【ドラニュース】【龍の背に乗って】右投手なら左打ちバットを振って球速UP2019年2月4日 紙面から
このキャンプでは投手陣の「球速アップ計画」が進められている。少し重いボールを投げる? 遠投を増やす? 筋力トレーニング? どれも違う。練習場所は屋内運動場。しかもボールは投げず、バットを振る。 「今までいたチームでは育成段階でやってきたんです。右投げ左打ちの人って、そういうことになっている。ということは、右投手でも左打ちをすれば球速アップにつながる。そういう実験データが出ているんです」 発案者は阿波野投手コーチだ。投手による打撃練習は珍しくないが、右投げ右打ちでもほぼ同数、左でも打たせるのが阿波野流。巨人の2軍や3軍指導で得たノウハウを中日にも持ち込んだ。 「(左投げの)僕で言うと、右で振れば右の脇腹の筋肉を使う。投げるときには右側が壁になるから投球にもつながる。そう説明を受けました」 阿波野理論を補足したのが大野雄。投球の際に本塁側の脇腹部分の強化が、球速アップにつながるという考えのようだ。 「S班のメンバー(外国人とベテラン)にもやってもらっているし、反対軸でも思い通りに体を使うトレーニングや筋肉バランス(を整える)というねらいもあります。あまり打席に立たないっていうリリーフの人も、トレーニングの一環として取り組んでいます」 プロ野球あるあるだが、入団時の触れ込みより球速がダウンする投手はかなりいる。それがアップするのなら大歓迎。巨人での成功例は誰なのか、そもそも右投げ左打ちの選手は本当にそのおかげで速くなっているのか…。僕個人は全面的に納得できたわけではないが、何事もトライしなければ実りもない。 一つ言えるのはこの日、登板した12人全員が無四球だったこと。鈴木博の149キロ、大野雄の147キロ、柳の143キロなど軒並み速かったこと。このプロジェクトの効果が早くも出たなんて書かないが、投手陣にとって収穫の多い「初実戦」だったのは間違いない。 (渋谷真)
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