ギリシャで研究され、地震予知の実績を上げているとされる有名な電磁気学的手法に、「VAN法」があります。地電流に異常な波形(SES=Seismic Electric Signal)が現れると、その後に地震が起こるというものです。
ですが、このVAN法についても、説得力のある実績が提示されておらず、非常に自己弁護的な宣伝や誇張が目立ち、信頼できないと言わざるを得ません。以下に、その一例を示します。
■
VAN法を研究し、日本におけるVAN法のスポークスマン的な存在でもある研究者に、上田誠也氏(東大名誉教授)という方が居られます。彼自身のウェブサイトにおいて、VAN法についての講演会の内容が公開されています。
第3回一般教養研修講演会 「地震予知への挑戦」
(http://www.geocities.jp/semsweb/IPCCnews.html)
このなかで、上田誠也氏は、VAN法の成果について、次のように肯定的に評価しています。
「地震はSES検知から数時間~1カ月に起こる、対象はM5以上、震源は大体半径100km内、Mは0.7位の誤差に入る事を基準にして、殆どみな成功しています。」
…いかがでしょうか。この説明を読んだだけだと、VAN法の実績を信じてしまうかも知れません。ですが、よく調べてみますと、この実績は全く評価に値しないものであることが分かります。
■
まず、「殆どみな成功しています」と上田氏は言っていますが、これは明らかに誇張です。上記したサイトにおいても、「VAN法の成果」という図が示され、成功率を示したグラフ(下図の右側)が提示されています。

これをみると、予測成功率は、M5以上の地震44件に対し22件、つまり50%でしかありません。これを「M5以上で殆どみな成功」と言ってしまうのですから、いささか誇張が過ぎると言わざるを得ません。
さて、この50%という数字は、ほんとうに有意な的中率なのでしょうか? 実はギリシャでは、M5以上の地震は、ほぼ2ヶ月に1回の割合で発生しています。上に示したグラフも、1987年から1995年までの9年間(=最大でも108ヶ月)で44件、即ちほぼ2ヶ月に1回、この規模の地震が発生していることを示しています。
その状況で、前兆検知から「数時間~1カ月」という余裕をもって、的中と判定しているのです。この基準では、デタラメな予測であっても、地震の発生を時間的に50%程度の成功率で予測できるのは、統計学的に言って当たり前なのです。
■
また、「半径100km内」であれば的中であるとする基準も、ハッキリ言って滅茶苦茶です。以下に、ギリシャの地図と、半径100kmの円を示します。

このように、半径100kmの円を描くと、ギリシャ国土の大部分が入ってしまうのです。しかも、上に示した「VAN法の成果」という図の左側の地図からも分かるように、ギリシャでは国土の中央部から南部に地震が多く、北部は比較的地震が少ないといった、地域的な偏りがあります。このような条件ですので、主にギリシャ中央部の半径100kmに予測を出せば、場所的に高い確率で的中させられるのは当然です。
■
もし、VAN陣営がこの程度のデータしか出せないのであれば、VAN法の実績はほとんどが虚構であると判断できることになります。それに、VAN法について精査し熟考しているはずの上田誠也氏さえも、「SES検知から数時間~1カ月に起こる、対象はM5以上、震源は大体半径100km内、Mは0.7位の誤差に入る事」という的中判定基準が、異常なほどに甘すぎるということを、発言しながら全く気付いていないようなのです。この時点で、彼らの主張に説得力が感じられないのも無理はないのです。
今回ご紹介した講演会での発言をはじめ、とにかくVAN法の実績には、説得力が無いものが多いように思われます。また機会があれば、ほかの例もご紹介したいと思います。
.
ですが、このVAN法についても、説得力のある実績が提示されておらず、非常に自己弁護的な宣伝や誇張が目立ち、信頼できないと言わざるを得ません。以下に、その一例を示します。
■
VAN法を研究し、日本におけるVAN法のスポークスマン的な存在でもある研究者に、上田誠也氏(東大名誉教授)という方が居られます。彼自身のウェブサイトにおいて、VAN法についての講演会の内容が公開されています。
第3回一般教養研修講演会 「地震予知への挑戦」
(http://www.geocities.jp/semsweb/IPCCnews.html)
このなかで、上田誠也氏は、VAN法の成果について、次のように肯定的に評価しています。
「地震はSES検知から数時間~1カ月に起こる、対象はM5以上、震源は大体半径100km内、Mは0.7位の誤差に入る事を基準にして、殆どみな成功しています。」
…いかがでしょうか。この説明を読んだだけだと、VAN法の実績を信じてしまうかも知れません。ですが、よく調べてみますと、この実績は全く評価に値しないものであることが分かります。
■
まず、「殆どみな成功しています」と上田氏は言っていますが、これは明らかに誇張です。上記したサイトにおいても、「VAN法の成果」という図が示され、成功率を示したグラフ(下図の右側)が提示されています。
これをみると、予測成功率は、M5以上の地震44件に対し22件、つまり50%でしかありません。これを「M5以上で殆どみな成功」と言ってしまうのですから、いささか誇張が過ぎると言わざるを得ません。
さて、この50%という数字は、ほんとうに有意な的中率なのでしょうか? 実はギリシャでは、M5以上の地震は、ほぼ2ヶ月に1回の割合で発生しています。上に示したグラフも、1987年から1995年までの9年間(=最大でも108ヶ月)で44件、即ちほぼ2ヶ月に1回、この規模の地震が発生していることを示しています。
その状況で、前兆検知から「数時間~1カ月」という余裕をもって、的中と判定しているのです。この基準では、デタラメな予測であっても、地震の発生を時間的に50%程度の成功率で予測できるのは、統計学的に言って当たり前なのです。
■
また、「半径100km内」であれば的中であるとする基準も、ハッキリ言って滅茶苦茶です。以下に、ギリシャの地図と、半径100kmの円を示します。
このように、半径100kmの円を描くと、ギリシャ国土の大部分が入ってしまうのです。しかも、上に示した「VAN法の成果」という図の左側の地図からも分かるように、ギリシャでは国土の中央部から南部に地震が多く、北部は比較的地震が少ないといった、地域的な偏りがあります。このような条件ですので、主にギリシャ中央部の半径100kmに予測を出せば、場所的に高い確率で的中させられるのは当然です。
■
もし、VAN陣営がこの程度のデータしか出せないのであれば、VAN法の実績はほとんどが虚構であると判断できることになります。それに、VAN法について精査し熟考しているはずの上田誠也氏さえも、「SES検知から数時間~1カ月に起こる、対象はM5以上、震源は大体半径100km内、Mは0.7位の誤差に入る事」という的中判定基準が、異常なほどに甘すぎるということを、発言しながら全く気付いていないようなのです。この時点で、彼らの主張に説得力が感じられないのも無理はないのです。
今回ご紹介した講演会での発言をはじめ、とにかくVAN法の実績には、説得力が無いものが多いように思われます。また機会があれば、ほかの例もご紹介したいと思います。
.
ちなみに、柿岡観測所の観測結果の表示はUTCですので、日本時間として見る場合は表示されている時間に9時間を加えて見る必要があります。
それで、見ますと、まさに地震の起きた瞬間に地電流の値が急激に反転しています。
しかし、地震が起きた場合にいつでも同じような変動が現れるのかというと、そうではありません。実際4月16日の本震の時はあまり変動が見えません。
原因として、地電流の変化が地下の岩盤などのつながりで伝わり安いところと、伝わりにくいところがあるのではないでしょうか?