計量皿の大きさも意外と重要なポイント
ロードバイク系のパーツに8kg近いパーツは存在しない。なぜなら8kgはパーツの集合体である完成車の重量だからだ。
そして今後普及するであろうeスポーツバイク系のユニットやバッテリーもどんなに重くても5kgを超えることはない。
ではなぜ8kg用を選んだかというと、スケール自体にある程度の大きさが欲しかったからである。
大きさは横幅17cmで奥行が23cm
色々と比較してみたがこのクラスではサイズが一番大きかった。
キッチン用は省スペース化のためか、みなコンパクトになる傾向が強い。
3kgまでのものであれば、なんとなく小さなスケール台にも載りそうな気はするが、5kgを超えればあまり現実的ではない。
市販のキッチンスケールがなぜ3kgまでかといえば、やはりそういうところに理由があるのだと思う。
左から2kgまで、今回取り寄せた8kgまで、そして体重計と並べてみた。
体重計はコンパクトなタイプではあるが、大きさはほぼ同じ。
大柄なパーツを測定するために計量皿を拡張
ただ計量皿が大きくても本体がフラットでさらに薄型の場合は、バランスが悪く測定物の一部が床と接して正しい計測ができないためちょっとした工作を行う。まずは適当な木の端切れなどで土台を組み立てる。
大きさはスケール裏面の接地する脚の間隔を目安とした。
拡張する計量皿を用意。
今回は100円ショップの収納コンテナのフタをそのまま利用する。
先ほどの土台を両面テープで張り付け、さらにクッション性のあるスポンジテープで脚を作成。
新たな計量皿が完成。
38cm x 27cmに拡大した。
スケール自体に物を載せると勝手に電源がONになり自動校正によってゼロが表示されるのが便利だ。
もちろん「0表示機能」のボタンもあるが、タッチ式のため、押しから校正が終わるまでに少しだけタイムラグがあった。
最大8kgと余力があるので、計量皿自体が多少重くなってしまっても重量オーバーの心配はせずに済む。
実際に計測を行う
このように通常では絶対載せられないような150mmストロークのサスペンションなどの大柄なパーツも測量が可能になった。パーツ同士の重量を比較する以外にも、切削などの軽量化でどの程度削ったのかリアルタイムで知ることができる。
この点は10g~50g単位などの間隔が広いスケールでは不可能だ。
ただし、もしこのアイデアを流用してを動きのあるペットや赤ちゃんなどの体重測定を行えば、1g単位のデジタル表示が仇となり読み取りにくい可能性はある。
気になる計量の精度は?
このキッチンスケールは送料込みで2,000円もしない安価な商品であり、最大8kgまで1g単位で計れる優れものである。しかし、このような優れた商品が本当に存在するかという点には疑問符が付く。
例えば自動車のサスペンション。
街乗りの段差をすべて打ち消すソフトな乗り心地と、サーキットで激しいコーナリングGに耐え好タイムを叩き出す足回りは絶対に両立できない。
この理屈と同じで、1gの入力に機敏に反応できる繊細なスケールのバネが8,000gという大荷重に耐えられるとは到底思えないのだ。
市場に流通している主なキッチンスケールが1kg~2kgまでなのも、最小単位での精度を確保するためであろう。
先ほど述べた「赤ちゃんの体重測定」という用途で「ベビースケール」という商品があり、体重計で有名なタニタなど名前もあるが、やはりどれも最小単位は10g~20g
当初はこれを流用して自転車パーツの重量測定を行おうと考えていたが、この最小単位がネックになり見送った経緯がある。
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他にも最小1g単位をうたう商品もあったが出どころはすべて日本の名の通った企業ではなかった。
この「Uten」ももちろん中国の会社で製造されており、精度については大いに怪しいのは間違いない。
ちなみにパッケージの側面には深セン市の会社が監修し、お隣の中山市の工場で製造されたと書いてあるが、この付近は自転車パーツの生産でも世界的に有名な地域という共通点を持つのが面白い。
まずは手元にあったもので比較計量を行ったところ、両者313gとかなり正確な数値が出た。
この小さいほうのキッチンスケールがどの程度正確かは未確認ながら、いちおう
『家庭用特定計量器技術基準適合マーク(丸正マーク)』が与えられている。
反対に言うと「Uten」のスケールには丸正マークは見当たらず、これがなければ日本国内でキッチンスケールを販売することができないということになっているが、どうやらネット通販などでは流通してしまっているようだ。
これに違反した場合は50万円以下の罰金の対象とあるが、現状で取り締まりが機能しているようには思えない。
経済産業省 家庭用特定計量器の販売のみを行う場合さらに調べを進めていくとこのような情報もあった。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/13_gaiyou_kateiyoukeiryouki2.html
クボタはかりネットつまりこの情報を元に推理すれば、3kgを超えるキッチンスケールはキッチンスケールにあらず、ということになってしまう。
計量法で定められている家庭用特定計量器は次の3つです。
ヘルスメーター: 最大計量が20kg超え~200kg以下の体重計
ベビースケール: 最大計量が20kg以下の乳幼児用体重計
キッチンスケール:最大計量が3kg以下の調理用はかり
(計量法第53条第1項、計量法施行令第14条)
https://www.kubota-hakari.net/laboratory_detail.php?id=199
キッチンスケールでなければ、計量法には触れないのだろうか?
大手通販サイトを確認したが、ちょっと怪しい雰囲気漂うキッチンスケールはひょう量(最大計量)が3kg以上だった。
経済産業省の試買調査でも対象はすべて3kg以下となっているため、これは憶測ではあるものの、3kg以上のキッチンスケールは脱法キッチンスケールなのかもしれない。
経済産業省 平成28年度計量法特定計量器の試買調査 報告書 24ページから
http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/00_download/14_28fy_ShibaiHoukoku.pdf
丸正マークについては勉強不足のため、今後も事実確認を行っていきたい。
余談ではあるが、計量に使ったのは「たまごかけご飯専用醤油」であり、初期には寺岡有機醸造がお気に入りであったが、比較検討を繰り返した結果、現在のマイフェイバリットは橋本醤油の「玉子ごはん専用醤油」へと変化を遂げた。
やはりというか、1gの1円玉では「Uten」は反応せず計量不可。
2枚でも反応なし。
100円玉でようやく5gの表示。
100円玉は正式には4.8gなのでほぼ正しい数値。
ということで、確かに説明書の通り1g単位での表示は可能だが、残念ながら誤差は3g程度は覚悟する必要がありそうだ。
それでも2,000円以下でそれなりもモノが計れるなら、自転車のパーツ用途としては十分ではないだろうか。
ただ丸正マークのないキッチンスケールという点だけがイマイチ腑に落ちない。
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それとこのスケールは8kgまでとあるが、正確に言えば7.999gでカウンターストップとなる。
アナログのように8kg強までなんとか計れるというものでもない。
Topeakのアレみたいにメンテナンススタンドにスケールを括り付けてサドルの先端を引っ掛けて車両を丸々計るようなやり方にはもちろん向かないだろう。
それほど精度を求めないで計量するなら旅行用の簡易荷物スケールを使うのもありだとは思う。
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