FGOのマスターの一人   作:sognathus
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「愛の女神としては、貴方の愛され方にはちょっと意見があるわけよ」

と、唐突に傲岸不遜な女神の審問が始まった。



イシュタル(弓・騎含む)

「え? どういう事?」

 

いきなり天から声がしたかと思うとそこはいつの間にか見知らぬ空間。

何をどうやってこんな事象を起こしたのかはマスターは全く理解ができなかったが、隔離された空間のセンスからもう一人、恐らく金髪の女神と思われる協力者がいるような気がした。

 

「ねぇ、貴方ってちょっと愛され過ぎじゃない?」

 

何の説明も釈明もなく、いきなり質問を投げかけてくるイシュタル。

どうやら状況的にマスターに回答に対する拒否権はないようだった。

 

「えっと、愛され過ぎというと?」

 

「言葉のままよ。男でも女でもマスターに好意を寄せる人が多いって事」

 

「え……いや、だとしても何故イシュタルさんがそんなに不満そうなんですか?」

 

「面白くないのよ」

 

「……」

 

マスターは彼女の気難しさに閉口するしかなかった。

 

 

「えと、先ずですね。そんなに僕は好かれてますかね?」

 

「自覚ないの? 女連中の何人かなんてあからさまじゃない。あの反転した聖女や盾の娘なんてもうべた惚れよ」

 

「邪ンヌとマシュの事ですか?」

 

「そう」

 

「……」

 

イシュタルの肯定の返事にマスターはその事実について少し考えた。

これまでのコミュニケーションを思い出しても恋愛感情にまで至る思い出は彼には一つも浮かばなかった。

 

「……本当に?」

 

「嘘付いてどうすんのよ」

 

「いえ、仲は悪くないとは思いますよ? でもどこでそんな風に思われたのか全く心当たりがないんですけど」

 

「嘘おっしゃい。あの邪ンヌとなんてもう身体を重ねてる仲なんでしょ?」

 

「えぇ?!」

 

流石にマスターもその情報には驚き、面食らった。

イシュタルは何故情報の発生元である当の本人がそんなに驚いてるのか解らず怪訝な顔をする。

 

「なんでマスターが驚くのよ」

 

「すいません。全く身に覚えがございません」

 

「……貴方、流石にその態度はどうかと私でも思うんだけど」

 

「誤解です。あ、いや、本当です。僕にはそこまでの関係の人は現状誰もいません」

 

「え?」

 

「あぁ……あぁ、そうか……」

 

マスターはここにきてやっとナイチンゲールが前に言っていた意味を理解した。

そして彼女の部屋を去るときに言った自分の言葉も思い出した。

 

「うああああああ!」

 

「ちょっ、なに?! どうしたのよ?」

 

「あぁ……ああ、どうしよう……」

 

「え、ちょっと待ってよ。何一人で打ちひしがれてるのよ。ちゃんと説明なさい」

 

初めて見るマスターの動揺ぶりにイシュタルも驚き、何とか彼を宥めようとする。

マスターは、その助けもあって何とか徐々に落ち着きを取り戻していくと、ポツポツと彼女に事の経緯を話すのだった。

 

 

「……なるほどねぇ」

 

「エライことだ……」

 

「でも好かれている事には変わりないじゃない。あの子、性格は表向きはあんな感じでだけど、二人きりとかになったら変わる気がするのよね。悪くないと思うけど?」

 

「僕の意思は無いですか? 僕が相手を選ぶ権利は」

 

「さっきも言ったように今の時点でも邪ンヌを含めて複数好意寄せられてるのに、貴方は自分が幸せだと思わないの?」

 

「実際に恋愛ゲームの主人公の様な立場になると、僕は正直居たたまれない気分になります」

 

「なんでよ?」

 

イシュタルは、愛の女神からしたら腹が立つくらい幸運な状態にしか思えないのに、それが厭だというマスターの気持ちが全く理解できなかった。

 

