまう感覚さえあった。

 一子の顔を盗み見る。惨く興奮しているのか耳まで赤く染まっていた。瞳は淫水のようがそこに溢れ出ているかのように潤み、いやらしく志貴の股間を凝視していた。ぷるんとした桜色の唇が歓喜に震えており、甘い吐息を吐き出していた。
 ワザとの胸の先を指先で摘む。顔がピクっと引きつる。今度は尖ってしこっている乳首の根本を掴んで、ひねってみる。整った顔が淫欲に歪み、悩ましげにわなないた。

 一子の手は海パンの間に滑り込み、直接握ってしごき始めていた。熱心に指を絡め、志貴の官能を煽る。裏スジを指の腹でこすり、カリを撫でる。そうすると逸物は愛撫をねだるかのようにしゃくりあげた。
 それに答えるかのように股間を握りしめる手は強く、さらなる熱心さをもって、玩び始める。無理な体勢のためか片手が離れてしまうときがあるが、そのときは志貴の太股をそろりそろりと掻き撫でる。ソレが微弱な電気を発生させ、背筋を擽った。

 志貴は今度は胸を指先で撫でるように愛撫する。白い肌がいやらしく朱色にそまった乳房をそっとくすぐるかのように撫で、しこった乳首のまわりをぐにっと押す。しかしたかぶった牝躰にはそれだけでも感じてしまうのか、躰を揺すって反応する。その反応が楽しくて、五本の指の先だけで虐めてしまう。そのやらしくとがった胸を虐めてしまう。

「……そんな……やらしい……触り方なんて……するな……」
「…………そう?」

 志貴は一子の言葉を軽く流して、さらに嬲る。昂ぶった官能をじらすかのように、つつくだけ。掻き触るだけ。

 一子は呻いてしまう。一度ついた官能の炎が躰の中で燃えさかっている。なのに、その火を煽るかのように嬲られるだけ。
 切なくて、震えてしまう。なのに、嬲られているだけで、こんなにもジンジンと感じてしまっていた。ただの愛撫だというのに、ただ乳房を撫でられているだけだというのに、一子の頭がザラリとしたもので舐められているかのよう。ガリガリと意識と理性が削られていく。感じられるのは、ただ熱くて切なくてたまらない、淫欲の炎と弟への愛おしさだけ。それだけになっていく閉塞感。それだけになっていくという堕ちていく快楽に、一子は魂までもが歓喜で身震いしてしまう。

「――――どうしてほしい?」

 志貴は乳房を嬲りながら、話しかける。息も絶え絶えな一子は首をいやいやと振りながら、ただ熱心に志貴の股間を弄り回す。
 切っ先をぐいぐいとほじるように擦り、えらばったところをくすぐる。これが欲しいとせがんでいるのがわかるが、志貴は我慢して、囁く。朴念仁のふりをして、一子にねだらせようと、もう一度尋ねた。

「――――どうしてほしいの、イチゴさん?」

 志貴のそんな惨い態度を、弟のくせに、と心の中で罵る。しかし黒縁眼鏡の奥の瞳は、酷く傲慢そうな牡の瞳。牝を従わせることが許される、傲慢ともいえる牡の瞳だった。
 そんな瞳を覗き込んだ途端、一子の魂は挫ける。身も心も、この牡に、強い牡に捧げてしまいたくなる。何もかも放り出して、這いつくばってしまいたくなる。
 そんな被虐の悦びに一子は感涙を流した。快感に震える喉を無理矢理動かして、しゃべった。

