FGOのマスターの一人   作:sognathus
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マスターはまた寝不足だった。
今度は知り合いと遅くまでチャットをしていた所為だった。
しかし今回は半ば付き合いでの会話で、あまり楽しくなかったので精神的疲労はそれなりであった。


織田信長(弓・狂含む)

「なんじゃマスター、シケた面じゃのぉ」

 

「……やぁ信さん」

 

自販機で栄養ドリンクを買おうとしたところで織田信長が声を掛けてきた。

どうやらトレーニングの帰りのようで額には汗が滲んでいた。

 

「トレーニングでもしてたんですか?」

 

「ん? 何でじゃ?」

 

「いや、汗」

 

「ああ、これな」

 

信長は額に手を当てていきなり可笑しそうに笑って言った。

 

「いや、これは違う。ちょっと沖田のやつとピコピコで白熱してしまったのじゃ」

 

「ピコピコ……?」

 

マスターは聞き慣れない言葉に眉をしかめた。

 

(何かの形容だとすると……)

 

「えっとテレビゲーム?」

 

「うむ、て〇りすじゃ」

 

ずるっとマスターは力抜けた気がした。

ちょっとテ〇リスでそこまで白熱する状況が想像できなかった。

 

「……よくあんなシンプルなゲームでそこまで熱くなれましたね」

 

「うむ、実に解り易くて長く遊べたわい」

 

「なるほど……」

 

確かにあのゲームはシンプルでゲームが苦手な人でも直ぐにルールが解ると言えた。

人によってはその単純さ故直ぐに飽きるだろうが、簡単だから長く続けられる。

それも誰かと一緒に遊び、その相手もそのゲームを楽しんでくれるのなら時間を忘れてしまうのも解る気がした。

 

「楽しめたようで何よりですよ」

 

「む? なんじゃ? もしかしてマスターも興味ある系か? ワシと一緒に遊びたいとか、身の程を弁えずに思ってしまってたりするか?」

 

「ああえっと、すいません。僕ちょっと寝不足で頭痛がですね」

 

「なんじゃそれでそんな顔をしておったのか。それなら良い気つけ薬があるぞ」

 

信長はカカと笑って懐から小さな紙の包みを出した。

しかしこの信長というサーヴァントはよく笑う女性だった。

ただ笑うだけではない。

どんな時も笑った時は常に楽しそうにマスターには見えた。

そんな彼女が今回何やら不敵な笑みと共に出したこの薬である。

マスターは流石にその場で「感謝申し上げます」とは受け取らなかった。

 

「何の薬ですそれ」

 

「何かいろいろ調合して疲れとか悩みとか吹っ飛ぶやつじゃ。昔一益の奴が素破(すっぱ)の秘薬の一つとか言って教えてくれたのじゃ」

 

「……」

 

マスターは凄く嫌な予感がした。

昔は麻酔の代わりに中毒性のある麻薬を当然として使っていただろうし、その中毒性を効能として薬とした事は充分に考えられた。

だからマスターはちょっと信長とは違う種類の汗を浮かべて引きつった顔で言った。

 

「いや、お気持ちは有難いんですけど、それ、何か現代の人間には返って毒になりかねない気がするので……」

 

「毒も薬と言うではないか。そこは男らしく勇ましさを見せい」

 

「え、えぇー……」

 

信長はにんまりとした顔で薬を持ち近付いてきた。

その顔にはマスターの反応を面白がっているのと所持する薬の効果に対する信用がありありと浮かんでいた。

 

「の、信さんはそれ使った事あるんですよね?」

 

「当然じゃ。故に今のワシがあると言える」

 

(あ、何か納得した)

 

いや、それは素なのかもしれなかったが、この時のマスターには信長がよく見せるハイテンションの様子は、明らかに昔から服用してきた薬による影響だと結論して憚らなかった。

マスターは必死に考えた。

何とか信長を上手く納得させて薬を飲まずに済む方法を。

 

「じゃ、じゃあここは一つ勝負して決めません?」

 

「勝負?」

 

「信さんと遊ぶ一環としてテ〇リスで勝負をしましょう」

 

「ほう? つまり負けたらお主はこれを飲むのじゃな?」

 

「はい」

 

「ではワシが負けたら?」

 

「え? あ……」

 

マスターはハッとした顔をした。

 

(しまった。いろいろ余裕が無くてそれは全然考えてなかった)

 

「なんじゃ考えてなかったのか。ではこういうのはどうじゃ? ワシが負けたらマスターをワシの馬廻りにしてやろう」

 

「それって結局信さん得してません?」

 

「ただの馬廻りではないぞ? 側近中の側近、小姓も兼ねた馬廻りじゃ」

 

「いや、やっぱりそれ、信さんしか得してませんよね?」

 

「ワシは身内に甘いから馬廻りになってくれたらマスターの進言も結構受け入れると思うぞ?」

 

「うーん……」

 

マスターは悩んだ。

信長は何となく必死に馬廻りの良さをアピールしているように見えるが、だからと言って彼女を納得させる代案も浮かばなかった。

 

(生きていた時代的に見返りはいらないと言っても納得しないだろうしなぁ……)

 

「じゃあ僕が代案が浮かぶまで、という条件で馬廻りで如何です?」

 

「小賢しいのお。まぁ良かろう」

 

「あの、体調が悪いのは本当なんで先ずはちょっと休ませて下さいね?」

 

「ならワシが茶を()ててやろう。茶でも飲めば心くらいは多少穏やかになるわ」

 

「信長公の茶……」

 

マスターは、音だけならその茶は凄く有難い気がした。




信長の茶と言うと『へうげもの』を思い出します。

マスターとシンクロしてるわけではありませんが、筆者も今、やや頭痛にうんざりしている状態です。
いつも通りなら新規投降した後感想の返信をする流れなのですが、今回はテンション的に気が乗らないので、申し訳ないのですが後日とさせて下さい。





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