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平成28年の年頭にあたり、謹んで皇室の弥栄と祖国の益々の繁栄を祈念いたします。
本年、大行社は再興35周年を迎えます。激変する世界情勢や現代日本人の価値観に惑わされることなく、大行社は「真の日本精神の発揚」を掲げ、世界全人類の平和を求めて言論活動を展開してきました。そして、大行社員には「武士道的精神の涵養に努める」ことを指導し、自然災害が発生した際には随時、必要と思われるヴォランティア活動を行なってきました。それが「大行社のすべて」と言って良いかも知れません。
今からちょうど5年前、「『大吼』創刊30周年記念特別寄稿」として同誌(第274号)に掲載された長谷川三千子氏(埼玉大学名誉教授)の「本当のヴォランティア」と題した論文に、次のような言葉がありました。東日本大震災の発生直後に大行社が東北地方に救援物資を届けたときのことを賞賛して仰って下さったものです。一部転載し、ご紹介いたします。
「ボランティア」とカタカナで書いてしまふと、なんとも締まりのない間の抜けた言葉であるが、これは本来「ヴォランティア」であつて、「意思を持つ者」といふことである。だから、さまざまの危険をかへりみず、ヘリコプターから凍死寸前の人々を救つた自衛隊の人々も、ただちに使える車両をかき集め、物資をつみ込んで現地にむかつた大行社の人々も、どちらも立派なヴォランティアなのである。そしてその底には、もし命を投げ出すことが必要となれば、涼しく「いいですとも」と言へる覚悟が存在する。
今回の大震災が、はからずも表面にもたらしたのは、さういふ本来のヴォランティアの在り方であつた。その意味で、大行社の「ボランティア活動」はまさしく本来のヴォランティアの活動にほかならない。願はくば、現政府がその爪の垢でもせんじて呑んでくれむことを。(転載ここまで)
大行社の歴史を振り返れば、清水行之助先生(大行社創設者)も大正12年9月1日に発生した関東大震災で多くの被災者を助けました。その救民・共助の精神が大行社を生んだと言っても過言ではないでしょう。
清水先生は、関東大震災の発生時に第1次山本権兵衛内閣の内務大臣だった後藤新平伯爵に対して、食料を買い集めるための3千円の現金と車の提供、後藤邸内に難民救済所を設けることなどを要請しました。それから清水先生と同志は約1ヶ月にわたり、この救援活動を行い、多い時には1日3百人もの人を救護したといいます。
清水先生が大行社を興すのはこの約1年後です。
その救民・共助の精神は、再興初代会長の岸悦郎先生、三本菅啓二前会長(現特別相談役)、石井忠彦現会長に引き継がれてまいりました。
私が委員長を務める時局対策実行委員会も、平成3年に発生した雲仙普賢岳の噴火・火砕流で大規模な人的被害が出たことにより、丸川仁理事長が浄財を募るために発足させたものです。その浄財は日本赤十字社に寄付し、幾度か日本赤十字社から感謝状を授与されています。
また、横葉仁大副会長は「朝鮮北部地域に残された日本人遺骨の収容と墓参を求める遺族の連絡会」(北遺族連絡会)への協賛を数年に亘り行なっておりました。
直近では昨年9月、茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊した大規模水害で、大行社本部は幹部一同から集めた義援金で、常総市がホームページで公表していた「日用品で不足しているもの」を調べて救援物資として大量に送りました。
如上の経緯を辿り、こんにち存在する大行社。その活動には、基底をなす精神として、長谷川三千子氏が表現した「本当のヴォランティア」が脈々と受け継がれてきたのです。
日清、日露、支那事変を含む大東亜戦争など、幾度の戦役で戦った先人もそうですが、我が国には、たとえ自分に食べる物や着る物がなくても「困っている人々を助けなければ」という思いで立ち上がった人々が多く存在しました。自らの身が逼迫した窮状にあったとしても、「私も困っている」という個人的な自己の欲求など挟まない、そういう先人が国を造ってきたのです。
明治23年の「軍艦エルトゥールル号遭難事件」は映画化され、現在上映されています。遭難した乗組員を助けた和歌山県串本町(当時は大島村)住民のヴォランティア精神は事故から126年経った現在もトルコ国民の親日を衰えさせません。大島村の住民も台風で漁に出られず食糧の蓄えが僅かだったのにもかかわらず、非常食や衣類を提供し献身的に救護を務めたといいます。
明治43年から昭和初期までの間、台湾の各都市の上下水道の整備や烏山頭ダムの建設工事などを指揮し、台湾の農業水利事業に大きな貢献をした八田與一技師のヴォランティア精神も台湾で語り継がれています。
挙げたら枚挙にいとまがありませんが、こうした先人に学ぶ教育は重要です。そして、平時でも先人のように生きようと心得ておくことはもっと重要です。それよりも更に重要なのは、本当のヴォランティアの実践です。本年は「季刊大吼」でもそうしたことを発信できたらと思います。
諸先生、諸先輩に於かれましては、旧に倍しまして、ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
平成28年1月1日
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