在日クルド人関連ニュース
●9月1日
抗 議 声 明
2004年8月13日
在日クルド難民認定申請者 一同
「クルドを知る会」代表 長内経男
2004年6月から7月にかけて、法務省入国管理局局付井上一朗および総務課難民認定室長加藤輝昭が、トルコ共和国において、トルコ軍およびトルコ警察の協力を得て、日本で難民認定申請をしているトルコ国籍クルド人の家族らのもとをトルコ軍治安部隊やトルコ警察官らとともに訪れ、難民認定に関する調査目的で、質問、無断撮影、住居侵入などの行為を行ったことに対して、強く抗議する。
また、このような事態を引き起こすことに鈍感な日本における難民認定審査機関に対して、謝罪と反省、改善を求める。記
1)トルコ国籍の在日クルド人難民認定申請者は、トルコ共和国政府によるクルド人に対する迫害から逃れて、日本政府に庇護を求めるために、日本で難民認定申請を行なっている。ところが、日本の難民認定審査機関である法務省入国管理局は、クルド人迫害を直接的に行っているトルコ軍治安部隊およびトルコ警察の協力を得て、行動を共にし、目的や身分を明らかにしないまま難民申請者の家族のもとを訪れ、調査活動を行なった。この後、現地にいる申請者の家族が治安当局に呼び出されたり、連絡が取れなくなったりしているケースがあり、申請者およびその家族が受けた被害は深刻である。
また、申請者らが日本で行なったクルドのアイデンティティを掲げたデモ、集会、結婚式などの写真を、トルコの治安当局関係者に示すなどの信じられない行為も行なっている。2)日本では300人を超えるといわれるトルコ国籍のクルド人が難民認定申請をしているが、難民認定された例はこれまで1件もない。難民認定は国連の難民条約に沿って審査、認定されるもので、国家の利益や外交とは切り離して行なわれなければならない。世界中の各国で多くの難民認定がなされているトルコ国籍のクルド難民申請者に対して、日本においては難民認定数がゼロという結果は、日本政府がトルコ政府との外交関係を優先して、トルコ国籍クルド人に対する難民認定に消極的なため、と判断せざるを得ない。それどころか、今回のような事件からは、トルコ政府のクルド人迫害に手を貸しているとの疑いを禁じえない。さらに、トルコ政府が外務省を通じて請求した難民不認定取り消し訴訟の資料を、法務省がトルコ政府に渡しており、クルド側の弁護士がその経緯の公開を求めたところ、「トルコと日本の外交上の信頼関係」から拒否されているという事例もある。
国連条約に基づき、すべての条約批准国が責任と義務を負って行う難民認定が、日本においては国家間の外交関係により左右されているとすれば、日本の難民認定制度自体の正当性が問われる。私たちは、法務省入国管理局と日本政府に対して次のことを要求する。
1、今回のトルコでの調査について、責任の所在を明らかにし、被害者に謝罪すること。
2、法務大臣は、今回の調査対象となった申請者全員を難民として認定すること。
3、現地の家族に対して、これ以上被害が及ばないように具体的な措置をとること。
4、難民認定審査に関して、国家間の外交関係が及ばないような措置をとること。
●10月6日「クルディスタン&日本友好協会」「クルドを知る会」共催シンポジウム
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今、日本から考える
クルディスタンとクルド人問題 ~「拒絶される民族」の意味とは何か~
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場 所:文京区民センター2-A(東京都文京区本郷4-15-14)
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 A2出口上
営団地下鉄丸の内線・南北線 後楽園駅 徒歩3分
JR中央・総武線 水道橋駅 徒歩8分
http://www.city.bunkyo.tokyo.jp/shisetsu/kumincenter/
参加費:1000円
主 催:クルディスタン&日本友好協会
http://www.geocities.jp/komala_japon/
クルドを知る会
tel.048-834-1232 fax.048-833-6861
後 援:新泉社ほかここ数年、「クルド人」「クルディスタン」にまつわるニュースは、日本のマス
コミでも取り上げられる機会が増えました。しかしながら、その多くは表面的に
現れた出来事に言及するのみに終始し、クルド人が抱える複雑かつデリケートな
問題を深く掘り下げてとらえることはあまりなかったのではないでしょうか。
今回、クルド人問題の基礎からクルディスタンの現在までについて学ぶ機会と
して、このシンポジウムを企画しました。日本におけるクルド学の提唱をしてお
られる中川喜与志氏のお話をうかがい、もうひとつの中東問題として「クルド人
問題とは何か」を考えるとともに、そのような問題を抱えて日本にやってきたク
ルド人難民たちが日本で新たに直面し、抱えた問題を通して、それがどのような
形で再びクルド人問題と結びついているのかについても考えてみたいと思います。[予定プログラム]
●第1部「クルディスタンとクルド人問題のいま」
基調講演 中川喜与志氏(クルド学研究者、大阪産業大学講師)
パネリスト 藤田 進氏(パレスチナ研究者、東京外国語大学教授)
松浦範子氏(写真家)=予定
●休憩
クルド音楽演奏/クルディスタンダンス
●第2部「日本の中のクルド人問題」
パネリスト 大橋 毅氏(弁護士、クルド難民弁護団)
西中誠一郎氏(???)
クルド人難民申請者(クルディスタン&日本友好協会)
司会・進行 中島由佳利氏(ノンフィクションライター)[著作紹介]
中川喜与志氏=訳書『クルディスタン=多国間植民地』(柘植書房新社、1994年)
著書『クルド人とクルディスタン』(南方新社、2001年)
http://www.nanpou.com/book/bok_060.html
中島由佳利氏=著書『新月の夜が明けるとき』(新泉社、2003年)
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/shohyo1704.html
松浦範子氏=著書『クルディスタンを訪ねて』(新泉社、2003年)
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/shohyo1701.html