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【サッカー】

<戸田和幸の哲学>勝利を手繰り寄せるための戦術足りなかった

2019年2月3日 紙面から

 イングランド、ドイツ、スペインなど欧州各国のハイレベルな環境の中でもまれ成長を続けてきた日本人選手たちのチームは、日本をリスペクトし、勝つための具体的かつ効果的な戦術を携え、育成年代から強化を続けてきた「新興国」カタールに敗れた。

 明らかに機能しないフォーメーションでプレスをかけ、手玉に取られるようにパスをつながれ前半で2失点。前半終了間際に、守備時の配置にようやく着手し後半は攻め込む時間が長くなった。だが、相手を揺さぶることなく、遮二無二突き進む攻撃は人数をそろえたカタール守備陣に「想定内」のものとして対応され敗れた。

 このスポーツには、組織として機能するためのプレーコンセプトや対戦相手のウイークポイントを的確に突く戦術的な取り組みがいかに必要かという、われわれの国に最も足りていなかった部分が如実に現れての敗戦となった。

 今大会を振り返ると、日本は戦略の部分にはある程度のものは見られたが、ピッチ上で勝利を手繰り寄せるために必要な戦術が足りていなかったように思う。

 カタールがこの大会で採用していたシステムは大きく分けて2つだった。それを考えても、決勝までの6試合を詳細に分析しつつ想定される展開に対して、日本が準備できることは、少なくともボールを奪う部分については用意できたはずだ。

 サッカーは常に進化する。カタールだけでなく今大会で対戦したトルクメニスタンやベトナムを見てもそれは明らかだ。

 組織対組織のスポーツがサッカー、その組織を形成する個人のレベルは欧州のハイスタンダードな環境の中でもまれ、確実に上がっている。ただ、個々の持つ能力と経験を代表チームとして束ねるためには、ある程度の「基準」が必要になり、それが曖昧な場合、優れた個は砂上の楼閣と成り代わる。

 この敗戦をわれわれがどう受け止めるのか。勝てなかったのは、スーパーゴールと不運なPKによるものではない。そこから考えていくことが、日本サッカーの未来を変える。 (元日本代表MF)

 

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