FGOのマスターの一人 作:sognathus
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時にはハードな仕事ですが、だからこそカルデアの管理職も実務を担うスタッフのケアは軽んじないわけです。
「えっ、旅行ですか」
「うん。ほら、君まだ消化していない有休大分あるだろう?」
「
「はは、まぁ確かに普通の職場ではないさ。だからこそ有休くらいは取れるときには君には取って欲しい」
「そうですか。それなら有り難く……本当にいいんですか?」
「勿論。というかそんなに申し訳なさそうにしないでくれ。別に此処は日本の会社じゃないぞ?」
カルデアでは定まった公休を予定に組み込み難い分、こうやって上から突然有休を申し渡される時が多々あった。
マスターは前回もこういう形で休みを受け取り、刑部姫と遊びに行った事があるのだが、今回はなんと3日間も頂いた。
(これは有意義に使わないと)
と、マスターは決意を固くするのだった。
(さて、問題はできたら一人でのんびり行きたいところだけど、抑止力か何かの働きのせいで毎回それが叶わない事だよな。なら……)
『誘って無難に過ごせそうな人と約束を取り付けて先に予定を作ってしまえば良い』
と、考えたマスターは早速誰か誘える人はいないかと探すことにした。
(やっぱり誘うなら同性だよな。男同士のほうが気楽に過ごせそうだし)
そう思ってマスターはカルデアの顔見知りの男性スタッフに声を掛けたのだが、皆何故か一様に『嬉しいけど、君と行くと後が何か怖いからな』『喜んで一緒に行ってくれそうな異性がそれなりにいそうなのにそれは愚行』というような反応をして誰も誘いを受けてくれなかった。
(マジか……。まぁマスターだからサーヴァントを自分から誘っても違和感はないけど、できれば普通の人と行きたかった……)
無念に少ししょんぼりしたマスターは先ず黒髭を訪ねた。
客観的には最初の選択からいきなり常識はずれのようにも思えたが、普段からふざけて軽い調子の彼だからこそ友人感覚で過ごせそうな気がしたのだ。
勿論彼の素性の事もあるので、用心は怠らないつもりだった。
そこはダ・ヴィンチやカルデアの監視システムにある程度頼るつもりだった。
しかし誘いたかった当の本人の反応はというと……。
「大変大変申し訳ないのでござるが、拙者、只今
と、何だか妙に回りくどく、かつ妙な言い回しだったが、思いだけは良く伝わる言葉によって残念ながら断られてしまった。
(そうか、今はそういえばその時期だったな)
マスターは日本で毎年行われているあるイベントの事を思い出すとなら仕方ないと納得した。
(となると、まぁ自分から女性に声を掛け難いし、姫は黒髭と同じ状況なのは予想が容易だから、彼女もないな)
「うーん……」
他にも男性サーヴァントは数多く居れど、実際に黒髭ほど軽くコミュニケーションを取っているサーヴァントは実はそんなに多くなかったマスターは悩んだ。
(まぁ自分の迷惑や、当の本人からの迷惑がられないかを気にしなければ作家二人組もありだけど……駄目だ)
そういえば自分がその二人の同人サークルに所属しいたのを思い出したマスターは直ぐにその考えを消した。
いくら彼らから自分の出番は今暫く無いと言われていたとはいえ、言い換えれば彼らは今『仕事』の真っ最中である可能性があるのだ。
そんな中自分が有休を貰ったからと言って軽はずみな態度で遊びに誘いに行くなどあまりにも非常識で失礼な行いと言えた。
「うーん、なら、ならぁ……」
つい悩みが言葉となって出てしまっていた事をマスターは運悪く気付かなかった。
その言葉が逆に運良く
「マスター、何かお悩み事ですか? なら貴方の同盟相手であるこのファラオを先ず頼って頂いて構いませんよ?」
「え?」
声に反応して上げた顔の視線の先には、何か運良く得たものに対してドヤ顔をしていた
久しぶりですが、生きてます。
まだ書く気力はあります。
話の内容的にサーヴァントメインではないので、タイトルはまた非人物名となりました。
なんか最近短編集の括りでなくてもいいかなぁという気もしてきました。