最近、不作ぎみのNHK大河ドラマ。メディアでは視聴率ばかりがネチネチと叩かれ、肝心の内容は話題にもなりません。そこで今回は大河ドラマを毎年欠かさず見ている私が、「本当に面白い大河ドラマが知りたい!」という方のために、2000年以降に放送されたNHK大河ドラマを名作順にランク付けしてみました!各ドラマの視聴率は別記事にまとめているので、興味のある方はどうぞ。
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1位 風林火山(2007)
最高視聴率:22.9%(第五回・駿河大乱)
平均視聴率:18.7%
原作:風林火山 /井上靖
DVD:風林火山 完全版 第壱集
舞台は戦国時代の甲斐。武田信玄の軍師・山本勘助を主役として制作された大河ドラマで、勘助を務めたのは内野聖陽。
風林火山は、2000年以降の大河ドラマの中ではぶっちぎりの1位の面白さ!往年の大河ドラマでは比較的すっ飛ばされることの多い軍議シーンなども細かく描いており、軍師好きとしては毎週の放送が楽しみで仕方なかった記憶があります。勘助の「姫様ァァァ!」はいつ観ても最高。そしてメインテーマも秀逸。
内野さんの男臭い芝居のおかげでとても骨太なドラマに仕上がっており、古参・新規それぞれの大河ドラマファンから今なお絶大な人気を誇っていますよね。ただ、人によっては武田信玄役・市川猿之助(当時は亀治郎)の顔芸に拒否反応が出るかもしれません。
個人的には柴本幸さん演じる諏訪の方(由布姫)が自害を思いとどまり「この国がどんなふうに変わっていくのか自分の目で見てみたい」と勘助に訴えるシーンがすごく印象に残っています。あの眼力ァ……。
2位 平清盛(2011)
最高視聴率:17.8%(第二回・無頼の高平太)
平均視聴率:12.0%
原作:なし(オリジナル作品)
ノベライズ:平 清盛 全四巻
DVD:平清盛 完全版 Blu-ray-BOX
「絵面が汚い」と謂われない誹謗中傷を受け、メディアでも事あるごとに演出や低視聴率がネタにされていました。でも本作における玉木宏の輝きっぷりはあの絵面の汚さあってこそだぞ!!丁寧に作り込まれた脚本と俳優陣の名演も相まって、「歴代大河ドラマ最高傑作」の評価も納得のクオリティに仕上がっているのが「平清盛」という作品です。もうね、1年間、本っっ当に面白く観させていただきました!
脚本を担当された藤本有紀さんが物語に潜ませた巧みな伏線。そして見事な鬼回収。平清盛に関しては、張られた伏線が細かすぎて全て回収しきれない人も多かったんじゃないでしょうか。
そんな平清盛の中で個人的に好きだったのは、三上博史演じる鳥羽上皇。ピュアッピュア鳥羽帝から徐々に狂気を孕んでいくあの上皇の神演技は必見です。義朝が死に、次第に闇落ちしていく清盛も良かった。終盤やや失速した感はありますが、大河ドラマの面白さ、醍醐味が全て詰まっている素晴らしい作品です。
3位 葵徳川三代(2000)
最高視聴率:22.6%(第一回・総括関ヶ原)
平均視聴率:18.5%
原作:なし(オリジナル作品)
ノベライズ:葵―徳川三代(上・中・下)
DVD:葵 徳川三代 完全版 第壱集
情報量が半端じゃない作品で、他の大河ドラマと違って一気見しようとするとかなりの根気が必要になります。重厚という言葉がぴったりな、こちらも大河ドラマの教科書といえる、今なおファンの多い作品。新しい切り口で!というよりは、完全に「学校で習う徳川三代の歴史」そのものでしたね。初回が関ヶ原というインパクト、そしてこの戦闘が大河史上に残る名シーンだったので、私の中でかなり評価が高い。
主演の徳川家康(津川雅彦)も良かったけど、本作の見どころはやはり、脇を固めるベテラン俳優陣でしょう。特に石田三成役の江守徹。これまで数々の俳優が石田三成を演じてきましたが、私の中では未だに江守三成が不動の1位です。三成にしては年食ってるとか、そういうのはいい。細けぇことはいいんだよ。
4位 真田丸(2016)
最高視聴率:20.1%(第二回・決断)
平均視聴率:16.6%
原作:なし
DVD:真田丸 完全版 第壱集
「新撰組!」に続き、三谷幸喜が脚本を手がけた大河ドラマ第二弾。主役は真田信繁(堺雅人)ですが、それを感じさせない真田一族の濃さ!!
