膣(ちつ)


 膣は、思春期を過ぎる頃には、長さ8~10cm、直径2~3cmのゴムホースのような筋肉でできた管(くだ)状の器官に成長します。膣は、膣口(ちつこう)から子宮口までをつないでいます。膣の内壁(ないへき)は、口の中と同じような粘膜(ねんまく)でできており、粘膜をたぐり寄せたようにたくさんのひだがあり、子宮から流れてくる分泌液や膣自身からの分泌液で湿っています。膣口の周りにはひだ状の粘膜でできた処女膜があります。膣口には指が1本通るほどの大きさの穴が開いています。

 膣の一番奥には子宮口(しきゅうこう)があります。指を入れてさわると、ウズラの卵くらいの大きさで、鼻の頭のようにコリコリとした感触があります。膣の内壁は柔らかいのに、子宮口がコリコリしているのでガンではないかと不安になる人がいるみたいです。心配であれば、子宮ガン検診などを受けてください。

・膣のはたらき

 膣のはたらきは、出産のときには赤ちゃんの、生理のときには月経血(げっけいけつ)、また、おりものなどの通り道になることです。セックスのときは男性の陰茎を挿入する場所になります。細菌の侵入を防ぐ自浄(じじょう)作用も行っています。

 膣は、粘膜をたぐり寄せ、たくさんのひだ状になっているので、非常に伸び縮みしやすく、生理用品のタンポンの大きさから、出産の時には赤ちゃんの大きさまでいろいろな形に対応できます。ふだんは、膣の周りの筋肉や脂肪によりゴムホースを押しつぶしたように内壁はくっついています。そのすきまを、子宮から生理のときは月経血や、おりものが流れて、膣口に開いている穴から流れ出します。

 性的に興奮すると分泌液を出すと同時に筋肉が締まります。性的興奮が高まると奥の方は広がり、子宮口がそこへ降りてくる形になります。このため、男性が性的に興奮し射精すると、射精された精液が奥の方にたまり、この中に子宮口がつかるようになり、精子が子宮内へ入りやすくなり、受精の可能性が高まります。

・膣からの分泌液


 一般的におりものと呼ばれる分泌液が子宮や膣から常に分泌されています。そのため膣内はいつも分泌液で湿っている状態です。
 おりものは、健康な女性であれば誰にでもあるものです。おりものは、子宮や膣から流れ出てくるので、内部の老廃物などが一緒に流れ出て内性器をいつも清潔に保つことができます。また、膣内への細菌などの侵入を防いでもいます。
 おりものは、膣内の健康状態を知る手がかりにもなります。詳しくはおりもののページで。

 おりものの量が多い、臭いで悩んでいる方は多いようです。おりものでの下着の汚れが気になる方は、おりものシートを使っているようです。また、彼氏に下着の汚れを見られることが恥ずかしいとか、とにかく臭いで嫌われるんじゃないかと悩んでいる女性は多いようです。おりものの悩み

 性的に興奮すると、男性が勃起するのと同様に、下腹部に血液が集まり、血管からしみ出た組織液が、膣の内壁からたくさんの粘性のある分泌液として分泌され、膣内はヌルヌルとした状態になります。分泌液の量は人それぞれで、少し湿る程度の人から、膣口からあふれ出てくる場合もあります。セックスのとき、男性の陰茎(いんけい)と膣の内壁はこすれあいます。ヌルヌルの分泌液が分泌されるおかげで男女とも痛みなくスムーズにセックスができます。ヌルヌルになってないと、セックスのとき女性は非常に痛く、男性も挿入しにくくなります。性的な興奮が高まると、膣は陰茎を包み込むように締まり、男性の性的興奮を高め、射精(しゃせい)を促すようになります。
 始めてのセックスのように、体が緊張しているときなどはぬれにくいことがあります。

 また、膣からの分泌液は膣内をアルカリ性の状態に変化させ、射精(しゃせい)後の精子を活発に行動させるようになり、妊娠の可能性が高まります。性的に興奮すると、子宮が腹部の方へ引き上げられ、子宮口の周りの膣円蓋(ちつえんがい)は、膨らみ空洞部が広がります。この空洞部に射精された精液がたまり、すぐに膣の外へ流れていくのを防ぐと同時に、子宮口が精液に浸される状態になり精子が子宮の方へ移動し、受精(じゅせい)の機会を高めます。

