東方艦隊夢想   作:佐武 駿人
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佐武です。
申し訳ありません。風邪引いたりなんだかんだしてる間に予約していた話が途中で投稿されるという事態が発生しました。お詫び申し上げます。


それでは本編をどうぞ。
今回はあの人も(ほんのちょっと)登場します。


第十六話:異変解決

 不知火が奥で倒れている鎮守府三階廊下。ここでは先程から大火力の持ち主二人による火力の応酬が始まっている。

 解決者側の魔理沙が通常弾幕を放ちながら箒に立ち乗りし突撃すると対する鎮守府側の霧島は超低空を高速で飛行し、魔理沙の後方に抜け、お返しとばかりに主砲から弾幕をお見舞いする。

 もちろんただの艤装ではこんなことはできないが、この鎮守府で彼女らが使っているのは幻想郷と鎮守府、そして未来の科学者がちょっとヒャッハーした結果いくつか改造が施された艤装である。

 艤装の主な改造点は、脚部艤装に施された幻想郷での弾幕勝負に必要な空を飛行するためヤマトが使う補助エンジンの出力強化版を装備。ちなみに最速の島風で天狗に若干遅れるほど。次に機銃や主砲、副砲、広角砲用の特殊弾だ。これは機銃や砲に装填すると弾幕を放てる弾である。普通は通常弾幕だがスペルカードを同時に使用するとそのスペルが放てるようになっている。ちなみに使用可能時間は五分、もしくはスペルカードの効果が消えるまで。そうなると新しい弾を装填する必要がある。

 あとは全体的な耐久力の強化くらいだ。

    

「チッ初心者にしては中々やるんだぜ……」

 

「おや、ずいぶん余裕ですね。慢心してていいんですか? こちらはスペルカードを発動しようとしているのに『砲符:ガダルカナルの殴り合い』」

 

 霧島がスペルカードを唱えた瞬間、ものすごい勢いで大型、中型、小型の弾幕が放たれる。

 しかもそれぞれのスピードが違うから避けづらい。

 大型弾幕の内は魔理沙も余裕で避け続けていたが中型、小型が混じるようになるとだんだんカスるものがふえん、ついには被弾してしまう。そしてそのまま残りの弾幕が殺到する。

 

「うっ………うおおおおおおーーーー!? ……痛ててて……

クッソ……今度はコッチの版だ! 『星符:ミルキーウェイ』!!」

 

 煙の中から立ち上がった魔理沙は点を挽回するためスペルカードを唱えた。星形の弾幕が文字通り天の川のように霧島に殺到。狭い廊下では満足に回避することもできず被弾する。

 弾幕が着弾することにより廊下に煙が立ち込めるがその煙の中から4つの弾が飛び出す。普通にかわそうとする魔理沙だが、その弾幕は彼女の至近で炸裂した。三式弾だ。

 

「フム、昔使った手ですが結構通用しますね」

 

「まだだ! まだ終わらないぜ!!」

 

「あなたにいい言葉をお教えしましょう。備え、あれば、憂い無し! 全門斉射!!」

 

「ノォォォォォーーーー!!!!」

 

 霧島の主砲の斉射を受けた魔理沙はそのまま鎮守府の廊下の壁を突き破り鎮守府の外へと出てしまった。

 

「あ……私としたことが…少しやり過ぎましたか」

 

 その頃妖夢が撃破されたせいで天龍まで相手にすることになった咲夜だったが幸運なことに霧島に吹っ飛ばされた魔理沙が龍田の後頭部に命中。

 一瞬の内に意識を刈り取られた龍田地面に落下しその事に気をとられた天龍も咲夜がチャンスとばかりに発動したスペルカードによって倒されてしまった。

 

 

 

鎮守府執務室前

 

「ここかしらね」

 

「そうじゃないかしら? この階はこの部屋以外にはトイレぐらいしかなかったし」

 

 霊夢の呟きにアリスが肯定する。

 ちなみに早苗は道中出くわした妖精さんsに集団で襲いかかられ、霊夢は早苗が足止めすると言うので泣く泣く(本人視点)置いてきた。

 

 

ー回想開始ー

 

「うぉー!!」

「かかれー!」

「我が名は漆黒の……」

「ギッタギタにしてやるぅ!」

「やらないか」

「なんかへんなのいたー」

「他作ネタは厳禁ー」

 

「きゃああああ!? 霊夢さん!? 霊夢さん!? 助けてくださいーーーー!!」

 

