FGOのマスターの一人   作:sognathus
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再び起こったぐだぐだ騒動により仲間となった魔神セイバーこと沖田オルタ。
彼女は今まで仲間になってきたオルタ勢と比較すると一点だけ特徴的な点があった。
それは……。


沖田・オルタ

「マスター、沖田ちゃんが来たぞ」

 

「うん、いらっしゃい。呼んでないけどね」

 

「呼ばれなければ来てはいけないのか?」

 

「いや……」

 

マスターはこの新たに仲間になったもう一人の沖田に未だに戸惑いを感じていた。

その理由がマスターに対してこの一切調整のない好意的な態度だった。

明確な好意を向けるサーヴァントといえば先ず清姫が直ぐに出てくるが、彼女のそれは個性の強さもあって純真な好意と受け取ることが出来ないことが時折あった。

しかし彼女の場合は違った。

ただひたすらストレートなのである。

邪ンヌのようにツンデレということもなく、マシュのように控えめに触れ合いを求めるのでもなく、単純に好意を率直に向けてくるのだった。

 

「なら、問題ないな。うん、私はマスターの一番のサーヴァントだからな」

 

マスターの返事を入室の許可と受け取ったオルタは、満足げな顔で部屋に入って来た。

因みに彼女の服装は、マスターから貰った洋ゲーのイラストがプリントされたシャツに、頼光から風紀の乱れは見過ごせないというお達しから配給されたジーパンといったラフなものだった。

シャツに関しては入手した過程に一悶着あったのは言うまでもなく、今でも偶にその事で邪ンヌや清姫が不満を漏らしてくる原因となっていた。

 

「あ、ごめん。何か用意するよ」

 

「いい、気にしなくて。それより一緒に居させてくれ」

 

「は、はい……」

 

「何か戦いの時と比べると随分違うんだな。今はなんというか……凄くカッコよくない」

 

「あぁ、えっと……幻滅さ――」

 

「そんな事はない。カッコよくないだけだ。常にカッコいいなんてありえないからな。寧ろ普通なところを見れて嬉しい」

 

「そ、そう」

 

「ああ、そうだ。普通なマスターと一緒にいると日常を共に過ごしている気がする。これは凄く嬉しいな」

 

「はは……」

 

マスターはこの時点で既にオルタの素直な言葉に良い意味で打ちのめされていた。

ここまで矢継ぎ早に自分を肯定されると謙遜する言葉すら出し難かった。

 

「ほら、隣が空いてるぞ。座ってくれ」

 

「あ、うん。何か映画でも……」

 

「観せたいのがあるのなら是非観たいが、特に強い要求でなければ今はただ隣に座ってくれるだけでいい」

 

「あ、はい……」

 

オルタに促されて何処か完敗した雰囲気を醸し出したマスターが彼女の隣に座ると、待ってましたとばかりにオルタは彼の肩に寄りかかってきた。

 

「ん……」

 

「……」

 

「ん……いいな」

 

「え?」

 

「幸せだな、と思ったんだ」

 

「そっか……」

 

「ああ、一度存在を諦めたあの時でもマスターと共に居たいという願いは本心だったからな。今それが叶っていることは本当に嬉しい」

 

「……」

 

「マスター好きだぞ」

 

「……っ、ありがとう」

 

「礼など……あっ、好きと言ってもただの好きじゃないからな?」

 

オルタはそう言うとマスターの肩に寄りかかった状態で自然な動作で彼の手を握ってきた。

マスターは不意に感じた手の温もりに内心ドキリとした。

 

(この子は、どうしてここまで俺のことを……)

 

マスターは自分でも仕事の時とオフの時の差が別人と思われるくらいには切り替えができていると思っていた。

だからその差に惹かれる者が出るのも可能性としては有り得るとは思っていたのだが…‥。

 

(こうまで俺を受け入れようとしてくれると気恥ずかしいよな)

 

「マスターの手は温かいな」

 

「血が通っている手は大体そうだよ」

 

「しかし、幸せを感じる温かさはマスターだけだぞ?」

 

「そ、そう……」

 

「そうだ。取り留めのない話でも、気まずくて話し難くても構わない。今マスターと一緒に存在できてる事に堪らなく私は幸福を感じているんだ」

 

「……」

 

オルタは不意に握っていた手をマスターの手も一緒に自分の口元へと寄せた。

突然感じたオルタの唇と鼻の感触にマスターは流石に動揺して一瞬身体を震わせてしまう。

しかしオルタはそれを気にした様子を見せずにその手に今度は頬ずりをした。

オルタの柔らかく肌触りの良い頬の感触をマスターは感じた。

 

「ああ、やはり良いな。この匂い温もり。全てが良い……」

 

「沖田ちゃん……」

 

「沖田」

 

「え?」

 

「不本意ではあるが、今は沖田、と呼び捨てて欲しい」

 

「沖田…‥?」

 

「そうだ。ここに本来の沖田が居る事は承知の上だ。だが今は、オルタという識別は意識しないでそう呼んで欲しい」

 

「……」

 

「あとそうだな。二人でいる時のみという条件も追加だ。承知してくれるか? マスター」

 

どことなく不安そうにも縋るようにも見える上目使いでこんな些細な事を願い出て来るオルタ。

マスターは当然それを却下する理由も浮かばなければする気にもならなかった。

 

「……分かった」

 

「ありがとう。うん、やはり私のマスターだな。もういっそアレするか?」

 

「あれ?」

 

「そうアレだ。お互いの絆をもっと確かに深くできるアレだ」

 

「あれ……もしかして……」

 

脳裏に浮かんだ答にマスターは思わず動揺で声が裏返りそうになった。

どうやらその答えは正解だったらしい。

オルタは小さく笑うとマスターの手を握ったまま今度はマウントを取るように彼の膝に跨ってきた。

 

「私は構わない。ここまで私の好きは本当なんだ」

 

顔はオルタらしく真顔だったが、紅潮して淡く染まった頬をした彼女が小さな声で『魔力の供給にもなるしな』と最後のダメだし的な事を言ったのをマスターは聴いた気がした。

 

「あ……」

 

いつの間にか濡れた瞳でマスターの顔に迫るオルタの顔。

彼女の勢いに動揺からの立て直しが上手くできず、そのまま事に及ぶと思われた。

だが……。

 

 

「無明……三段突き!!!!」

 

サーヴァントの力なら特に宝具の使用は必要ないと思われたが、演出的には必要だったらしく、威力は相当に抑えて声は今まで聴いたことがないくらいに気合を入れて放ってきた病弱な方の沖田がまさかの突入を敢行してきた。




沖田オルタ札で出ました。
やったね。





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