第1話の書き方
物語について一人勝手に語ってきましたが、実際どういう書き出しがいいのでしょうか。
このように書けば絶対人気が出るというものは、残念ながら私は知りません。
なので、ここに説明してある文章は、
「人気が出るかもしれないし、出ないかもしれない」
ということを念頭において見ていただきたく思います。
いずれにせよ分かっているのは、
「読者を獲得するには書き出しに力を入れないといけない」ということです。
それについて話す前に、今回はまず確認しておきたいことがあります。
結論:作者こそが、その作品の1番のファン
あなたには、以前ものすごくハマった作品があると思います。
あの作品がすごく良くて、ついつい勝手に自分で話を考えてしまう――――
二次創作小説はそれそのものですよね。
自分が気に入っているものには、自分自身が意識できていなくても、理由があります。
意識できているものは、「ここが気に入っている」と他人にオススメできるわけです。
一次創作でもそれは変わりません。
自分で作った作品は、自分の一番のお気に入りでなければ続きません。
書いた文章が恥ずかしく感じて、その作品まで嫌いになるようでは良くありません。
好きだからこそ続けられるし、批判を浴びても、制作上の困難にぶち当たっても、それを原動力として突破できるのです。
もし、自分が書こうとしている作品にそんなものを感じられないなら、
やり直しが効く今のうちに、もう一度よく練りなおしてみてください。
さて、それでは物語の書き出しとなる、最も重要な第1話についてのお話です。
前述の通り、自分の作品の「ここが好き!」のようなポイントがあると思います。
もし、そんなものを考えたことがなかったら、ぜひそのポイントを設定してみてください。
世界観でも、
テーマ性でも、
ネタの面白さでも、
テンポの良さでも、
主人公の心の成長でも、
自分が持っている描写力でも、何でもいいのです。
それを最も効果的に出す必要があるのが、第1話です。
その他にも、第1話で求められるのは多くありますが、一言でまとめるならこうです。
「その物語の全体像を決める、とっても重要な部分」
これを大きく分解すると、以下のようになるのではないでしょうか。
(これ以外にも諸説あると思います)
・インパクト
・雰囲気、イメージ
・小説文法、読みやすさ
・面白さ
・覚えやすさ
これはあくまで私論ですから、反対意見も多いと思います。
ここではこれをメインにして進めていこうと思います。
1.インパクト
まず、最初の一文のインパクトで惹きつける。これは誰でも考えつきますよね。
*
おやすみ。
僕はそう言って布団に入ったはずだった。だけど、次に目覚めた時、僕は病院のベッドで寝ていた。
*
なろうでは、このような予期せぬ出来事をインパクトとするパターンが多いです。
他にも、突発的な場面を見せる方法があります。
*
強烈な光と音が感覚を奪った。
私は何が何だかわからないうちに、気がつけば誰かに拘束され、トラックの荷台に乗せられた。
*
とか、
*
バカ!
彼女の言葉が胸に突き刺さった。
*
とかですね。
自分なりのインパクトの出し方を考えてみてください。
こういうのを考えるのも、物書きの醍醐味の一つです。
2.雰囲気、イメージ
これは書く文体や、ページデザインが関係してきます。
まず文体ですが、
それは本だった。
それは本であった。
それは本でした。
のように、一つを表すにも、いくつか方法があります。
それぞれに硬さや親しみやすさがあり、それの違いで雰囲気が変わってきます。
キャラクターの一人称や行動でも、その作品の雰囲気が変わります。
もちろん、事前に設定でキャラクター周りは作り込んでいますから、
発言もキャラクターに沿ったものを選ぶことが重要です。
荒っぽい性格なら 「そりゃ~だろ」
優しい性格なら 「それは~じゃないかな」
気が小さい性格なら「それは~だと……思う」
読者はこのようなところで作品やキャラクターの雰囲気を読み取っていきます。
性格と発言をあえてあべこべにすることで、インパクトを狙うこともできます。
「私も……うん、そうだね、こんな事しか書けない電式は死んだほうがいいと思う」
この場合、インパクトと一緒に、発言人物の陰湿さが表現されているかと思います。
(誰ですかこんなヒドいことを言う人は!)
