高木彬光先生の「成吉思汗の秘密」
『連戦戦勝の戦いのヒーローだった源義経の最後には、多くの疑問と作為がちらばっている。
義経の首を挙げた鎌倉勢は、蒸し暑い六月に四十三日もかけて凱旋しているのはなぜか。
偽物を頼朝にとどける偽の首を腐らせる長道ではなかったのか。
アイヌ民族の“ホンカイサマ”伝説が意味するものは。
衣川の戦いで義経は落ちのびた!?
源氏の白旗とジンギスカンの九りゅう白旗は単に偶然の一致に過ぎないのか・・・
蒙古平原の星・ジンギスカンは源義経である”という一人二役の大トリック。』
角川文庫より
病床の神津恭介が、義経=成吉思汗という大胆な仮説を証明するべく、一人二役の大トリックに挑む。
昭和32年9月、
盲腸により入院した名探偵・神津恭介の安楽椅子探偵で、
殺人も事件も起こらない歴史本格ミステリー。
これはかなり前に読んだ。
義経北行伝説のバイブルです。
何冊か北行伝説・義経=成吉思汗の著作を読みましたが、
これに勝るものはありませんでした。
これはもう古典です。
北行伝説・義経=成吉思汗はこれを一冊読めばすべて満たされる名著です。
何回か再読をいたしましたが例によって例の如く忘却をしております。
何処までが虚で何処からが実か?
虚実入り乱れての最高傑作です。
この文庫の出版年月日は奥付に昭和55年9月30日とあります。
38年前になります。
全ページがセピア色になっております。
追記
静御前が源頼朝の前で義経を想い舞歌ったのが
「しずやしず しずのおだまきくりかえし
むかしを今に なすよしもがな
吉野山 峰の白雪ふみしわけて
入にし人の あとぞ恋しき」
これが最後に盛り上がるところです。
そして最後の謎となります。