サインドカードに見る夢

 掲示板の方で“サインドカード”の話題が出ていますので、今回はこれを取り上げてみます。それにしても最近は掲示板から毎週のようにネタを頂けるので、以前のように「次は何を書こう?」等と悩む機会がほとんど無くなっています。 (^^; あまりこの管理人に楽をさせると、段々と手を抜き始めるので気を付けるように(ぉ。

● 私のサインドカード感

 私はご存知のように M:tG に関してはコレクターです。しかもイラスト目当てにお姉ちゃんカードばかり集めているので (^^; 特に好きなイラストのサインドカードには格別の思いがあります。ただ私の場合 M:tG で最も好きなイラストレーターが NeNe Thomas 氏(この方はかなり早い時点に M:tG のイラストを描かなくなった)であるため、一番欲しい Aysen Crusader(HL) のサインドカードがほとんど入手の目処が立たないのが現実です(涙)。

 ただ同時に私は“サインドカードなら何でも有り難がる訳ではない”のです。基本的に私がサインドカードとしての価値を感じるのはそのカードのイラストレーター自身の物のみ、プラスしてガーフィールド氏辺りまでかな。申し訳ないのですが日本国内での M:tG 関連の有名人、あるいはトッププレイヤーのサインには価値を見出す事ができません。あ、唯一田中としひさ氏のセラが描かれたセラ天は例外かも(爆)。多分見かけたらトレード等で出してもらえるまで所有者の回りを転げ回るでしょう(嫌すぎ)。

あと個人的には“ベスモさん”のサインが欲しいかも(ぉ。

● 一般的なサインドカードへの評価

 欧米の方でのサインドカードに関する評価は、物にもよりますが概ね“2~3割増”位だという感触を持っています。まあ$0.50のカードがサインドになって$1.00で売られる例はありますが (^^; 多くは$8が$10になったという位かな。流石にサインドになった途端に倍額に・・・なんて業者からは私個人はカードを買わないと思います。

 それに対して日本では、どうもサインドカードに対して高い評価がされているように感じます。特に米国に比べると日本はカードに直接サインを頂ける機会が少ないですし、例えば Douglas Schuler氏( Serra Angel(AL-4E) 等の作者)や Rebecca Guay氏(恐らく最近のイラストレーターの中では一番人気)等は公には来日すらされた事がないと思われます。ですからそういう方のサインドカードにはかなり高値が付くのは当然の流れになるでしょう。私はベータのセラ天のサインドカードを1枚持っているのですが、私が米国の方から入手した時の代価から見ると、これを日本で売った時の値段って信じられない位高いもん。

ちなみに私はこのサインドのベータ・セラを“日本語版黒枠のセラ4枚+日本語版白枠のセラ1枚”とのトレードで入手しています。ただこのトレードでは私とトレード相手の双方が得をしています。実は日本語版黒枠のセラって米国では高いのです。

 あと日本では例えば“ M:tG 関連の有名人”のサインドカードにも結構な値段が付きます。ここにK-1の佐竹雅昭氏が入る事に問題を感じない訳でもないのですが (^^; とにかく私から見ると本当に驚くような値段が付いています。ただどうも日本ではこの手のサインドカードに対する明確な相場が存在していない雰囲気があり、それが逆にサインドカードの価格を釣り上げているという印象が私にはあります。まあ米国では基本的に売られるサインドカードってイラストレーター+ガーフィールド氏の物が大部分なので、相場が決めやすいだろうとは思います。

● 今更語ってみる“頭に来た話”

 私がサインドカードの話をする時に、いつも思い出す嫌な話があります。

 今年8月の横浜の世界選手権会場での事です。1人の中学生か高校生位の方が我々の座っていたテーブルにやってきて「中国語版の Cursed Scroll(TE) が4枚あるのですが買いませんか?」と言うのです。見せて頂くと確かにそれは中国語版で美品なのですが、値段をお聞きするとどうも一般世間的な相場から見るとかなり高いのです。それで我々が首を傾げていると、彼はこう言ったのです。

「ほら、今日は会場に D.Alexander Gregory 氏( Cursed Scroll のイラストの作者)がいらっしゃっているじゃないですか。ですからこのカードにはサインが入っている物として評価して頂ければいいかと思います。

 流石に私はこれにはブチ切れそうになって「こいつ床に正座させて半日説教するか!」と思いました(爆)。幸いな事に横にいたS氏(彼に関する逸話は選手権のレポート参照)がやんわりと皮肉を言って追い返したのですが、もしそうでなければ彼はあの時地獄を見ていたでしょう。 (^^;

 私はこの時以来、日本人のサインドカードに対する執着にあまり良い印象を持たなくなりました。なんかサインそのものには有難味とか価値を見出していなくて、単に「これで+n千円♪」という発想しかないという感じかな。これじゃあサインを書いた方も浮かばれないよなぁ・・・そんな印象すらあります。