「早苗、あなたの活躍は…多分一分くらい忘れないわ……」

 

「霊夢さーーーーーーーん!!!!!!!?」

 

 

 

ー回想終了ー

 

「後で早苗にあやまりなさいよ?」

 

「何を?」

 

「はぁ、もういいわ。行くわよ」

 

「さて、どんなやつが親玉か…なぁ!?」

 

 ドアに鍵はかかっていないのだが霊夢はそんなことお構いなしにドアを蹴破り入室した。

 執務室内には駿と響、山城がいたのだが霊夢が蹴破ったドアは蹴破られた勢いそのままにたまたま近くにいた山城を吹き飛ばした。

 

「………なぁ、せめてノックか何かすれば?」

 

「ああ……不幸だわ……」

 

「ふん。こんなふざけた異変を起こしたのはあなたかしら?」

 

 霊夢にとってそんな二人の言葉は聞こえないようである。

 

「まぁ、異変の原案を許可して実行させたのは俺かな」

 

「じゃ、話が早いわ。今すぐこの異変をやめなさい」

 

 霊夢はほとんど形式的にこの質問を投げ掛けたが本人にとってこの質問の答えはさほど重要ではない。異変の首謀者は叩き潰すのが博麗霊夢という人物なのだ。

 

「それはできない相談かな……中和剤を撒く必要g」

 

「そう。なら力ずくで止めさせるわ」

 

「ちょっおま、話を…うぉぉぉ!?」

 

 狭く何より価値の高いものが揃っている執務室で戦うほどバカではない駿はたまらず執務机後方のテラス付きの窓から外に飛び出す。

 

「あら、あんたただの人間のくせに飛べるのね」

 

「こっち来てからだがな。まぁ、まずは様子見か……な!」

 

 駿の周りにいきなり大量の水が現れ霊夢に殺到する。

 

「な!? これは……なんであんたが…」

 

 駿の攻撃を余裕を持ってかわしながらも霊夢は驚いていた霊夢が駿から感じとれたのは霊力だけである。しかし駿が放った水には魔力が感じられた。

 

「流石だな。流石は異変の解決者だ。さて、今度は分身でもしてみようか。『影分身の{術}』」

 

 駿が三人になった。それは分身の術だから普通のことだ。しかし今度こそ霊夢は正気を疑った。確かに。確かに駿の分身体からは駿と同じ性質の霊力を感じるのだがそれだけではない。彼女が感じたことのない謎の力も感じるのだ。

 

「あなた一体何者?」

 

「さあな」

 

 そんな会話をしつつも攻撃を仕掛けてきた分身体二体をあっさり撃破した霊夢はお祓い棒を使っての近接戦に切り替えるが駿は腰に差した刀を抜くと霊夢と激しく打ち合った。一合二合三合と激しく打ち合い十合目を最後に二人は別れる。

 

「あんた実戦経験は?」

 

「妖怪の山に行ったくらいだ」

 

「なんでそんなに戦えるの」

 

「自分で考えたらどうだ? それともそこにいる見物人に意見を聞いてもいいが?」

 

「アリスに?」

 

 しかしアリスは響と交戦中だ。

 

「気づいていないのか? お前の後ろから見ている妖怪の賢者に」

 

 すると霊夢の後ろの空間に切れ込みが入ったかと思うと、見るからに胡散臭いオーラを放った女性――人妖が現れた。幻想郷の創設者こと八雲紫だ。

 

「あら、いつからばれてたのかしら?」

 

「ただ強い力を感知しただけですよ。幻想郷の賢者にして、創設者の八雲紫殿。あとは幻想郷の7BBAでしたか?」

 

 刹那、紫の顔が般若のそれへと変貌する。鬼気迫るとはこの事だろうか。

 

「情報元は?」

 

「無論鴉天狗のブン屋です」

 

「後で焼き鳥にしてやろうかしら」

 

 そこへ霊夢が割り込む。

 

「紫、あいつのこと何か知ってるの!?」

 

「私もあなたが知ってるような情報しか知らないわ。あ、彼の能力なら知ってるわよ」

 

「どんな能力よ!?」

 

 よっぽど先の不可解な現象についての手がかりが欲しいようだ

 

「『術を操る程度の能力』っていったところかしら」

 

「何それほとんど反則じゃない」

 

「けど術しか使えないから魔法は使えない」

 

 そう反論する駿に霊夢は一気に近づくと怒鳴り付ける。戦闘中ということを忘れているのだろうか。

 

