は,怪しさ満載の歴史だった.


MBD2がDNAの脱メチル化酵素だとかいうのもあったし,MBD4が脱メチル化酵素だとかあったけれども,2009年のTETで落ち着いているけれども,それでもいろいろ疑問は残る.

Kmがかなり低い.1 μMってのは,CXXCなみのもの.
制限酵素なんかは1桁nMなので,1000倍.
あとKcatも in vitroだからというのがあっても非常に遅い.
(遅い酵素は結構できることが限られてしまう...

弱酸性で活性が高い.Ferrusを使うからとは言え,lower pHはDNAにとってあまり良くない.切れるから.なんとか刺激細胞とか笑っちゃうわ...

低pHではガン化が起こりにくいというのもおかしな話.切られるとNHEJが起こるわけで全く脈略のない子供騙しの話.かつ,化学を得意とされていたとか...








どっかのレビューにも書いたと思うのだけれども,
炭素原子についているメチル化と窒素原子についているメチル化とでは反応性が違って,ハイドロキシ化させると自然と窒素の方では脱メチル化が行われてしまう.

ヒストンライシンの脱メチル化酵素なんかはこっち.
もともとLSD1の件があって,,,というもの.
これらは全てDSBHをもつので,構造的にDSBHを持つということはオッズが低いのであまり面白くない.基質をどのように認識するか?の一択が構造解析に求められていた.ストーリー,リバトルの内容まで綺麗に中国のグループにぱくられた.彼らは僕らの原稿を不正に入手して論文を出した.かつ内部告発メールまで受け取った.ほんと呆れる...




DNAメチル化は1975年に発見されて,メチル化酵素が1992年ぐらいに発見されていたのだけれども,脱メチル化酵素は見つかっていなかったという歴史的な背景があった.




MBD4自体は1999年のNatureに発表されて,メチル化結合ドメインと,GT mismatch glycosylaseドメインを持つことが報告された.

MBD4が脱メチル化酵素と言われていたのはまさしくグライコシレースドメインを持つためで,ニワトリのMBD4で5mCの活性があると報告されたのが2000年のNAR.


不思議なことにTDGには5mCを切断するなんて噂すら聞いていない.し,加藤グループもそれに乗ってこなかった.



おそらく,MBD4の脱メチル化活性はプローブDNAの合成過程のimpurityを検出して騒いでいたのだろう.他にも1本,不思議なことに今となっては追試できるわけがないはずのものが,追試され再現されていた.


が,2002年のScienceでノックアウトマウスでは若干C->Tのmutationが増えているだけというあまり期待の薄い結果でそれで終わりかのように思われた.


ちなみにTDGはembryonic lethal


それでも,εCを切断するとか,もう詐欺的なもの?おそらくこれもimpurityを検出したりするものまで.

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バンドらしきものが見えるけれども,それはほんとのほんとに,εC由来???ということに答えられないわけで,詐欺的だわな.


APE(AP endonuclease)を加えてなので,こんなのがイプシロンCに活性があるとは,平常心では言えない.よっぽど血迷っていたのか?という感じかつ,それが一人歩きしている.

レビューを書くときに論文を読んだか?そう書いてあるから,そう書いているだけ???というレベルの低い...一度書かれたことを訂正するのは相当難しい.あとは推して知るべしということになる...




Turn-overしない(つまりみかけのKoffが遅すぎるので,turn-overしない酵素にKcatなんて概念はない.)これらのDNA修復酵素にAPEを加えると,APEがAP siteに強く結合するので,glycosylase domainが乖離することで,見かけ上,turn-overする.

さらにcatalytic residueとしてAspを使っているので,lower pHで活性が下がるのに,彼らは下がっていなかったり,60℃でもまだまだ活性があるって本当かよ?ってな感じ...
Superdex 200 PC 3.2/30を使っているって,どんなけ微量???ってな感じ.



