その5:さらに東の村へ行く
 

 ディリは小さな街で、1時間足らずでひと回りできてしまいます。そこで、バウカウ街道を東に向かい、東ティモール(東チモール)の東部、つまり「ティモール・ティモール・ティモール」の農村の様子を見にいきました。

 まずは三菱製の市内バスに乗って、東ターミナルへ。運賃は500ルピア(約8円)です。

 15分ほどでターミナルに到着。東チモール第二の都市・バウカウなどへ行くバスはここから出ているのですが、敷地は広いのにバスはほとんどいません。日差しが強くて、バスを待つのもしんどいです。

 三菱製のミニバスがやって来ました。でも、これは市内へ行く車…。

 トヨタ製のピックアップ・トラックを改造したようなミニバスも来ました。これも市内へ行く車…。そういや、香港のミニバスも、いつの間にか日産やいすゞの車は淘汰されて、三菱とトヨタの天下です。

 やっと東へ向かうトラック改造のミニバスが来ました。ガラガラだったので、これ幸いと助手席に乗り込みます。運転手さんはミュージックテープを鳴らして、大声で歌いながら運転していました。

 これが車内。客は他に1人だけ。客は降りた後、いったん運転席まで行って料金を手渡す仕組みです。タイの農村部にも、これと同じような交通手段が多いですね。
 途中の峠ではインドネシア軍が検問をやっていました。対象となったのは私だけ(笑)。パスポートを調べられ「ジャーナリスト? アサヒ? ヨミウリ?」。もう面倒臭くなったので「イエス」と言ってしまいましたが、まぁ、少なくともアサヒやヨミウリに原稿書いたこともあるからウソじゃないですよね(笑)。
 ジャーナリストということになっても、別に面倒なことはなく、軍官の対応はよかったです。「ジャーナリストは独立派ばかりをヒイキしている」と、残留派民兵がジャーナリスト殺害を予告したりしてましたが、国連がいるおかげで軍は報道陣に手荒な真似はできなかったのでしょう。

 山の中を1時間ほど走って、どこかの村に着きました。バナナ畑の中に、わらぶき屋根の農家が点在しています。なんとなく、ひと昔前の日本の農家の屋根に似ていて、懐かしいですね。西ティモールの山の民家よりは、少し立派な家が多かったようです。

 道路旗でミニバスを待っていた家族連れ。子供たちもおめかしをして、一家でディリまで買い物に行くのでしょうか。

 村の主な建物は、学校と教会と軍の駐屯地。なかでも教会は、辺鄙な村でもやたらと立派です。私としては、その金を使ってもっと生活の基盤整備を進めた方が、確実に幸せになれると思うのですが…。ま、ヒガチモでカトリック教会は独立派を側面から支える役割を果たし、民衆の信頼を集めていたのですが、そういや昔のエラい人の言葉で、「宗教はアヘン」だなんてのもありましたね。

その6:村の市場を覗く

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