与田竜に最初の得点をもたらしたのは「9番・二塁」で先発出場した亀沢。3回1死で2ボールからの3球目を振り抜くと、会心の一撃が右中間のフェンスを越えた。今年のチーム初本塁打に「出来過ぎといえば出来過ぎですね」とうれしそうだった。
ただ、ベース一周は本塁打に似つかわしくないほどの速いスピードで回った。昨季までのプロ7年間で通算2本塁打。「僕はアーチストじゃないのでね」。そんな思いもあったのか、ゆっくりと回ることはしなかった。
この一発を与田監督は高く評価した。「あの打席は(初球が)顔の付近に来て一瞬ヒヤリとしたが、そこであれだけの強いスイングをした。気持ちの面で負けてなかった。亀沢にはパンチ力があるのだから、もっと振っていけばと練習から言っていた」
こんな褒め言葉を伝えられても、亀沢は「僕は飛ばす打者じゃない。右中間、左中間へライナーで飛ばすことを心掛けます」と足元を見つめていた。 (井上洋一)