淫蕩な昼 by 大崎瑞香 うだるような暑さに、志貴は思わず息を吐いた。 なじめるようでなじめなかった有間家の雰囲気から逃れるために有彦のところへ泊まり込む必要なんて、もう必要ない。遠野家での騒がしい日々は、あらためて家族というものを教えてくれたのだと、志貴はしみじみ思った。 「――――ん?」 海か山で少し揉めたけど、一子の『夏はやっぱり海だろ』の一言で決まった。そうして一子さんの乱暴に運転する車に乗ってここまでやってきた。そして甲羅干しをしている。ちなみに有彦は、『さらば友よ。男、有彦は色恋に生きるのだ』、といってすぐに消えてしまった。いつものことなので、志貴も一子も気にも留めていない。有彦は旅が好きだから、置いて帰っても戻ってこれるから、イザとなれば見捨てて帰るつもりだった。ちなみにそちらの方が有彦としてもいい場合が時たまある。 ふと志貴は疑問に思った。有彦の場合は悪縁のバカ友達。親友という言葉はつかいたくないが、イザというときは互いのために力を貸し合う、そんな関係。まぁ兄弟みたいものであった。それに対してイチゴさんは――。 しなやかな肉体がレジャーシートの上に伸びきっている。背中の肩胛骨のくぼみがなんだかエロティックだった。海で泳ぐのは邪魔だとトレードマークであるポニーテールをほどくと、いつもとは違う綺麗な女性の貌をまざまざとみせつけられた思いだった。 そんな一子は見つめていた。はりがありそうな乳房がレジャーシートの下でつぶされている。そのたわみ具合が青少年の青臭い劣情をかきたてる。そしてぷりっとしたお尻の丸みから脚への美線がたまらない。 「――有間」 その瓶をとると、ふと悪戯を思いつく。我ながら、ヤバいかな、と思うけど、一子さんならきっと許してくれると、半ば甘い期待をもった。 ふれた途端、一子は深く溜め息をついた。ぬるりとした冷たいオイルと火照ったすべすべな肌が心地よい。それを塗り込んでいく。 心地よいと志貴は思った。こんなにも柔らかいんだとも思った。背筋を背骨にそっとつつつと撫でる。一子の肢体がくすぐったいのかくねる。そこを指先だけできゅきゅと塗り込む。油膜で直接ふれられるわけではない。なのに、体の熱が伝わってくるようだった。 オイルのぬらぬらした感触がやらしかった。蕩けるような肌がぬもりをもっていた。しかもオイルでてらてらと光っている。いやらしく男をさそう女の媚肉のように、誘惑していた。 首筋もたっぷりと塗り込む。首筋をそろりそろりと撫でると彼女はいやいやする。しかしその薄紅色の唇からもれるのは悩ましい吐息で、それはけっして拒否の仕草ではなく。 どこまでやっていいのだろうか? どうして一子さんはやめさせないんだろう? 「――ムラはイヤなんですよね」 鼻にかかった甘い声。 恐る恐る一子の顔を覗き込むと、その貌は惚けていた。目はうっすらとあけ、うっすらと微笑んでいる。怒ってはいなかった。そのことにほっとした途端、突然、全身を身震いさせるほどの淫らな情欲が駆け抜けた。 その一子の貌はオンナそのものだった。頬はかすかに赤くそまり、目は潤み、喘ぐ一歩手前の掠れた声で、体をゆすり、志貴を牡として誘っていた。 心が縛り付けられる。 その柔らかさに驚いてしまった。それほど柔らかい乳房だった。 志貴はゾクゾクした。今こんな芋洗いの状態なのに、誰か見られるかも知れないとう状況だというのに、一子の瑞々しい肢体は雄を求めてさらにやらしくよじらせていた。 一子さんなのに、という思いが志貴の頭の中でぐるぐるまわる。なのに、その悩ましげな肢体が、柔らかい乳房が、はりのある肌が、ぬめるオイルが、胡乱にさせていく。させていってしまう。 すでにオイルを塗るという行為ではなく、乳房を揉むというやらしい性的愛撫。気づかれないように、そっとそっと揉む。激しくない。逆にいえばいつもより優しく気づかれないようにそっと。なのに、こんなにもやらしい。 感じているんだ、とわかると、さらに大胆になっていく。 志貴は自分のいきりたつものを人目から隠すように、そして一子には教えるように、その躰に押しつける。