米、核軍縮INF条約の破棄通告 「ロシアが違反」
6カ月後失効 中ロと軍拡競争懸念

トランプ政権
北米
2019/2/1 22:44 (2019/2/2 0:49更新)
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【ワシントン=中村亮】トランプ米政権は1日、1987年に旧ソ連(ロシア)と結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を正式表明した。2日付で通告し、条約の義務履行を停止する。条約は6カ月後に失効する。ロシアの条約違反が理由としている。米国は核戦力増強を進めるとみるロシアや中国に対抗する姿勢を鮮明にし、軍拡競争を招く恐れもある。

中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄通告を表明したポンペオ米国務長官(1日、米ワシントン)=AP

1日に記者会見したポンペオ国務長官は「ロシアは米国の安全保障上の国益を危険にさらしている。我々は適切に対応する責務がある」と強調した。

トランプ大統領も1日に声明を発表し、ロシアの条約違反を非難したうえで「米国だけが一方的に条約に制約されてはならない」と主張。「軍事的な対応策の作成に着手する」と表明した。一方で「軍縮交渉に応じる用意がある」とも説明し、ロシアが違反を解消すれば条約にとどまる可能性を残した。

INF廃棄条約は、冷戦時代後期の1987年に、当時のレーガン米大統領とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が調印。翌年に発効した。

射程500~5500キロメートルの地上配備型ミサイルの開発や配備を禁じたのが特徴だ。特定兵器を全廃する条約は史上初めてで、米ソ対立を和らげて冷戦終結に寄与した枠組みと評価されている。ソ連崩壊後はロシアが継承した。

米国はオバマ前政権下の2014年、ロシアが条約に違反するミサイルの発射実験を実施したと指摘した。トランプ政権もロシアの新型ミサイルの射程が条約に違反しているなどと主張し、18年10月に破棄する方針を表明した。同年12月には60日以内にロシアが是正しなければ条約破棄の手続きを進めると最後通告していた。

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