【ドラニュース】【龍の背に乗って】吉見 ネット検索で見つけた7本歯 苦手な硬いマウンド必死で対策2019年2月8日 紙面から
え? ごめん。もう一回言って。ネットって聞こえましたが…。 「そうです。ネットで検索したんです。もう時間ないから必死でしたよ。硬いマウンド、投げ方って入れたんです」 吉見のブルペンでの投球がガラリと変わったのは3日のことだった。それまでは「苦投」がひしひしと伝わってきた。理由もわかる。今季からナゴヤドームがいわゆるメジャー仕様の硬いマウンドに変わるのに合わせ、キャンプ地のブルペンも一新された。ところが彼のスタイルは下半身をしっかり使い、粘りで投げる純和風。気の毒なくらい合っていなかった。 「時間が取れないんです」。間、と書く方が伝わるだろうか。左足を踏み出して、球をリリースするまでのわずかな時間が吉見の生命線なのに、新マウンドではつくれない。しかし、3日目には鮮やかに適応した。変えたのは3点。スパイクの歯を13本から7本に減らし、左足をかかとからではなく足の裏全体を同時に着地させ、ノーワインドアップを取り入れた。 「歯が多いと地面に刺さって引っ掛かってしまうんです。ノーワインドアップは反動というか勢いがつくので」 こうしたアプローチ法をインターネットで入手したという。僕も検索してみたが、確かに載っていた。岩隈(巨人)、前田(ドジャース)など、渡米して適応に迫られた選手の体験談である。 歯を削って短くする、ソールの素材を変更するなどさらなる微調整プランもネット情報で進行中。本拠地だけでなく、東京ドーム、甲子園もメジャー仕様になる。にわかに「硬いのは苦手ですが僕はメジャーには挑戦しないので」では済まない時代が到来した。 吉見はこの日からブルペンで変化球を解禁。8日はフリー打撃に登板する。「真ん中でいいので低めに投げることがテーマです」と表情は明るい。ちなみに「記事の書き方」で検索したところ、際限なくアドバイスが載っていた。今度、勉強してみよう…。 (渋谷真)
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