まるで男の劣情が熱すぎるといわんばかりに、彼女は躰を震わせた。 (こんなことをしていいのか?) 一子は押しつけられると、あまりの熱さに躰が震えてしまった。 男の指だった。 オイルをかけてきたときは、ただの悪戯だったはず。 一子にはわからない。 そう考えれば考えるほど、どんどん熱いものがこみ上げてくる。 それを感じるたびに腰奥から、押しつけられた背中から、熱いものがわき上がってきて、一子の理性を蕩けさせてしまう。 「……有間」 その熱い吐息に志貴は犯されていく。志貴の指が一子のおしりにはりついた。 志貴は躊躇した。 志貴は生唾を呑み込みながら、そろりそろりと水着の中に手を入れていく。むっちりとしたおしりの肉をかきわけていく。 そこは熱かった。蜜がしとどに溢れ、ぐちゃぐちゃだった。熟れて爛れきる寸前の果実。やわらかい媚肉が淫蜜にぬれたまま、指先に吸い付いてくる。 指が淫芯をくすぐるたびに、菊座を嬲るたびに、陰唇を撫でるたびに、やらしい粘膜の音と淫らな水音と喘ぎがうまれた。 志貴の理性もこの熱にとろけていた。この熱くしなやかな肢体がとろかしていくのだ。張りがあるくせに柔らかい媚肉は、志貴の心を掴んで離さない。 志貴が揉み、いじり、なぶっているというのに、志貴の心がその柔らかさに、その熱さに、その滑らかさに、嬲られてしまう。 苦しいほどの熱が腰奥からわき上がってきて、志貴の肉茎をどんどん強張らせていく。いつもよりも大きくなっていくようさえ感じられる。 一子の躰はもう匂うような朱色に染まっており、それが汗とオイルにまみれてヌラヌラと光っていた。 手を抜き、オイルをおしりにかける。水着の上からかけて、べとべとにする。肌にぴったりと貼りつき、その水蜜桃の形を顕わにする。 一子はたまらなかった。 しかしいったん火がついた躰はそんなものでは埋められない。一度いじられたのに、そこが放っていられると、それだけで気が狂いそうになる。官能の針が脳に突き刺さるような感覚。脳髄がザラついたものでなであげられ気持ちいいくせにモノ足りず、疼いてしまう。喘いでしまう。 躰が飢え始めた。牝が貪欲に刺激を、牡を求めてわななき始める。 媚肉が疼いて仕方がない。自分でも菊座と肉襞がひくついているのがわかるぐらい、疼いていた。 少しでも快楽を求めて内股を擦り合わせてしまう。それがさらに志貴を狂わせるような痴態であるとわかっていても、淫欲の疼きに一子は耐えきれなかった。 志貴に見せつけるかのように大きく腰を揺する。はしたなく男を求めるかのように、おしりをくねらせる。 「……有間ぁ」 やらしいとろけた声に志貴の股間はズキンと反応する。姉だと感じていた一子による嘆願。その顔はすでに快楽に歪み、淫楽に飢えていた。 志貴ににこりと微笑むと、手にオイルをたっぷりとつけた。そして水着の隙間に手をいれる。 ろりそろりと指がおしりを這ってくる感触に、一子はただ打ち震えた。きたる快楽を思い浮かべて、躰がよじれてしまう。 「……ち……違う……そこじゃなっ……つっ!」 「………っ……くはぁっ!」 「……喘ぎ声が漏れているけど……いいの?」 指が激しく出入りする。乱暴に、強くかき乱される。胎内がぐちゃぐちゃにされるという愉悦に、一子はただ啼くしかなかった。 力が入らない。なのにあそこがきゅっと締めようとしていくのがわかる。入っている男の指を離さないように勝手に締め上げてしまう。そんな器官でないはずの肛門でさえ、指に噛みついていた。吸い付き、もっととねだるかのように、ねぶるかのように、指にまとわりついていた。 まるで躰の中がすべて淫水になってしまったかのよう。ややらしい牝の水となってしまって、ただ快楽しか感じられなくなっていく。 指が入り込む。肉を掻き分けて入り込んでいる。そして疼く牝肉をえぐったかと思うと一気に引き抜かれる。まるでそのまま内蔵まで抜かれていくような解放感。頭の芯まで痺れてしまう。 赤い髪を振り乱しながら、一子はこみ上げてくる肉の悦びから逃れようとする。なのにそれは逃がしてくれない。志貴の指が的確に一子の官能をかきたてていく。 