FGOのマスターの一人 作:sognathus
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昨夜寝る前についクー・フーリンと酒を飲み過ぎてしまったのだ。
飲んだ酒がウイスキーで、合間に水などを殆ど挟まなかった為に目が覚めても完全に酒が抜けておらず、その日のマスターはいうなれば完全に無防備な状態だった。
「……」
「マスター? マスターどうしたんですか?」
通称静謐という名で呼ばれているハサンの少女がいつの間にかマスターの部屋に入り、彼を心配そうな顔で見ていた。
声をかけられた本人は何か聞こえたような気がしたが、まだ大分重く意識が沈んでおり、静謐の存在を完全に認識できなかった。
「……ん?」
「静謐です。マスターの部屋に入れそうだったので入りました」
おかしな言葉だった。
基本、部屋に居る時も鍵は締めるマスターの部屋に入れそうだから入ったというのだ。
一体どうやって入ったのか、静謐が何時からそこにいたのか不明だったが、その時のマスターにはやはりこの事にもまともに思考する余力がなく、彼女に対して今にも枯れ果てそうな小さな声で水を求める事しかできなかった。
「んんう…………水を……」
「あ、お水ですね。直ぐに」
ててっと音がしそうな可愛い小走りをした静謐だったが、やはりアサシンらしくそこは全くの無音で冷蔵庫から水が入ったペットボトルを抱えて直ぐに戻ってきた。
「あ、グラス……」
器を持ってくるのを忘れた静謐は辺りを見渡してそれがありそうな棚を発見したが、何故かそこでぴたりと動きを止める。
その状態が続くこと10秒程、何かに思い至ったらしい静謐は一度ペットボトルをテーブルに置くと、その事に反応できないのか気付いた様子を見せないマスターをじっと観察した。
「……辛そうなのでソファーまでお運びしますね」
小柄な少女の外見でもそこはやはりサーヴァント。
静謐は難なくマスターを抱き上げるとソファー方へ歩き、先に自分が座るとそのままマスターの頭を自分の膝を枕にさせる形で眠らせた。
「ん……」
それでもはっきりと意識を覚醒させないマスターを見て静謐は微笑み、彼の額にそっと手を乗せてその頭も慈しむように優しく撫でる。
(冷た……? あ、でも何か気持ち良いな……)
冷たい静謐の手の感触マスターの表情が少し穏やかになった。
その様子を見た静謐は、自分が今彼に間違いなく安らぎを与え、役に立っている事に至上の喜びを感じた。
「マスター……」
静謐は大人しいマスターを堪らなく愛おしく思った。
そして何かを決意したような強い瞳をして一人頷くと、一瞬でテーブルに置いたペットボトルを取ってきて戻り、キャップを外した。
そして……。
「マスター……どうぞ、お水です」
静謐は自分で一度水を飲んでそれを口腔に含むと、躊躇なくそのままマスターに口移しで飲ませ始めた。
「ん……ふ……」
マスターは自分の唇に何か柔らかい感触を一瞬感じたが、それが何かを考える前に口の中に水が流れてきたので思考を中断した。
(ん……? 水が口に流れて……? でも飲み易い……)
(はぁ……マスター……)
水を飲む為に動くマスターの唇が自分の唇に当たる度に静謐は幸福感で胸が満たされるのを感じた。
そしてその幸福感からマスターを求める気持ちがドンドン高くなった静謐は、次の行動に移るかと思えたが、意外にも彼女は取り敢えずその時はそれ以上過激な行動をしなかった。
(ダメだよね。マスターの許可もなくこれ以上勝手なことしたら気分を悪くしちゃうかもだし。でも……でもこれくらいなら……)
ある程度水を飲ませ終わった静謐は、今度はマスターを起こさないようにそっと彼の頭を抱き上げると、そのまま俯いてマスターを自分の胸と腕で優しく包み込んだ。
(ん……? 何だか気持ちが良くて柔らかい……。それにひんやりする……)
自分が介抱をするマスターが穏やかな顔を続けたことで、静謐は再び言葉では表せられない程の幸福感と、そして今度は明確な強い愛情を感じた。
(あぁ……マスター……。やっぱり好きです……大好き……。お慕いしてます……)
それからも暫くマスターの介抱を暫く続けた静謐は、大変満足した様子で彼の部屋を後にしたのだった。
間が空いた投稿ながら、今まで一番最少の文の話となりました。
エロスな展開ならもっと続けられたんですけどね……。