受刑者収容先、性認識で 性同一性障害巡り勧告

2018/10/25 9:50
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兵庫県弁護士会は25日までに、心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の受刑者の収容先について、戸籍上の性別に基づいて決めている基本指針を改め、受刑者本人の性の認識で決めるよう法務省に勧告した。

記者会見する兵庫県弁護士会の瀬川嘉章弁護士(右)ら(24日午後、神戸市)=共同

弁護士会によると、2014年以降、男性が収容される神戸刑務所で、GIDと診断された元受刑者と、女性ホルモンを投与している40代の受刑者の計2人が、丸刈りを強制されたり男性刑務官に身体検査されたりした。2人は16年に待遇改善を求めて弁護士会に人権救済を申し立てていた。

弁護士会は24日、神戸刑務所に改善を勧告。全国の刑務所や拘置所を管轄している法務省に対しては指針変更を求めた。同省は過去にも指針を改めたことがあり、男性から女性への性別適合手術を受けた受刑者の身体検査は女性職員が対応するなどの配慮をしてきた。

記者会見した瀬川嘉章弁護士は、神戸刑務所では40代受刑者に女性用下着の着用が認められているなど現場の裁量で一定の配慮はあると説明。「逃げ場のない刑務所では、より根本的な改革が必要だ」と訴えた。

法務省矯正局は「勧告が届いていないので、現段階ではコメントできない」としている。

法務省によると、全国の刑務所や拘置所でGIDと診断されたり、その傾向があると認められたりしたのは17年末時点で約40人。〔共同〕

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