【記者コラム】ラグビー トヨタ自動車を陰で支える2人 牧野慎二コーチと一本杉仁志マネージャー2019年2月4日 18時0分
ラグビー・トップリーグ(TL)のトヨタ自動車は2年連続でTL4強入りと成績を上げている。もちろん、2年前に就任した、南アフリカ代表を率いて2007年にW杯制覇を果たしたジェイク・ホワイト監督(55)の存在が大きい。でも、それだけではないはず。 記者が着目したのは、S&Cコーチの牧野慎二さん(35)。Sはストレングス、Cはコンディショニングで、筋トレなど競技者に必要な体づくり、ケガの予防やケアを担当する。ホワイト監督からの信頼も厚く、途中出場する選手の体の状態と、テンションアップも任されているという。
牧野さんは中学まで短距離、高校からやり投げと陸上競技の選手。大阪医専ではトレーナーを目指していたが、近鉄でS&Cのアシスタントコーチを務めて、ラグビーの世界へ足を踏み入れた。「ニュージーランド人のボスと一緒にやって、コンディショニングの奥深さにふれた。これでやっていこうと思った」。近鉄で4年、立命大で7年、2年前からトヨタで現職を務めている。 ラグビーは、体格も特性も異なる15人でプレーする。いろんなポジション、役割の選手がいる。当然、1人1人、トレーニングは違ったものになる。複数のコーチがそれぞれにアプローチしては故障の原因にもなりかねない。そこで、フィジカル向上を担当するスタッフを束ねるのが、フィジカルパフォーマンスマネージャーの一本杉仁志さん(41)。オーストラリアでコーチングとエクセサイズの科学を学んだエキスパートだ。
一本杉さんの仕事は多岐にわたるが、主に、中長期のトレーニングスケジュールを構築し、各スタッフに方向性を示して、統括すること。「数字だけでなく、選手のストレングスへの取り組みや発言が良い方向に変わったと感じられるときがうれしい」。もちろん、チームが結果を出すことはスタッフにとっても、大きな喜びだという。 2人のコーチを取材後、1月19日、優勝を勝ち取ったTLカップ決勝のサントリー戦を見ると、グラウンド脇でリザーブの選手たちがアップする様子が気になった。そこには、ここぞというタイミングで、途中から試合に入っていく選手を心身ともに盛り上げる牧野さんの姿があった。改めて、チームは、いろんな人が、さまざまな形で支えているんだと教えてもらった。 (伊東朋子)
|