……もちろん、登場するモノや場所によっても雰囲気は変わってきます。
いきなり銃器が出てくれば、物騒で荒々しく、緊迫した雰囲気を感じ取るでしょうし、
金魚すくいの出店が出てくれば、賑やかで楽しそうな印象を受けるでしょう。
時間、場所、登場人物、そして状況。
国語の授業でも習うこのパラメータをうまく駆使して、
作品全体を通した雰囲気を表現してみてください。
次にイメージです。
小説家になろうでは、小説のレイアウトが設定できます。
イジっている方は多くないのですが、
色合いや行間を変化させ、作品イメージをデザインで表す方法があります。
恋愛モノなら、柔らかめのイメージ、学園生活なら黒板のイメージetc...
忘れてはいけないのは、「見辛くしてはいけない」ということです。
読者はテキストをこれから長時間見続けるわけですから、
見づらい作品は即バックされるでしょう。
また、怖い話でありがちな黒背景に赤文字といったものに、
嫌悪感を抱く読者もいらっしゃるようです。
言わずともイメージを伝えることができますが、
イジる時は、そのへんの兼ね合いもよく考えたほうがいいでしょう。
3.小説文法、読みやすさ
これも読者は気にしているようです。
まず文法がなってないと、それだけでバックされてしまうことがあります。
文法については、他の方が至る所で説明をされているので、ここでは割愛します。
ここは小説文法がまるでなっていないので、ここの書き方の真似をしないようにお願いします。
読者が気にする「読みやすさ」についてです。
これは推敲の部類に入ります。
私の作品でもよくありがちなのは、「~の~の~」といった書き方や句読点です。
この読みやすさを改良するには、自分でもう一度読み直してみることが大切です。
そのとき、ザッと画面をスクロールさせるのではなく、
何も知らない読者になったつもりで読み直して、
文章から物語を組み立ててみることが重要なポイントになります。
そのとき、音読するような感じで読み進めていけば、
息が続かなかったり、読み違えそうになるところが出てくると思います。
そこをしっかりと押さえて修正していくと、自然と読みやすい文章になります。
学校の国語の授業の音読で、どこで切ればいいのか分からず詰まったり、
「~の~の~が」といった読みにくく感じたりするものは、出てこなかったと思います。
また
「~に」よりも「~へ」の方がしっくり来る!
と言った改良点も容易に見つかります。
既に投稿した作品でも、いくらでも修正が効きますので、そこを改善してみてください。
4.面白さ
つまり楽しさ、中毒性ですね。
アバウトな言い方をすれば「娯楽性」です。
これはあなたの裁量にかかっています。
漫才のネタのように進めていくのか、ちょっとシュールな笑いを誘うのか。
そんなものに頼らず、味わい深さのような中毒性を追求するのか。
「面白い」というのは、なにもニヤニヤ笑うことだけじゃありませんからね。
ホラーも、娯楽の一部です。
あなたの腕の見せ所であり、評価の本質であります。
頑張ってください!
5.覚えやすさ
これについては何回もお話ししていますように、重要なポイントです。
物語の始まりは単純である必要があります。
いきなり多視点グリグリであっち飛んでこっち飛んでを繰り返してしまうのは、即バック対象です。
読者は覚えることが多いことを留意して、少しでも負担を軽減させるようにしてください。
一話でどこまで書けばいい?
これも諸説ありますが、
小説の文字数は、あなた思う裁量で構わないと私は思っています。
ただ、極端に短い、長いのはよろしくないと思います。
一般的に、人の読書速度は1分あたり500文字程度と言われています。
2~300文字と、文字数が少なければ、読者はページ移動が面倒に思ってしまいかねませんし、
逆に連載で1話が5万文字、6万文字と長ければ、読者は読み疲れてしまいます。
小説家になろうでは、読みかけのページを記録する「しおり機能」がついています。
あまり長すぎると、しおり機能が役に立たなくなってしまいます。
大体一回で2000~20000文字(4~20分)ぐらいの間に収めるのがいいのではないでしょうか。
物語の区切り方でも、作品のイメージが少なからず変わると思います。
TVのCMのように、「いいところで区切ってしまう」のは有効な手段だと思います。
「気がつけばもう何話も読んでいた」状態にさせることができたならこっちのもんです(笑)
他にも、時間、場所、登場人物などが変化する場所を区切りとしてもいいと思います。
***まとめ***
作者が好きになれた作品は、そうでない場合より息が長く続く。
第1話は、物語の顔であるから、作品の「ここが特徴!」を押し出すといいかも。
特に最初は以下のことに気をつけてみる。
・インパクト
・雰囲気、イメージ
・小説文法、読みやすさ
・面白さ
・覚えやすさ
文字数は極端に長すぎたり、短すぎたりするとよろしくない。
作品の区切り方によっては、うまく読者を引きつけられるかも。
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