● 人は“金”が絡むと狂うもの

 私は1度としてサインドカードを“金儲けの道具”として考えた事はありません。実は私は Duelist Fukui の代表である Brassman 氏の協力を得て、近々サインドカードを含む何枚かのカードを Yahoo! オークションに出品する計画があります。ただそれにしても「日本のカードをもうちょっと安くしたいなぁ。」という意図を持って(取りあえず試験的に)やる事ですし、出品する際の設定価格は文字通り“原価”です。何よりもあそこの利用者はそれなりに目が肥えている、それが私が出品を決めた最大の理由です。市場価格に比べて割高感のある商品には、あそこの利用者は絶対に手を出しませんので。

 今回の一連の掲示板でのやり取りを見てると、やはり“個人取り引き”には色々と問題が多いという印象があります。例えば今 Yahoo! オークションにはフォイル・セラが複数枚出品されていますが、あれ位数があると比較検討できて面白いかな?、とも思います。やはり皆さんあの手のプレミアムカードには相当“高望み”をされている印象が私にはあるのですが、でもフォイル・セラに関しては買い手側が随分と冷静に対応されている気がします。ああいう対応をサインドカードでもすればいいのに(笑)。

● サインの仕方

 さて、では今度は「 M:tG のイラストレーターがカードにどうやってサインをしているのか?」について、私が知っている限りの情報を書いてみます。

 米国等でのイベント会場では、原則としてアーティストのサイン会には“1人1枚限り”といった制限はないはずです。つまり逆に言うと1度そのイラストレーターがイベント会場に来ると大量のサインドカードが世に出回るため、結果的にサインドカードの市場価格を下げる働きをするのです。実際我々が知っているあるバイヤーさんの持つ Black Lotus(AL-BE) (だったはず)の在庫が、1ヶ月後に見たら全部サインドになっていたとかいう事もありました(爆)。でも価格的にはせいぜい1割位上がっただけだったはずです。

 あと例えば Douglas Schuler氏は「私のイラストのカードを郵送して頂ければサインを書いて返送します。(ただし2~3ヶ月程かかるのは勘弁ね。)」というサービスをしてくれています。日本人でサインドのセラ等に(サインが入っているからと言う理由だけで)高額な売値を付ける方って、そういう事をイラストレーター自身がやっているのを知っててそうしているのでしょうか?。ちょっと頑張って英語のメールが書ければ、誰でもセラをサインドにできるのに。 (^^; またこういう形で3ヶ月もセラの到着を待つのはバイヤーには難しい話なので、サインする物をコレクター向け限定にするという意味合いもあるのだろうと思います。

● 夢を売り、夢を買う。

 これは掲示板にも書きましたが、私はイラストレーターさんって“夢を売る商売”だと思っています。当然彼らにも収入は必要ですし、私のように絵心のない人間に夢と満足感を与えて下さる商売ですから、むしろ高給で優遇されて然るべき職業だとすら思います。でもそういう方々が描いたイラストやサインが(書いたご本人以外の)特定の人間に食い物にされているとしたら、それは断じて許される事態ではないと私は思います。これは最近自分でも何人かのイラストレーターさんとお付き合いさせて頂いている経験から余計にそう思います。

 最近私は「日本の M:tG って『投機目的』に買われている部分が少なくないのでは?」という印象を持っています。最近の特定の人気カードの値上がり振りは異常ですし、特に日本でのサインドカードの市場価値って「あなた達キ○ガイですか!?」と言いたくなる事すらあります(爆)。ですから私としては日本で投機目的にサインドカードを扱うのは反対です。それじゃあ結果的にそのイラストレーター自身、あるいは M:tG そのものの風評低下を招きかねないのです。まあそんな呼びかけで「おいしい時期だけ食い物にして、駄目になったらさようなら。」なんて人を止めようもないのは事実なのですが。

● では、どうすればいいのか?

 最低限言える事は、今私がここで何を書いても「 M:tG に微塵の愛情もなく、金儲け目的でしかカードを見ていないような方に喚起を促す事は不可能である。」という事です。まあ元々そんな人はここを読んでないだろうけど(爆)。

 私が考えるのは「サインドカードが当たり前に使われる状態を日本に作ってしまえばいいのではないか?」という事です。珍しいから高いのであって、珍しくなければ高くはならないのです(当たり前や! (^^; )。例えばイベント会場等でサインをもらう際の枚数制限を無くすだけで、随分と雰囲気は変わると思います(実際米国ではそうしているはずですから)。あと代理店が人気イラストレーターさんにお願いしてカードにまとめてサインをもらい、それをGAMEぎゃざの懸賞等として配るという事は無理なのでしょうか?。こうすればサインドカードの加熱した市場を沈静化させる事は可能だし、しかも代理店の株は上がるわで言う事無しだと思うのですが?。

 あと日本国内の著名な方は、いっその事そういう雰囲気を逆手に取ってどこかの販売店でご自分のサインドカードを委託販売すればいいのです。どこかの誰かに儲けさせるより、サインを書いた本人が儲ける方が我々から見ると何倍も有意義なのです(笑)。またそういった方々のサインドカードについても、時々GAMEぎゃざの懸賞等に登場してくれるとうれしいかな。そりゃあ田中先生の描いたセラが当たるなら、私だって力の限りGAMEぎゃざ買いまっせぇ~!(核爆)。


   
なお、このページの内容に関する文責はすべて私 あいせん にあります。