そしてこんにち、説明に延々尺を使うクソドラマが多い中、真田好きなら知ってるでしょ?と言わんばかりの視聴者に「不親切」な脚本にはとても好感が持てました。真田丸の最終回にサブタイトルをつけるなら、私はあえて二文字の制約を破って「兵(つわもの)」にしたい。次点で「残響(銃声・六文銭から)」かな。
本作の個人的MVPは真田昌幸(草刈正雄)と茶々(竹内結子)。圧倒的存在感で完全に主人公を食ってた昌幸は言わずもがなですが、「豊臣憎しのテンプレ悪女」でなく、「ただの無能な女城主」として描かれた茶々が想像以上に良かった。「おかしな話をします。私と源次郎は、不思議な糸で結ばれている気がするのです。離れ離れになっても、あなたはいつかまた戻って来る。そして私たちは同じ日に死ぬの」は本当に名台詞だと思います。この台詞は後世に残るわ。
ドラマを楽しむため、2016年は真田一族の関連書籍もたくさん読みました。真田関連本のレビューはこちらの記事にまとめています。
5位 功名が辻(2006)
最高視聴率:24.4%(第三十九回・秀吉死す)
平均視聴率:20.9%
原作:功名が辻/司馬遼太郎
DVD:大河ドラマ 功名が辻 完全版
一豊の愚直さと千代の聡明さがはっきりとし過ぎていて(司馬遼太郎の原作がそうなので仕方ないんですが)、一豊が阿呆に見えてしまうのがちょっとなあ……と思いながら見ていました。長澤まさみの小りんが鬱陶しすぎて毎回イラッとしていたので、物語の本筋にスポットを当てるならドラマ版は小りん、いなくても良かったのでは?と思わないでもない。あと、ドラマでは六平太が千代の幼馴染に脚色されていましたね。事件の黒幕、大体こいつなんだよ。
関ヶ原直前、人質として大阪城に来るよう伝えにきた豊臣の使者(増田長盛)を追い返すシーンが異様に好きで、ここは何度も観返しました。千代は馳走の膳を下座に置いて使者を招き入れたので当然使者は下座に座る。そして千代は「下座に座っているということは、当家にとって上使である秀頼からの使者の筈がない」と屁理屈をこね、「私は山内対馬守の妻でございますゆえ対馬守の申す事しか聞きませぬ」と突っぱねる。つまり、「帰らないと屋敷に火をつけて自害するぞオラァ!」と脅すわけです。仲間由紀恵の演技が素晴らしい。
6位 八重の桜(2013)
最高視聴率:21.4%(第一回・ならぬことはならぬ)
平均視聴率:14.6%
原作:なし(オリジナル作品)
ノベライズ:八重の桜 全四巻
DVD:八重の桜 完全版 第壱集
脚本はNHKの「御宿かわせみ」などで知られる、山本むつみ。序盤は山本覚馬(八重の兄)をはじめとする会津藩士たちの活躍を中心に話が進んでいき、八重は完全に添え物と化していましたが、この控えめさが逆に良かった。綾野剛演じる松平容保公も、まるで生き写しかと思うほどのクオリティで殊の外素晴らしく、堂に入った殿様っぷりも毎週見るのが楽しみでした。
本作では白虎隊の影に隠れてあまり目立たない二本松少年隊もしっかり描いており、劇伴との相乗効果で悲惨さ3割増(24話)。そしてこの悲劇の先に、八重の桜最大の見せ場、鶴ヶ城籠城戦がやってくるわけです。本作の鶴ヶ城籠城戦は、歴代大河ドラマの中でもかなり上位に食い込む名戦闘シーン。圧倒的映像美で視聴者を容赦なくぶん殴ってくる感じも嫌いじゃないですよ私は。
会津編と同志社設立以降の京都編でかなり趣が変わりますが、50話通して見ると出演者・スタッフの気力が感じられる正統派の手堅い大河ドラマ、それが「八重の桜」です!
