行って実感、見て納得 食の工場探訪
高政 万石の里(たかまさまんごくのさと)
地産地消を柱に女川町の復興を支えるかまぼこ工場
今、工場見学がブームです。 個人でも見学できる工場や見学館の中から、食に関わる身近な製品が製造される現場を紹介していきます。 |
入口を入ると明るい店内で、店員が笑顔で出迎えてくれた 高政 万石の里 宮城県牡鹿郡女川町浦宿浜字浜田21 TEL.0225-53-5411 見学時間:8:30~18:00 所要時間:「笹かま焼き」体験を含め、約30分 休館日:不定休 http://www.takamasa.net/mangoku.php ※)グループ見学で案内を希望する場合には事前に電話で予約してください。 なお、東日本大震災の影響で、石巻~女川駅間の上下線で終日運転を見合わせていますが、同区間でバス代行輸送が実施されています。詳細は問い合わせを。 窓越しに作業を見学する通路 見学通路は土足厳禁。さらに埃を持ち込まないように粘着マットが置かれている 企画部長を務める高政4代目の高橋正樹さんが製造ラインの説明をしてくれた 魚のすり身を作るのにかつて使っていた石臼が展示されていた 地元ではおやつ代わりに食べるという「揚げかま焼き」。原料の魚や製造方法が説明されている 商品は同社ホームページのオンラインショップでも購入できる ※このページについて 高の字は地図中にあるようにはしごだかが正式表記ですが、OSやインターネット環境により正しく表示されない可能性があるため、テキスト中では「高政」の表記でご紹介しています。 | 二酸化炭素排出ゼロをめざした新工場 株式会社高政は宮城県牡鹿郡女川町(おしかぐんおながわちょう)に拠点を置く水産加工品メーカーで、宮城県の名産品である笹かまぼこや揚げかまぼこなどの魚肉練り製品の製造・販売を行っている。今回訪ねた「万石の里」は、同社の万石工場に併設された見学コース付きの店舗だ。万石の里がオープンしたのは、東日本大震災から半年後の平成23年9月である。万石工場と店舗を新たに建設している最中に東日本大震災が発生。当時はまだ鉄骨の柱が建ったばかりの状態で、しかも敷地が高台にあったため、津波の被害や倒壊を免れた。そこで、やはり被災を免れた隣接する旧工場を早期に再開し、仕入れられる限りの材料を仕入れてかまぼこを作り、避難所に届け続けたという。 万石工場は業界初のオール電化で、屋根には太陽光発電パネルが設置されている。また、揚げかまぼこ製造ラインから発生する油煙は、アクアフィルターを設置して除去するなど、環境への負荷低減を柱に設計された。 地域の復旧・復興に貢献するために この万石工場で見学できるのは、すり身からかまぼこになる工程だ。通路から窓越しに、笹かまぼこが整然と流れてくる様子や焼きあがって窯から出てくる様子などを見ることができる。高政の笹かまぼこには、主な原料となる魚の名前がついた「吉次(きちじ)」と「石持(いしもち)」の2種類がある。魚市場で厳選して仕入れた、それぞれの魚肉の特徴が生きるように練り加減や塩加減などを微調整し、焼きあげ方も変えているそうだ。 高政では地元の復旧・復興を支援するために、被災した女川町の同業4社に旧工場を貸し出しているほか、仕事を失った地元の人たちを80名ほど新たに雇用した。また、食品放射能測定システムを導入し、自社の原料や製品だけでなく、女川魚市場で水揚げされた魚や水産加工製品など、依頼を受けたものはすべて、無料で毎日検査している。
がんばっぺ女川! 負けねーど宮城!
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Photo:Shinjirou Yoshioka