「僕自身の希望で成し得た結果ではないじゃないですか。それなのにいきなり皆から恋愛感情を持たれてるなんて、なんか自分の人生が酷く安易に思えて、僕の信条的にそれはキツイんです」

 

「何よ、自分から能動的に恋愛をしたいって事? 贅沢ねぇ」

 

「僕の性格や態度からやる気がないように思えるかもしれませんけどね? でも実は僕もちゃんと希望する環境があるんです」

 

「環境? 何よそれ」

 

「今取り組んでいる難事の悉くを解決できて、やっと普通の魔術師としての日常を送れるようになったら。そうなれば例えば魔術の研究中だとしても、今よりは心にゆとりが出来ていると思いませんか?」

 

「んー……つまり、特殊状況下での恋愛は反則をしているようで自己嫌悪感がヤバイので基本無理って事?」

 

「それです!」

 

正に自分の心情の核心を突く言葉にマスターは思わず叫びそれが正解だと言った。

その勢いにイシュタルはつい気圧される。

 

「真面目ねぇ……。貴方それ、下手したら恋人ができずに人生終了するタイプよ?」

 

「それならそれで自分の選択の結果なのでさほど後悔しないと思います」

 

「頑固というか真面目というか……。ま、取り敢えず分かったわ」

 

「あのぉ……そこで、恐縮ではございますが、女神イシュタル様に是非お願いしたい事がございましてぇ……」

 

「ん?」

 

イシュタルが見ればそこには、これまた初めて見るしおらしい態度のマスターが遠慮するような目で自分を見ていた。

本人は無自覚のようだったが、その様子は主人に縋る仔犬のそれに雰囲気が似ており、不覚にも彼女は密かに胸にキュンときた。

 

「見たところ、僕の心情を完璧に理解して頂いたようなので、誠に恐れ多い願いなのは重々承知の上なのですが。この事を女神様のお力で全員に伝えて頂けないでしょうか?」

 

「嫌よ」

 

「……」

 

予想はしていたがやはり即答だった。

 

「……因みに理由をお教え頂けますか?」

 

「その方が絶対面白いじゃない」

 

「……」

 

「まぁでも、マスターが完全にフリーだということはカルデア全体に伝えてあげる」

 

「えっ」

 

「ついでに、貴方は色恋に酷く鈍感で自分は好かれるわけがないと思っているらしいという補足も入れておくわ」

 

「は?」

 

待ってほしかった。

何か一瞬それは広まっても仕方がないと思った事実に凄まじい尾ひれ(捏造)が付いた気がした。

 

「あ、あの……それは流石に……」

 

青い顔で何とか女神を宥めようとするマスターだったが、残念ながらそれは逆効果のようだった。

イシュタルはそのマスターの様子に逆に加虐心を刺激されたらしく、非常に嫌な笑みを浮かべた。

 

「ふふふ~良い顔じゃない。あ、因みに私も参加しようかしら? マスターの恋の牙城崩しに。いや、それは流石に反則ね。なんたって愛の女神なんだから……」

 

「いえ、それは万が一にも無いと思います」

 

「は?」

 

「でももし貴方が本当にそういった行動を取ってきたら、それなら僕は、比較対象に出して凄く恐れ多いですが、エレシュキガルの方を選ぶと思います」

 

その時空間全体がピクリと揺れた気がした。

だがイシュタルはそんな事に気付いた様子も気にした様子もなく、マスターの言葉に憤慨して黄金の目を怒りの感情で輝かせるのだった。

 

「はぁ?! なんでよりによってアイツなのよ?!」

 

「ご自分の胸に手を当てて聞いてみればよろしいと思いますよ?」

 

「っ……! あったまキタ。これ、私も参加するわ。絶対貴方を落としてやる」

 

「……」(しまった)

 

つい売り言葉に買い言葉で放ってしまった。

マスターは愛の女神を本気で怒らせてしまった事に自分のこれからの精神の疲労を深く心配するのだった。




俺はエレシュキガル派……と言いたいところですが、持ってないのでまだどちらかは選べませんw
ライダーのイシュタルが被ダメした時の声は可愛くて好きですね。





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