誠一郎 踏み切る 九州王国再興へ

 準決10Rに出走した中川誠一郎が、見事1着。優勝した2016年5月静岡ダービー以来のG1優出だ。九州でのG1決勝を、他地区だけに明け渡すわけにはいかなかった。9人が出場した九州勢だったが、準決に進んだのは中川だけ。「そこまで責任感はないんですが、結果的に果たせた感じになって良かった」と満足げな笑顔を見せた。

 2年9カ月ぶり3度目のG1決勝。その間、8度の準決で全て3着までに届かなかった。苦しい時期もあっただけに、「結構長かった。久しぶりに乗れました」と素直に喜んだ。また、別府バンクには「良かったことがない」という印象だったが、G1では初の準決1着で苦手意識を覆した。

 2日目まではレースへの自己評価が微妙だったが、準決では最高の動きを見せた。打鐘前、渡辺雄太が率いる南関3車が踏み上げ先行。関東2車、京都2車が続き、中川は8番手。隊列が落ち着いたと思われた終HSで、中川は早めの仕掛けに出た。「レース前から、緩んでいたらホームで行かないと届かないなと思っていた」。持ち前の強烈ダッシュで、2角先頭。「バックでは余裕があった。でも4角で『乗れる!』と思ったら力が入り過ぎて、脚がいっぱいになった」と言うが、上がりタイムは11秒4。誰も追いつけるはずはなかった。

 そしていよいよ、平成最後のG1決勝。平成最初のG1(1989年3月花月園ダービー)は福岡・小川博美(引退)のVだった。中野浩一、井上茂徳、佐々木昭彦、吉岡稔真、加倉正義らが九州王国を築いた時代を、誠一郎が締めくくる。

 ◆中川誠一郎 最終HSくらいから仕掛けるつもりでいたから、前が流していたところで動けました。前2日間は不完全燃焼だったので力を出せて良かった。(決勝の作戦は)考えたけど一人でやります。

=2019/02/11付 西日本スポーツ=