鴻之舞-174
 かつて賑わった街はほぼその姿をとどめていないが、道路から少し森を分け入った先には、まだこんな頑強そうな煙突が数ミリも傾くことなく、青い空の中に無駄に立たされ続けているようだった。



鴻之舞-172
 昔、こんな形をしたドーム型の倉庫でお婆さんが一人でやっている怪しげな焼肉屋が評判になっていたので、よっぽど行こうかなと思ったことがあった。

 それだけのために遠回りするのも時間の無駄のように感じて、結局行かなかった。

 もう、往生されて今は倉庫さえ無いかもしれません。

 行っておけば良かったです。



鴻之舞-173
 元山精錬所の大煙突ということですが、足尾銅山のとは違い、山の中に放置されたまま。
 
 誰に断りを入れることもなく、覗かせてもらうことに   
 


鴻之舞-167
 大煙突の横の小屋。

 煉瓦の壁に薪をくべる口が開いている。その下には墨出しの口。

 日本各地にある元精錬所は、大概、近代産業遺産として観光地になっているケースが多いですが、さすが北海道、この大らかさが堪らない魅力の一つでもある。



鴻之舞-168
 壁の一部が大胆に打ち砕かれている。

 どういう処理ゆえ、こうされたのか、または、侵入者が面白半分でやったのか、事情は知らないが、中に入れるようにはなっている。



鴻之舞-169
 これといったものは無かった。



鴻之舞-170
 トタンの耐用年数はとっくに過ぎているでしょう。危険な状態です。



鴻之舞-163
 いつまでも、鴻之舞の山を見守っていて下さい!!

 散々見たので、もう来ることは無いかもしれませんが。



鴻之舞-171
 大した予備知識もなく、地図も持たずに、森を徘徊していると、次から次へと、あらわれること   

 教会みたいなのが見えてきた。



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 忘れられた森に横たわる失われた記憶。

 ことごとく管理された日本においても、北海道まで来れば、こんな幻想的な光景と、チケットを購入することなく、出逢えるものなんですね。映画やアニメじゃなく、自分の足で。

 少し前、このブログの記事のために奥多摩湖の廃墟ロープウェイに行っていた頃、あるアニメ製作会社からメールが届いた。

『今、あるアニメの企画が進行していまして、舞台が廃墟なので、よろしければカイラス様のアドバイスが欲しい』とそのメールには書かれていた。

 自分でこういうのもなんだが、おそらく、アクセス数などで僕のブログを選んで連絡をくれたものと思われるが、こういう人らが素材として扱いたいのはたぶん、軍艦島や摩耶観光ホテルといった、メジャーどころであろうことは容易に想像できた。

 僕の得意としているのは、近所の名もない廃墟の残留物から想像力を働かして、かつての住人達の生き様を妄想を挟みつつ語りつくす、といったものなので、アニメ制作会社の期待に添えなく、力不足であろうことは、これまた容易に想像できた。

 アニメに疎い僕は  もしかしたらドッキリではという疑念もあり  メールに表記されている制作会社とメールの送り主の名前をネットで調べてみることにした。

 すると、その制作会社はかなりメジャーどころであることが判明。

 モーニング娘。で知られる芸能事務所「アップフロント」傘下のアニメ制作会社であった。

 そのアニメ制作会社の代表作は僕でも知っているアニメ「けものフレンズ」。正直、まるっきり興味のないジャンルのアニメだが、ファミリーマートでコラボをしていたので、辛うじて認識はしていた。

 メールの主は末端のアシスタントディレクタークラスかもしれないが、アニメ制作会社のHPに名前があった。

 きちんとした組織のようだったが、僕の方に彼らが求める資質を持ち合わせていないだろうことは明白だったので、かと言って正面切って断るのは忍びなく、メールの応答を段々と遅滞させていくという、緩やかな拒否反応を示す作戦に出てみた。

 やがて、想像通り、連絡が途絶える。

 それから半年以上が経った頃だろうか。

 その制作会社が新作アニメのタイトルを発表したというニュースをネットで目にする。

「ケムリクサ」というその作品、世界最大の建設機械としてギネスにも登録される「バケットホイールエクスカベータ」の上に立つ少女のイラストとともに記事が報道されていた。

 あぁ、あの時のが、これなのかと、その退廃した世界観に納得。

 それから作品そのものが放送されるまでにはかなりの期間を要することになる。しかも、いざ始まってみると放送は地方のローカルな放送局。

 さらに時を経て、先日、アマゾンプライムで観られるようになったので、拝見してみることになったが、これがまた、僕のような一般客を受け付けないような、狭いアニメオタク向けの作品であった。

 ご都合主義の登場人物は全て子供。二話で限界だったので、後から出てくる可能性はあるが。

 主人公の女の子はまあ良しとして、他は、メイド服を着た五つ子みたいな少女達に、その少女達を取りまとめる女の子、揃いも揃って「そうなのニャ」と、あのうすら寒い広瀬すずの「ちゃるめニャダンス」以上に不快な語尾のネコ語を話す。声色は暑苦しい典型的なアニメ声優声。この時点でもう脱落だ。制作側も、僕みたいな層を求めていないだろうけど。

 舞台はやっぱり軍艦島に似た場所のようであった。というか、そのもの。

 クロス階段が特徴的な無機質なRC造の廃墟アパート郡。高層階に空中廊下が通されているのは端島のアパートの特徴をよく捉えていた。ベランダの欄干が鉄だったのは認識不足だろう。軍艦島のRC造アパートの欄干は木製で、廃墟となった今では、それらが崩れ落ちて苗床となり緑が芽吹き、かつては緑なき島と言われた島に、廃墟になってから豊かな緑が実っていて皮肉的であると、つい最近読んだ軍艦島関係の本に書いてあった。

 その後に観た、「ジグソウ:ソウ・レガシー」が良かっただけに、狭い人達だけを喜ばすような演出のアニメには、関係しかかった者として、落胆したと言わざるを得ない。



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 あの「廃屋生き仙人」が、フジテレビの新春特別番組にあともう一歩で出演する可能性も実はあったが、その話は、別の機会にでも   

【読んでおきたい】廃屋生き仙人との友情



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 ここもまた、サーフェスだけが残されている。

 アメリカや最近では日本の古い建築を建て替える際、このように表だけを残す工法がとられるが、ここは北海道の最果ての山の中、これは筋交いによる強度もあって、壊しにくかったのだろうか。



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 ダスティン・ホフマンが、こんな窓をラストシーンで叩いてました。もしかしたら、全く違うかもしれませんが、正面から構える窓には、ついあのシーンを思い浮かべてしまう。



鴻之舞-157
 廃病院だろうか。



鴻之舞-158
 中へ侵入をしてみることにする   




つづく…

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