FGOのマスターの一人   作:sognathus
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生理。
それは女性である以上必ずその身に起こる現象。
しかし世の中には例外というものもあり、男性(意識)として初めてそれを経験したが故に茫然自失になる者がいた。
それは……マスターだった。


アルトリア・ペンドラゴン(剣・弓含む) ♀

「……はぁ」

 

マスターは一人トイレの便座に座ってうなだれていた。

 

(えっと、痛みはこれはまだマシな方なのかな。我慢はできるけど、だけど血……)

 

自分も男ではあるがその知識は触り程度ならあった。

要は先ず『これ』に対処する為の用品が必要なのだ。

 

(多分これ、何か当てておかないと出続けるんだよな? 取り敢えずこの場はティッシュを当てておいて……)

 

「……早い内に購買に買いに行くか」

 

トイレの水が流れる音がする中、マスターは憂鬱そうな顔でそう呟くのだった。

 

 

「マスター、それでお願いとは? あと私は貴方のサーヴァントなのだから、どうかお願いなどとは言わずもっと気軽に頼ってください」

 

優しい笑顔でそう頼もしい事を言ってくれるアルトリアだったが、それだけにマスターは微妙な罪悪感を感じて言い出し難く思うのだった。

 

「うん、ありがと……その、じゃあ言うけど……」

 

 

「えっ、せ、生理用品を一緒に、ですか」

 

予想外過ぎるマスターの頼みにアルトリアは激しく動揺した。

確かに彼女は生前性別を偽っていたとはいえ、れっきとした女性だし、人目を忍いで密かその経験もしていた。

しかし彼女にはマスターの求めには応じ難い理由があった。

それは……。

 

「えっと……すいません。生理自体の相談には乗れますが、用品は……その現代の物の使い方がよく分かりません……」

 

「あ」

 

マスターはそこで自分が失念していた事を知った。

聖杯によって現代の知識をある程度召喚されたサーヴァントは与えられるとはいえ、現代の日用品のそれにまで事細かに知識を与えられるのか、そこに疑問を持っていなかったのだ。

それに今の彼女は人間ではなくサーヴァントだ。

生前のように今も彼女に生理現象が起きているわけがなかった。

 

(確かに……。言われてみれば日用品にしてもそうだし、他にも召喚された国の一般常識とかも色々ありそうだな、そういう先入観)

 

「ご、ごめん……」

 

申し訳なさそうにすごすごと後ずさるマスターをアルトリアは慌てて止めた。

 

「あ、いえっ、待ってください。知識に自信はありませんが、一緒に来て欲しいという頼み自体は断るつもりなどありません!」

 

「でも……悪いよ」

 

「大丈夫です。今の私は……そういうのがなくて不慣れなところがあると思いますが。そんな私でも求めて頂けるのでしたら、是非お頼り下さい」

 

「アルトリア……ありがとう」

 

 

「そういえばナイチンゲールやマシュには相談しようとは思わなかったんですか?」

 

購買への通路を二人で歩いている時にアルトリアがふと思いついた疑問を口にした。

その疑問は当然といえば当然の疑問だった。

 

「ナイチンゲールさんは抜き打ちの往診に出ているみたいで、マシュにはその……気が恥ずかしくて」

 

「なるほど。では、私を頼られた理由は?」

 

「女性だからというのもあったし、その……君は特に生前はこの事で苦労してそうだったから」

 

「得心しました。まぁお任せ下さい。知識に自信がなくても実物を見れば使用法くらいは予想できると思いますので」

 

「ありがとう」

 

「構いませんよ。さて……」

 

二人は程なくして購買へと着いた。

流石は長期間滞在できることも想定されているらしい施設だけあって、カルデアの購買の品揃えは実に充実していた。

生理用品も程なくして見つかり、二人であれこれと相談しながら難なく購入もできた。

 

 

「本当にありがとう」

 

「ですからこれくらいでそんなに感謝されなくてもいいですよ。私でよろしければ何時でもお頼り下さい」

 

「あ、待って」

 

マスターの要望には応えたという事で会話もそこそこに自室へと戻ろうとしたアルトリアをマスターが呼び止めた。

その声に反応して彼女は直ぐに振り返る。

 

「はい?」

 

「せっかくだからお礼をさせて欲しい」

 

「そんな大袈裟ですよ」

 

「軽く食事を振る舞うだけだよ。どうかな?」

 

「行きます」

 

何故かアルトリアは先程の遠慮していた態度とは打って変わって即答でマスターの礼を受けた。

 

 

「そういえばアルトリアって普段は何を食べているの?」

 

「え、そうですね……。私は料理は不得意なので実は殆ど……」

 

「なるほど」

 

テーブルについて何やらキラキラと期待を感じさせる瞳でマスターを見ていたアルトリアは小声で恥じらうように言った。

マスターは敢えてその先については詮索せず短い相槌をするだけに留める。

つまりはそういう事なのだろう。

 

「なら良かったら偶に気が向いたときにでもここに来なよ。簡単な食事で良かったらご馳走するから」

 

「本当ですか?!」

 

「君には本当に感謝してるからね。これくらい苦でもないよ。それに……」

 

「え? それに……?」

 

アルトリアはマスターがお礼以外にも食事に誘う意図がマスターに有ると窺わせる言葉に内心密かにドキリとした。

彼女もイシュタルが流した噂をしっかり記憶に刻んでいた一人だった。

 

「実はスカサハ師匠も此処に、あの人は頻繁に食べに来ていてさ。まぁ二人分も三人分も同じ料理作るわけだから苦労はそう変わらないわけ」

 

「そ、そうですか……」

 

つい力が抜けて傾きかけた体をアルトリアは何とか支え通した。

 

 

「はい、お待たせ」

 

「おお……」

 

テーブルに並べられた料理を見てアルトリアは思わず感嘆の声を漏らす。

 

「シーザーサラダ以外は和食で大丈夫かな?」

 

「はい、問題ありません。焼き魚と米と味噌汁ですね?」

 

「その通り。魚は鮎の塩焼き、味噌汁の具はなめこというきのこだよ」

 

「ふむふむ」

 

「箸は使える?」

 

「カップラーメンを食べる時に使い慣れているので大丈夫です」

 

「あ……うん、そっか。流石だね」

 

「正直箸の使い方には自信があります」

 

フンスと自慢げにそう言うアルトリアに苦笑しながらマスターは「では」と食事を促した。

 

 

「おかわりを頂けますか?」

 

「えっ」(もう?)

 

食事を始めてから間もなく、アルトリアはまだマスターの茶碗の米がまだ半分残っている内にご飯のお代わりを求めてきた。

マスターはそのペースの速さに素で驚く。

 

(師匠もよく食べるから元々多めにしたけど、これは予想以上のペースだぞ……)

 

結局その日はアルトリア一人に朝まで残ると思っていた米を全て平らげられ、マスターは途中から米だけでも美味しそうに食べ続けるアルトリアを呆気に取られた顔で見守るのだった。




18禁の FGO の SS をやろうかなと最近はよく考えてます。
しかし、以前から各所で言ってる気がしますが、更新停止や放置している他の作品が割と在る中で新規作品を起す事には若干気後れするんですよね。
どうしようか……。





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