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【政治】

統計不正 更迭統括官、与党が招致拒否 野党「真相隠し」と批判

 毎月勤労統計の不正を巡り、問題が発覚した当時、厚生労働省で統計担当の政策統括官だった大西康之氏(現大臣官房付)の国会招致を求める野党の声が日増しに大きくなっている。大西氏は、部下の室長から不正の報告を受け、根本匠厚労相に一報を上げた人物で、組織的な隠蔽(いんぺい)があったかどうかの鍵を握る。与党は、大西氏が別の問題で更迭されたことを理由に招致を拒んでおり、野党は政府与党に真相を隠す意図があるとみて、追及している。 

 五日の衆院予算委員会では、野党から大西氏に関連する質問が集中。共産党の塩川鉄也氏は、大西氏が問題を知った後、根本氏に報告するまで一週間かかった点について「なぜこんなに重大な問題を報告しなかったのか」と語気を強めた。

 大西氏が更迭され、答弁者から外れたため、不正を知った経緯や報告に時間がかかった理由、根本氏に報告した際の詳しい状況は依然、不透明な部分が多い。立憲民主党の西村智奈美氏は「(大西氏の報告に)資料はなく口頭だった」として当時の状況を詳しく語らない根本氏に「手ぶらで大臣に報告に行く役人がいるのか」と声を荒らげた。

 大西氏は、毎月勤労統計とは別の基幹統計「賃金構造基本統計」の調査に関し、部下からの報告で不正を知っていたのに、一月の一斉点検時に総務省に申告し忘れたとして、今月一日に政策統括官を解任された。

 厚労省は、毎月勤労統計の不正では、有識者でつくる特別監察委員会の検証に基づき、組織的な隠蔽はなかったとの立場をとる。一方、賃金構造基本統計の不正では、二月一日に大西氏を更迭した後、部下の隠蔽も認定しており、対応が大きく異なる。

 根本氏は更迭の理由を「任に値しないと判断した」と説明した。だが西村氏は「キーマンの口を封じようと意図したとみられても仕方ない」と批判した。野党側は再三、大西氏の招致を求めたが、根本氏は「新たに任命された統括官が対応することが適当」と、淡々と答えるのみだった。 (大野暢子)

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