熱い、どこまでも熱いものが一子を痛めつける。なぶっていく。やらしい牝だけにしてしまう。 志貴の指はとまらない。さらにその媚肉を、一子の痴態を貪るかのようにやらしく動く。中でぐるりとまわり、突っ込み、こすり、弄られるだけで、勝手に反応してしまう。 ぐちゅぐちゅと愛液と腸液の音。 ねじれていく。 頭が白く弾ける。 押し寄せて、すりつぶされていってしまう。 たまらない悦楽とともに、駆け上ってきて。 すごい。 一子は最後の理性をふりしぼって、近くにあるタオルに噛みついた。 そして志貴は両手の指を擦り合わせる。粘膜ごしに自分の指の感触を楽しむかのように、一子を手荒に扱った。陰肛も陰唇も、指をくわえ込んで離さなかった。いやらしく吸い付き、ねだるように絡みつく感覚に、志貴は呻くが、それでも指をひたすら動かし、粘膜を擦り続けた。 薄い粘膜を隔てて動く指が淫らに媚肉と直腸でうごめく。その妖しい感覚に内蔵がこねくり回されているかのよう。あまりにも強い官能の波に、躰がガクガクと揺れてしまう。 一子の躰がガクガク震える。 弟に弄られるというこのやらしい背徳感。 途切れる意識。 指が前も後ろも。やらしい穴を広げ、乱暴に弄くり回す。 一子の躰がのけ反る。脚の指まで引きつり、躰がぶるぶると震える。志貴の指はそれでも一子の肉壁越しに擦り合わせ、虐め続ける。 |
◆ ふらふらと恍惚に惚けた顔のまま、一子は起きあがる。ホルダーネックを止めながら、志貴を見つめた。目の焦点はあってなく、酩酊しているかのようだった。匂い立つほどの色を身にまといながら、婉然と微笑む。 自分の水着が愛液で濡れきっているのがわかった。股間のところだけ海につかったかのように濡れ、太股まで垂れている。たっぷりとオイルを塗られていなければ人目でわかるに違いない、とも思った。 そう思うとゾクゾクする。歪んだ情欲に、一子は凄艶な笑みを浮かべた。 冷たいオイルのぬるりとした感触と、温かい指先の感触。それがぬるりながら、躰をこそばゆくはいずり回る。 臀部の間をそろりと指が這い下りていくゾクゾクとする感覚。 「……あぁっ!」 そして根本まで挿れた。温かいぬるぬるとした感触が指から伝わってくる。志貴の躰に痙攣が走るたびに、きゅっきゅっと呑み込むかのように煽動する。そのままゆっくりと動かす。志貴の恥ずかしい穴を一子は探り始めた。指先で腸壁をひっかき、くすぐり、撫でる。 胎内をかき乱されるおぞましい感覚。なのに、伝わるのははっきりとした快感。 指がぐるりと一周する。おしりの穴が感じられるかのように、嬲るように、ゆっくりと、はっきりと、動いた。 涙し、唇を震わせている志貴の顔はとても綺麗だった。泣きながら啼く弟の姿に一子の指はさらに激しくなっていく。 「……イチゴさん……ダメぇ……」 「……気持ち……いいんだろ……」 志貴はどろどろだった。焦らされて、なぶられる感覚。おしりの穴を玩ばれるという、背徳的な感覚。肌が粟立ち、気が狂いそうになるような愉悦。 「ここは……もう……すごいな……」 そこはとても熱く、逞しく、そして固い。まるで人間の躰ではない、なにか熱いものでてできているようだった。 その柔らかでしなやかな手が動くたびに、志貴の躰に甘美な電流が走った。 一子は覆い被さってくる。前の志貴と同じように躰をこすりつけてくる。背中に感じる熱い双房のたわみと重み。それが潰れるほど押しつけられ、背中を甘くくすぐる。 背中の重みと柔らかさ。男根を嬲られる柔らかい手。陰茎と腸壁を玩ぶ指。 内蔵を嬲られるという掻きむしりたくなるような感覚に肌がざわめく。 一子は感じきっていた。こんなに感じたのはないほど、熱く、ただ熱く、ひたすらに熱い――。 ムズ痒くて、たまらなくて、目の前の男の背中に胸をおしつけてこすった。乳首が勃っているのがわかる。それがこすれて気持ちいい。気持ちよくて止められない。それに擦れば擦るほど感じるのか、苦しそうに悶え啼く、弟の顔がたまらない。だから、こんなにも押しつけてしまう。こんなにもこすりつけてしまう。 やらしいと思う。なんていやらしいんだと思う。