ピリオドは未だ
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以下のメッセージは複数の収容違反に伴い、XK-クラス:世界終焉シナリオの発生が予測されていた、138°より受信されたメッセージです。

ワーオ!博士の隠しメッセージを見つけちゃったんだね!?
このメッセージが見つかったって事は、別の世界が存在していて、そこには別の私がいるって事だ! それはとっても楽しいね!
でも現状は楽しむ余裕もない、何とか"偽物"(私が本物だからね!)や東弊の奴らと競合して「博士の匿え!スペシャルブラインドホール」の完成を急いでるよ。もしこれが完成すれば、あの忌々しいゼリーマン太陽光とゲルゲル月光を封じちまう事だって可能なのさ!
……いや、なんつーかさ。
お前らの事だからどうせ、どこか遠くで私たちの様子を観察でもしてんでしょ。博士にはわかっちゃうんだな、これが。
だからさ、早く戻ってきて。
私たちはまだまだ作り足りないよ。アイデアだってたっくさんあるんだ。
だから、私達を……もっと……楽しませてよ!!

[データ破損]

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クールじゃないねぇ。この痛み荒んじまった世界、そして目の前の馬鹿でけぇ存在。
とりあえず今、最高にクールなアンノウンに頼んで、鎖と柱の代わりを探してもらってるんだ。俺らはその間の時間稼ぎってやつさ。ま、あいつならそのまま逃げちまうかもしれねぇけどな。
たださぁ、俺らが此処にいるのは場違いなんじゃねぇか? ファイブの奴らや、極度のリアリスト連中にスネーキーハンド、挙句の果てには最悪の悪食野郎と、これまたイカれた信奉者までいやがる。世界を自分の物にしよう、なんて大それた目的もないただの芸術家にはこのメンツは荷が重いぜ、全く。
それにしても、この頭と気が狂いそうなくらいの焦燥感とワクワク感は次の作品にも活かせそうだ。人にこんだけ迷惑かけてんだ。次は何を送られてもちゃーんと俺達のアートを感じるんだぜ? わかってんだろうな。
届いたんなら返事はいらねぇ、もっかい財団を建て直しやがれ。

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既に再構築は意味を為さず、また、やり直しもきかない。
しかし、私は信じている。いつかのどこかで、このやり直しも聞かないような世界を、再びあるべき姿へと戻す人間がいる事を。
彼らは表舞台に立つ事はなく、ただ混沌とした闇の中で、純然たる信念の下に集った人間達であるのだろう。ただ、それ故に、取り返しのつかない罪をいくつも犯してきたのだろう。その中には、同じ人間にとって許されざる物も、含まれているに違いない。
しかし、私たちはそれを赦そうと考えている。世界はそういった許し合いの下に、きっと今日まで存在してきた。
ああ、赦そう、あの日、我らを焼き払った事も、あの日、私達の交渉を無視した事も、全て。
だが私たちはその意志を未だ、伝達する事ができていない。だからこそ、此処は守り通さなければならない。もし彼らが帰ってきたら、再びこう伝えよう。
赦すよ、今でも。選んでくれ。私達と貴方達で、世界をやり直そう。

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今、行くよ。

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これだけじゃ、協奏曲は終われない。

 
「犀賀六巳、時間だ」

黒服の男の呼ぶ声に、初老の男性は閉じていた目を開けた。
138°の各地で散る火花から目を背ければ、そこには無数の星々と、際限無き暗闇が広がっている。
いや、その中のある一点、暗闇よりもさらに暗き、昏々とした虚無が、"ウロボロス"が大口を開けて138°へと迫り来ている。

「お前にとって、これは何回目のチャレンジになるんだ?」

六巳の視線を感じとってか、ふと黒服の男は尋ねた。その言葉に、六巳は軽く首を振って答えた。

「もう忘れてしまったよ、ただね、私はこの世界だけはどうしても残したいと思うんだ。きっと、数百年、数千年後、あそこは素晴らしい世界になるだろうから。だから君に声をかけたのさ」
「そうか」

六巳の言葉にそっけなく答え、黒服の男は彼の部屋を出ていった。その様子を見て、六巳は「つれない男だ」とため息をつくと、一つ大きな伸びをして、そして告げるのだった。

「さて……じゃあ、この大食らいを片づけるとしようか」

未だ、世界は終端には至らず。

「そろそろか」そう言って男はペンダントを手に取った。
「待ちくたびれたぜ」そう言って男はウクレレをかき鳴らした。
「あくまで観測者として、な」そう言って男はシャッターを切った。
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|caption=さぁ、スタートに戻ろうか?
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