NHK千葉
小村 美記
現金を使わずにスマートフォンなどで支払いができる「キャッシュレス決済」。千葉県木更津市は、全国でもまだ例が少ない地域限定の電子通貨を導入しています。
さらなる普及に向けて、買い物額の5%を還元するキャンペーンを始めました。狙いは、ことし10月の消費税率の引き上げです。
木更津市内だけで使える電子地域通貨の「アクアコイン」。
店にあるQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、支払いができます。
木更津市に入り口がある東京湾アクアラインから名付けられたアクアコイン。
スマートフォンの専用アプリに、現金をチャージして使う仕組みです。
店での支払いでも。
「アクアコインで」。
「かしこまりました」。
市は今月から、アクアコインで買い物をすると、購入額の5%をポイントで還元するキャンペーンを始めました。
1000円の買い物で50円分のポイントがもらえます。
利用者は「知人にすすめられて始めたんですけども、チャージした時にまず還元するのがあるのと、支払いしたときにもまたポイント還元ということがあるので、それはすごくお得」と話しています。
アクアコインは、去年10月、地域経済の活性化の切り札として、市や地元の信用組合などが導入しました。
若い世帯の人口が増えるなか、全国でもまだ例が少ない地域限定の電子通貨によって関心を引きつけ、地元でお金が回るようにしたいと考えました。
導入からまだ4か月ですが、着実に広がっています。
店側も、QRコードを掲示するだけで参加できるうえ、経営の効率化にもつながることから、すでにおよそ400店が加盟。
アプリの導入者はおよそ5000人、取引額は5000万円近くに達しました。
利用者からは「とても便利でね、よく使っています。1回覚えちゃえば楽ですよ」「本当にこれ1つでいいので、ありがたいです」といった声が聞かれました。
広がりはこんなところでも。市内の神社です。
ここでは、おさい銭もアクアコインで納めることができます。ちなみに、ポイント還元もしっかりついています。
今月からの新たなキャンペーンは、さらなる利用者の獲得とあわせて、もう1つの狙いがあります。
それは、ことし10月の消費税率の引き上げにあわせて予定されている政府の景気対策への備えです。
キャッシュレス決済に限り、原則、購入額の5%をポイント還元するという対策ですが、ふだん現金で買い物をしている人たちへの対応が課題となっています。
木更津市は、今回のキャンペーンで、高齢者など、これまで電子通貨になじみがなかった人にも、キャッシュレスを普及したいと考えています。
出だしは好調で、キャンペーンの開始からわずか5日間で、新たにアプリを導入する人が200件増えたということです。
市は、今後、ボランティア活動を行った人にポイントを付与することも検討するなど、アクアコインのさらなる活用を目指しています。
木更津市産業振興課の鈴木昭宣さんは「地域の経済が活性化して、さらにコミュニティー活動も高める効果も考えております。アクアコインを地域のために使っていただきたいと、市民の方にお願いをしています」と話していました。