「じゃあなんであんたの攻撃に魔力や変な力を感じたのよ!!」

 

「魔{術}を使っただけだ。言っとくが魔法と魔術は似て非なるものだからな」

 

「ところでなんでこんな異変を起こしたのかしら? 私としては橙とペアルックになったようで別にいいんだけど」

 

 今度は紫が質問する。別にこの異変、太陽を避けるために実行された紅霧異変や月の追ってから逃れるために月の住人が月を隠したものとは違い、何も駿達に利益がないからだ。

 

「そうだな。まぁ、挨拶代わりみたいなもんだ。まぁ、約一名いや、二名は写真を撮りまくるという副目的を持っていたが。ホントは霊夢達が来た時点で終了するつもりだったんだがなぁ」

 

 頭をかきながら駿は続ける。

 

「霊夢に猫耳を解除するための薬を散布するのに時間がかかるって言おうとしたら何の早とちりかこの状態さ」

 

「え? じゃあ異変は終わり?」

 

「「うん。霊夢が早とちりしなければもうすぐ終わってた」」

 

 

 

 その後、再び幻想郷を霧が覆い、しばらくすると霧とともに元から猫耳の住民以外は猫耳が消えた。

 

 

 ところ変わって博麗神社。

 普段はまっっっっっっっったく人っこ一人いない神社が今日は大にぎわいだった。

 境内のあちこちにはシートや蓙が引かれ、人間、妖怪、鬼、幽霊、妖精など様々な種族が集っていた。

 そんな神社に複数の爆音が近づいてくる。

 

「追加の料理だぁぁぁぁ!!!」

 

「酒もあるぞおおおおおお!!」

 

「ほらほらしゃくやーもっとのみなひゃいよー」

 

「ちょっおじょ……がぼかぼごぼぼぼぼ……」

 

 境内を埋め尽くさんばかりの参加者に料理を行き渡らせるため宴会料理は博麗神社の台所と鎮守府の厨房で作られている(もちろん厨房の方が供給量は多いが)しかし鎮守府からここまでは距離があるため歩きでは一日かかってしまうし、飛んで運ぶのなら荷車なんかを使えないため普通は博麗神社の台所で賄うのだが、輸送ヘリによるピストン輸送によりこの問題は解決され美味しい料理を暖かい内に届けられるのだ。後日、航空燃料の消費量に鎮守府幹部が頭を抱えることになるのだがそれはまた別の話。

 

「よっ東風谷。楽しんでるか?」

 

「あ、駿さん。ええ。私が前回参加したときは私達が宴会の運営だったので。今回はエンジョイすることにします……ってそのお皿の上に乗ってるのってまさか!」

 

「鮪一尾丸々解体したものだ。皆に配っている最中だ。欲しい部位があれば言ってくれ」

 

「そうですね。やはり大トロとはらみで」

 

「よし。大トロとはらみだ。醤油はいるか?」

 

「お願いします」

 

「はいはい」

 

 駿はそう言うと腰のベルトに装着した容器からお馴染みの魚の形をした醤油差しと小皿を渡した。

 

「ありがとうございます」

 

「おう」

 

 そうしてぶらぶら境内を回っている内に鮪もほとんどなくなっていた。

 そろそろ台所に引き返そうと体の向きを変えると、真っ赤な顔をしたレミリアが従者である咲夜(これまた真っ赤というより酔い潰れる寸前)の口にワインボトルを押し込んでる光景が目に入ってきた。

 

「ん? 確か紅魔館の……レミリアと咲夜か……大丈夫か。ミススカーレットに十六夜さん」

 

 ここで駿はあるミスを犯してしまった。駿達がいた世界には東方pfojectというゲームがあり、駿は主に夕張にそのゲームをやらしてもらっていたのでこちらから一方的に知っているだけで向こうは知らないのについ名前を呼んでしまったのだ。が。

 

「ひひえ、わらひはらいひょうぶでふぅ~」

 

「う~」

 

 このとき駿は内心で神様へ祈りを捧げていた。

 

「(うぉおぉお!!ありがとう!ありがとう神様!!酒に酔うと判断力が鈍る効果をつけてくれて!!)」

 

 鮪を配り終えた駿は再び台所に戻って上着を近くの椅子にかけてエプロンをして食器を洗っていた。そして物陰からそれを見つめる人影があった。霊夢である。

 

「どうした? 何か用か? 博麗」

 

「霊夢でいいわ。ところであなたのその変な服装は何?」

 