7位 おんな城主 直虎(2017)
最高視聴率:16.9%(第一回・井伊谷の少女)
平均視聴率:12.8%
柴咲コウ主演の「おんな城主 直虎」は、当たり・ハズレ回の差が非常に激しい作品でした。具体的に言うと、1~4話、気賀回などは完全にハズレ。特に、直虎と龍雲丸のハズレ回は「この台詞、本当に同一人物が書いたの?」と言いたくなるほどの手抜き感。あと、毎年のことながらNHKの過剰演出が酷い。良かったのは尾上松也の今川氏真と、尾美としのりの榊原康政くらいでしょうか……キャスティングが神。
関連おんな城主直虎がつまらないのは脚本じゃなく演出と配役のせい【特盛】
で、「おんな城主直虎」で圧倒的人気を誇る小野政次。私は堕ちるところまで堕ちて最終的に井伊谷を横領する「奸臣・小野政次」が見たかったし、そのための配役・高橋一生では……?と思っていたので、本当は忠臣!と言い出したあたりで完全に「?」になっていました。そして、自らの演技を今川・直虎・井伊谷の住人・小野家臣に見破られている時点で「全然有能じゃない……」とガックリきた。正直、話が進むにつれキャラクターも破綻していったイメージですね。
政次に関しては、今も「直虎を想うがゆえに独身を貫き、忠臣として尽くす=純愛」みたいな女性制作陣の現代的価値観に歪められた人物の哀れさ、みたいなものを感じて仕方ない。視聴者が期待したのは奸臣・小野政次ではないのか?という記事も書きましたので、よければご覧ください。
関連嫌われ政次の一生の感想。視聴者が期待したのは奸臣・小野政次ではなかったか
8位 利家とまつ~加賀百万石物語~(2002)
最高視聴率:27.6%(第三回・出仕停止)
平均視聴率:20.9%
原作:なし(オリジナル作品)
ノベライズ:利家とまつ〈上・下〉
DVD:利家とまつ 加賀百万石物語 完全版
俗に「夫婦もの」と呼ばれるジャンルで、男性だけでなく女性人気が非常に高い作品。利家を演じる唐沢寿明とまつを演じる松嶋菜々子が並んだときの絵面はお見事で、これは配役の勝利と言っても良いのではないでしょうか。俳優陣の顔ぶれから「トレンディ大河」なんて呼ばれ方もされていますね。俳優陣が結構大仰な芝居をしているので、ドラマより舞台っぽさが強い。
反町隆史演じる織田信長も雄々しさダダ漏れの素晴らしいビジュアルでしたが、「ワイン片手に恫喝する第六天魔王・織田信長」の先入観に縛られていたのが残念。欲を言えば、この信長に金平糖かじらせるくらいはして欲しかった。
9位 龍馬伝(2010)
最高視聴率:24.4%(第五回・黒船と剣)
平均視聴率:18.7%
原作:なし(オリジナル作品)
DVD:龍馬伝 完全版 Blu-ray BOX
龍馬伝で一番見応えあったのは、やはり最終回の龍馬暗殺シーン。本作では「龍馬暗殺の下手人は見廻組説」を採用しており、その下手人が今井信郎(市川亀治郎)、佐々木只三郎(中村達也)、渡辺篤(SION)という、これ以上ないほど最強の布陣。
龍馬伝であえて不満をあげるなら、お龍の描き方浅かった点と、龍馬の死後、彼の人を思い出し浜で放つ台詞は本当にアレで良かったのか?ということ。岩崎弥太郎がコメディリリーフ的なポジションと知ったときも内心「……うわぁ」となったので、史実を知っている人はちょいちょいこういう「う~ん……」と、もやもやする部分があると思います。私はいつも「弥太郎で遊ぶなや……」と思いながら観ていました。
10位 篤姫(2008)
最高視聴率:29.2%(第四十八回・無血開城)
平均視聴率:24.5%
原作:天璋院篤姫/宮尾登美子
DVD: 篤姫 完全版 第壱集
