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義経伝説と為朝伝説――日本史の北と南 (岩波新書)

感想・レビュー
13

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ねむねむ
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サブタイトルの方が大事でした。
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saladin
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悲劇的な最期を遂げた人物が”実は生きていた”という伝説はままある。日本において義経・為朝はその最たるものだ。本書はそんな義経・為朝伝説が、北海道・沖縄支配の過程で如何に利用されていったかに力点が置かれている。時代によって伝説が変容していく過程も描かれており興味深い。ただ、終章で触れられている、柳田国男の”伝説とは、史実そのものではなくとも、それを語り続ける人々が、歴史にどのような関心を抱いていたかを、雄弁に物語る素材”で、”その背後にある人々の心性を解き明かす”という視点からの記述をより読みたかった。
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曲月斎
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蝦夷地へ渡った義経主従と琉球に渡海した為朝と。実は伝説というにはあまりに生臭い意図が働いていた、という謎解きをするのが本書。北端と南端、近代の日本になっても「外地」の扱いをしてきた地で、統治を進めるためにこの英雄伝説を生かし、利用してきた者が居たという見立ては実に生々しい。中国大陸から東アジアに広がった華夷思想の日本版、「小中華」というものが意識のどこかに今も横たわってはいないか。と同時に、喜界島や北海道での発掘成果を反映した論考や、琉球使節の江戸入りの度に盛り上がる庶民像とか、点綴される風景が面白い。
曲月斎

単に口碑伝承の追跡から始まった物語は、日本という国が作り上げてきた論理を裏付ける一端になっています。

06/24 16:14
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AQL
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北海道と沖縄が日本に組み込まれる歴史的過程と、義経と為朝が生存・渡海してそれぞれアイヌ英雄オキクルミ(ないし元〈げん〉祖ジンギスカン)と琉球王祖になったという伝説の定着はパラレルな関係にある…との結論はある意味当然ながら、歴史と伝説、北と南に均等に目配りし、それらが近代の同化・植民政策や大陸進出を正当化した事実にあらためて注意をうながす。「歴史学からすれば、伝説自体は虚構であり研究の対象とはなり得ないが、人々に語り継がれた伝説の基底には、その集団や地域の歴史性が深く根を下ろしている」
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もにぃ
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英雄伝説の本かと思ったら、二人の伝説の発展と展開に伴う歴史の本。伝説が時とともに変容・浸透していく様が面白い。政治的に利用されていたとは思ってもいなかった。
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湯豆腐
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二つの伝説の形成・伝播過程を丁寧に追うと同時に、日本人のアイヌ・沖縄観の変容を人類学、考古学、民俗学、歴史学、国文学の成果を通じて追うことができる通史にもなっている。外国語を自分の世界観で訳しちゃうやつ、マウンティングのために偽書買うやつ、売るやつ、支配者に迎合して史書書くやつ、見栄張るやつ、便乗商法するやつ、信じ込むやつ等々がたくさん出てきて、人間だなあという感じがして非常に良い。
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HANA
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義経成吉思汗説と為朝琉球渡り。本書ではこれらの伝説を取り扱っているが、本当の眼目は伝説の伝播と発展であろう。時代によってその内容が書き換わる義経と、双方の政治的都合によって発展する為朝。その差はあれど両者とも「中央」の都合によって内容が変遷する様が興味深い。義経伝説の方は戦前大陸への拡大の理由付けとしての面が目立って歴史は浅いものとばかり思っていたが、その根が江戸以前からあったとは思いもよらなかった。金、清から元の租へと変わる様子、また成吉思汗説にシーボルトが絡む等思いもよらぬ歴史を楽しむことが出来た。
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ねりま
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それぞれ蝦夷と琉球に逃げ延びたという伝説が流布していた、源義経と源為朝。本書はその伝説の形成過程を辿っていくことで、日本列島に住む人々がその周縁をどのように捉えていたのかを考察してゆく。義経=ジンギスカンという偽史が明治期以降に広まっていたのは知っていたが、その大元の着想がシーボルトにある、というのは初めて知りました。
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MrO
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義経伝説、為朝伝説が詳しく知ることができるわけではありません。この両者の伝説の中身については、実に最後まで触れることなく終わります。その代わり、この伝説を利用した人々のことを知ることができます。もっとも冷酷なのが、やはり近代という時代以降でしょうか。義経も為朝も、国家権力に滅ぼされた側ながら、国家権力にいいように利用されたことを知ってどう思うんでしょうか。国家、特に近代国家の恐ろしさが伝わってきます。
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黒猫
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タイトルと思っていた内容が違った。各地の義経伝説や為朝伝説をいろいろ知れるのかと思っていたら、蝦夷と琉球がいかに酷い扱いを受けてきたのかということが、主になっている。義経伝説は蝦夷の開拓に伴い広まっていき、為朝伝説は琉球の本土帰属に伴い広まっていったということ。源為朝を目当てに読んだが、特に目新しい話はなく残念でした。タイトルも蝦夷と琉球の侵略史に変えた方が良い。タイトルそのまま見て読むと勘違いします。北海道と沖縄が昔から酷い扱いを受けていたのはよくわかりました。
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かわくん
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源義経と源為朝という平安時代の二人の英雄についての伝説が、どのように広まり、どのように変容していったのかを解説した。義経は蝦夷地へ渡り、さらには大陸へ。また、為朝は沖縄へ渡ったという伝説は、意外に広く信じられていたようだ。悲劇のヒーローに対する庶民の同情と願望がその土台にあるのかもしれない。実際、私が住む岩手は義経終焉の地である平泉から太平洋岸を北上し、青森津軽まで伝説のルートがある。それを題材にした歴史ミステリーもあり、ロマンをかきたてられる。そういった伝説が統治の道具にされた歴史についても触れている。
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見もの・読みもの日記
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北海道から大陸に展開する義経伝説と九州から沖縄に及ぶ為朝伝説。二つの英雄伝説の成長と変容を通して「日本の中央政権が列島の北と南を覆いつくしていく過程」を描く。シャクシャイン=義経の子孫説とか、義経=清祖説の根拠として、家々の門に義経と弁慶の画像が貼られている(門神か?)など興味深い話多数。ファンタジーはファンタジーとして楽しめばいいのにね。
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さとうしん
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北海道ではアイヌの英雄譚が和人によって義経と弁慶主従の英雄伝説として読み替えられ、沖縄では源氏の血を引くとされた島津氏におもねる形で、為朝とその子舜天が琉球中山王朝の始祖と位置づけられる。本書ではこの北の義経伝説と南の為朝伝説とを対比し、それぞれが日本への「同化」「皇民化」を後押しするための道具となっていくさまを描く。中世・近世の「伝説」形成の過程と、近代の「伝説」が「史実」になろうとするさまの両方を均等に描けていると思う。
Kotaro Hayashi

3つ目のコメントにナイスをさせてもらいました。確かに日本て儒教を建前としてるから尚更タチが悪い気がします。 儒教を建前にすると、チャラになってしまう悪事とかありますしね。

10/10 14:00
さとうしん

中国・韓国なんかは「儒教に支配された」ことを充分に自覚していて、近代中国では魯迅なんかがそれを痛烈に批判しているわけですが、日本の場合はその自覚が足りないうえに、魯迅、あるいは同時期の中国の新文化運動のような批判や内省を欠いてますからね…

10/10 17:11
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Loding meterchan
義経伝説と為朝伝説――日本史の北と南 (岩波新書)評価70感想・レビュー13