「……有間ぁ……」

 切なそうに、途切れ途切れの掠れたオンナの声で。

「……ちゃんと……ちゃんと……」

 志貴は邪魔なサイドブレーキをよけながら、哀願する一子の胸に顔を寄せる。そして舌でその紅く尖った先をぺろりと舐めた。同時に手が一子の秘所へと伸びる。愛液で濡れた水着をずらすと、いきなり肉の谷間を撫でた。
 一子はまるで電気がはしったかのように、躰を強張らせた。震える嬌声をあげ、この暑い密室を甘く湿らせていく。
 ぬるぬるしているくせに、志貴の指をとりこむかのように絡みついてきた。それを擦る。上のぷっくらとした陰核から大陰唇を指でいじくる。二本の指で濡れきった淫花をかき乱す。
 一子は躰を震わせながら、声をあげようと口唇を開く。が声にならない。喘ぐのに声は出ず、ただ掠れた色っぽい息だけが漏れていくだけ。ただかき乱す媚肉がたてる淫水の湿った音だけが車内に響いた。

 志貴は指でオンナを嬲りながら、胸も責める。乳首を口に含むと頬をすぼめて強く跡が残るぐらい吸う。吸いながら舌先でそこをチロチロと舐めてやる。
 一子の手はずてに志貴の逸物から離れ、志貴の頭を抱き、その胸におしつけるように、快楽もねだるかのように引き寄せた。
 その豊満な胸に埋もれながらも、弟はさらに姉を虐める。胸を舐め、吸い、舌をてらてらと這わせ、感じきっているところをさらに昂ぶらせようといやらしく這わせる。そのたびに姉は甘く啼いた。

 淫裂を這いまわる指は蕩けた蜜壺に入り込み、そこにある淫蜜を掻き出すかのように動かす。挿れると淫肉がねぶるかのように吸い付いてくる。その濡れたトロトロの媚肉が指をあたかも肉棒かのようにきゅきゅっと締め付けてくる。そこを擦り、抉り、擽る。そのたびに一子は、あっあっと苦しそうな切ない声をあげて、喘いだ。

 空いている手は一子の髪を撫で、そのまま下におりていく。耳をくすぐり、耳の中のすじを撫でてやる。それだけでこの赤毛の姉は切なそうに見つめてくる。そんな目が見たくて、さらに指で弄ってしまう。うなじをそっと撫で、綺麗な顎のラインを撫でる。そしてそのままふっくらとした唇に触れる。とたん、呑み込まれた。そのピンク色をしたてらてらした口唇がひらき、呑み込んでいく。柔らかい口唇の肉で柔らかく挟まれ、その熱い口の中で軟体生物のような舌がやらしく絡みついてくる。

 一子はそれがとても嬉しそうにうっとりと目を閉じながら、指をねぶる。荒い息が手の甲の産毛をくすぐる。感じきったやらしいオンナの口から指を引き抜こうとすると、させまいと強く吸われた。吸われ呑み込まれる感覚に指先が痺れながら、口の中をまさぐっていく。
 絡みつく舌の裏のつるりとしたところをくすぐり、歯茎を優しく擦ってやる。そのたびに甘く疼くのか、一子は泣くように、顔をしかめた。
 そんな一子の痴態がとても艶めかしく思え、もっとその貌を引きだそうと口の中をさらに探索する。

 一子はいやらしいオンナの貌を晒したまま、指に奉仕する。唇で甘噛みし、男の官能をかき立てようと、なめ回す。口の中のぬくもりに、その絡みつくザラついた舌に、柔らかい唇に、べとべとな唾液に、指がとろけているよう。

 それに負けないように、志貴は姉の乳房を責め立てる。その張りのある乳房に吸い付く。ちゅっと吸い、キスマークをつける。その鬱血した赤い跡の横にまた吸い付く。その吸い付くような柔肉に、志貴の印を残していく。

「……そんなところに……つけるなんて……」

 一子は指を離すと、責めるような口調でいう。なのにその声は歓喜に満ち、その瞳はその跡を嬉しそうに見つめていた。

「――みんなに見える、首筋がよかった?」

 からかうような言葉とともに、また跡をつける。

「……有間が望むなら……な……」

 一子は婉然と微笑んで、また指に口づけした。

 あさましい痴態をみせ、媚びるように躰をくねらせる一子のシートに志貴は移動する。途中にあるサイドブレーキとギアを乗り越えて、さらに密着する。汗をかいた肌同士が触れ合い、吸い付く。動くことなど出来ない隙間に寄り添う。
 志貴はレバーをひいて、シートをさらに倒し込む。
 組み敷くような形で、弟は姉の上に覆い被さる。
 ハンドルが背中にあたり痛いが、そのまま一子の秘所にいきり立った牡の器官を突き立てた。

