【ダナ・コーエン】冬こそ「隠れ脱水」に要注意! やってはいけない水分補給法 ペットボトルの水では解決しない
「脱水は夏のもの」というのは嘘――2019年冬、乾燥注意報が続いているが、乾きはインフルエンザの誘因になり、体の「渇き」にもつながる。乾燥状態の日本の冬はその渇きを加速させるので、あなたも「隠れ脱水」になっている可能性が高い。そのうえ、間違った水分補給法をしている人もたくさん……ダナ・コーエン医学博士が科学的エビデンスに基づく水分補給法を指南します!
あなたは隠れ脱水? すぐわかるチェックリスト
軽い脱水は「老い」と「疲労」、そして「肥満」の原因となる。頭をぼんやりさせ、集中力を奪う。
人間は食物がなくても2ヵ月は生きられるが、水なしだとたった数日で死んでしまう。それなのに、私たちは空腹より渇きに鈍感だ。「喉が渇いた」と感じた時点で、もうSOSサインが出ている。
調査によれば、米国人のおよそ75%が「隠れ脱水」に陥っているとされ、平常でさえ現代人はカラカラなのだ。乾燥状態の日本の冬は、その渇きを加速させる。
次のなかにあてはまるものがあれば、あなたは「隠れ脱水」になっている可能性が高い。
*長時間、動かず、じっと座っていることが多い
*弁当、お惣菜、レトルト食品、冷凍食品、カップ麺など、加工食品をよく食べる
*薬を飲んでいる(風邪薬、アレルギー予防薬、睡眠導入剤、市販薬)
*運動不足だ
*午後になると疲れやすい
午後3時には、脱水状態になる?
デスクワークなどで長時間、動かないままでいると、細胞への水分供給と老廃物排出がうまくいかなくなってしまう。
体の水分量の2%、つまり1リットル足らずの水が体内から減少しただけで、脳は乾き、軽い認知障害が起きることがわかっている。
9時からデスクワークを始めた人は、午後3時頃には軽い脱水に陥っているという研究データもある。こうして私たちは日々、脱水している。繰り返し渇くことで、仕事のパフォーマンスは下がり、老化が進む。
「午後の疲労にお菓子」は、危険信号
塩分が多い加工食品や薬は、代謝のために大量の水分を必要とし、体の“カラカラ”を加速させる。
米国陸軍の研究によれば、軽くても脱水症になると、関節痛、偏頭痛、傷や手術跡など、あらゆる痛みを悪化させる。さらに水分不足は集中力の低下を招き、食欲を増進させるというデータもある。
疲れを感じた午後、ちょっと何かつまみたい……そのおやつが市販の菓子であるなら要注意だ。化学的に作られた調味料やでんぷんは、さらなる脱水を引き起こし、肥満というおまけがついてくる。
ペットボトルの水では解決しない
「私は大丈夫、ちゃんと水を飲んでいる」と、あなたはつぶやくかもしれないが、ペットボトルの水では解決しない。
アメリカ政府は健康の目安として「1日にグラス8杯の水を」という指針を発表したが、この発表からは重要な情報が欠けていた。正しくは、「1日に必要なのはグラス8杯相当の水だが、その45%は食物からの水分であること」だったのだ!
なぜなら、ペットボトルの水は体内に長くとどまらないうえに、隠れ脱水を防ぐ微量ミネラルが含まれていないのである。
「では、スポーツドリンクならいいのか?」といえば、そう簡単でもない。スポーツドリンクに含まれている合成ミネラルは私たちの体内にある微量ミネラルを失わせてしまう。そして何より、ペットボトルやスポーツドリンクは、市販のための「ボトル」が必要で、地球環境とあなたの財布にやさしくない。
では、どうすればいいのか?
そこでおすすめしたいのが、「食べる水」だ。
水+フルーツ
水をコップ2杯飲むのなら、「コップ1杯+リンゴ半分」にしよう。リンゴの繊維質がスポンジの役割を果たし、体に長く水をとどめてくれる。リンゴという植物に含まれた水はゲル水であり、ただの水より体を潤してくれる。
水+天然塩+レモン汁
「会社にリンゴ持参は面倒」というあなたには、水に天然塩とレモン汁を加えた自家製ドリンクをおすすめしたい。くれぐれも食卓塩でなく海塩などを。天然塩に含まれているのはナトリウムだけではない。マグネシウムをはじめとした微量ミネラルが豊富だ。カリウムやカルシウムによって、体内の電解質のバランスが良くなる。1日1500~2000mgのナトリウム摂取は心疾患のリスクを上げないばかりか、1500mg以下の摂取量の人よりもわずかに長生きするという調査もある。
コーヒー+ギー(バター)
無塩牧草牛のバターか、ギー(バターオイル)を、コーヒーにひとさじ浮かべよう。細胞に水分補給するには、脂肪酸でつくられた細胞膜を通過せねばならず、バターやギーに含まれるオメガ3脂肪酸は細胞膜の表面積を増やし、より多くの水と栄養素を細胞内に届けてくれる。ラクダのこぶの中身が「水」ではなく「脂」だということをご存じだろうか?私たちを潤すには、水と脂の両方が欠かせないのである。
お財布にも地球にもやさしいドリンクで、あなたの体に潤いを。
ダナ・コーエン(Dana Cohen)
医学博士。統合医療の専門医として20年のキャリアをもつ。現在、マンハッタンの中心部にある統合医療および健康のためのクリニック、コンプリート・ウエルネスの医療責任者。オーガニック・アンド・ナチュラル・ヘルス・アソシエーション科学顧問、アメリカ進歩医学会(American College for Advancement in Medicine: ACAM)の幹部メンバー。同医学会では理事会および教育委員会の顧問を務めており、年間1500人以上のマスターレベルのヘルスケア・プロバイダーを養成する隔年会議のプログラムディレクターでもある。セント・ジョージズ大学医学部で医学博士号を取得、アルバニー・メディカルセンターを経て現職。