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(萬平)僕は 自分が作ったラーメンを日本中の人に食べてもらいたいんです。
ですから ここにいる全員がおいしいと言わなければ作り直します。
遠慮はいりません。 まずいなら まずいとはっきり おっしゃって下さい。
もちろん おいしいなら おいしいと。
(福子)そしたら 頂きましょ。
(3人)頂きます。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
(克子)うん おいしいわ。(忠彦)うん うまいよ 萬平君。
そうですか!
(タカ)ごめんなさい 萬平おじちゃん。えっ。
やっぱり 私は駄目。つわりのせいで受け付けへん。
それやったら 最初からそう言うたらええやないか。
ごめんなさい。
(鈴)私は おいしいとは思いません。
(克子)お母さん。
おいしくない。
そうですか…。そこまで言い切らなくても…。
私も。
おいしくないとは言いませんけどようある味いうか…。
何べんも飲みたくなるような味やとは思いません。
福子おばちゃん。
萬平さんが作ろうと思てるのは世の中の人が びっくりするようなラーメンですよね。
それやったら この程度の味で満足してはいけないと思います。
(忠彦)う~ん 確かに。
そうね。
私は まずい。おばあちゃん。
分かりました。
(河原塚)鶏 丸ごとですか。
ええ。 とりあえず 5羽下さい。
これは ラーメンのスープに?
胸肉とか もも肉とかいろいろ試してみたいんですよ。
鶏ガラとは値段が ちゃいますよ。
しかたありません。毎度 おおきに。
(敏子)失敗?
ええんよ。 最初からうまくいくわけないんやから。
(しのぶ)せやけど小屋まで建てて たった一人で…。
やっぱり 大したお人やわ立花さんは。
(アキラ)そらそやろ。あのダネイホンを作ったお人やからなあ。
お金は大丈夫なん? 福ちゃん。
そうや。 材料費もかさむし道具も どんどんそろえていかなあかんのやろ。
ラーメン作るとなったら 製麺機とかその何やかんやと必要やもんな。
でも お金は まだ大丈夫。
萬平さんの退職金も残ってるし私も ここで しっかり働きますから。うん。
福ちゃんの時給 上げてあげないと。そうやな。
あんたの小遣い削って。えっ。
(絹江)あれは強がりや。
(かず子)ダネイホン作ったいうても昔の話やからなあ。
(澄)信用組合の理事長やってた人が客商売 始めたかてうまいこといくわけないわ。そうよ。
萬平さんはスープ作りに没頭していました。
外は真冬の寒さ。
でも 研究所の中はむせ返るような暑さでした。
♪~
そして1週間後。
新しいスープです。
いろいろ試して鶏の胸肉を使てみたんやて。
ええ匂いや。うん。
匂いだけは いつも いいのよ。もう お母さん また。
タカちゃん やっぱり無理やて?まだ つわりが ひどいんやて。
何食べても まずい言うからタカを呼んでも しかたない。
是非 味見して下さい。(福子 克子 忠彦)頂きます。
うん これは うまい!
うん。 前より ずっとおいしくなってるわ。
ありがとうございます。
おいしいです。
そうか。
私は そうは思いません。
えっ。
むしろ 最初の方が おいしかったかも。
最初の方が?そんな お母さん。
全員が おいしいって言わないといけないんでしょ 萬平さん。
はい。
(克子)何で これがおいしくないのよ お母さん。
(鈴)理由なんかないわよ。(忠彦)僕は おいしいと思いますよ。
お母さんは 萬平さんにラーメン作りを諦めさせたいんでしょ。
いいえ。本当に おいしくないの。
いいや 絶対そう。意地悪してるだけやわ。
まだ2回目ですよ。
2回目で 世の中がひっくり返るような味が出来るわけないでしょ。
そうですよね。
そうですよね?
