誠一郎単騎逃げV G1 2勝目「熊本再開まで頑張る」 全日本選抜 【別府】
別府競輪での初のG1開催となった「第34回全日本選抜競輪」は11日、第12Rで4日間の戦いを締めくくる決勝が行われ、単騎戦の中川誠一郎(39)=熊本・85期・S1=が逃げ切って優勝を飾った。中川は、2016年5月の日本選手権(ダービー)以来2度目のG1制覇。優勝賞金2990万円とともに、KEIRINグランプリ(12月30日、立川)出場権を誰よりも早く手にした。4日間の総売上額は約83億円だった(目標95億円)。
■ヒーロー
平成最後の、そして別府競輪で初開催となるG1を制したのは九州勢から唯一、決勝戦に駒を進めていた中川誠一郎だった。「ファンの声援がすごかったし、優勝できて本当にうれしい。グランプリ出場のチケットを一番乗りで手に入れたし、(GP争いは)高みの見物をしたい」。まさに破顔“一勝”。ジョークを交えながら最高のスマイルでよろこびを爆発させた。
勝ち方がとにかく強かった。ラインのない単騎戦で4番手外並走。普通の選手なら完全に終わっている展開だが、ロンドン、リオ五輪に出場したオリンピアン・中川は脚力が違った。「(和田)真久留君と併走になったし、とにかく見せ場だけはつくろうと思って行ってみた。(2角、3角と先頭で通過して)まだ誰も来ないでくれと思いながら走っていたけど、4角を回ってからは欲が出ましたね(笑)」。2番手にはまって追い掛ける吉沢、ゴール前で強襲する佐藤をこん身の粘り込みで退けた。「G1は2度取って本物って言われていたし、やっと1人前になれたかな」
地元バンクは熊本地震の影響で休止中。再開予定は2021年12月ごろとかなり先の話だが“誠一郎劇場”のロングランを約束する。「(約2年半前に)ダービーを取ってから骨折などがあったし、精神的にすさんだ時期もあった。でも熊本で走るまでが復興と言ってきたから、それまでは上(の脚力)で維持できるように頑張ります」。前代未聞といえる『単騎で逃げ切りG1優勝』を決めた中川の競輪人生は、これからが本番かもしれない。 (森川)
◆中川誠一郎(なかがわ・せいいちろう)1979年6月7日生まれの39歳。熊本市出身、私立真和高卒。2000年8月、85期でデビュー。通算成績は1426走で422勝、優勝47回(うちG12回=16年5月日本選手権、19年2月全日本選抜)。通算取得賞金は5億9775万3655円。師匠はいとこで選手の瀬口慶一郎(77期)。妹はガールズ選手の中川諒子(102期)。自転車競技で12年ロンドン五輪、16年リオ五輪出場。174センチ、78キロ、AB型。
【決勝VTR】
武田がSを取り、吉沢-武田-佐藤が前受け。中川、松浦-香川-小倉、和田、吉田が続いて周回。吉田のイン切りなどで6番手に下げていた吉沢が赤板3角から抑え先行。9番手の中川は吉沢ラインを追ったが、吉沢の4番手に和田が入り、3角では中川は和田の外に浮く。吉沢の鐘4スパートとほぼ同時に、中川も吉沢を追って単騎ガマシ。中川は終1角で先頭に立つと、吉沢と2車身の差を保って4角へ。吉沢の追い込みは届かず、4角で内を進んだ佐藤が2着。松浦はBS6番手捲りが不発に終わる。
=2019/02/13付 西日本スポーツ=