今回は、初のカナディアンウイスキー、そのトップブランドであるカナディアンクラブを飲んでみます。

ccカナディアンクラブは、米国マサチューセッツ州出身のハイラム・ウォーカーが1856年に設立した蒸留所で作られています。
もともとデトロイトで食料品店を営んでいたウォーカーは自らの店でウイスキーを置こうとしましたが、当時は認められてませんでした。
さらに、この時から禁酒運動が目立つようになっていたことから、ウォーカーはデトロイトから湖の対岸にあるカナダに蒸留所を建設したのでした。

バーボンなどに比べてライトで飲みやすいウイスキーとなったことで、米国の紳士の社交場、ジェントルメンズクラブで飲まれるようになって、「クラブウイスキー」と呼ばれるようになりました。

しかし、あまりの人気にバーボンの蒸留所などが政府に働きかけ、カナダ産を意味する「カナディアン」を冠するよう法律で決められ、「カナディアンクラブ」と呼ばれるきっかけとなりました。
しかし、これがかえってブランディングを促進することとなり、不動の人気を得るようになりました。

カナディアンクラブは、ライ麦を中心に大麦麦芽、コーンを使用した原料構成になっていて、コーンがメインのバーボンとは異なっています。
また、ライ麦や大麦麦芽から作られた「もろみ」はポットスチルで蒸留されてフレーバリングウイスキーとなり、コーンから作られたもろみは連続式蒸留器で蒸留されてベースウイスキーとなります。

カナディアンクラブのもう一つの特徴が、プレブレンディングです。これは樽に詰める前にベースウイスキーとフレーバリングウイスキーをブレンドする方法です。
別々に熟成させるスコッチやジャパニーズとは異なる方法です。

そして大きな違いが、熟成時に常に一定の温度にしておくことです。これも季節の温度変化をそのまま利用するスコッチ、ジャパニーズと異なっています。

こうした独特の作り方が、カナディアンクラブの個性を生み出しているといえます。

今回の無カナディアンクラブのレギュラーは、6年熟成された原酒をメインしています。
まずはストレートで飲んでみます。 

グラスからの香りは、フローラルな中にバニラのような香りが感じられます。
口に含むと、まずバニラの甘い香りが充満し、とてつもなくミルキーな印象があります。最初はバーボンに似たエステりーな雰囲気がありますが、すぐに消えてしまいます。
味わいも甘めで、 かなりバニラの香りに引っ張られている印象です。

ただ、加水されると一気に印象が薄れ、香りも味もそっけないものになってしまいます。
水割りやハイボールだと魅力がなくなってしまい、ストレートやロックでなければ厳しいところです。

700mL、アルコール度数は40度で、価格は1200円ほど。 

バーボンなどのアメリカンウイスキーが苦手な人でも、独特のエステりーな香りは薄く、甘くて飲みやすい味に仕上がっています。
また、その甘さを利用してカクテルベースにするのもいいかもしれません。

<個人的評価> 
・香り A: バニラのような甘い香りが広がる。特にストレートでは絶大。
・味わい B: アルコールの辛みが感じられるが、それを超えると甘い。 
・総評 A: 初心者向け。ストレートでも飲みやすい。