AID/MBD4/Gaddの合わせ技であったり(Cell)まぁ,なんともどこまで信じたらいいのやら...


時期的にはTETの論文が6月ごろScienceに出て,という背景.

そして2009年にNatureに,加藤グループからリン酸化すると5mCの活性が上がるという捏造論文が出たけれども,あのメガコリゲはなんだったんだ?という感じ.
ご丁寧にTDGは5mCを塩基除去しないというデータまで...これはレビューアーが要求したものだろう.この実験の意味は非常に大きい.


これを機に,追試ができないという問題がいろいろ出ていた.し,僕も追試できないことを論文に出している2012a NAR


2012年に(実際にわかったのは2011年の10月),僕が構造をみて,メチル化を絶対に塩基除去しないというメカニズムを明らかにした.εCはやっていないけれども,あれも無理.






以前総括したと思うのだけれども,
これらの全てのbiochemistryがグダグダな点.


これは2000年の時点でturn overしない酵素.ということがわかっていた.
彼らは酵素活性速度も計算してこなかった.


最初から活性速度を調べていたらそんなことはならなかっただろう.

non-turn over enzymeの反応は酵素の量を基質の10倍以上加えることで,ほぼ完全に基質を反応させること.

1:1で混ぜれば,半分ぐらいは反応しない.
フリーの酵素の濃度が低くなるので,基質に結合できなくなるので.Kdは20 nMぐらいだったけれども.


なので[E]>>>[S]の状態でタイムコースを取ることが必要で,ある1点の時間のポイントで活性がある,ないというのを判断するのは間違いの元になる.



biochemistが乗り出して,この辺をきっちり抑えられていれば,それで終わりだったわけだわ.
なぜ,メチル化Cを塩基除去できないのか?という質問には答えられないけれども.その答えはmutantをつかった基質複合体の構造解析を見れば一瞬で答えが出た.


5%のimpurityがあったとしても,最初の2000年のNARで,コントロールとなるG:T, G:Uで90%以上切れるという結果を示せず,ちょろっとあればそれで活性とみなす,biochemistがやらない方式でOKとするから問題になるわけ.



最初の2000年のNARの論文で何が起こっていたはわからないけれども,






表面的なフェのタイプを追っているだけではダメで,因果関係をbiochemistryで明らかにしていくというのが必要なはずだけれども,


こういったbiochemistryは概して,評価が低い.
はやりの技術じゃないし.


本当に低い.
それはopen questionでしょ?ということになる.
アプローチの仕方も,なにをするわけでもないtraditionalなbiochemと結晶構造解析でしょ?



ということになるらしい.
とはいうもののほぼ完璧に15年間のアーギューを綺麗に答えることが出来た.

細かいことを言えば,そこに至る技術的な問題を克服する必要もあったわけで,2003年(jbc)には出来なかったことをやっている.

こういう技術はon-demandなので,問題点が理解できないとってことになる.
(ちなみにこのプロジェクトは2011年の8月から初めて12月までの4ヶ月での仕事で,いろいろあったのでpublishまでに時間がかかってしまった.)




個人的には面白いと思って色々やっているわけで,因果関係を明らかにしないまま,表面だけ追っていれば痛い目にあうよということ.

ケン先生もヴィクター先生もbiochemistとしていろいろ評価してくれている.
ま,それぐらいで十分と言えばそうかもな.





基本biochemistryは間違っている度はかなり低い.

CTCFがnucleosomeに結合するとかいうのもノンスペだろうし,ヌクレオソームがなんとかのenzymeだというのも何か(金属?)のコンタミだろう.

こういうのはCellによく出る.natureには出ない.が,加藤茂明氏のあの論文もnatureだったわけだったわけだし.
そのへんがくだらないってところになるし,そういうので賞を決めるのもな...ってことになる.

個人的な印象ではCellのエディターはあまり倫理観が高くないように思わせる論文が結構ある.