毎週、高視聴率が話題になっていた大河ドラマです。宮崎あおいはもちろん、家定の実母である本寿院(高畑淳子)など脇を固める俳優陣の演技がとにかく素晴らしく、だんだんと心を通わせていく家定と篤姫の距離感にキュンキュンした女性も多かったのでは。
舞台がずっと大奥内なので見る人によっては退屈に感じてしまうこともあるかもしれませんが、その分色々な人間模様に焦点が当てられているので、人間ドラマとしての面白さは他の大河ドラマに比べて群を抜いているように思います。
11位 北条時宗(2001)
最高視聴率:21.2%(最終回:永遠の旅)
平均視聴率:18.5%
原作:時宗/高橋克彦
DVD:北条時宗 総集編
狂言師の和泉元彌が北条時宗を演じることでも話題になった本作。
若年なので致し方ないんですが、終始、時宗がくよくよしながら元寇との戦いに消極的なさまは見ている人間を毎回イラつかせていました。また、時宗の兄である時輔がなぜか史実に沿わず、赤マフラーをなびかせて大陸に渡るなど奇人に改変されていたのが残念。時輔役の渡部篤郎はいい味出してたんですけどね……。
女性脚本家の特徴でもある現代思想のエッセンスが強く持ち込まれ、大河ドラマではあまり題材になることのない貴重な時代だったにも関わらず、ドラマの世界観をぶち壊しにしていました。当時もボロクソに叩かれていましたが今でも再評価されることはなく、「好きな人は好き、嫌いな人は嫌い」と好みが別れる大河ドラマです。
12位 義経(2005)
最高視聴率:26.9%(第五回・五条の大橋)
平均視聴率:19.4%
原作:義経/宮尾登美子
DVD: 義経 完全版 第壱集
「滝沢秀明の半裸」という謎のサービスカットが頻発するイメージビデオ大河こと「義経」。無駄に演技派を集めたせいで滝沢秀明氏の演技が浮きまくっていますが、この浮きっぷりが史実の義経像と重なります。不憫。
義経はとにかく女優陣のビジュアルが素晴らしかった。常盤御前役の稲森いずみ、藤原輔子役の戸田菜穂は別格です。死の直前、館を訪ねて去り際に義経を一べつする常盤御前。南都焼討で斬首される平重衡の元へ駆けつけ遺髪を受け取る輔子。どちらも本で見た平安絵巻そのもの。
一方、合戦シーンでは鵯越の逆落しの場面と背後で流れるメインテーマのシンクロ率が凄まじく、ぶわっと鳥肌が立つような演出はさすが。もはや伝説。そして最終回はCGの使い方が破滅的すぎてこれも伝説。激しさと物悲しさを併せ持つメインテーマを収録したオリジナルサウンドトラックもかなりおすすめです。岩代太郎の劇伴に外れはない。
13位 新選組!(2004)
最高視聴率:26.3%(第一回・黒船が来た)
平均視聴率:17.4%
原作:なし(オリジナル作品)
DVD:新選組 ! 完全版 第壱集 DVD-BOX
三谷幸喜が脚本を手がけた「新選組!」。イケメン若手男性俳優を多数起用したので女性受けが良い作品ですが、どのシーンも殺陣が緩く、新選組の主要人物もわりとステレオタイプなので私はあまり面白さを感じませんでした。しかもこの頃はNHKのCG技術がかなり酷かった時期で、要所要所で変なCGが出てくる新選組!は演出面でも割りを食っていた。正直、新選組!に関しては本編よりも続編「新選組!!土方歳三最期の一日」の方が圧倒的に面白いですね。
「新選組!!土方歳三最期の一日」は、とにかく三谷幸喜の脚本が凄かった。新政府軍の蝦夷上陸を演出で上手くぼかし、視聴者に「あっー!」と思わせるのもさすがです。特に、新政府軍人がランプを蹴って全景が映るところね。あのシーンは、「アッ!テメッ!もうそんなところまでーー!」と思いましたよね。
14位 軍師官兵衛(2014)
最高視聴率:19.4%(第二十九回・天下の奇策)
平均視聴率:15.8%
原作:なし(オリジナル作品)
DVD:軍師官兵衛 完全版 第壱集
