【ドラニュース】【龍の背に乗って】ジミーさんに根尾のスイング教えてもらおう 「立浪の恋人」と呼ばれた57歳・球界最年長打撃投手2019年2月9日 紙面から
「ジミーさん」は、この日も元気に投げきった。清水治美。57歳。球界最年長の打撃投手だ。 「みんな年下だけど、まだまだ負けてないよ。気持ちがなくなったら、もう投げられないから」 清水さんの選手生活はわずか2年で終わったが、祖父江や松井雅が生まれた1987年に始まった打撃投手人生は何と33年目を迎えた。つまり、平成を“完投”したことになる。 毎分5球は投げる。当然ながら「抑えるんじゃなく、気持ちよく打たれるのがオレたちの仕事」。任される25分間で1試合完投に相当する球数を一気に投げるが、好打者が相手ならペースは上がるそうだ。 「いい打者ってね、少々ボール気味でも芯で打つんです。そうでもない打者に限って見逃す。打ってくれるとこっちのリズムも良くなるんですよね」。そんな打者の代表が立浪だった。左腕の清水さんは、右の平沼とともに「立浪の恋人」と呼ばれていた。 「僕たち左打者は左の打撃投手でコントロールが悪いと怖いんですが、清水さんは安心して打てました。一方で上体が右投手相手より開かないから、調子が悪いときほど清水さんを多めに打つようにしていたんです」。立浪さんにとって、清水さんは不振脱出への大切なパートナーだった。 50歳を過ぎたあたりから月に2回のマッサージが必要になった。それでも「やりすぎるのはダメ。増やすとやらなきゃ投げられなくなるから」と笑った。「今年で58だから、60歳までは投げたいね」と新元号でも続投意欲は十分だ。 「オールスターでも何回も投げたけど、あのクラスの打者は打ちどころが見えない。引きつけて、打たないのかなと思った瞬間に振る。油断していると(打球が)怖い。立浪や山崎(武司)がそうだったけど、今はいないねえ…。だから根尾が楽しみなんだ」 その選手のことがわからないとき、僕は裏方さんに聞く。果たして根尾のスイングは? 投げ終えたジミーさんに、そっと教えてもらおう。 (渋谷真)
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