米国オリンピック委員会(USOC)が「#RIO2016」でのツイートなどリオ五輪をめぐる企業のソーシャルメディア投稿を禁止したと報じられ、当のアスリート達が猛反発している。
一部選手のスポンサー企業などに宛てた通知では、ゲームの結果をつぶやいたり、IOCなどの公式アカウントの発言をリツイートしたりシェアすることも禁じたという。実際、すでにオリンピックなどの用語はもちろん、こうしたハッシュタグもUSOCが米国で商標登録している。「Tokyo2020」も、もちろん例外ではない。
選手を応援するツイートなどをすると、最悪ではメダルはく奪もある、とBBCが報じたのに対し、選手の一部が猛反発。有名選手の批判ツイートなども飛びかった。
例えば、「自分のスポンサーから『グッド・ラック』って言われただけで失格するかもしれなくて、薬物使用はOKな訳?」と7種競技のケリー・サザートンの7/26ツイートでは反発している。
ロシアのドーピング問題でIOCが下した判断が「フェア」に欠けるものだったこともあり、今回のツイート禁止令も批判に火が付いた形だ。
◆なぜツイート禁止なのか?
企業だって仮にも市民社会の一員だ。別にオリンピックを応援しようが良いじゃないか、とも思える。キーワードは、「アンブッシュ・マーケティング」(便乗商法/便乗広告)という言葉だ。最近、広告業界では頻繁に耳にする単語だろう。公式スポンサーでない企業が、オリンピックなどの巨大イベントに便乗してマーケティング活動を行うことをいう。たとえばオリンピックの時期に企業が選手を起用したCMなどを打つのは、間接的なオリンピックへの便乗だと言われる。
つまり、オリンピックの名前やロゴの利用はもちろん、それを連想させる広告も公式スポンサーの専権という訳だ。「公式スポンサー」というと、TOPと呼ばれるワールドワイドのスポンサーで、コカ・コーラ、GE、トヨタ、VISA辺りが並ぶ。大企業揃いだ。
この「アンブッシュ・マーケティング」だが、結構厳しくて、日本でも東京招致が決まってから、一気に広まった。JOC(日本オリンピック委員会)が便乗商法の疑いリストを各所に通知したのだ。元はといえば本体のIOCの要請なのだが、それに基づいて広告審査機構(JARO)が公表したNGワード集はなかなか刺激的だ。
同機構によれば、「結論から言ってしまえば、いかなる文言を使用しようとも、商業広告でオリンピック東京大会を想起させる表現をすることは、いわゆる便乗広告として不正競争行為に該当するおそれがあり、JOCやIOCから使用の差し止め要請や損害賠償請求を受ける可能性がある」とのこと。
懸念される言葉として、次のようなものが並ぶ。
・東京オリンピック・パラリンピックを応援しています
・祝2020年開催
・東京で未来の夢を実現
・祝・夢の祭典
・7年後の選手を応援しています
・「東京」「2020年」の使用(セット・単体ともに)
などで、応援するのも祝うのも駄目。「東京で夢を実現」なんてもってのほか。最後の「セット・単体ともに」が特にすごい。広告に「東京」とも「2020年」とも書いてはいけない。無論、文脈によるとの注釈があるが、どんな文脈だろうが普通「2020年だけで危ない」とは言わないだろう。
つまりオリンピックに近づくな、である。これだとオリンピック前後には選手のCM起用はもちろん、飲食店が「サッカー●●戦中継中、皆で応援しよう」というポスターを貼るのも、一般の企業や施設が「東京にようこそ!」とか「●●選手がんばれ!」という看板を掲げるのも、全部典型的なアンブッシュとなりそうだ。
あまりにも常識とかけ離れた、何かの冗談なのかと言わざるを得ない状況だ。オリンピックと言えば一大イベントであり、ツイッターなどでバズってなんぼだろう。オリンピックという言葉が世の中に溢れるのを阻止したいとさえ見えるが、本当にそれで良いのか。東京を訪れた外国人は、街角で「東京オリンピック」という看板を一枚も見かけることがない、などというバカげた事態が本当に起こるかもしれない。
(CNET Japan 8月9日(火)12時0分配信より引用編集)
◆宣伝広告は民間も活用すべき
組織委員会側の言い分としては、「組織委員会の方で正式な看板は準備します」というかもしれない。しかし、それは誰のお金だろうか? 言わずと知れた税金からの拠出だろう。企業が独自に盛り上げるのを阻止しておいて、税金を使って宣伝する。これが無駄遣いと言わずして何という?
