「担当ディレクターには面と向かって言っていませんが、これは傑作。セカンドシーズンは、傑作ラッシュが続いています(笑)」
NHKBSプレミアム『アナザーストーリーズ』は5月4日(水・祝)午後9時からの放送で、1980年の「MANZAIブーム」を取り上げる。番組の出来に手応えを感じつつ、解説するのはプロデューサーの河瀬大作である。
「B&B、ザ・ぼんち、紳助・竜介、そしてツービート。子供の頃にテレビにかじりついて見たこの人たちの漫才、とりわけフジテレビの『THE MANZAI』はなぜ面白かったのか。当時の子供たち、若者たちをなぜあれほど夢中にさせたのか。今回、その理由が初めて分かりました。あれは、様々なルサンチマンが集まって起きた、笑いの大革命でした」
聞き取れない客の前で、猛然と
『THE MANZAI』とは、1980年4月1日から約2年間にわたり、3カ月に1回ほどのペースで計11回制作された演芸番組だ。
仕掛けたのは佐藤義和、当時31歳。フジテレビの演芸班でディレクターをしていた。
当時のテレビで勢いがあったのは音楽番組で、演芸班の肩身は狭かった。通う先も、音楽班は六本木で自分たちは寄席のある浅草。若者たちを惹きつける華やかな音楽番組と、昔ながらのファンのための昔ながらの演芸番組…。その違いに忸怩たる思いを抱えながら、しかし佐藤は諦めてはいなかった。答えは見えないが、「何か」を求めてひたすら浅草を歩き回った。
そして、早口すぎるゆえに年配者はついていけない、若くて勢いのある漫才師たちを見つける。演芸場で、ストリップ劇場で、彼らはそれまでの漫才とは違うネタをものすごいスピードでしゃべりまくっていた。それを聞き取れない客を前に、何かに挑むように。佐藤は、こういった漫才師を集めて番組をつくったら面白いのではないかと思った。
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