・膣の自浄作用

 膣内に侵入した細菌をやっつけたり、侵入を防ぐ作用を膣の自浄作用といいます。膣の内壁には乳酸菌(にゅうさんきん)の一種のデーデルライン桿(かん)菌がいます。これは善玉菌で、作り出した乳酸で膣内を酸性に保ち、ほかの有害な悪玉菌の増殖を抑えたり、やっつけてくれます。寝不足や過労、栄養バランスの崩れ、喫煙、多量の飲酒など不健康な状態では、デーデルライン桿(かん)菌のはたらきは弱まり、カンジタ菌などの悪玉菌が増え、臭いが気になったり、色の付いたおりものが出たり、膣炎などを引き起こす原因になります。また、お風呂などで膣内まで石けんなどで洗うとデーデルライン桿(かん)菌も洗い流してしまうことになります。

・Gスポットについて

 膣口から膣へ3cmくらい内部のおなか側に、俗にGスポットと呼ばれる部分があります。Gスポットが無い女性も多く、解剖学的には解説がありません。性的刺激を非常に良く受けやすい部分といわれますが、その感度は人により違います。末端神経が交錯している部分なので刺激に敏感に反応するともいわれています。Gスポットをついたり、こすったりすると尿道や膀胱を刺激するため、尿意をもたらすことが多いです。男性の前立腺が退化したものだという説もあります。このようにGスポットに関しては、不明な点が多く、解明されていません。

・膣のしまりについて

 出産すると赤ちゃんが膣を通って出てくるため、膣が広がり、膣の筋肉のしまりが弱くなることがあります。
 運動不足な最近の10代20代の女性は、筋肉のしまりが弱くなっていることがあります。膣、その周りの筋肉のしまりが弱くなると、お風呂に入っている間に膣内へお湯が入り、立ち上がると尿が出るように膣内から入ったお湯が出てくる事もあります。お風呂から上がって布団で横になると漏れ出てくることもあるようです。

 また、立ち上がるとき、階段を上がるとき、くしゃみをしたときなど下腹部に力が入ると尿もれを起こすことがあります。早い人では30代頃からプチ尿もれを起こしているようです。恥ずかしくて誰にも相談できずにおりものシートなどを利用している女性も多いようです。

 膣周辺の筋肉のはたらきを回復するには筋肉のトレーニングが効果的です。
 肛門付近の筋肉は膣へと8の字形に続いています。このため、肛門をキュッとしめるようなトレーニングをすると膣付近の筋肉もきたえられしまりが良くなり、尿もれも減少します。いつでもできて、ヒップアップにも効果があります。
 イスに座るとき両ひざを合わせて座る、イスに座ってかかとを上げ、足をぴんと伸ばすなどのトレーニングは、肛門付近のおしりや下腹部の筋肉をきたえることができます。
 おしっこの途中で止めたり出したりするというトレーニングも良く耳にしますが、あまり効果が無く、尿道炎や膀胱炎を引き起こす可能性があります。

 膣のしまりや尿漏れは、自分自身が一番気になっているでしょうが、彼氏も気がつくかもしれません。もしかすると、そのことを一番よくわかっているのは彼氏の方かもしれません。→膣のしまり・膣圧の悩み 膣圧・しまりの体験談

・膣の臭いとかゆみ

 膣から強い臭いが生じたり、かゆみがある場合は、膣内で細菌が繁殖していることが考えられます。性感染症に感染しているかもしれないので、婦人科の先生に診てもらってください。膣内は自浄作用で清潔に保たれているのですが、ストレスなどで自浄作用が弱ってしまうと、細菌が繁殖しやすくなります。膣内を洗浄するものとして膣洗浄用の使い捨てビデなどがあります。
 膣内洗浄用のビデを詳しく説明→膣洗浄について

 彼も気になっているはず、体に自信を持ちたい、性器の黒ずみや臭いが気になる方へ→黒ずみ・においの悩み

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