警官射殺元巡査に懲役25年求刑 「現職の犯行、強い非難に値」
彦根市の交番で昨年4月に上司の警察官を拳銃で射殺したとして、殺人罪などに問われた当時19歳の元巡査の男(20)=懲戒免職=に対する裁判員裁判の論告求刑公判が4日、大津地裁(伊藤寛樹裁判長)であり、検察側は懲役25年を求刑した。判決は8日。責任能力の程度が争点となっており、これまでの公判で、弁護側は事実関係は争わないとした上で、心神耗弱で責任能力が限定的だったと訴えている。
検察側は求刑の理由を「動機は自分勝手でくむべき事情がなく、現職警察官による犯行は強い非難に値する」とした。
同日午前には、被害者の井本光(あきら)巡査部長=当時(41)、警部に昇任=の妻美絵さんが証人として出廷した。
美絵さんは滋賀県警の警察官。検察官の質問に、井本巡査部長の人柄を「一緒にいて楽しく安らげる人」とし、結婚後10年ほどたって授かった長男(4)について「本当に誕生を心待ちにしており、『一緒にカブトムシを捕りに行きたい』などと楽しみにしていた」と振り返った。
美絵さんが「長男はまだ死をはっきりと分かっておらず、『パパいつ帰ってくるの』と言い、最後の別れとなった葬儀場名をあげて『行きたい』とせがむ。父親に会えるのじゃないかと思う姿が本当につらい」などと涙ながらに話すと、女性裁判員も目元をぬぐった。
元巡査が「両親を侮辱された」と供述したことに、美絵さんは「そんなことは言っていないと信じています」と主張。「厳しい処罰をお願いしたい」と述べた。
続いて行われた被告人質問で、元巡査が「自分を成長させようと指導していたと分かり、井本巡査部長に申し訳ない気持ちがあふれてきた」と語ると、美絵さんは涙をぬぐっていた。
【 2019年02月04日 17時52分 】