軍師官兵衛は、「人間の証明」や「沈まぬ太陽」を手掛けた前川洋が脚本を担当。前川氏は、原作ありきだと良い御本を書かれるんですが、完全オリジナルだと毎回駄作になると、その界隈では有名な方ですね。
ジャニーズの中でも屈指の演技力を持つ岡田准一が黒田官兵衛を演じた本作。同じ「軍師モノ」の風林火山と比べると、ややテンポが悪く感じました。序盤の動きが鈍く、本能寺の変~中国大返しで盛り返したかと思えば、その後また失速し、蛇足の大阪夏の陣。そして、官兵衛に対して意味の分からない主人公補正がかかり、史実のド畜生エピソードが一転美談になるなどの改悪もありました。
作中で私が一番もったいないと感じたのは、中国大返しの交渉シーン。ここはもっと丁寧に掘り下げて黒田官兵衛(岡田准一)・安国寺恵瓊(山路和弘)・小早川隆景(鶴見辰吾)の濃密な心理戦にすべきなのに、歴史に疎い脚本家自身がこの会談の面白さを全く分かってないためサラッと流してあっけなく終了。……こんな山路和弘の無駄使いが許されてたまるかァ!というわけで、別の脚本家で安国寺恵瓊のスピンオフお待ちしています。
15位 花燃ゆ(2015)
最高視聴率:16.7%(第一回・人むすぶ妹)
平均視聴率:12.0%
原作:なし(オリジナル作品)
ノベライズ:花燃ゆ 全四巻
DVD:花燃ゆ 完全版 第壱集
このドラマはとにかく脚本が悪いの一言に尽きますね。脚本のひどさを俳優陣の底力と演出で延命させたという言い方が1番合っているドラマだと思います。
観ていてまず感じたのは「人物の描き方が雑すぎる」ということ。行動の動機づけとキャラの掘り下げが雑すぎるので吉田松陰も久坂玄瑞も、ただの死にたがりのアホの子になっていました。さらに低視聴率でNHKの上層部から何か支持があったのか、芸人・アイドルのテコ入れや脚本家の追加、防府ロケの中止などコロコロと軸がぶれるのでドラマもあっちにふらふら、こっちにふらふら。
終盤、視聴者は楫取素彦と美和が再婚してイチャイチャしている所が見たかったのに、そこを端折ったのには驚きました。そして取ってつけたような鹿鳴館のシーン。とにかく脚本家の足並みが揃っておらず、4部からは視聴者を置いてけぼりにしていた印象。ただ、長塚京三と三田佳子の演技が殊の外素晴らしかったので、この2人を見るために花燃ゆ50話を見ても損はしません。長塚京三の病人演技は本当に神がかっています。
16位 天地人(2009)
最高視聴率:26.0%(第四回・年上の女)
平均視聴率:21.2%
原作:天地人/火坂雅志
DVD:天地人 完全版 第壱集
一言で言うなら、「上杉家のホームドラマ」。脚本のひどさは歴代の大河ドラマの中でも群を抜いており、チープなセットと相まって学芸会のようなお粗末さを醸しだしています。合戦はすべてナレーションで補完するという怠慢から酷評を受けることが多いですが、私もこれはフォローできない。あと、女性陣が全員キーキーやかましく、魅力がないのも致命的。
「直江山城はこんな優男ではない!」とキャスティングにも不満があったので、まあ、はじめからあまり好意的には観ていませんでした。直江はもっと、笑ってるのに目が笑ってない感じというか、目が死んでる系の俳優さんが良かったなぁ……。
17位 武蔵(2003)
最高視聴率:24.6%(第七回・秘剣!燕返し)
平均視聴率:16.7%
市川海老蔵が武蔵、米倉涼子がおつう、という時点でお察し。サブタイトルに「!」ばかり使っており、「勢いで乗り切ろうとしたけど失敗した感」がすごい作品。武蔵を映像で堪能したいなら、名作と名高い役所広司主演のドラマ「宮本武蔵」をおすすめします。
18位 江~姫たちの戦国~(2011)