「変な服装とは失礼だな」

 

 食器を洗う手を休めず続ける。

 

「しょうがないじゃない。昼に会った時も今とは違う服だったけどどっちも変なのは変なんだから」

 

「はぁ。これは詰襟と呼ばれる服の種類に入る。んで、これは海軍第二種軍装。言わば夏服だ。あと詰襟には同じく海軍第一種軍装とか男子学生用のガクランという制服が含まれる。んで昼に着ていたのはジャージといってあれは動きやすいのが特徴だ」

 

「何で着替えたの?」

 

 そこでようやく一段落ついたのか駿は手を洗って霊夢の方を向き身振り手振りを交え続きをいい始めた。

 

「俺が今着ているのは――上着は脱いでるけど――夏服とはいえ制服だ。宴会の前の挨拶で俺らは異変を起こした謝罪をした。その時に普段着なんかで謝るのは失礼だろ。だからあいつらも艦娘の制服を着たんだ」

 

「人によってバラバラだけど? それに艦娘って?」

 

「絶対そんな質問をしてくるやつがいると思って持ってきた」

 

 そう言うと駿は上着とともにおいてあったカバンから一冊の古びた本を取り出した。

 表紙のタイトルには[昭和39年度版艦娘全書]と記されていた。

 

「何これ?」

 

「見ての通りだ。目次の次に艦娘についてのほぼすべてが書れている」

 

「ひとことで言えばヤバイわね。けどいくら何でも彼女らを建造って……」

 

「そうだ。彼女らは……その体は作られた存在だ。そしてそれは資材さえあれば大量生産できるといっても過言じゃない。無論使い捨てるやつらもいたが……それほど敵の物量が多かったのさ……と言っても俺じゃなくてじいさんが経験したことだけどな」

 

「どうゆうこと?」

 

「そのままの意味さ。その本は俺の生まれる50年くらい前に書かれたものだ。俺ってそんな年とってるように見えるのか? 若干ショックだぜ。

元の持ち主はもちろん俺のじいさんだ。じいさんは昔その本に書かれている通り提督として活躍してたそうだ」

 

「今はどうしているの?」

 

「戦争終結後は鎮守府内に戦って沈んでいった船を祀る神社を建てた。そっから長生きしてつい一月前に死んだ。老衰だってさ」

 

「いやなこと聞いたわね」

 

「気にするな。それより明日にでもウチに来ないか? 艦娘の建造を見してやるよ。飯くらいは出すしさ」

 

「ぜひ行かせてもらうわ。ご飯まで出してくれるなら行くわ。ありがとうね」

 

「なに。これからさらにこの神社の参拝客を俺らの神社が取ることになりそうだからお相子だ」

 

「ちょっと待ってそれどういうこと」

 

 ものすごい勢いで駿の両肩を掴んで前後にゆする霊夢。その中で平然と駿は答えた。

 

「え? だってさ、ウチの神社が一番里に近いもん。相談次第じゃ分社置いてやってもいいが?」

 

 その言葉は途中までしか霊夢が放心状態になったため届いていないようだった。

 

 

 そして舞台は境内へ戻る。そこでは赤城が手伝いもせずもくもくと宴会料理に舌鼓打っていた(他の空母はちゃんと働いている)のだがいきなり目の前に現れた人物に驚くことになる。

 

「こんばんは。相席いいかしら?」

 

「いいへふよ?」

 

「それじゃお言葉に甘えて…」

 

 赤城に相席を頼んだのは妖夢から逃げ出してきた幽々子だ。

 最初は気にも止めなかった赤城だが次第に熱きバトルと化していく。

 

「ちょっと~それ私のよ~」

 

「早い者勝ちです」

 

「何を~!!」

 

「あ! そのハンバーグ!!」

 

「早い者勝ちなんでしょ~?」

 

「むむぅ~」

 

 

 

 

 そんないろいろな出来事があった宴会だったが翌日の四時くらいには最後の参加者が倒れ、それとほぼ同じくらいの時間に最初の方に力尽きた集団から帰宅し始めた。

 

 なお、レミリアは朝日で死にかけているところを雷に助けられたそうである。咲夜はさっさと帰って家事をしていたとか。

 

 




どうも佐武です。
未完成のうちにあげると言うハプニングのため一時非公開になったことをお詫びします。

今回は少し張り切りすぎたのか気がついたら6000文字越え……自分の最高文字数を更新しました。疲れた……


次回からはしばらく日常です。





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