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音の味わい、人の味わい
オーディオに癒しの音を求めて・・・ギターもちょっぴり

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【売り文句】(ハルキ文庫解説より)

義経・ジンギスカンの一人二役は成立するのか・・・神津恭介の入院生活の退屈しのぎにと、友人松下研三が提示した謎は、天才探偵の頭脳を刺激した。邪説としてしりぞけられてきた問題に論理的説明を加えていく神津の大胆な推理が導き出す歴史の真相とは? 純然たるロジックで展開される歴史ミステリーの傑作。

    *  *  *

これは20代からの愛読書で、それこそ何度読み返したかわかりません。写真左がぼろぼろになったカッパノベルス版、右が現在のハルキ文庫版です。大きな感動があって・・・というのとは少し違い、ワクワクしたい時、何となく日常にマンネリを感じた時に取り出しては読む小説です。

題材は、「源義経は平泉の戦いを逃れ、蝦夷地(北海道)を経て大陸に渡り、後にジンギスカンになった」という民間伝承を、歴史的事実を掘り起こしながら検証していくというものです。

一見、荒唐無稽に見えるこの説ですが、
・生まれた時期がほぼ同じで、一方が活動している時代、もう一方は表舞台に出ていない。
・青森から北海道、さらにはシベリアへ、逃走の足跡が点在している。
・鎌倉時代の風習、義経の戦術とジンギスカン周辺のそれとは共通点が多い。
・ジンギスカンはモンゴル民族ではない状況証拠が多い。

など、一応うなづける書物や資料が高木氏の筆力で効果的に紹介されていく展開は、読み物として本当に面白いです。一方的に都合のよいデータを並べるだけでなく、名探偵と歴史学者との対決の形をとり、反論も並列して見せることで本当らしさを際立たせているのも成功の一因です。

そんなことありっこないよと思いつつ、
・清朝六代皇帝/乾隆帝の「朕の姓は源、義経の末裔なり。その先は清和にい(出)ず。ゆえに国を清と号す」という一文の登場。
注)義経は清和源氏。当時の日本の呼称は和国。
・事実、清朝時代の北京には太和殿、保和殿など、“和”のつく宮殿が多い。
・清朝に取って代わった中華民国の初代大統領は、これらの宮殿の名前を変えて“和”の字を一掃することを最初の仕事とした。

というあたりになると、何度読んでも、皮膚がざわざわしてくるのを禁じえません。

しばしの間、浮世のうさを忘れて、物語の面白さに浸りたいというときに手が伸びる・・・そんな一冊です。

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