オンナの肉の悦びに、発情しきった牝の熱くてたまらない情欲に、押し流されてしまう。 こんなやらしい顔をする有間がいけないんだぞ――。 そんな責任をなすりつけて、志貴をもてあそび、弄り、啼かせる。 たぶん、見られているとも思った。いや、芋洗いの海水浴場だ。見られているにきっと違いない。 そう思えば思うほど、さらに熱心に、さらにやらしく、さらにいたぶってしまう。 指が入るという、入ってくるというじんわりとした逸楽と肉径が焦らすように弄られるたまらなさに志貴は翻弄されていく。 とたん、一子の手が早く動き出す。 粘膜に痛いほど、爪が立てられる。すぐにソコを指の腹でやさしく撫でられる。おしりの穴がきゅっと締まるのがわかる。男だというのに、一子の指をやらしく締め上げてしまう。 「――――……っああああっ!」 躰に幾度も痙攣がはしり、肉茎はしゃくりあげながら、牡の汁を切っ先から溢れさせていく。そのねちゃちゃとした感覚を楽しみながら、さらにしごく。一滴も残さないように、絞り出す。菊座をいじる指もそっと腸壁をくすぐってやる。 |
◆ 一子はぐったりと倒れ放心している志貴に向かって、そっと囁く。 ◆ ふたりはシャワーを借り、滑り込む。急いで扉をしめる。コイン式なので投入すればそれだけ長く井筒蹴ることが出来る。 「後ろを向いて」 また口づけする。汚いおしりなのに幾度も接吻する。時には強く吸い、鬱血のあとを残す。この体は、このおしりは自分のだといわんばかりに、一子は跡を残していく。 そしておしりの肉をかきわける。 志貴はヒザをガクガクさせている。 そんな痴態は、ますます一子を胡乱にさせていく。やらしくさせていってしまう。 志貴はもう達してしまいそうだった。 弟が感じていると思うだけで、虐めたくなる。 志貴の啼く甘い声が。志貴の震えるしなやかな躰が。志貴の潤んだ黒い瞳が。志貴のひきつる可愛い唇が。こんなにも、一子を犯していく。ただ蝕んでいく。弟だと思えば思うほど、こんなにも蝕んで、やらしくなってしまう。 舌をねじ込んだまま、ぐるりと回す。おしりの穴のフチをなめ回すかのように、広げるようになめ回した。おしりを好き分けている指に力が入る。そのしわくちゃな穴をもっと味わいたいと、かきわける。そこに顔をこすりつけ、つつく。ねぶるだけではなく、舌をねじ込む。自分の唾液を弟のおしりの穴に注ぎ込む。たっぷりと注ぎこんでやる。 舌がねじ込まれる。そのまま躰の内側をなめ回されるという、言い難い愉悦。気持ち悪さはなくなり、ただくすぐったさとそれを上回る躰の芯を腐らせるような、淫らな官能。 一子はそっと離れた。そのまま志貴は力なく崩れ落ちそうになる。 「――さぁ、もういいだろ」 志貴の視線はそこに注がれて動くことはない。その視線を感じながら一子はそろそろりと手をおろして、茂みの上をこする。ぬちゃりと音がしそうなほど。思わず志貴は生唾を飲んだ。そんな興奮し志貴を見ながら、湿った陰毛を掻き分ける。生肉の器官をなで上げ、その中を開く。開いていく。大陰唇も小陰唇もはっきりとみえるように、淫道の奥にある子宮さえも覗けるように、弟の目前でゆっくりと開いてやる。 「――さぁ……有間……」 堪らなかった。志貴の視線が、食い入るように見ている弟の視線が、一子を興奮させていく。欲情させていく。だから、ワザと音を立てる。粘膜を擦るだけで背筋をはしる快楽を隠しもしない。躰を朱色に染めながら、甘くわななく。震える吐息となつてその快楽が漏れていく。なのに指は止まらない。貪るかのように、やらしく動く。 一子の視線も志貴のそれに注がれたまま。あれが入ってきたらどうなるかとゾクゾクする。こんなに興奮している。してしまう。あんなのに貫かれたのなら、どんなことになるのかとさえ思ってしまう。 その言葉に誘われるかのように、志貴はふらふらと近寄る。側にたつと見えるのは、やらしく惚けた牝の貌をさらした一子。そんな一子の痴態をいつまでも見ていたい。なのに、凝視することはできない。見ていると胸の奥がチクリと痛む。なのに熱に浮かされたかのような衝動がつきあげてきて――。 