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【東京】

児童虐待 台東でトークイベント 視野広げ考える

児童虐待について語り合う杉山春さん(左)と高橋亜美さん(中)=台東区で

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 児童虐待を考えるトークイベントが12日夜、台東区の書店「Readin’ Writin’(リーディン・ライティン)」(寿2)で開かれた。児童養護施設などの退所者のアフターケア相談所「ゆずりは」(国分寺市)の高橋亜美所長と、「ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件」などの著書があるルポライターの杉山春さんが対談した。社会の生きづらさ、加害者である親の孤立など、広い視野で虐待問題を語り合った。 (井上幸一)

 目黒区で昨年起きた女児(5つ)の虐待死事件を巡る高橋さんの著書刊行を受けた企画。千葉県野田市で小学四年生の女児(10)が自宅浴室で死亡、父親による日常的な虐待が疑われる事件が先月発覚した。はからずも時事的なテーマとなり、会場を埋めた約四十人が熱心に二人の話に耳を傾けた。

 虐待をしてしまう母親の回復プログラムを実践する高橋さんは、その参加者の特徴を「いろいろな情報がある中で、母親はこうあるべきだと、真面目に思い込んでしまっている」と語り、虐待の背景の一つに、心に「よろい」をしている親の状況があると分析。「自分の気持ちを伝えることができれば、心がほどけていく」と語った。

 杉山さんは、目黒、野田の事件とも、父親の男性が関与している状況に言及した。「ひどい人だと思うが、この社会からこぼれてはまずいという、お父さんの苦しさを感じる。もっと早い段階で、向き合う人がいれば」と指摘。

 モンスター化した人を排除せず、その怒りを共同体の中に取り込み、回復させる取り組みの大事さを強調。「SOSを出しても大丈夫というメッセージを伝えていかなくては」とした。

 

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