こんにちは、だいすけです。
今回は介護業界における「フォーマル」と「インフォーマル」の違いを説明していきたいと思います。
介護業界で働いている方ならば、一度は聞いたことがあるでしょう。
なんとなく、イメージは湧くけどきちんと言葉で説明できない、って方、少なくないと思います。
我々療法士がご利用者のサービス等を決定するわけではないですが、アドバイスをすることは可能です。
ご利用者から意見を求められることもあるでしょう。
そんなときにスマートに答えられたら、、、。
まずは言葉の整理をしてみましょう。
フォーマルとは
フォーマル formal
公式的であるさま。形式的。儀礼的。
公式的とは?
決められた形式にとらわれて融通のきかないさま。
大辞林 第三版
公式的とは「融通がきかないさま」ということらしいです。良い印象ではないですね。
それでは介護業界でのフォーマルとはどういった意味でしょうか。
フォーマルサービス
フォーマルケアともいいます。公的機関や専門職による制度に基づくサービスや支援のことで、具体的には、介護保険(介護予防)サービス、介護保険外の行政サービス、医療・保健サービス、地域包括支援センターや社会福祉協議会の支援、非営利団体(NPO)などの制度に基づくサービスなどが挙げられます。
介護保険制度発足以前は、社会福祉援助が行政の措置によるフォーマルサービスに限定されていましたが、その方らしい自立した生活の継続という視点に立つと、現在ではケアプラン(居宅サービス計画)にフォーマルサービスだけではなく、利用者本人や家族、地域などの支援(インフォーマルサービス)を取り入れていくことや、フォーマルサービスとインフォーマルサービスの一層の連携と協力が望まれています。
「制度に基づいたサービス」という部分がポイントです。NPOだからといってフォーマルではない、というわけではありません。
インフォーマルとは
インフォーマル informal
非公式なさま。略式であるさま。
略式とは?
正式の手続きや順序を省いて手軽にしたやり方。
大辞林 第三版
手軽で非公式と聞くと、なんだか頼りない印象ですね。
それでは介護業界でのインフォーマルとはどういった意味でしょうか。
インフォーマルサービス
インフォーマルケアともいいます。
公的機関や専門職による制度に基づくサービスや支援(フォーマルサービス)以外の支援のことです。
具体的には、家族、近隣、友人、民生委員、ボランティア、非営利団体(NPO)などの制度に基づかない援助などが挙げられます。
また、本人の潜在能力にも注目し、ケアプラン(居宅サービス計画)にフォーマルサービスだけではなく、インフォーマルサービスとしての利用者本人や家族、地域などの取り組みや支援を取り入れていくことが望まれています。
最近では住み慣れた地域でその方らしい自立した生活を継続していくために、地域包括ケアという視点に立ち、ますますインフォーマルサービスの重要性と、フォーマルサービスとの連携の必要性が増すといわれています。
「制度に基づかない援助など」という部分がポイントですね。制度に基づかないNPOもあります。
フォーマルサービス | インフォーマルサービス |
---|---|
公的機関や専門職による制度に基づくサービスや支援 ・介護保険(介護予防)サービス ・介護保険外の行政サービス ・医療・保健サービス ・地域包括支援センター ・社会福祉協議会の支援 ・非営利団体(NPO)など 制度に基づくサービス | 公的機関や専門職による制度に基づくサービスや支援(フォーマルサービス)以外の支援 ・家族 ・近隣 ・友人 ・民生委員 ・ボランティア ・非営利団体(NPO)など 制度に基づかない援助 |
なんでも表にすると見やすくスッキリとします。
フォーマルサービスとインフォーマルサービスのちがい
2つのサービスの大きな違いは、「制度に基づいているかいないか」です。
例えば先日こんなことがありました。
ご主人と二人暮らしの70代の女性。難病により全身に疼痛があり、日常生活のほとんどにご主人の介助が必要です。
ある日、ご主人が体調不良で入院することになりました。
奥様は日常生活のほとんどに介助が必要ですので非常に困ります。
困った奥様は近所に住む弟夫婦に介護を依頼することにしました。快く姉(奥様)からの依頼を受けた弟夫婦は約1週間、姉宅に寝泊まりし、介助をしたそうです。
この弟夫婦の援助はインフォーマルサービスです。
このときのサービスをケアプラン上に記載したかどうかはわかりませんが、きちんと役割を果たしています。
弟夫婦はなにかの制度に基づいているわけではありません。なのでインフォーマルサービスということになります。
この場合、例えばヘルパーを利用するとなると、制度に基づいているのでフォーマルサービスですね。
この例の場合は、たまたま弟夫婦の予定が空いていたから、1週間という期間を姉宅で過ごすことができました。
予定が空いていなかったら、こういった対応は難しかったでしょう。そういった意味では頼りない、確約がないサービスとも言えますね。
では、全てのサービスをフォーマルにすればよいか、というとそうでもないでしょう。仮にこの奥様の介護点数がいっぱいだとしたら?介護サービスを利用することは難しいでしょう。そういう点で、融通がきかないサービスとも言えます。
サービスの選択で大切なこと
ご利用者がフォーマルとインフォーマルの違いを明確に理解し、ご自分で選択することは少ないでしょう。なので、我々サービス担当者が提案するか、ケアマネさんがプランとして計画する必要があります。その際に大切なことは、バランスよくサービスを配分する、ということではないでしょうか。
つまり、フォーマルとインフォーマルのバランスです。もちろん、必要であれば全てのサービスをフォーマルにすることは問題ではありません。逆に(こんなことないでしょうけど)すべてインフォーマルにする必要もありません。
ですが、必要以上にフォーマルサービスを使うのはどうでしょうね、少し疑問です。
できれば、インフォーマルサービスは「コレ以外変わりがない」サービスとなっていることが望ましいと思います。
そして、サービス提供者は担当する地域にどれほどの地域資源があるのか、把握しておく必要もあると私は考えます。