コリアンダー島。
この世界の日本政府がいざという時に備えシーレーンを強固にする為に、また東南アジアへの影響力を高めるためにASEAN諸国と共同で軍事島化した島であり、深海棲艦が出現してからは東亜の西の守りを兼ねる。
その性質上、艦娘だけでなく輸送艦等を修理するための施設が整っており、戦車をはじめとする陸戦兵力も豊富。
一方で島から取れる資源の量は少ない(尤もこれは、資源があまり取れない島を使ったほうが軍事島化する以上都合が良かったというのもあるが)。
この島が墜ちたと言う事は、東南アジア一帯が堕ちるのも時間の問題であるのみならず、日本本土への石油輸送ルートの大部分が寸断されると言う事も意味する。
それなりに大きな島であり、この三人だけで占領するのは不可能だろう。
「まぁ・・・とはいっても島がなくなってもいいって言われたらやれんだけどなぁ~っと・・・通信か」
『こちら護悧、状況報告を頼む』
『こちら御坂、どこから上陸するんだ?すぐにでも制圧できるが』
『なるほど、第一
「こちら藍原、それならこっちの方が近い。今から制圧を開始する。今からエレベーターで上がり始めてくれて問題無い」
『こちら護悧了解。今から上がる』
さーてと、辺りの地形も大体頭に叩き込んだし護悧のおじさんの援護にいきますか。・・・この時マイクがONになってたせいでシエルさんに追いかけ回されるのはまた別のお話。
「ひーふーみーの・・・十二人か・・・って多すぎね!? ドックだけに警備も厳重ってことかぁ・・・
ま、全員残らず夢の世界へ飛んでもらうんやけどな」
まずは一番近くにいるリ級から無力化することにした。瞬間移動で目の前に飛び出して。
「おっ・・・!!」
「おやすみなさいー」
頭に右フックをお見舞いして意識を刈り取る。そのまま倒れないように(草むらで倒れられると音鳴るし)抱き止めて近くの木の根本におろす。意外に温いな・・・うちの白龍はそういえば手袋越しにしか触ったことねーもんな。
・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・」
やべ・・・歩哨と目があっちまった・・・・・・
「へ、変化!!」
とりあえずヲ級に化けてみるけど通用・・・」
「するわきゃねーだろ! こt・・・げふぇ!?」
おっと・・・思わずアッパー当てちまった・・・あーあ・・・・・・歯がぼろぼろになっちまってる・・・・・・息はあるしよしとしよう!うん!
次のターゲットは・・・・・・よし、あそこのチ級いこう。今度は針も試してみるか。
なんのことはない簡単だったぜ。後ろから浮遊しながら近づいてぷすってやればよかったんだからな。・・・・・・ヤベ、もうすぐ上がってくるな・・・・・・
よし、
発射。
弾は見事にベストタイミングで時限信管が作動してほとんどを眠らせた。
あのホ級だけまだ眠らないな・・・・・・悪いが眠ってもらおう!!
「ナイスタイミングだ刻」
「待たせたな」
ホ級にライダーキックをお見舞いしたところで刻さんが上がってきた。あぶねー(汗
「こちらブラッド1、
スニーキングポイント
に到達した。待たせたな」
『こちら富嶽。全員の到達を確認しました。
各員に通達、先ずは対空レーダーを最優先で無力化してください。その際も全く敵に気取られてはいけません。その範囲内であればレーダーそのものの破壊、レーダーへの送電線の切断、対空管制室の占拠、その他方法は問いません。
尚、対空レーダーを無力化するまでフルトン回収、及び各種支援は不可能です。
対空レーダーの無力化を確認次第作戦空域に侵、各種支援を開始します。
始めて下さい!』
『こちら御坂了解っと。レーダーの位置が分からないが……どこか判るか?』
「こちら藍原、俺もさっぱり分からん。地道に探し出すしか無いか……この島を更地にしていいなら今すぐにでも破壊できるが」
千里眼・・・・・・は俺は使えねーし・・・分身でしらみつぶしでいくか?
