米アップルのスマートフォン「iPhone」のロック機能を日本の捜査当局が民間企業の協力を得て解除し、事件捜査に活用していることが2日、捜査関係者への取材で分かった。スマホからのデータ抽出は、事件と無関係の個人情報も大量に含まれる上、電話やメールの内容は憲法が定める「通信の秘密」に当たる。事件関係者とはいえ、本人の了解を得ない解除は議論を呼ぶ可能性がある。
捜査関係者によると、ロック解除に成功したのは、IT機器メーカー「サン電子」(愛知)のイスラエルにある子会社「セレブライト」。当局は報酬として1個当たり70万円程度を支払った。サン電子の広報担当者は取材に「ノーコメント」としている。
iPhoneのロック解除を利用したのは、2017年、福岡県小郡市の住宅で女性と2人の子供の遺体が見つかり、殺人罪で夫の元警察官が起訴された事件。夫は否認しているという。被害女性のiPhoneの操作記録を分析し、子供2人を殺害したのは女性ではないと判断した。
また神戸地裁が今年1月、女性の遺体を切断、遺棄したなどとして米国籍の男に懲役8年の判決を言い渡した事件では、男のiPhoneと韓国サムスン電子の「ギャラクシー」を解除。遺体の隠し方などを調べていたことを突き止めた。〔共同〕