私も おいしいとは思いますけどこの程度の味やったらすぐに飽きられてしまうと思います。
もっと もっと もっとおいしいスープにしないと。
(鈴)うんうん そうよ。(克子)福子…。
作り直します。
(森本)うまい。(岡)これの どこが あかんのですか。
全員が うまいと言ってくれなきゃ駄目なんだ。
ごめんなさいね 萬平さん。謝ることはない。
福子は僕のことを思って言ってくれてるのは よく分かってる。
お義母さんの言うとおりだ。
2回目 3回目で 完成するわけがない。
さすが社長じゃ。
塩作りの時も ダネイホンの時も一切 妥協せんかったもんなあ。
どうか無理はしないで下さいね 萬平さん。
フッ… 無理をしなきゃ新しいものは作れないよ。
わしらが手伝いますから。大丈夫ですよ 奥様。
ありがとう。
(真一)へえ~ここでラーメンを作ってるのか。
真一さん。小野塚さん。
おっ 岡君に森本君久しぶりやな。
お久しぶりです。いきなり訪ねてきて申し訳ない。
玄関から何べんも呼んだんやけどね。それは すいませんでした。
萬平君 ダネイホンを作ってた頃に戻ったみたいやな。
つい この前まではネクタイを締めて仕事をしてたのに。
もう忘れてしまいましたよ そんなことは。
萬平君の新しい挑戦僕は応援するよ。
ありがとうございます。
今日は 萬平さんの様子を見に?
いや 実は 福ちゃんに相談が。えっ。
できれば 萬平君にも聞いてほしい。
えっ?
実は… 実はね…。
再婚を…。
再婚。うん。 再婚を考えているんだ。
えっ 真一さんがですか!?
友人の紹介で ある女性と出会ってね。
この人なら咲も許してくれるんやないか思て。
再婚…。
(咲)福子。
そうですよね。 咲さんが亡くなってもう17年になるんだよ。
確かに…。
僕かて 今も咲のことを思い出さない日はない。
でも…。僕は むしろ 真一さんが今まで再婚を考えなかったことが不思議だと思います。
お相手は どんな方なんですか。
本城好美さんという 35歳の女性でね。
いや 私より若い。
3年前にご主人を亡くして今は 2人の子どもを女手一つで育てている。
お子さんが?
6歳の女の子と 4歳の男の子なんや。
そしたら真一さん 再婚したらえっ お父さんに?
ああ。 彼女と会うまでは想像もしていなかった。
お子さんたちは もう真一さんに懐いているんですか?
うん ああ。
ああ じゃあ 何の問題もない。なあ 福子。
そうですね。
いや あるよ。ん?
はっきり言うて咲が亡くなった時からもう僕は 福ちゃんたちとは何のつながりもない。
そやけど 萬平君の仕事をずっと手伝ってきたからね。
自分では 勝手にまだ親戚のつもりでいるんだ。
分かります。私かて そう思てます。
だから みんなに祝ってもらえないなら再婚はしない。
福ちゃん 克子さん何より お義母さんが どう思うか。
ああ お義母さんか…。
一度 彼女に会ってくれないか福ちゃん。
私?まずは 福ちゃんに紹介したいんや。
会ってあげなさい 福子。
分かりました。
ありがとう。
福ちゃんが真一さんのお相手に会ったのはその2日後のことでした。
本城好美さんだ。本城好美と申します。
立花福子です。
あれが 福ちゃんの亡くなったお姉さんの…。
旦那さんやった人。
で その隣が… 再婚相手や。まだ決まったわけやない。
あの 本城さんは…。あっ 好美って呼んで下さい。
あっ そしたら好美さん。はい。
お子さんは…。
上が6歳で 花子いいます。下の和光は4歳です。
もう悪さばっかりして。昨日も あれ何て言うの? 冬眠?
とうみん?冬眠してるカエル起こしたる言うて地面に穴掘り始めましてね。やめや言うのに もう。
ほな 出てきたのがモグラで。母ちゃん モグラも冬眠するんかいな。
いやいや モグラは もともと土の中におるんやから冬眠やないやろ言うて。モグラも いい迷惑ですわ。アハハハハハ。
元気なお坊ちゃんですね。いえ 上の娘です。
いい子だよ とっても。
そのかわり 下の息子は もう内気で。子どものくせに 家におってばっかり。
子どもは 普通 日曜日は外で遊び回りますやろ。はあ。
そやのに 和光ときたら今日は一日パジャマの日や言うて一歩も外に出よりませんの。どない思います?
いや~ ハハハ…。
あっ ごめんなさい。私 ベラベラしゃべってもうた。
真一さんが 今日は ふだんどおりの君を出してくれ言うから。
まあ よそ行きの顔 見せてもねしかたないからね。そうですね。
要するに 普通の大阪のおばちゃんやん。黙っとき!
福ちゃん 何か質問があれば どうぞ。
えっ 質問。
どうぞ 何でも聞いて下さい。
ん~…。
好美さんは 咲姉ちゃんとは全然違う雰囲気の人でした。