 長く鼻にかかった悲鳴にも似た牝の喘ぎが、狭い車内に木霊するかのように響く。粘着いた吐息が志貴の耳を甘くくすぐる。
 ぬるりと入っていく。淡い茂みの下の媚肉の中にうずまれていくという快感。熱くてぬるりと絡みついてくる感覚。そのまま一気に最奥までうずめきった。
 淫肉のわななきさえ感じられる。媚肉の熱がじわじわと陰茎に移ってくる。
 そして引き抜くと、突然粘膜が絡みついてくる。離さないように、逃がさないように締め付けてくる。あんなに柔らかいのに、ねっとりと吸い付いてくる快楽に志貴は震えた。
 媚肉はまるでたかるかのように、肉棒にしがみつき、ざわざわと擦り上げてくる。媚肉のわななきがそのまま甘い快感となって、腰奥を擽る。それがなんとも言えない甘美なとろみとなって、脊髄を尾てい骨から駆け上ってきて、脳髄を白く灼く。
 それだけで達してしまいそうになるのを堪えて、志貴は引き抜いたそれをまたうずめた。
 淫裂を割り、巻き込んでいく。肉襞が裏返り、呑み込まれていく。それが陰茎をくすぐり、擦っていく。

 一子はたまらないようにイヤイヤと首を振りながら、抱きしめてくる。一子の足が跳ね上がり、ボンネットに当たり、クマを大きく揺らす。それさえも快楽になる。こんな狭く暑苦しい場所で密着しきって互いの躰を貪り合うことを意識させられて、高ぶってしまう。
 一子は抱きしめた手の爪を立ててくる。耳元で、有間ぁ、と切なそうに喘ぐ。鼻腔の奥にやらしい牝の臭いを嗅いで、痺れる。息するたびに鼻の奥が甘くくすぐられて、甘やかな痺れが志貴を襲ってきた。

 組み敷いた下で、有間ぁ、と甘く啼く姉。吸い付く肌ざわり、体温、息づかいが交わっていく。ただ牡と牝の獣が飢えにまかせて、貪り合っていく。

「……あぁ……うんん……っはあぁぁぁ……」
「……はぁはぁ……っう…………」

 絡み合う互いの荒々しい息。淫らな獣に似合いのあさましい喘ぎ声が暑い室内をさらに熱く昂ぶらせていく。

 どちらが貪っているのか、どちらが喰われているのかわからない。ただまぐわう猥褻な情念だけがあった。

 こんな狭いところで腰は大きく動かせない。動かすとボンネットに腰があたって痛い。だから腰を回す。押しつけて回し、少し引き抜いて今度は逆回しと、ただこの甘い啼き声を引きずり出したくて、この顔を快楽に歪ませたくて、志貴は貫き続けた。
 貫き犯しているはずなのに、呑み込まれ、操られているような感覚。切羽詰まったような感覚で腰奥が疼く。

 まだ味わいたいと、この淫らな空間のまま酔いしれていたいと、志貴はひたすら我慢して牝を犯し続ける。
 突くたびに、抜くたびにからみつく媚肉と押さえきれない嬌声が、志貴を甘美に苛む。背中にたてられる爪の痛みが、もっととせがまれているよう。もっともっと犯してと煽られているかのようだった。だから苦痛さえも、淫悦の一滴となってぐすぐすにしていく。志貴というものをどろとりした飴のようなものにしていってしまう。

