前回の発生と再結合のところで説明したように、キャリアの注入を行うと再結合によって急速に注入キャリアは熱平衡状態に戻る。この時、注入されたキャリアは拡散するわけだが、そうするとキャリアが注入されたことにより、拡散電流と発生再結合電流が生じることになる。
その考察を以下の図で説明しよう。
まず、図のような直方体の半導体のモデルを考えて、ある微小領域を通り過ぎるキャリアの時間変化を考える。図の断面積をS、微小距離をdxとする。ここではn型半導体中のHoleの変化を考える。
この微小空間を通り過ぎるキャリアの時間変化の総量はこの空間の体積をかけたものになる。体積は断面積Sと微小距離dxをかければよい。
そして、その中身はどうなっているかというと、発生と再結合の差(これはすでに時間変化)に体積をかけたものとこの微小空間の入り口と出口での電流密度の差に断面積をかけたものを足したものである。これが図下の式である。
電流密度には電荷がすでに掛け算されているので、こちらは電荷qで割る必要がある。
でもって、この式を整理しちゃうと2番目の式になる。すっきりしました。そして第2項のところに注目して、電流密度を拡散電流のところで出てきた式でHole濃度に変えてしまう。
すると、あら不思議、第2項は拡散係数のついたHole濃度の2回微分で表されてしまい、この方程式自体がHole濃度の偏微分方程式になっちゃった。これが3番目の式である。実際にはG-RもHoleの寿命タウが入ったHole濃度の式になるから、この式全体が定数項のない偏微分方程式になっている。
実はこれがn型半導体にHoleが注入されたときのHoleの挙動を解析することができる「Holeの拡散方程式」と呼ばれるものである。
p型半導体中の電子の場合は多少符号の違いはでてくるが上でやったのと同じように考えればできる。これらの拡散方程式っていうのは非常に重要な方程式である。
これでおしまい。長かったがこれでひとまず電流関係の仕組みが終わったので、次はpnダイオードのところに戻って、いよいよ電流電圧特性の話しに入る。
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