一子の頭の中は弾けた。入ってくるだけで、軽い絶頂さえ覚えてしまう。熱く固い肉棒が粘膜を巻き込みながら侵入してくる、この感覚に浸ってしまう。 志貴は挿れた途端、果てそうになる。今さっきまで後ろの穴を散々嬲られた官能の疼きがはけ口を見つけたかのように襲いかかってくる。意識が真っ白になりそうになる。しかも先ほどは一度も陰茎に触れることはなく、この感覚に飢えていた。粘膜がくちゅりと擦れ合う悦びに、志貴は溜め息をついた。 犯されていた。 志貴はたまらなかった。 「――――っくはっ! だ……駄目……だ……」 そして志貴は空いている手で陰核を撫でる。 ――――……っぅ。 「――――――……有間ぁっっ!」 奥深くに白い精液を振りかける。躰がふるえるぐらい、媚肉の奥に吐き出した。出している最中でも、淫裂は締め上げてくる。一滴残さず吸い出すかのように、淫肉が締め上げてくる愉悦に、志貴は深く息を吐いた。 |
◆ ふたりはのろのろと起きあがる。まだシャワーが降り注いでいるから、数分だけ意識を失ったらしい。 一子はそのまま志貴の躰に手を当てながら、しゃがみ始める。その首筋を吸い、胸板を舌が軟体生物のように這いずりまわる。ぬるぬるとした感覚に志貴は呻く。皮膚の下を直接刺激されているような、そんなやらしさが胸をいたぶった。そして乳首にすこし歯をたてて嬲り、そしてそのまま、腹筋に、脇腹に口づけの雨を降らせる。 両手で陰茎を鷲掴みにする。愛液と精液でどろどろなそれをゆっくりと擦り始める。白い粘着質なモノが綺麗な女の指を汚していく。それでも構わず、ゆっくりと大きく動かす。指全体で、手のひら全体でその形と大きさと熱さを確かめるかのように、擦り始めた。 熱い肉だと思った。みっちりとつまった肉が興奮して脈打っている。今さっきまで入っていた肉棒だと思うと、今さっきまで自分の躰に埋没していたやらしい肉だと思うと、それだけで愛おしくなる。 強い刺激に志貴は、呻いた。 その言葉に従うようにさらに強くいじる。茎をただ擦るだけでなく、裏スジをなで、くすぐる。指腹でぐにぐにと押しつけるように、刺激的にいじくりまわす。気持ちいいのか、肉茎が手の中で暴れる。感じてくれているのだと思うと、それを見ているだけで一子は感じてしまう。こぼれしたたりおちる白濁したものを太股に感じながら、一子は浮かされたようにしゃべり続ける。 一子はゆっくりと呑み込んでいく。温かい粘膜に呑み込まれていく快感に志貴はただ溜め息を漏らした。口の中の熱さと粘膜の絡みつきに志貴は堪えきれなかった。 頭が揺すぶられる。口の中に文字通り突っ込まれる。喉奥まで肉棒が入り込む。志貴の大きいのが、喉を塞ぎ、口を犯していく。 まるで口が性器になったかのよう。苦しいのに、むすむずするほど気持ちよい。後頭部がペニスで灼かれていく感覚。そのまま貫かれていくような感覚にうっとりとしてしまう。 志貴は悪いと思ったが、とめられなかった。頭を押さえ、口を性器のように扱ってしまう。一子の顔を無惨に犯してしまう。つっこんでしまう。揺する腰を止められない。姉が口をひらいて、弟の自分のを受け入れてくるという背徳感。こんなにも乱暴に扱っているという淫らな感覚が、背筋をなで上げる。 舌が絡みついてくる。ただ絡みついてくるだけで、そのザラついた表面で擦られて、気持ちいい。それにペニスを擦りつけてしまう。まるで陰茎が鑢をかけられているかのよう。神経ひとつひとつがこすられている。挿れるたびに、ぬくたびに、先の粘膜が刮げ落とされていく感じ。肉と肉が擦れるやらしい感じ。 一子が口の中にたまった涎を啜る。そうすると肉茎も吸われる形となり、肉茎はさらに暴れた。そのまま喉を唾液と腺液がまじったものが喉を滑り落ちていく。下だけでなく、上までも志貴に凌辱されていってしまう。硬く膨れた肉棒がしゃくりあげて、腺液を口の中にまき散らし、汚していく。口の中を、喉を、胃の腑までも犯されていくというオンナの被虐感にうっとりとしてしまう。 ぐもった一子の声。それさえも熱い塊は蹂躙していく。