 濡れぼそった膣に何度も肉欲を突き立てる。貫き、こね回し、ゆすってやる。恥骨があたるぐらいこすりつけると、一子は感極まった声を上げる。車がギシギシと揺れるのがわかる。
 愛液で濡れたそこは、貪欲に絡みつき、吸い付いてくる。粘膜どうしがこれあう淫靡な感覚に背筋がざわめく。

 一子は眉が歪み、眉間にしわを刻み、泣きそうに顔をしかめる。すがるような目で見つめてくる。なのに、唇だけ笑った。歓喜の笑みと泣き出しそうな歪んだ顔とすがるような目、そして甘く啼く声。そんな淫蕩な貌に志貴はずふずぶと官能の蜜に溺れていくのを感じた。

 苦しいほど熱かった。暑いではなく、熱い。この密室の暑さよりもなお熱い滾るものが躰の中で暴れ狂う。逃げ出す一点を求めて、荒れ狂って、志貴の躰を壊さんばかりに動き回る。その凶暴な衝動に突き動かれていく。

「……いい……ああ…………いい……いい……いいぃ……」
「…………んく…………っあ…………」

 あさましい劣情に突き動かされて、牝躰を貪る。それに答えるように淫裂はさらに広がり、さらに志貴のを。奥へ奥へと呑み込んでいく。入れるときはあっさりと入るのに、抜こうとするとでっぱったところに擦れていく。そのたびにじんじんとした疼きが駆け抜ける。それが荒れ狂う衝動をさらに危険にさせていく。

 頬を朱で染め、一子はこれ以上なく乱れた。密接した肌と感触が狂わせていく。汗と腺液と愛液と牡と牝のがまじりあったやらしい肉欲の匂いで溺れていくよう。
 そして身も世もなくすすり啼く。振り乱れる赤髪は、汗に混じって濃厚なオンナの薫りを放っていた。瞳は潤み、熔けきった理性で溢れていた。

 止められない。止めようもない。ただこの媚肉を。このしにやかな躰を。泣きわめく牝を。ただ――――貪り続けた。
 ギシギシと車が軋む。大きく揺れる。わかるに違いない。そんなのは構わなかった。そんなことを考える理性などなく、志貴の中はただ荒れ狂ういやらしい衝動だけだった。この目の前に組み敷いた姉を犯すだけ。この中に牡の汁をいっぱいに吐き出したいだけ。姉の躰に精を注ぎ込みたいだけ。このやらしい牝躰をもつ姉を犯すことだけ。ただそれだけだった。

 そしてさらに押し込む。無理矢理ねじ込む。この肉の谷を強引に貫く。
 一子の喘ぎがひときわ大きくなる。随喜の涙を流しながら、あまりにも強すぎる悦楽に顔を大きくふって逃れようとしている。口を大きく開け、肺にある空気をすべて放ってむせび泣く。爪を立てられたまま、背中を掻きむしられる。鋭い痛みが志貴の背中からひろがり、それが欲望をなで上げる。それが引き金だった。
 頭が白くなる。躰に痙攣が走った。陰嚢が縮まるのが感じられるぐらい、ひきつる。

「……有間ぁ……」

 志貴の躰も同時に引きつる。攣ってしまうほど、躰が捩れてしまう。滾った荒れ狂う劣情が姉の中に吐き出されていく。熱い肉壺の中でしゃくり上げながら、胎内にまき散らした。

 躰の中に精がまき散らされる熱い悦びに、一子は絶頂を迎えた。尾を引くすすり泣くような嬌声を喉から迸らせる。シートに躰を押しつけ、志貴に胸をおしつけるかのように反らせた。たてた爪が肌に食い込み、目がとろんと焦点を失い、至福に酔い痴れているのがわかる。
 ぐにゃぐにゃになりながらも蜜壺はきゅっと痛いほど締まり、吐き出しているソレを美味しそうに飲みほしていく。