◆オリンピック運営側の言い分
スポンサーには、[五輪マークや大会名称など]の知的財産の使用権の見返りとして、多額の協賛金を拠出いただいており、この資金が、大会の安定的な運営及び日本代表選手団の選手強化における大きな財源となっています。マーク等の無断使用、不正使用ないし流用は・・(中略)・・スポンサーからの協賛金等の減収を招き、ひいては大会の運営や選手強化等にも重大な支障をきたす可能性があります。(東京五輪組織委員会HPより)
つまり、公式スポンサーではなく何も協賛してないにも関わらず五輪を宣伝に使う「タダ乗り」が増えると、公式スポンサーが減り財源を圧迫することになりかねない、との理屈である。どうやら、「私たちは東京五輪を応援しています」とたまにTVコマーシャルなどでテロップを見かけるのは、「お金を出して選手を支援しています」ということらしい。そのため、いくら熱烈なファンで応援していても、「わが社は五輪の成功を応援しています」とは言えないという理屈だ。
◆真のスポンサーは都民と国民
しかし、総額2兆とも3兆とも言われる開催費用のかなりの部分は都が負担する。膨らむ負担額の全容はさっぱり見えてこないが、もはや1兆円以上の予測もある。その財源は、都の住民税、事業税その他の税金だ。一方公式スポンサーからの財源は、前述のTOPスポンサー料全体で、ロンドンまでの4年で1000億円前後だった。東京独自のゴールド・スポンサーが2000億円を超えた程度。放映権収入のIOCからの分配は、1000億円あるかないかだろう。
つまり、我々都民、国民こそが最大のスポンサーなのだ。その最大のスポンサーに、「応援はスポンサー企業の邪魔にならない範囲で」というのはあまりにも民衆を愚弄している。一体誰がそんなに税金を使っていいって言ったのか? 今回の都知事選で自民公認候補が落選し、小池都知事が圧倒的な得票で当選した理由を本当に理解しているのか。これだけ、開催費が膨らみ経費削減が叫ばれる中で、森組織委員長は、のうのうとリオ五輪ツアーに出かけているが、その費用をまずは公開すべきである。
◆「便乗商法」が不当である法的根拠とは?
○商標権
確かにIOCやJOCは「オリンピック」や「がんばれニッポン!という言葉を商標登録している。だから、誰かがオリンピック饅頭とか、「がんばれニッポン!」という期間限定ショップなんて始めると、商標権侵害になりそうだ。また、不正競争防止法という法律もあり、エンブレムやオリンピックという言葉を無断で使うと不正競争にあたることもある。その意味で、度を超えた便乗商法は確かに危うい。
だが、いずれも、登録商標やエンブレムを「商標として使う」行為が対象である。つまり、商品名や店名としての使用が抵触する典型例であるが、「記述的使用」と言って、単にオリンピックという競技を指し示すために、ニュースなどで言葉を使うのは、基本的に違法ではない。
この点で、JOCが挙げた懸念例は、明らかに度を越えた行き過ぎなものと言わざるを得ない。こうした言葉をよほど特殊な状況で使うと違法になり得るという程度であって、通常のオリンピック応援レベルで違法になるとは考えにくい。
そもそも言葉の使用をすべて控えるのであれば、ニュースや新聞なども報道できなくなるではないか。五輪をめぐる過剰な言葉狩りは、法的根拠がないのに知的財産権を装う「疑似著作権」の最たるものだ。
この判断を委ねられたJAROとしては、グレーゾーンを避けるために、基準を安全サイド、すなわち、「ちょっとしたことでも抵触する」とした方が、先々トラブルを避けられるため、「広すぎる」範囲での解釈となったと思われる。これは、グレーゾーンに基準を設定して、後でIOCからクレームが来た場合、その責任は基準を設定したJAROに及ぶからであり、責任回避の何ものでもない。
◆時限立法での規制法成立前にツイートで民意を示せ!
ロンドンでもリオでも、IOCの要請で、時限立法でアンブッシュ・マーケティング規制法を作っている。そこでは、通常の知的財産権よりも強硬なオリンピックへの言及の規制が行われ得る。日本でも、間違いなくこの種の時限立法は政治日程に上ってくるだろう。だが、いくら特別立法といっても、その範囲はある程度限定されたものになるはずだし、実際に過剰な言葉狩りは避けるべきだ。それは肝心のイベントの盛り上がりを削ぎ、オリンピックの経済波及効果を押し下げかねない。
(CNET JAPAN 2016/08/09 12:00より引用編集)
しかし、その法案を作って国会の審議にかける段階では遅すぎる。その法案が草案の段階で、民意をネット上で炎上させなければならない。最大のスポンサーであるわれわれは一人一人の力は弱くでも何百万も集まれば政治を変えられることに気付き始めている。
民意が集まれば如何に強大な権力である自民党都連公認の候補でも落選させることができる。「保育園落ちた日本死ね!」の呟きが政治に影響を与え、小池新都知事も改善しようと動いてくれようとしている。
今回のリオ五輪でも、選手が頑張っている姿をみて、感動する人も多いはずだ。その思いを拡散し、皆とシェアできるのがネットでの呟きである。感動を皆と共有することで、大会が大いに盛り上がることになり、実際に会場にチケットを買って見に行くことにもつながる。そこでまた感動をシェアする。それこそがスポーツ観戦の醍醐味というものだ。それを「ツイート禁止」とは全くあきれてものも言えない。
今こそ、ネットを駆使してこの暴挙に立ち上がるときだ。Facebook、Twitter、ブログやホームページを通じて「ツイート禁止」に猛反発をすべきだろう。具体的にはリツイートやシェアで反発意見を拡散し、政府やJOCの公式アカウントに猛抗議すればよい。
さて、幕を開けたリオ五輪では日本勢のメダルラッシュが続いている。そのニュースや報道を聞くたびに盛り上がっているが、まもなく「東京五輪への4年間」がはじまる。
ジャパン・アズ・ナンバー・ワンと言われなくなって久しい日本であるが、大きな盛り上がりを見せて世界から称賛を受ける大会にしたいものだ。せめて「おもてなし」の態度だけはジャパン・アズ・ナンバー・ワンといわれることを期待したい。
(https://tokyo2020.jp/jp/より引用)
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