窒息させるいきおいで一子の口唇と喉を犯し続ける。絡みつく舌が、えづく咽頭が蠕動となって、射精を導こうとする。 さらに腰をふるスピードをあげる。一心不乱にその口を蹂躙する。苦しいのか嬉しいのかわからない涙を一子はこぼした。歯が当たらないように大きく口をあけて、男のものを咥えて続けている。口からぽたぽたと腺液と唾液のもじりあったものが泡立ってこぼれ落ちていく。綺麗な顎のラインを愛撫するかのように、涎がなぞって滴っていく。顔は真っ赤で、その眉をしかめて、苦しそう。しかしその瞳はただ淫蕩にとろけていた。 カルキ臭い中、鼻につくオスとメスの性臭を胸一杯に吸い込む。吸い込むたびに滾るものを感じるる滾ったモノはどんどん強く、熱くなっていき、突き上げてくる。たまらなくて苦しくて志貴はただ一子の口を激しく犯し続ける。頭どころか躰全体をゆすらさせる。この湿った穴に突っ込む感じ。ただ発情した本能に従って、犯す昏い愉悦。 「……いいかい……」 「両方だなんて……やらしいなぁ……」 喉がまるで性器のようにきゅっと淫らに締まる。口の中の唾液は淫欲にまもみれた愛液のようだった。ぐちゅぐちゅとやらしい音を立てる女の口は、まさに女陰だった。やらしくねぶる粘膜だった。 志貴は喘ぐ。苦しい。息が出来ないぐらい苦しい。なのに犯し続ける。腰をふり続ける。躰の中で荒れ狂う情欲を押さえつけながら、姉の口に突っ込み続ける。 この淫欲で歪んだ一子の顔が自分の白濁した粘液で穢れると思うと、身震いしてしまう。胎内わ汚すだけでなく、その表面を、姉というものを犯してしまう背徳感に、身をよじらせてしまう。 「……いくよ……いくよ……イチゴさん……いくよ……」 腰がガクガクと震えながらも、志貴はまた口にねじ込んでやる。そしてまた出てくる熱い精汁を口の中に注ぎ込んでやる。ドロドロのヤツを姉の口に、望み通りに吐き出してやる。 ごくり、と喉が鳴った。姉が穢れた牡汁を飲みほしていると思うと、ゾクゾクした。あの粘着いた精液をおいしそうに飲んでいく。 「……まだ濃いんだな……有間のは……」 とたん、シャワーが止まった。今までたりを包み込んでいた激しい水音は消え、静寂が戻る。聞こえるのはふたりの荒い吐息だけ。そして漂うやらしい性臭。求め合う牡と牝の爛れた匂いだけが充満していた。 |
◆ ふたりはシャワーで濡れた躰のまま、車の中にいた。一子が海にくるためにレンタカーで借りてきたワンボックスタイプ。浜辺の片隅の駐車場にとめた車の狭い座席の中で、シートが汚れるのもかまわず互いの躰をまさぐりあっていた。 水着ははだけたまま、躰をさすりあう。激しい衝動に後押しされているのに、この狭い場所では自由に互いの躰をいじることができない。そのまどろっこしさが、さらに昂ぶらせる。 クーラーはついてない。エンジンを回さないとバッテリーがあがるかも知れないからだ。窓も閉めたまま。熱い蒸した密室の中で、ふたりは汗まみれのまま互いの躰を弄り合う。 一子はホルダーを外し、胸を晒している。鎖骨の線が色っぽく目に映り、その下にある形がよい乳房を志貴が掴み、弄っていた。 それにまけじに志貴は胸を鷲掴みにする。そのぷるんとしている脂肪の塊がぬらぬらやらしく、その弾力に息をもらしてしまう。そのままぎゅっと力強く揉む。指の間から白い柔肉がはみでるほど。指が食い込むほど柔らかいのに芯があって、そのままずっと揉み続けたい衝動に駆られた。 「……ふふ」 一子の顔を盗み見る。惨く興奮しているのか耳まで赤く染まっていた。瞳は淫水のようがそこに溢れ出ているかのように潤み、いやらしく志貴の股間を凝視していた。ぷるんとした桜色の唇が歓喜に震えており、甘い吐息を吐き出していた。 一子の手は海パンの間に滑り込み、直接握ってしごき始めていた。熱心に指を絡め、志貴の官能を煽る。裏スジを指の腹でこすり、カリを撫でる。そうすると逸物は愛撫をねだるかのようにしゃくりあげた。 志貴は今度は胸を指先で撫でるように愛撫する。白い肌がいやらしく朱色にそまった乳房をそっとくすぐるかのように撫で、しこった乳首のまわりをぐにっと押す。