 身体の中で暴れ狂った滾ったものをすべて何もかも、牝躰に注ぎ込む。全てを吐き出したという快楽めいた虚脱感に志貴は包まれ、荒い息と汗で濡れた柔肌の上に力なく覆い被さった。
 ふたりで快楽の残滓を味わう。なのに、一子の淫裂は銜え込んだ陰茎を甘くなめ回し続けていた。みっちりと肉襞がからみつき、絞り上げ、吸い上げていく。
 このやらしい牝躰に志貴はただ溺れていくだけだった。








 車内は熱く粘ついた荒い息と激しい鼓動と官能の残滓だけが満ちていた。残滓を舐めるかのようにふたりは余韻に酔いしれていた。
 エンジンをかけてエアコンを入れた。低い振動が愛撫するかのように躰を揺するのが心地よい。エアコンの冷たい風が火照った躰を急激に冷やし、寒いぐらい。

 そんな中に紫煙が立ちのぼる。
 一子は先までの嬌態と煙草に微睡んだ。躰はまだ快楽の残滓で薄紅色のまり、艶めかしかった。そんな一子の肢体を眺めながら、志貴は深い満足感を覚えた。

 チラリと一子は志貴を見る。めじりがほのかに朱色に染まり、全身に官能の余韻をまとわりつかせていて、なんとも艶めかしく色っぽい。そんな貌のまま、うまそうに煙草を吸っていた。
 姉が大人の女性に志貴は思えた。その身にまとわりつく芳醇な色香に、また疼いてしまう。あんなに何度もこの牝躰を犯し、貫き、貪ったのに、まだ足りないと飢えにも似た疼きを覚えてしまう。
 そんな弟の股間を盗み見て、姉はにやりとワイルドに笑う。

「――――まだ足りないのか、有間は」

 揶揄する言葉。しかしその声色は期待に満ちた、掠れたオンナの囁き声。その言葉に志貴は照れるが、陰茎はさらに硬くなっていった。

「…………続きは帰ってから、たっぷりと、な」

 やさしくそしてやらしく微笑み、そっと太股を撫でてくる。その男をそそらせるような姉の触り方に、さらなる熱くとろけるような淫靡な愉悦を期待して、弟の胸は高鳴る。

 淫蕩な昼はまもなく終わる。けれど熟し切って爛れた淫虐の夜はまだまだこれから始まるのであった。




“淫虐な夜”はかきません
これにて、おしまい







あとがき


 夏祭りがなぜかアルクと朱い月ばっかりなので、ここは別のキャラで! と思って書き上げたのは、なーぜーかー乾一子さんです。歌月十夜にチラリとしか出てこない一子さんってなぜ!? とか思う方もいらっしゃると思いますが、それはそれ(爆)
 一子さんでないとできない、噛めば噛むほどでてくる妙というのがありまして。
 それを堪能していただけたらなぁと。

 で、長くてゴメンなさい。ほんとうにただ長くてゴメンなさい。ただただエッチシーンが続くというのを書いてみたかったんです。エロに徹してみたかったんですよ。で、続けたかったら続けられるんのですけど、まずはこれでおしまいなのです(笑) わたしもどこで終わらしていいのかわからなくなってしまうほど長くなってしまいました。

 続きは頭の中で創造してください。ちなみに予定(爆)だと車を走らせながらいじりあいがあって、玄関先であって、風呂場であって、食事しながらがあって、ベットの上があって、そんでもってそのまま庭先で、と果てなく妄想(爆)しています(笑)

 書いている途中で色々と指摘されそこを意識した結果、前編と後編とで書き方を(ほんの少しだけ)変えてみました。そのため全体的な統一感は失われています。お許し下さい。でも逆にいろんな一子さんが書けた気がします――――怪我の功名?

 ちなみに、一子さんが車の免許をもっているのかどうかは公式では不明です。そして真夏に締め切った車内でこんなことをすると熱中症で死亡することもあるのでやめましょう(苦笑)

 それでは、また別のSSでお会いしましょうね。

15th. September. 2003 #121