『こちら護悧、お前ら、わからなかったら
『こちら御坂、あのなあ、素直に教えてくれると思うか?』
『こちら護悧、素直に吐かなければ素直に話せるようにしてやればいい。簡単だろ?』
『どうやってだよ……まさか』
『いや、普通に考えて拘束してナイフか拳銃で脅せば良いだろ。その為の実弾だろ?』
『マジかよ……』
『ま、聞き出すのは俺がやる。お前らは先にめぼしい物資に
「こちら藍原了解。ところで護悧隊長。状況開始は演習とか訓練の時しか使わない号令だって知ってましたかー?」
『やれやれ……こちら御坂了解』
『こちら刻、その辺はまた後で確認しよう。まぁ今は無難に『行動開始』とでも言っておくか』
さてさて……とりあえずは護悧さんと逆方向へ行きますか。
………歩くのめんどくさい。浮遊術で行こう。
護悧隊長殿と別れて約二十分、適当にフラフラと流れてたら対空陣地らしきところを見つけた。どうももともとあった陣地を修復・強化したようだ。
こいつは一応潰しといた方がええよな…まぁまずはあの歩哨から
「ふぁぁぁああ……眠たい…」
「全くだ。寝不足もいいところだろ」
「ああ、ホント……ってキサマッ!」
「おやすみ~」
針でぷすっとツボを捉えると糸の切れた人形のように警備のリ級は崩れ落ちた。まぁ風が吹いてるからちょっとくらいの物音には気づかれないよな、うん。
さぁて。巡回の歩哨は……もういないか……ザルだな。残りは全員銃座と砲座と寝袋か……麻酔弾はあと五発…いけるな。ふぁいやー!
「なぁ、なんか音しなかったか?」
「風の音では?」
「かもなって…あいつら寝てるぞ……」
「疲れもたまってるんでしょう…そういえば…私も眠たいで……す」
「おい!って……何か眠……く……」
全員寝たな………? よし、確か…………ここをこうして、こいつを押せば……お! 降ってきた降ってきた!
ヒュウウウウという風切り音と同時にドサドサと降ってきた目当てのブツが入った段ボールを漁っていると護悧准将閣下から通信が入った。
『こちら護悧、対空レーダーは島の真ん中の小山の頂上に一つ、東の軍港に二つ、陸上兵器基地に一つらしい。藍原と御坂は確認に向かって、すぐに直せそうな程度に無力化、シエルは堂山に本当にその一にあるか、他の位置にはないか確認を取れ』
ほほう、まぁそんなところだろうな置くとしたら。
『こちらシエル、堂山さんに予め確認したところ、それ以外の位置のレーダーは全て回収、無いし破壊したとのことで、加賀さんの彩雲での事前偵察でも、他の位置のレーダーは対水上レーダーのみ、それも北と南に一つずつだけだったそうです』
『こちら御坂、そういうことは先に言ってくれ、シエルさん』
全くだな。ブリーフィングのときに提示する情報だぞそれ。
「こちら藍原、以下御坂と同文だ」
『こちら護悧、俺も二人と同じだ。それはさておき、レーダーを無力化した後、先ずは富嶽で偽装データ入力装置を届けてくれ。
レーダーは、出来ればデータ送信用ケーブルを切断する事で無力化してくれ。
人為的なものに見えないようにしてくれると助かる。
で、修復係の深海棲艦が来たら、修復を開始する旨を本部に伝え、修復を始める前にそいつを無力化、偽装装置を送信ケーブルの受信側に接続、レーダーは回収してくれ。オケ?』
『こちら御坂、奴らの言葉が分からない。出来れば一緒に来てくれないか?』
「こちら藍原、富嶽で御坂の分の翻訳機を頼む。御坂の位置はわかってるんでしょう?」
『こちら富嶽了解。準備をして待っています』
さて、こいつらにフルトン着けたら軍港の方に行きますか。
ちなみに駿は翻訳機持ちなので深海の言語も普通の表記で書いてます