しかしたかぶった牝躰にはそれだけでも感じてしまうのか、躰を揺すって反応する。その反応が楽しくて、五本の指の先だけで虐めてしまう。そのやらしくとがった胸を虐めてしまう。 「……そんな……やらしい……触り方なんて……するな……」 一子は呻いてしまう。一度ついた官能の炎が躰の中で燃えさかっている。なのに、その火を煽るかのように嬲られるだけ。 「――――どうしてほしい?」 志貴のそんな惨い態度を、弟のくせに、と心の中で罵る。しかし黒縁眼鏡の奥の瞳は、酷く傲慢そうな牡の瞳。牝を従わせることが許される、傲慢ともいえる牡の瞳だった。 志貴は邪魔なサイドブレーキをよけながら、哀願する一子の胸に顔を寄せる。そして舌でその紅く尖った先をぺろりと舐めた。同時に手が一子の秘所へと伸びる。愛液で濡れた水着をずらすと、いきなり肉の谷間を撫でた。 志貴は指でオンナを嬲りながら、胸も責める。乳首を口に含むと頬をすぼめて強く跡が残るぐらい吸う。吸いながら舌先でそこをチロチロと舐めてやる。 淫裂を這いまわる指は蕩けた蜜壺に入り込み、そこにある淫蜜を掻き出すかのように動かす。挿れると淫肉がねぶるかのように吸い付いてくる。その濡れたトロトロの媚肉が指をあたかも肉棒かのようにきゅきゅっと締め付けてくる。そこを擦り、抉り、擽る。そのたびに一子は、あっあっと苦しそうな切ない声をあげて、喘いだ。 空いている手は一子の髪を撫で、そのまま下におりていく。耳をくすぐり、耳の中のすじを撫でてやる。それだけでこの赤毛の姉は切なそうに見つめてくる。そんな目が見たくて、さらに指で弄ってしまう。うなじをそっと撫で、綺麗な顎のラインを撫でる。そしてそのままふっくらとした唇に触れる。とたん、呑み込まれた。そのピンク色をしたてらてらした口唇がひらき、呑み込んでいく。柔らかい口唇の肉で柔らかく挟まれ、その熱い口の中で軟体生物のような舌がやらしく絡みついてくる。 一子はそれがとても嬉しそうにうっとりと目を閉じながら、指をねぶる。荒い息が手の甲の産毛をくすぐる。感じきったやらしいオンナの口から指を引き抜こうとすると、させまいと強く吸われた。吸われ呑み込まれる感覚に指先が痺れながら、口の中をまさぐっていく。 一子はいやらしいオンナの貌を晒したまま、指に奉仕する。唇で甘噛みし、男の官能をかき立てようと、なめ回す。口の中のぬくもりに、その絡みつくザラついた舌に、柔らかい唇に、べとべとな唾液に、指がとろけているよう。 それに負けないように、志貴は姉の乳房を責め立てる。その張りのある乳房に吸い付く。ちゅっと吸い、キスマークをつける。その鬱血した赤い跡の横にまた吸い付く。その吸い付くような柔肉に、志貴の印を残していく。 あさましい痴態をみせ、媚びるように躰をくねらせる一子のシートに志貴は移動する。途中にあるサイドブレーキとギアを乗り越えて、さらに密着する。汗をかいた肌同士が触れ合い、吸い付く。動くことなど出来ない隙間に寄り添う。 長く鼻にかかった悲鳴にも似た牝の喘ぎが、狭い車内に木霊するかのように響く。粘着いた吐息が志貴の耳を甘くくすぐる。 一子はたまらないようにイヤイヤと首を振りながら、抱きしめてくる。一子の足が跳ね上がり、ボンネットに当たり、クマを大きく揺らす。それさえも快楽になる。こんな狭く暑苦しい場所で密着しきって互いの躰を貪り合うことを意識させられて、高ぶってしまう。 組み敷いた下で、有間ぁ、と甘く啼く姉。吸い付く肌ざわり、体温、息づかいが交わっていく。ただ牡と牝の獣が飢えにまかせて、貪り合っていく。 「……あぁ……うんん……っはあぁぁぁ……」 どちらが貪っているのか、どちらが喰われているのかわからない。ただまぐわう猥褻な情念だけがあった。 こんな狭いところで腰は大きく動かせない。動かすとボンネットに腰があたって痛い。だから腰を回す。押しつけて回し、少し引き抜いて今度は逆回しと、ただこの甘い啼き声を引きずり出したくて、この顔を快楽に歪ませたくて、志貴は貫き続けた。 まだ味わいたいと、この淫らな空間のまま酔いしれていたいと、志貴はひたすら我慢して牝を犯し続ける。 