桑名晴子インタビュー(前)「生きてるうちで良かった」デビューアルバムLP復刻
シンガー・ソングライターの桑名晴子(62)が昨年、デビュー40周年を迎え、12月12日には現在、名盤として評価されているデビューアルバム「ミリオン・スターズ」のアナログ盤が復刻された。現在はギターを抱えて日本中でライブを行っている桑名が、来し方と行く末を語るインタビュー。前編では、40年前のデビュー当時を振り返る。
◇ ◇
「月のあかり」や「セクシャルバイオレットNo.1」で知られる故桑名正博さんを兄に持つ、「シンガー・ソングライターになりたかった」少女がデビューしたのは1978年のことだ。「ミリオン・スターズ」はいきなりの全曲米国録音で、A面は米ハワイ、B面はロサンゼルスでレコーディング。ハワイではカラパナのメンバーだったマッキー・フェアリー、LAではリトル・フィートのビル・ペインがプロデュースを手がけるという破格の扱いだった。
桑名は「当時、とにかく歌うことが好きで、今自分で聴いたらちょっと待てよって歌なんですけど」と謙遜するが、歌のうまさはデビュー前から知れ渡っており、正博さんやティン・パン・アレー(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆)のレコーディング、細野のライブに参加。元フェイセズ~フリーの世界的なベーシスト、山内テツのグループ「テツ&ザ・グッド・タイムス・ロール・バンド」や、正博さんのグループ「ゴーストタウン・ピープル」にも参加していた。
「あの時期は(正博さんの)『哀愁トゥナイト』とか、ロック歌謡みたいな曲ができだして。(西城)秀樹さんの歌謡曲も、日本語っぽくロックにアレンジできて。社会が変わって若者が(ロックに)興味を持って、BOW WOWとか、ロックバンドが出てきましたよね。シンガー・ソングライターで一世を風靡(ふうび)したのが五輪真弓さん。『少女』(デビューアルバム)いいよね。よく聴いた」
ロックやシンガー・ソングライターの音楽が日本でも開花していった70年代後半の時代背景をこう振り返った桑名は、「私が苦労したのは、日本語をどう洋楽の色合いと音に合うように作るかということ。そういうことを苦労して、皆作って」と、先駆者たちの努力を語った。
デビューにあたっては、「元々、ギターで作ったオリジナル曲をレコード会社が気に入って」契約したが、「ミリオン・スターズ」では全11曲中、桑名の作曲は4曲(他に正博さんの作曲が2曲ある)にとどまっている。「どんどんヒットを狙った曲が入ってきて、話が違う」と感じた桑名が「絶対に入れてほしい」と求めて収録されたのが、1曲目の「あこがれのSUNDOWN」だ。
また、桑名兄妹で作詞し、正博さんが作曲した「待ち合わせ」は、「40年間、場所や時代が変わってもDJにはすごく人気で、ずっとかけ続けてくれたみたい」と、クラブシーンでは定番になっていたという。
「ゴリ押しで入れてもらったオリジナルが知らないところで、延々と皆に聴いてもらっているのがうれしいし、レコード会社の人とケンカしながらも入れてもらって良かったなって。それが一番の、40年たっての感想です。やって良かったなっていう」
不本意な面もあった「ミリオン・スターズ」だが、シティ・ポップスやレア・グルーヴ文脈での再評価が進み、オリジナル盤は「40年前のが何万になっていて、ビックリして」というほど中古価格が高騰。40年目にアナログLPの再発が実現した。桑名も「(再評価が)生きてるうちで良かったかな。亡くなってから出ても。辞めてる人もいるしね。復刻盤を見られて良かった」と率直に喜ぶ。
「ミリオン・スターズ」のみならず、「ショウ・ミー・ユア・スマイル」、「ホット・ライン」、「ムーンライト・アイランド」といったセカンド以降のアルバムも今では名盤としての評価が定着し、現在、CDで再発されている。(中編に続く)
【今後のライブ予定】
◇2月16日 タルマッシュ(東京・西大井)
◇2月22日 コーナーストーン・バー(大阪・南堀江)
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