最高視聴率:22.6%(第三回・信長の秘密)
平均視聴率:17.7%
原作:なし(オリジナル作品)
DVD:江 姫たちの戦国 完全版 Blu-ray BOX
江がいかに強く、素晴らしい女性なのかを頼んでもいないのに延々と見せつけられるドラマ、それがこの「江~姫たちの戦国~」です。姫たちの~と言っている割に茶々と初は空気に等しく、何故か江だけが毎回活躍し、出会う武将たちに大きな影響を与えていく。そんな乙女ゲームのような展開が50話に渡って繰り広げられていくファンタジー……。
上野樹里と向井理が揃いも揃って棒演技すぎるため、後半は目も当てられませんでした。これははっきり言って大河ドラマの冠にはふさわしくない、フジテレビの年末2時間ドラマで良かったんじゃない?と言いたくなる出来。
19位 西郷どん(2018)
原作:西郷どん! 林真理子
DVD:西郷どん 完全版 第壱集 Blu-ray
西郷どんは原作もかなり話薄いのに、そこに政治劇書けない中園ミホ起用で終わった。何の驚きもないですね。駄作になるべくしてなったドラマです。
参考西郷どんがつまらないのは雑な脚本と西郷ワッショイ祭りのせい(過去記事)
西郷どんに関しては、「脚本家の無知」をいつからか「アホな視聴者のレベルに合わせた」にすり替えた感じがしてならない。「登場人物が多すぎると分かんないでちゅよね~」とか「テロップ出さないと理解できないでちゅよね~」みたいな雰囲気を随所に感じますね。視聴者をここまで舐め腐った大河ドラマも近年稀ではないかと。そして史実軽視がひどい。
個人的には、史実の「晋どん、もうここらでよか」をもじった、ナレの「ここらでよかろうかい」でドン引きしました。あまり騒がれませんが、これかなりの胸糞案件では……。
あと、花燃ゆと同じで、人物の掘り下げと行動の動機づけが雑すぎるんですよねこのドラマ。西郷吉之助は傑物、斉彬公は名君。斉興公は老害、調所は悪党、久光公はチンピラ。久光四天王は小松・大久保だけが有能で、堀次郎と中山中左衛門は能無し。精忠組は全員モブ扱い。こんな設定で幕末期の薩摩を描こうとか……。
西郷どんで最も評判良かったのは、たぶん寺田屋騒動回(23話)。ネットで何故か絶賛されてましたけど、最悪だぞこれも。大山たちの寺田屋集結時に余計なナレーションとキャプションを入れて緊張感を消し、戦闘シーンにスローモーション演出入れて殺陣の勢いを殺す……時代劇と演者をバカにしてるでしょうこんなの。私はこの回を観てNHK解約を決めました。そして10月に解約してきました。
他にもね、慶喜に短刀突きつける西郷とか、大奥から抜け出して西郷に会う側室およしとか、なんでも倒幕!で片付けるノータリンな志士達とか、なぜか西郷の格下扱いな小松帯刀とか、上座と下座がむちゃくちゃとか、げんなりするシーンが山程あるんですよ。史実と人物を制作陣が全くリスペクトしていないと分かるシーンが山程。
西郷どんは2000年以降で、というか歴代大河ドラマで文句なしの最下位。江よりひどいドラマが出てくるとは思いませんでした。やりよるなNHK。あ、褒めてないです。
大河ドラマの評価は実際にその目で見てから決めましょう!
最近の大河ドラマは視聴率ばかり話題にされますが、作品のクオリティと視聴率は必ずしも比例するものではありません。放送当時はパッとしなくても時間とともに再評価される作品があり、歴史小説や史実の知識があればこそ評価もバラける、それが大河ドラマという作品ではないでしょうか。
大河ドラマの面白さは、やはり自分の目で50話見通した人間にしか分からないものだと思います。年末年始は大河ドラマのイッキ見(ぶっ続けで見れば1日弱)をして、素晴らしき歴史の世界にどっぷりとハマってみるのも面白いですよ!