濡れぼそった膣に何度も肉欲を突き立てる。貫き、こね回し、ゆすってやる。恥骨があたるぐらいこすりつけると、一子は感極まった声を上げる。車がギシギシと揺れるのがわかる。 一子は眉が歪み、眉間にしわを刻み、泣きそうに顔をしかめる。すがるような目で見つめてくる。なのに、唇だけ笑った。歓喜の笑みと泣き出しそうな歪んだ顔とすがるような目、そして甘く啼く声。そんな淫蕩な貌に志貴はずふずぶと官能の蜜に溺れていくのを感じた。 苦しいほど熱かった。暑いではなく、熱い。この密室の暑さよりもなお熱い滾るものが躰の中で暴れ狂う。逃げ出す一点を求めて、荒れ狂って、志貴の躰を壊さんばかりに動き回る。その凶暴な衝動に突き動かれていく。 「……いい……ああ…………いい……いい……いいぃ……」 あさましい劣情に突き動かされて、牝躰を貪る。それに答えるように淫裂はさらに広がり、さらに志貴のを。奥へ奥へと呑み込んでいく。入れるときはあっさりと入るのに、抜こうとするとでっぱったところに擦れていく。そのたびにじんじんとした疼きが駆け抜ける。それが荒れ狂う衝動をさらに危険にさせていく。 頬を朱で染め、一子はこれ以上なく乱れた。密接した肌と感触が狂わせていく。汗と腺液と愛液と牡と牝のがまじりあったやらしい肉欲の匂いで溺れていくよう。 止められない。止めようもない。ただこの媚肉を。このしにやかな躰を。泣きわめく牝を。ただ――――貪り続けた。 そしてさらに押し込む。無理矢理ねじ込む。この肉の谷を強引に貫く。 「……有間ぁ……」 躰の中に精がまき散らされる熱い悦びに、一子は絶頂を迎えた。尾を引くすすり泣くような嬌声を喉から迸らせる。シートに躰を押しつけ、志貴に胸をおしつけるかのように反らせた。たてた爪が肌に食い込み、目がとろんと焦点を失い、至福に酔い痴れているのがわかる。 身体の中で暴れ狂った滾ったものをすべて何もかも、牝躰に注ぎ込む。全てを吐き出したという快楽めいた虚脱感に志貴は包まれ、荒い息と汗で濡れた柔肌の上に力なく覆い被さった。 |
◆ 車内は熱く粘ついた荒い息と激しい鼓動と官能の残滓だけが満ちていた。残滓を舐めるかのようにふたりは余韻に酔いしれていた。 そんな中に紫煙が立ちのぼる。 チラリと一子は志貴を見る。めじりがほのかに朱色に染まり、全身に官能の余韻をまとわりつかせていて、なんとも艶めかしく色っぽい。そんな貌のまま、うまそうに煙草を吸っていた。 淫蕩な昼はまもなく終わる。けれど熟し切って爛れた淫虐の夜はまだまだこれから始まるのであった。 “淫虐な夜”はかきません これにて、おしまい あとがき 夏祭りがなぜかアルクと朱い月ばっかりなので、ここは別のキャラで! と思って書き上げたのは、なーぜーかー乾一子さんです。歌月十夜にチラリとしか出てこない一子さんってなぜ!? とか思う方もいらっしゃると思いますが、それはそれ(爆) で、長くてゴメンなさい。ほんとうにただ長くてゴメンなさい。ただただエッチシーンが続くというのを書いてみたかったんです。エロに徹してみたかったんですよ。で、続けたかったら続けられるんのですけど、まずはこれでおしまいなのです(笑) わたしもどこで終わらしていいのかわからなくなってしまうほど長くなってしまいました。 続きは頭の中で創造してください。ちなみに予定(爆)だと車を走らせながらいじりあいがあって、玄関先であって、風呂場であって、食事しながらがあって、ベットの上があって、そんでもってそのまま庭先で、と果てなく妄想(爆)しています(笑) 書いている途中で色々と指摘されそこを意識した結果、前編と後編とで書き方を(ほんの少しだけ)変えてみました。そのため全体的な統一感は失われています。お許し下さい。でも逆にいろんな一子さんが書けた気がします――――怪我の功名? ちなみに、一子さんが車の免許をもっているのかどうかは公式では不明です。そして真夏に締め切った車内でこんなことをすると熱中症で死亡することもあるのでやめましょう(苦笑) それでは、また別のSSでお会いしましょうね。 |